「こら―――っ!! 魔理沙!」
店主の香霖さんこと森近霖之助さん、香霖堂の屋号からとってこう呼んでいる。叫ぶなんて珍しいなぁ。
「香霖さん」
「おや、明乃君かい」
「こんにちは、どうしたんですか。叫んだりして」
あまりそういうことしないタイプだって思ってた。
「ああ、知り合いの女の子に商品を取られてしまってね」
「ちなみに商品の名前は?」
「懐中電灯、だったかな」
わーい、マジですか。あの子追っかけないとダメかなぁ。
一応、希望を込めて聞いてみる。
「えっと、懐中電灯はそれしか」
「無いね」
「どうする。咲夜さん、さっきの白黒の子追いかける?」
「そうね。追いかけましょう」
即決、まあ買い物頼まれている立場だししょうがないかな。
「彼女、いったいどの辺に住んでいるんですか?」
「魔法の森かな。まさか君たち行くつもりかい?」
「彼女が強奪したというのであれば強奪するのもありでしょう」
それ、何処のジャイアン? まあ、追剥といったほうが正しいかもしれないけど。
「くれぐれも気を付けるんだよ。特に明乃君は一般人だし」
「大丈夫です。最悪どうにかなりますから」
ヤバくなったら紫でも呼ぼう。もしかしたら聞いてくれるかもしれない。
――――少女移動中。
魔法の森、そこには魔女が住むという。確か人形遣いだっけ? 基本的にこの近辺来ないからよくわからない。
「森の…どこかな?」
「さぁ?」
「近所に妖精でも……」
ふと横を見れば、三月精の姿が。
にぃっと笑った僕を見て危険を感じたか何か知らないがあわてて出てきた。
「やほー、三月精」
「な、なんで氷精の娘がここに居るのよ!」
「そうよ、何で?!」
「獲物かと思ったらまずいものに当たっちゃったなぁ」
三月精ことサニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイア。いたずら好きでチルノにちょっかいをかけてそれに僕が引っ掛かったことで知り合った。
「いやさ、ここに住んでる白黒の女の子探してるんだけど」
「ああ、魔理沙のこと?」
「うん、香霖堂から盗んできた物がどうしても必要な人がいるから強奪しに」
「あなたって時々酷いこと言うわよね」
「ん?」
いや、僕は咲夜さんの言った通りのことを言っているだけなんだけど。自分じゃそんなこと考えないし。
「でさ、その魔理沙って子の家わかる?」
「それなら案内するわ。氷精を怒らせて一回休みになんてなりたくないし」
「命大事だよ?」
「その概念ってよくわからないなぁ」
命大事、これは常識だと思ってたんだけど。妖精って基本的に命を粗末にする。チルノは違うけど。
三月精の案内でそれなりに大きな家に着いた。
「ここね」
「三月精、ありがと」
「じゃあね、帰りは案内しないわよ」
「ええ」
「またね」
三月精と別れて中へ入ってみるととんでもないくらいの物の山に遭遇した。
「………魔理沙さーん。いませんかー?」
「人の気配はするけど何処にいるのかしら?」
ふと足元を見れば何かが転がっていた。懐中電灯だ。まだ新しい
「あ、懐中電灯」
「これが?」
「うん、懐中電灯が見つかったのはよかったけどこれは……」
部屋を見ればありえないくらいに散らかっている。掃除しよう。
おもむろに山を片付け出す。すると人間が転がっていた。
「??!!」
「あら、こんなところに倒れていたのね」
件の魔理沙さんだろう。倒れていたのとそれ以前の問題で顔色が悪すぎだ。栄養失調かもしれない。
「咲夜さん、手伝ってもらえる?」
「ええ、構わないわ。これは流石に………」
僕と咲夜さんはこの家の片づけと食事の支度を開始したのだった。
「明乃って家事能力凄いわね」
「そう? でも咲夜さんに比べたら全然だよ」
「………(嘘でしょ。ここまでは私でも無理だわ)」
―――知らない間に咲夜の自信を削っていた明乃だった。
魔理沙さんちって割とお金なさそうな気がするのは気のせいですか?
気のせいだったらごめんなさい。