さて、三月兎を後にしてしばらく進めばそこに服を赤と青の半々に色づけした銀髪……んー薬師屋が現れた。普段は見かけない弓を手に持っている。たぶんあれが彼女の得物なのだろう。長い廊下を通せんぼするかのように浮いている彼女を前に僕たちは止まった。
「お、敵さんのご登場だ」
「こいつがお前の言ってた元凶か? 偽乃」
「なんだよそのパチモンくさいあだ名は! 僕は正真正銘、吉井明乃だよ。はぁーあ、文句言うなら三月兎に言ってくれ」
こんなところに出てくる予定なんてびた一文もありゃしなかったのに何でこんなことになってるんだろうね。あーあ、元はといえばあの三月兎のせいじゃないかな。
「ところでだが三月兎ってのは?」
「『三月兎は気が狂ってる』 あいつは人を狂わせるけど、ちょうどいいでしょ」
「ふぅん、三月の兎が狂ってるとは思えないけどな」
物のたとえってもんでしょ。もしくは語呂がいいからかな。それにしてもこんな月夜に出かけてるよりも愉快な
「大図書館ところで本借りたらどう? 『三月兎は気が狂ってる』ってヒント出せばすぐに見つけてくれるから」
「あー、今は滅茶苦茶警戒されてるからなぁ。無理だろ」
「……その盗癖どうにかした方がいいよねぇ」
それがどうにかなったら普通に大図書館だって入れてくれるだろうに。まあ、この盗癖も魔女服や魔理沙の特徴なのかもしれないね。
「いつまで話してるつもりかしら?」
「あー、薬師屋ごめん、ごめん」
謝る理由なんてないけど多分
「貴女……明乃ではないのね」
「いや、吉井明乃だし……あー、ある意味完全に別人か。二重人格もびっくり状態だし」
少なくとも
「? とりあえずこの先には行かせないわよ」
薬師屋が弓を構える。僕としては説得なんて無理だっていうことくらい分かってるさ。片や相手は月を欠けさせて、夜を長引かせるなんて大事をやっているし。こんなところで引くわけがない。まあ、
「そりゃ無理な相談だね。『僕』は『呼ばれた』だけだし。『呼んで』いるのはそっちの誰かだよ? そういうわけだから、悪いけど薬師屋、通らせてもらうぜ?」
「どういうわけかは知らないけど、貴女は敵なのね」
薬師屋が弓を引いた。すると今まで無かった矢が現れる。なるほど、これが彼女の弾幕か。でも現れている矢は一本だよね。どうやって弾幕にするつもりなんだろう?
「おい、来るぞ!」
「そういうことだよ。僕はわかりやすい二元論は大好きだね」
まあ、そんなことはどうでもいいか。僕にとって敵ならば排除するのみ!
――― 少女戦闘中。
弾幕勝負は終わりを告げて、結局のところ僕の勝ちだった。薬師屋は結構強敵だったよ。とりあえず勝てたからいいけどさ。
「ふふん、勝ったね」
「っ、まさかここまでの強さとはね」
僕は他人に容赦する
「はーぁ、あたしの出番一度もなかったぜ」
まあ、当然だよね。流石に2対1は卑怯でしょ。弾幕勝負は基本1対1だし。僕と魔女服が喋っていると、それまで俯いていた薬師屋が顔を上げた。目を見ればなんだかまだやる気だ。
「でも、姫のところには絶対に行かせない!」
「あー、女王じゃなくってお姫様か言うなればかぐや姫だっけ?」
彼女の言う姫っていうのは多分昔話に出てきた月の姫君のようなあの彼女だろう。個人的には彼女のようなおしとやかな人が敵なのよりもハートの女王のようにヒステリッキーな方が叩き甲斐があるんだけどねぇ。というのか彼女だったら普通に説得できそうな気がするんだけど。
「それそのまんまだろ」
「? そうなのか、生憎他人の名前覚えるのが苦手でねー」
そういえば彼女の名前って何だっけ?
「……あたしの名前は?」
この金髪魔女服? えーっと
「ん? 魔女服」
「……それ素で言ってたのか?!」
「悪い悪い、
仲がいいから魔理沙は覚えてるんだけどね。次点は霊夢か、あの銀髪メイドって名前なんだっけ? うーん?
「すげー開き直りだな」
「もちろん! 開き直ってないとやってられないのさ」
開き直るなって方が無理でしょ。ここまで違うと他の人にとっては別人のような気がしてならなくなるんだろうな。それでも僕は『僕』なわけですが。
「それにしても明乃じゃ絶対にありえないぜ」
「どうも、
ついでに言うなら
失踪すること早数か月? 多分まだ半年は過ぎてないはずですよね? とりあえず帰ってきました(仮)相も変らぬノリですがお付き合いいただけたら幸いです。
もう明乃(本能)が中二病にしか思えなくなってきたんだ。まあそれでも今回は彼女主役? でやっていきますが