東方氷娘記   作:亜莉守

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第六幕 閉幕開催 【永遠と須臾の罪人+蓬莱の人の形】


第六話

 

僕とお姫様はふわりと宙に浮き上がった。流れ弾が他の面々に当たらない程度の高さまで浮き上がり、そこで一旦停止。周りに通常弾を浮かべて、弾幕勝負の準備に入る。お互いに通常弾を完ぺきに浮かべ終わり、お姫様はにこりと笑い、僕はにやりと笑った。

 

「それじゃあ、弾幕勝負と行こうか!」

「ええ、正直暇してたから大歓迎よ」

 

その言葉を合図にお互いが通常弾を打ち合う。それをかわしながら、僕は気になったことを聞いてみた。

 

「あれ? さっきはお姫様らしくするのは気が乗らないとか言ってたのに?」

「それはそれ、これはこれよ。屋敷や妹紅以外の人と弾幕勝負するのは初めてなの」

「それは随分と楽しみが少ないんじゃない? 霊夢や魔理沙との弾幕勝負はとっても楽しいよ」

 

霊夢や魔理沙と遊びで弾幕勝負をしているときは結構楽しかったりする。二人とも日々進化してるというか会うたびに新しい弾幕を創り上げてるから毎回楽しみにしてるんだよね。だけど、特訓のために花畑の妖怪とか花神とかチルノとか果てはすきま妖怪とかその辺相手にしてる時は必死過ぎて楽しむどころじゃないけど。後は遊びとはいえ、本気でかかってくる妹様とか吸血鬼姉とかは時々辛く感じたりもするんだよね。

 

「あら! それはいいこと聞いたわ。今度勝負をお願いしてみようかしら」

「ま、霊夢は気が向いたらしてくれるだけだけど」

「ふぅん、随分と気まぐれなのね」

 

本当に気が向いてるときしか霊夢は弾幕勝負をしてくれない。実力の差も考えれば当然とも言えるけど。たまに魔理沙と勝負してる時に乱入してくるのは驚くから勘弁してほしい。そのまま魔理沙共々撃墜された時のポカーンとした感じはいまだに忘れられないよ。本人は滅茶苦茶笑ってるし。

 

「その辺が霊夢らしいって僕は思ってるわけですが」

「なるほどね。そろそろ避け続けるのも限界じゃないかしら?」

 

通常弾幕が徐々に濃さを増していってるけれどもまだ余裕な方だろう。さらにかわしづらい弾幕も特訓にあったりしたし。

 

「いーや、まだ余裕さ。避けるという動作は直感のほうが大事なんだよ?」

 

だって本能(ボク)だもの。これくらいは余裕でかわせないとダメでしょ。口にも出した通り、理性(ぼく)よりも『避ける』ことに関しては鋭いつもりだし。

 

「そうなの。それじゃあ、これならどうかしら!」

 

 

難題『燕の子安貝 -永命線-』

 

 

「よっと、おお。綺麗だね」

「美しさを堪能できるってことはあなたかなり余裕ね」

 

ついにお姫様がスペルカードを繰り出してきた。いよいよ本格的になってきたようだ。まだまだ余裕でかわせるからかわしていきたいところなんだよね。

 

「それはどうも、むしろ美しくなきゃ弾幕じゃないでしょ。力の勝負ならただの無粋な力比べと変わりないじゃないか」

 

霊夢がそう語っていたのを思い出す。この言葉に惹かれて僕は弾幕勝負を始めたんだ。今ではこれが僕の弾幕勝負の際の信条のになってきてるし。

 

「なるほどね。だから『弾幕ごっこ』っていうのね」

「そゆこと」

「うん、楽しいわ」

 

お姫様がまたスペルカードを掲げた。

 

 

難題『蓬莱の弾の枝 -虹色の弾幕-』

 

 

「お姫様が、楽しそうで、なによりぃっ!?」

 

 

氷恋符『フリーズド・スパーク』

 

 

「あっぶな」

 

ボムを出したおかげで助かったけど、これ出すタイミング間違えたら危うく被弾するところだった。

僕が繰り出した氷のビームの影響で周囲につららが出来、体感温度が少し下がる。お姫様が周囲を見渡してから僕に言う。

 

「あら、随分と冷たい弾幕なのね」

「ま、師匠が師匠だし。さてと、双方ともにラストと行こうか!」

 

さて、双方弾幕も尽きかかってることだし決着をつけたいところだなぁ。

 

「そう、楽しかったのも束の間。だけどとっても楽しかったわ」

 

僕たちは互いにカードを掲げて宣言した。

 

『永夜返し -夜明け-』

極氷術『アイシクルエデン』

 

 

――― 少女決着中。

 

 

決着がついたことで僕たちは地面へと戻ってきた。結果的には僕の勝ち、まあここで負けたら格好悪いよね。最後の最後までかわしきれてよかったよ。地面に残ってた面々に無事でよかったと口々に言われた後、お姫様が手を差し出してきた。

 

「強かったわ」

「それはどうも。もしかして引きこもりでもしようとしてたの?」

 

差し出された手を握って握手をしながら。今までの光景や薬師屋の口ぶりから推論したことをぶつけてみる。とりあえずこの人を閉じ込めるなり隠すなりしたかったからこんなことをやらかしたんじゃないのかな? まあ、推論の域を出ないけどね。

 

「うーん、こっちの明乃は分かってないように見えて分かってるのね」

「判断はできてなくても理解はできてるはあっちの方が性質は良いとおもうけど? それで、お姫様は何で僕を『呼んだ』のかな? 僕にはそこが皆目見当もついてないんだけど」

「分かってて来てくれたように思ってたのだけど違うのね。まあそれも当然かしら」

 

本能(ボク)にわかるのは周りの状況を見て直感的に判断することのみ。相手の感情を理解するのとかは苦手なんだよね。僕たちが話していると魔女服が話しかけてきた。

 

「とりあえず、あんたが月が欠けた事の元凶とみていいのか?」

「ええ、そうね」

 

まあ、月についてはどう考えてもこの薬師堂が原因だよね。でもさ

 

「夜が繰り返すことは?」

「え? なんなのそれ」

 

ですよねー。僕の推論からしてこれはあってると思ったんだ。

 

「あーやっぱか、僕は正直読めてたんだよねぇ。月が欠けてるのはそっちの影響だけど、時間が戻るっていうのはおかしいし。時間戻ったら意味ないじゃん」

「あー、そこは分かってるのね」

 

月を欠けさせて『何』から逃げたかったのかなんて僕にはわからないけど、月を欠けさせることが目的なら夜だって早く明けて欲しいはずだ。それなのに夜が長引いてることは矛盾している。

 

「てか夜が続いているのって誰のせい?」

「それは私にもよくわからないわ」

 

どうするのさこれ、とか考えていたらいきなり爆発音がした。まるで無理やりにこの空間へと入り込んできたような感じの気配がして、全員で一斉にそちらを振り返ってみる。

 

「爆発音がしたぜ?」

「何事?!」

「えっと、なに?」

「おおー」

「こんな奥にいたのね。輝夜、さあ朝をとっとと返してもらおうかしら」

 

銀髪に紅いリボン、謎の札が付いたもんぺ。そう、寺子屋教師の友人である竹林住民の彼女がそこにいた。背中に炎の羽を背負って、なんていうかどこの仮面ライダーだ! とか言ってももう世代的に古いかな? とりあえず彼女のことは不死鳥とでも呼んでおこう。不死鳥が爆炎の中を突っ切ってこちらへとやってきた。その顔を見ると……

 

「………うわぁ、顔が悪人面だよ」

 

爆炎という背景もあるからか異様に顔が怖く感じる。思わず口に出してしまった。

 

「しぃっ、思っても言っちゃダメだぜ?」

「すごいよ!」

「妹様、お下がりください」

「あら、月ではなくて?」

 

各者各様に反応を返す。不死鳥的には僕たちはあんまり関係なかったらしく、ピンポイントでお姫様の言葉だけを拾い反応した。

 

「あ? 月だって夜が何とかなれば沈むじゃない! 夜を長引かせて何がしたいのよ!」

 

あ、これは早く止めないと致命的にずれていく気がする。

 

「どーどー、二人とも止め! よくわかんないけど。相互的にいろいろと勘違いしあってない? というか不死鳥はなんでここに来たのさ。ついでに言うなら寺子屋教師は? 友達じゃないの?」

 

僕が間に入ったことにより、不死鳥はきょとんとしてお姫様はふわりとほほ笑んだ。少しだけ固まった後、不死鳥が正気に戻ったらしく僕へと問いかけてきた。

 

「えっと、あれ? 明乃よね?」

「うん、僕は吉井明乃だけど? というよりもとりあえず現状改善が手っ取り早いんじゃないのかな。お姫様」

 

現状を解決できそうな人を名指ししてみる。すると話が飛んでくるなんて思っていなかったらしくお姫様は驚いた表情をした。それから笑みを戻して僕に尋ねる。

 

「あら、心当たりがないのに私が何とかしなくちゃいけないのかしら?」

「だって……ねぇ?」

 

意味ありげに視線を向ければ彼女が納得したように小さく頷いた。僕としては自分の直感に頼っただけなんだけどね。「この人だったらどうにかできる」そう直感したんだよ。

 

「うーん、あなたはとても鋭いのね。わかったわ。誰がやったのかなんてわからないけど半端な永遠の夜なんて私の能力ですぐに打ち消してあげるわ」

「あ、ついでに廊下も何とかしてほしいなぁ。薬買いにくるたびにこれじゃあ疲れるよ」「そこは永琳に言っておくわ。あれを調整したの私じゃないの」

 

あれもお姫様の能力で作ったものだとばっかり思ってたんだけど。違ったのか。

まあ、そんなこんなでどうにか幻想郷に夜明けが訪れたのだった。

 

 

――― 少女移動中。

 

 

僕が気が付けば異変はなぜか解決していた。正直、鈴仙さんと戦いになろうとしたあたりから記憶が曖昧なんだけど。名前を聞かれて普通に返事をしたらなんか妹紅さんから「元に戻ってよかった!」って抱き着かれたり。永琳さんから「これは随分と珍しい例ね」とか言われたり。鈴仙さんからは「本当にすみませんでした!」って頭下げられたり。輝夜さんからは「また弾幕勝負しましょうね」とか言われたり。うん、なんかよくわからないことになっていた。

とりあえず異変は解決したらしいので、人里(さっきは更地だった)まで亜里沙さんと異変解決しに来ていつの間にか合流していたらしいフランと咲夜の四人で戻ってみた。更地になってしまっていた人里は元に戻っていたし普通に里のみんなも居た。だけど

 

「………どうしてこうなった」

「むしろどうしたらこうなるのよ」

「ううん、それよりもお姉様どこ?」

「うわぁ、チルノとてゐの奴派手にやったな」

 

里の(はずれ)も端のところにクレーターが出来上がっていた。中央には見慣れた青い服がボロボロになったチルノと同じくらいに服をボロボロにしたてゐさんがうつ伏せで倒れている。むしろ気絶しているんじゃないの? これ

 

「永遠亭まで運ぶべき?」

「ならてゐのとこの兎に言いつければ大丈夫だろ。というかワーハクタクや紫たちは?」

 

亜里沙さんの言葉で思い出したので周囲を見渡してみるけど、そこに慧音さんも紫もそれに魔理沙や霊夢、アリスさんの姿も見えない。衝撃派でどこかに飛ばされたとか? いやいや、ないよね………たぶん。

 

「あ、お姉様!」

「妹様、お待ちください!」

 

どうやらレミリアも異変解決のために来ていたらしい。夜が続いていたからいいものの昼間とか大丈夫なのかな? 気になったので一緒に行ってみると、レミリアが紫の日傘を差して立ってた。どうやら日傘のおかげで無事みたいだ。日傘くらいで吸血鬼が外を出歩けるのって幻想郷だからこそって奴なのかな? 閑話休題

 

「あら、フラン! 咲夜!」

「お姉様!」

「お嬢様、ご無事で何よりです」

 

紅魔館組は無事に再会できたようだしよかった。それにしても霊夢や魔理沙はどこに行ったのだろう?

 

「霊夢? 魔理沙?」

「ここだぜ」

「ここよ」

「どこ……って、うわぁ?!」

 

二人の名前を呼んでみたところ、背後から声がしたので振り返ってみれば宙に開いたスキマから腕が二本伸びて、それぞれ二人を吊り下げていた。驚いていると、目の前に新しいスキマが開いてそこから紫がにゅっと顔と腕を出した。ちらっと上空を確認してみたら腕が出ていたスキマはもう消えている。

 

「ふふっ、驚いた?」

「はぁ、もう紫。驚かさないでよ」

「あはは、ごめんなさいね」

 

まあ、ちょっとびっくりしたくらいだしいっか。空中からは二人がゆっくりと地上に降りてくるきた。魔理沙って箒がなくても飛べるんだ。

 

「無事そうで何よりだな」

「そうね。大丈夫?」

「うん、なんか気が付いたら異変が解決してたよ。それにしてもこのクレーターどうしたの?」

 

一番気になったことだし二人に聞いてみた。この場を動いていないことは多分そうだろうし。すると二人はそろって明後日の方を向いた。

 

「……まあ、世の中には知らなくていいこともあるんだぜ?」

「そうね。上には上がいるって話よね」

「?? よくわからないけど、やっぱりチルノって強いんだね」

「ま、そういうことにしておきなさい」

 

紫が口を挟んできた。そういえば

 

「異変も解決したし宴会しようよ。今回は月ばっかりで正直見飽きたから昼間にさ」

 

僕がそう言ったら明後日を向いていた二人も紫も顔を見合わせてそれからいきなり笑いだした。

 

「え、ちょっと、僕何か変なこと言った?!」

「あ、いや。明乃から宴会って言葉を聞くとは思わなかったぜ」

「そうねぇ、宴会しましょうか。明乃もご所望みたいだし」

「日取りが決まったら教えなさいね。じゃあね」

 

えー、なんか微妙に腑に落ちない気が…………まあ、いっか。みんなが楽しそうならそれで

 

 





これにて氷娘永夜抄は閉幕宴会が開催です。クレーターについてはまあ、弾幕勝負が凄かったってことで。魔理沙と霊夢は紫のスキマに放り込まれて無事でした。アリスはその場から離れて無事、大体危ない目に遭いかけたのは慧音とレミリアともう一人という結果に。もう一人は描写はしませんでしたが、レミリアのそばに居ました。たぶん向こう側くらいで気絶してるんじゃないですか? 慧音は妹紅の家に居るはず。
最初、慧音は欠けた満月の光を長時間浴び続けたせいで暴走、チルノはそれを止めるために弾幕勝負をしてました。そこにてゐも乱入して三つ巴にそれから脱落した慧音を妹紅が助けて事の次第を認識したのち、妹紅が永遠亭に殴り込み。ってかんじでした

あとがきで説明するってorz もっと精進したいです。
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