東方氷娘記   作:亜莉守

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第三夜 敷守玉兎 【狂気の月の兎】


第三話

 

さて、僕らは竹林の中にある和風の屋敷に来ていた。随分と古めかしくて広い。竹林の中にここだけポツンとあるのは結構不思議な光景かもしれない。いや、不思議っていうかこう隠れて住んでいるって感じ?

 

「それにしてもここか」

「ですよねー。この竹林に住んでるのってここの人たちと妹紅さんくらいしかいないし」

 

此処って住んでいる人少ないっていうか、僕の知ってる限りこの人たちしかいない気がするし。こんな鬱蒼(うっそう)とした竹林に人が住む方が普通じゃないよね。

 

「だよな。さーて、お邪魔するか。それにしても500年も経てば人も増えるんだな。昔は妹紅とか因幡くらいしかいなかったのになー」

「?」

 

亜里沙さんは何か知ってるのかな? そういえば亜里沙さんって500年前の人だよね……あれ? なんで妹紅さんとか知ってるんだろう?

 

「よし、行くぞ」

 

 

――― 少女移動中。

 

 

「あれ?」

 

ふと気が付いたことがある。いや、何でこうなってるの?

 

「どうした。何かあったか?」

「いや、この廊下こんなに広かったかなって」

 

どう考えたって可笑しいんだよね。ここにはよく来てたからわかってることなんだけど。

 

「へぇ、この長さじゃないのか?」

「ううん、普通に歩いてて五分もあれば端についたはず」

 

うん、そうじゃないと生活が不便だよね。お見舞いとか薬貰いにたまに来るけどそういう時にはもっと狭かったはず。

 

「ふぅん……この異変の根底は案外単純かもしれないな」

「えっと、どういう意味……」

 

亜里沙さんが何かを悟ったように呟いた。それが気になって聞いてみたんだけどそれよりも先に前方から声がした。

 

「見つけた! 全くてゐの奴何やってるのよ。外の迎撃はあの子担当なのに」

 

険しい顔をした鈴仙さんがそこにいた。完全に戦闘モードに入ってるし。そんな雰囲気って一度も見たことなかった気がするんだけど。

 

「お、ようやくお出ましか。それにしてもお前、妖怪兎じゃないな?」

「鈴仙さん何やってるんですか! 月欠けさせたりとか、夜を続けたりとか、近所の迷惑も考えてください!」

 

説得しようと思って声をかけたけど、亜里沙さんを睨みつけていた鈴仙さんがこっちに気が付いただけだった。

 

「明乃、貴女も居たのね。でもね、この計画を止めるわけにはいかないの!」

「鈴仙さん……」

 

どうやら相当覚悟があるらしい。目を見てたらわかる、こんな目をした人が説得に応じるわけがないよ。

 

「……よし、潰すか。悪いが姫君の知り合いは居ても月兎の知り合いは知らん」

 

亜里沙さんが杖を持って腕を前に構えた。すると亜里沙さんの背後に、魔法陣が三つ浮かび上がる。あれ? なんだかものすごく見覚えがある気がする。

 

「本気で行くぜ?」

 

あ、思い出した。ちょっと前に幽香さんと模擬戦した時に食らいそうになった……トリプルスパークだっけ? あれと同じなんだ。

 

「っ、こうなったら!」

「?!」

 

鈴仙さんがいきなりこちらへとやってきた。僕の目を鈴仙さんが覗きこむ。あれ、なんだろう? ちょっと気が遠くなるような気が……。

 

「この目を見た人間は気が狂う、貴女はこれでつ」

 

そう自慢げに言う彼女に向けて弾幕を放てば、彼女は驚いた表情で飛びずさった。それから驚きに満ちた声で言う。

 

「! そんな、私の目を見た人間は気が狂ってそんなことできなくなるはずなのに」

 

………それはそれはどうも。気が狂うねぇ。

 

「……お生憎様、狂っているのはいつもの事なんだよねぇ」

「あ、明乃?」

 

金髪魔女服姿の人が驚いたように僕を見てきた。えっと、誰だっけ? 魔理沙……いや、えーと?? とりあえずなんか困惑してる学生服を着た兎に声をかける。

 

「あははは、まさか傍観に徹してた本能(ボク)を叩き起こすとかアンタさ。いい趣味してるねぇ? 理性(ぼく)を狂わせればどうにかなる。甘いねぇ。一応、僕は495年の狂気に触れても平気なんだよ?」

 

まあいいか、何処の誰だったかは忘れたけど、そんなことはどうでもいいな。学生服…いや、気を狂わせるっていうんだし三月兎でいいや。

 

「さて、三月兎に用はない。用があるのはハートの女王様だ。お茶会に参加する余裕なんてないんだよね」

 

早く行かないとなぁ。僕としてはすぐに終わってほしいんだけど。凄い驚いた顔で魔女服がこっちを見ている。

 

「本当にお前()だよ」

「ん? まあ、ちょっとしたお助けキャラだよ。魔女服」

 

そうとしか説明しようないし。いや、僕としては説明が面倒なんだよねー。大体普通の人間はこんなことになるわけないしねぇ。

 

「明乃とはガラッと変わってるぜ。よし、とっとと終わらせるか」

 

呑み込みが早いらしい魔女服はすぐに先ほどと同じように攻撃の構えを取る。呑み込みの早い奴っていうのは一番うれしいなぁ。

 

 

――― 少女弾幕中。

 

 

 

「つ、つよ」

「ふんっ、理性(ぼく)はそれなりに自制して手加減とかしてるけど。本能(ボク)があんたらに手加減なんてする義理ないし。じゃあね、三月兎」

 

弾幕勝負に負けてへばった三月兎に告げる。はぁーあ、何で僕が異変解決なんかしないといけないんだろう? こういうのはあっちの仕事なのに。そう考えながら僕は『呼ばれている』方へと向かうことにした。

 

「お、おい。何処に行くつもりだ?」

 

魔女服に呼び止められた。説明すんの面倒なんだけど。

 

「ん? 事の元凶のところ」

「は?」

 

魔女服が胡散くさそうな顔をする。わけわかんないのはそうだろうな。説明する気は無いから。

 

「んじゃ、行きますか。どこのどなたかは知らないけど『呼ばれた』からには行くことにするかー」

「全くわけがわからないぜ」

 

訳が分からなくて結構。全くさ、僕は表に出てくる気全くなかったのに。『僕』を構成する大元の存在である彼女が気を狂わされかかってそれを守るために僕が出ることになったんだよ。あの三月兎余計なことしやがって……。





一週間ほど開けてて申し訳ございませんでした。色々と別の物に興味が移っておりました。大神は個人的に物凄く良作ゲームです。自分でやるもよし、実況見るもよし……ただ、はぐれ玉コンプはムズイです。マジで難しい。主にカイポクレース、ついでに言うなら再度入ることはできない場所の取り逃し、だれかコンプした人っていませんかね?
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