次の日、僕はアリスの家に来ていた。アリスに人形のイメージを伝えにきたんだ。
「大体こんなイメージなんだけど」
どうにか説明して一息つく。自分のイメージを人に伝えるって大変だよね。絵とか描けばいいんだけど中々うまくいかないし。
アリスがちょっと考え込んでから僕に言った。
「うーん、普段作らないタイプの服ね。人形のベースは私が普段作っているのでいいかしら」
「大丈夫だよ。てか、僕は人形とか知らないからそっちに任せるし」
ほんと全然知らないしね。アリスが僕の意見を聞いて頷いた。
「わかったわ。一応黒い髪に黒い目にしておかないとね」
「ふぅ、大体こんなので大丈夫かな」
やることは全部やったかな? と首を傾げるとアリスが笑う。
「大丈夫だと思うわよ」
「えっと、台本はできた。読むのも大丈夫、練習中……あ、お知らせ作ってない」
僕の一言にアリスが首を傾げた。
「お知らせ? 寺子屋の身内だけでやるんでしょう」
「まあね。でも一応?」
こういう時ってお知らせのチラシとか作るものかなって思ってたんだけど。
「そうなの」
「うん」
アリスは少し考え込んでから僕に言った。
「下手にばらまいて不評受けるよりはこそこそ身内でやったほうがいいわよ」
「そう?」
「ええ」
「なるほどね」
経験者は語るってやつだね。とりあえずアリスの家からお暇することにした。もうそろそろで夕方だし、早めに戻らないと。下手にくらい時間に帰るわけにもいかないし。
―― 少女帰宅中。
家に帰ってみれば、家の前に見覚えのある白髪と褐色の肌の赤色の和服の男の人がいた。なんか包み抱えてるし。何でいるの。
「やあ」
「あれ、なんでいるの?」
君って普段人里に住んでるよね? そう言ったら包みを指して苦笑いした。
「君が頼んだのだろう」
「あ、そっか。ごめん、ごめん でもここまですぐにできるとか思わなかったよ」
なるほど、作った服を持ってきてくれたのか。普通に次に遊びに行くとき位に出来上がってるとばっかり思ってたんだけど。
「まあ、久々にこういう作業するのは面白かったのでね」
「そっか、ありがとう」
そう言いながら彼の差し出した包みを受け取った。今すぐ開けてみたいけど薄暗くなったここじゃあ見えにくいから中に入ってから見ることにしよう。
「かまわないさ。私のほうから言い出したことだからね」
「それから色々と注文つけたわがままにも聞いてくれてありがとうね」
そう彼に言うと彼はじゃあと言って帰ろうとした。あ、え?
「ちょ、この暗い道帰るつもり?!」
「大丈夫だろう。戦う力はあるからな」
さらっというけど油断しすぎだよ。
「だーめ、ここまで暗くなってると性質が悪い奴も出てくるから! ウチに泊まって行きなよ」
「そういうわけにもいかないだろう。私は一人で大丈夫だから」
食い下がる彼に僕はさらに言う。
「はぁ、この辺は割と性質が悪いの多いし最悪あれに捕まったら帰れないよ」
「あれとは?」
「迷子を来た場所に返す親切なのか親切じゃないのかよくわからない妖怪がいるんだよ。君がこっちから来たとなると里のほうじゃなくってこっちに戻してくるよ」
ルーミアさんは誰だって容赦しないだろうし。僕の意見を聞いた彼は少し考えるようなしぐさをしてから言った。
「それは面倒だな」
「一応、知り合いに言わせれば一番やさしい対処法らしいけどね。そういうわけ、今の時間帯に人里に戻ろうとするのは自殺行為だよ?」
「な、なるほど」
彼がドンびく様子を見てふと思う。
「ここって意外と現代社会より物騒だったりして」
「いや、そうでもないだろう」
「そう? まあいいや。中入って」
「すまない。上がらせてもらおう」
僕らは家の中に入った。
―― 少女接客中。
「ほい、お茶」
テーブルに座った彼の前にお茶を出す。
今日はチルノは引きこもったとはいえ夜は帰ってきてくれてたのが帰ってこない。たぶんどこかで宴会でもやってるのかな。割と宴会でいないこと多いし。彼は周りを見渡す。
「ありがとうな。君の家はずいぶんと簡素だな。生活感が薄いというべきか」
「まあねー。僕にしてもチルノにしても結構生活無頓着だからね。今はチルノ居ないから余計にひどいし。あ、冬場にレティさんいるときはもう少しマシになるよ」
彼は見事に何もない部屋に驚いたらしい。まあ、生活必需品くらいしかないもんね。家でダラダラしてるとかあんまりやらないし、基本は野外活動メインだし、家でのんびりしてるのって基本的に雨の日とかくらいか、後冬とか。
「掃除などはされているんだな」
さすが主夫目ざといね。僕は席に着きながら答える。
「当然、ぶっちゃけて言うならお互いに私物がないって言ったほうがいいんだよね。調理器具とか共有のものはあるんだけど」
「そうなのか」
「私物あってもしょうがないしね。あ、でも最近僕の服が増えてるかな」
タンスの肥やしにしないようにしたいんだけどなぁ。そんなこと考えてたら彼が僕のほうを見て聞いてきた。
「そうか、そういえば今日の夕食はどうするつもりだ?」
「あー、川魚の干物に味噌汁とご飯の予定」
「漬物の一つくらいつけたらどうだ?」
呆れられた。たぶん野菜入ってないからなんだろうけど。
「味噌汁の具に野菜放り込めばいいかなって思ってたんだけど」
「それでもだろう」
彼的にはこだわりがあるらしい。
「そうですかーだ。とはいえ漬物とかないんだけど」
彼が席を立ちあがる。その眼は料理人のそれだった。
「どういった食材があるのか見せてみろ。浅漬けくらい作れるはずだろ」
「さすが本職だね。じゃあ支度するかー」
―― 少女調理中。
目の前に置かれたご飯と焼かれた川魚の干物と野菜が大量に入った味噌汁ときゅうりの浅漬けと卵焼きを見ながら僕はつぶやく。
「当然ながらおいしそうだね」
普段作ってるのよりもおいしそうだよ。主に浅漬けと卵焼き、この二つは彼が作ったものなんだけどすごくおいしそうに見えてしょうがない。
「それなりというべきじゃないのか?」
「はぁ、このレベル基準にしちゃ問題でしょ。いただきまーす」
本業とは比べるな。ついでにコツを聞き出してやろう。うん、そう決意して僕は夕食を食べ始めた。
くぅくぅおなかがすきました。いや、冗談ですよ。冗談
……ご飯の描写書いてておなか減ったのは事実ですけど。
とりあえず腹ペコです。
七夕要素薄すぎたかもしれない。