東方氷娘記   作:亜莉守

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第六話

 

 僕は寺子屋の縁側から空を眺めていた。雲はほとんどない、七夕に雨が降るってジンクスはウソじゃないかな。ぼそりと僕は呟いた。

 

「ふぅ、いい天気だなぁ。このまま曇らないといいけど」

「明乃、ここにいたのね」

 

 ポカリと頭を(はた)かれる。だれかなこんなことするのは、そう思って振り向いてみれば金色の髪に赤いカチューシャ、それから青のロングスカートに宙に浮かぶ人形、アリスさんだ。

 

「アリスさん」

 

 僕が名前を呼んだらアリスさんが呆れたようにため息をついて、僕の方を見る。何かあったのかな?

 

「劇の主催がこんなところにいるなんてどうしたの?」

「あー、夜晴れるといいなぁって」

 

 いっそのこと天の川とか見てみたいなぁ……とかは欲張り過ぎか。考え事してるのが目に見えて分かったらしくアリスさんはまた呆れてから僕に言った。

 

「ふぅん、もうそろそろで劇、始めるわよ。位置について」

「うわ、もうそんな時間だったんだ」

 

 慌てて僕は立ち上がる。えっと、台本台本、あった。机の上に置きっぱなしになってた。慌ててる僕の頭をアリスさんが撫でた。

 

「頑張りなさいよ」

「……うん」

 

 よし、頑張るか。そう気合を入れ直して僕は会場になってる寺子屋の教室に向かうことにした。

 

 

―― 少女演技中。

 

 

 七夕の劇は年に一度の再会をした二人で演技は幕を閉じた。その後に僕は語る。

 

「『こうして織姫と彦星は一年に一度7月7日にだけ会えることとなったのです』」

 

 しんと静まり返る子どもたち、ちょっとだけ余韻を残すために僕はそこで言葉を切った。それから口調を物語のための口調から話しかけるための口調に戻して僕は言う。

 

「―――はい、これで七夕の人形劇おしまいです。どうもありがとうございました!」

 

 そう言い終ると会場から拍手が来た。やった! その嬉しさを噛みしめる余裕もなく劇を見に来た子どもたちが一気に群がってくる。わわっ?!

 

「明乃おねえちゃんすごい!」

「お人形さんもかわいい!」

「ねぇねぇ、どうして瓜を縦に切っちゃダメなの?」

 

 その後は休む暇もなく子どもへの対応でもうてんてこ舞いになることになってしまった。子どもってエネルギー半端ないね。 

 

 

―― 少女休憩中。

 

 

 子どもから解放された後、僕が寺子屋の縁側で伸びてると慧音さんが麦茶の入った湯呑を持って来てくれた。

 

「明乃、お疲れ様」

「あ、慧音さん はい、お疲れ様です」

 

 麦茶を貰って一口(あお)る。うん、美味しい。欲言っちゃえば冷たい方がいいけどその辺は自分でどうにかすればいいし。

 

「準備から何まで全部頼んで悪かったな」

「いえ、台本とか手伝ってくれたじゃないですか」

 

 あれをやってもらわなかったら確実に間に合わなかったよ。そう言ったら慧音さんは笑った。

 

「それでもほとんどやったのは明乃だからな。本当にお疲れ様だ」

 

 また頭を撫でられた。僕ってそういうポジションなんだね。まあ、嬉しいか嬉しくないかって言われると嬉しいけど。

 

「えへへ」

 

 思わずそんな声が漏れた。

 

 

―― 少女休息中。

 

 

 慧音さんが居なくなった後も縁側でまだ伸びている僕はぼうっと空を眺めていた。さっきよりも雲増えたなぁ、このまま完全に曇ったりして。雨は降らないといいなぁ。そういえば梅雨は終わったのかな? 霊夢に言わせれば雷雨がきたら終わりらしいけど。

 

「ふぁぁ」

 

 思わずあくびが出る。うん、日差しも気持ちいいしこのまま寝てしまおうか。今日することはもうないし。部屋に行って座布団を取ってくる。それを二つに折って枕代わりにした。

 

「………」

 

 それに頭を乗せて、うとうとしていると何処からか声がした。

 

「あれ、明乃じゃない」

 

 声をした方を向いてみたら生垣があった。生垣の向こう側に居るらしい。誰? そう思って生垣の方に行ってみればなんと、てゐさんだった。竹林の外に来るのは鈴仙さんがメインなのに。それになんか竹を(かつ)いでる。

 

「……あれ、てゐさん?」

「こんなところで何やってるの? 寺子屋でしょ、ここ」

 

 あ、寺子屋の手伝いやってる話はてゐさんにはしてなかったから知らなくても当然か。そう納得して、てゐさんに説明をする。とはいっても簡単なことだけだけど。

 

「人形劇とその後片付けを、てゐさんは? 竹担いでなにしてるんですか?」

 

 何で竹なんて担いでいるのだろう? そう聞くとてゐさんは笑った。

 

「ちょっとした商売よ。今日は笹とか竹が売れるからね。あるものは使わないと」

 

 どうやら迷いの竹林の竹を伐採して持ってきたらしい。まあ、確かに短冊吊るすなら笹とか竹とかいるもんね。上手いことやってるなぁ。

 

「へぇ、そうなんですか」

「なんだったら買ってく?」

 

 ちょっと期待した感じにてゐさんが僕を見る。その気持ちには応えたいけど………。

 

「いえ、昨日のうちに妹紅さんに頂いたので」

 

 昨日、妹紅さんが竹を何本か担いで寺子屋に来たんだよね。寺子屋用だったらしいんだけど、ちょうど手伝いに来てた僕にもくれたんだ。その時に貰ったから家には小さい竹が立てかけてあるし。そう言ったらてゐさんはちょっとむくれた。

 

「ちぇ、妹紅が昨日、竹担いでたから何かと思えばそれだったのか」

「なんだったらなんか願い事書きます? ちょうど短冊余ってますし」

 

 寺子屋の子たちから手渡された短冊が手元にちょうど何枚か残ってた。みんな僕に渡してくれたんだけどそれを断るわけにもいかなくってこんなことになったんだよね。それをてゐさんに差し出す。するとてゐさんはちょっとにやっと笑った。

 

「お断り……と言いたいけどせっかくだし貰っておくか。じゃあね」

 

 てゐさんはそう言って差し出した短冊を受け取るとまた竹を担いで何処かに行ってしまった。まだ売る気なんだろうなぁ。

 

「ふぁー……うん、もう昼寝にしよう」

 

 その後、僕は様子を見にきた慧音さんに起こされるまでずっと寝ていた。

 





七夕話。まだ続くよ!

……今更ですけど服の下りいらんかった気(殴

本当に今更ですが、本編は基本的にクロスオーバーのキャラは混ざりません。クロスキャラはモブAくらいの扱いです……なってますよね?

七夕のジンクスってあってますよね? それからいよいよ明日は七夕です。
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