東方氷娘記   作:亜莉守

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第四話

「明乃、次はこれを頼む」

「あ、はい」

 

一週間後、僕は寺子屋の横の慧音さんの家にいた。横っていうより隣の部屋かな。ドアひとつ開ければそれで済むし。

二三回、手伝った結果見えてきたことだが慧音さんの家の仕事は膨大だ。書物の書き写しから始まり、次に子どもに教える勉強の予定を組み、その合間を縫って家事をこなし、阿求さんから資料を借りに行き。もちろん、子どもに教えることも重要だ。ちなみに阿求さんとは本名稗田阿求と言い、幻想郷の歴史をまとめることを生業としているらしい。年齢は僕の年齢と同じかそれ以下のはず、勉強はかなりできるし言葉使いも丁寧だ。思わずさん付けしたくなる。

 

「本当に助かるよ。家事も私以上に上手いしな」

「ありがとうございます、とりあえずできましたよ。これで大丈夫ですか?」

 

出来た原稿を慧音さんに見てもらう。何度か見直した後でうんうんと頷き笑った。

 

「上出来だ。今日はもう上がってくれていいぞ。そうだ、これで帰りに団子でも買ってきたらどうだ?」

 

そう言って渡してきたのは小銭、とりあえずこの世界に紙幣という制度がないのは前に教えてもらった。

 

「ありがとうございます。じゃあ、また明日」

「またな。そういえばだが明日は阿求の家に集合だ」

「? はい」

 

一体、なんだったんだろう?

 

                    ☆

 

「(団子団子っと)」

 

チルノ意外に甘い物好きだからなぁ。買って帰ると喜ぶし。

そんなことを考えていたせいか誰かとぶつかった。

 

「うわっ」

「きゃっ」

 

目の前を見れば僕とそこまで変わらない年の女の子だった。メイド服を着ている。この世界にメイドっているんだ。

 

「あ、大丈夫?」

「ええ、大丈夫よ」

 

見れば見るほど本物のメイドだ。貞淑さというか、こう、あふれる気品とかそんな感じがする。

ただし、どこか出来るって感じを漂わせていた。たとえば紫とかそんな感じ。普段はフランクだけど時に見せるまじめな感じがそういう雰囲気な気がする。こっちにくるまでそんな雰囲気知らなかったけど。

 

「それならよかったわ。これで失礼するわね」

 

彼女はそのまま去った。ふと足元を見れば一枚の紙切れが、何々『野菜:いつもの。パン:いつもの。紅茶:いつもの。懐中電灯』へぇ…ってこれ買い物メモじゃん?!どうしよう、あの子どこに行った?!

里の中を探し回る。さっき別れたばっかりだからすぐ近くにいるはず!

二十分後(飛ばされたとき腕時計は無事だったので、そのまま使っているから時間は正確なはず)見つけた彼女は買い物した品を抱えて立ち往生していた。

 

「あの!」

「あら、さっきの」

「これ、落としたよ」

 

買い物メモを見せると彼女の顔がびっくりした表情になった。

 

「ごめんなさいね。えっと…懐中電灯?」

 

メモの内容を確かめてさらにびっくりしたらしい。そうだよね、懐中電灯って何処で売っているんだろう? ………珍品を扱うっていうならあそこだけど。

 

「あの、ここの里の人よね」

「うーん、正確には違うけどこれ探すの?」

「そうよ。でも初めて聞いた品で……」

「これの売ってるところなら心当たりあるよ」

「本当なの」

「うん、あればいいけど」

 

あるものはある無いものはない。これが香霖堂だからなぁ。里の人から話を聞いて物珍しさから一度行ったことがあるんだけど本当にカオスだった。

そんなわけでメイドさんと二人で香霖堂に向かったのだった。

 

「そういえば、名前なんて言うの?」

「咲夜よ。十六夜咲夜、あなたは?」

「あー、苗字名乗るの嫌だから明乃でいいよ」

「そう、明乃。あなたいくつ?」

 

やっぱりそこだよねー。うん、わからなくはないし。

ちなみに十人中九人が九歳とかその辺を答えた。

 

「こう見えても十五だよ。身長が小さいせいでいつも間違えられるけど」

「そ、そうなの。ごめんなさい、てっきり年下だと」

「いいよ。いつものことだし」

 

香霖堂のそばまで行くと爆発音とともに白黒の何かが飛んで行った。

 

「「………なに、あれ」」





咲夜さん登場。一応、原作一年前という設定です。

飛んで行った白黒は……わかりますよね?
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