カチューシャが赴任してから1週間。カチューシャは頭を悩ませていた。
「これも・・・これもこれもこれも。」
「大丈夫ですか?」
カチューシャは戦車道部のマネージャーの伊藤芳子に書類仕事を手伝ってもらいながらぐるぐると回る頭をなんとか正常運転させる。
「新入部員どんだけ増えるのよ・・・」
そう、野馬懸高校戦車道部は大量の新入部員の波がきていた。
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「湊、新入部員よ。」
「あ!!!!はい!!!!」
相変わらず声がでかい相馬湊にいつか鼓膜が破れるんじゃないか戦々恐々とするカチューシャ。とりあえずバカな思考は捨て置き湊に新入部員を案内させる。
「湊、配置は任せていいかしら。」
「はい!!!!とりあえずアンサルド隊に入れます。他の戦車は訓練が終わった子達なので移せないので。」
「そう。」
カチューシャは手元の編成資料を見る。湊曰く学園長が揃えたという戦車だが。結構な戦力だなと感心していた。その内訳は
アンサルド豆戦車15両うち指揮車1両
トルディⅠ 1両
トルディⅡ 1両
トルディⅢ 1両
トゥラーンⅠ 1両
トゥラーンⅡ 1両
トゥラーンⅢ 1両
ズリーニィⅠ 1両
ズリーニィⅡ 1両
タシュ重戦車2両
タシュ駆逐戦車1両
ニムロッド対空戦車(何故?)1両
総計26両の大所帯。搭乗員68名を必要とする。現在部員は70名でなんとか全車埋まるなとカチューシャは独りごちた。
「とりあえず搭乗員の完熟訓練を優先しなさい。動かせるようにならないと試合にならないから。」
「はい!!!!!!」
その日。カチューシャは確かに命じた。命じたのだ。そして三日後。
「は?完熟訓練終わった?」
「はい!!!!!!」
部室で伊藤と共に書類仕事をしていたカチューシャは耳を疑った。完熟訓練をするように言ったのは三日前。どう考えても訓練時間は二十時間にも満たない。完熟なんて到底不可能だ。
「何言ってんのよ。」
「でも。もう自由自在に戦車を動かせる様になりました。」
「はぁ・・・そういう冗談はあまり好きじゃないわ。」
「冗談じゃありません!!!!」
「じゃ見に行くけどいい?湊、これで出来てなかったら叱るわよ。」
「大丈夫です!!!!」
そうしてカチューシャは訓練場を見に行った。
「う、うそ・・・」
そこには綺麗な隊列を組み、走行するアンサルド達、他の戦車達の追従も完璧。組み替え、射撃、陣地構成も瞬時に行えていた。
「うそでしょ・・・」
「どうですか!!!!カチューシャ教官!!!!完璧だべ!!!!!」
「そうね・・・」
とりあえず、とりあえずはだ。カチューシャは何故出来てるのか。三日で何が。ピロシキ食べたいという思考を隅に追いやり、完熟訓練が終わったらやろうと考えていたことを実行しようとした。
「湊。」
「はい!!!!!」
「模擬戦をするわ。チーム分けはバランスよくやって。」
「わかりました!!!!!!」
この分なら公式戦で勝てなくても善戦くらいはするだろう。そう考えたカチューシャは模擬戦を見てさらに考えを改めるのであった。
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「うそでしょ・・・」
カチューシャはもう・・・完全に呆れていた。先の訓練場での様子を見て、模擬戦をしても大丈夫という判断をくだした。だが・・・
「なによこれ・・・もうめちゃくちゃ!!!!!」
ぐっちゃぐちゃであった。あれだけ綺麗に隊列を組んでいたのに乱れに乱れ、大乱戦。アンサルドが積み重なり、タシュが横転し、トゥラーンが正面衝突。阿鼻叫喚だった。
「ダメダメじゃないのよ!!貴方達何してるの!!!」
自分たちで戦車をなんとか格納し、反省会議の名の下のお説教。訓練でできていたことが何故できないのか。
「良い!?練習は本番の様に!!!本番は練習の様によ!!!それを考えてこれから練習なさい!!!」
「はい〜〜〜!!!」
「湊!!!」
「あいマム!!!!」
「アンサルド隊から5両除隊よ!!!15両もいらないわ!!!」
「はい〜〜〜〜!!!」
「それと!!!!」
「座学も始めるわよ!!!!貴方達は戦車は動かせるのに戦車でどう動いたらいいか全くわかってない!!!良い!?!?」
「はい〜〜〜〜!!!!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「あ、あの・・・」
「何よ。」
「座学はいつから・・・?」
「今からよ!!!」
「ひぃぃ〜〜〜!!!」
「あ、あの!カチューシャ教官!」
「何よ!!」
「戦車を整備する時間があるので・・・」
「そんなの整備部に任せればいいじゃない!」
「・・・ません。」
「え?」
「戦車の整備部・・・いません。いつも自分達で整備してました。」
「はぁ!?」
カチューシャは激怒した。かの邪智暴虐な学園長をなんとか罵ってやろうと学園長室に向かった。調べたら部品を製造する設備があるのに動かしておらず、全部外部から買っていた。無駄すぎる!!!!自分で出来るところは自分でやらないと戦車道はいけない。戦車道は金のかかるスポーツだ。カチューシャはプラウダが恵まれていた自覚した。まずはちゃんと戦車道をやる為に補補給線を作らねばならなかった。
「どう言うことよ学園長!!!」
「えっとですね・・・」
「何にも準備が整ってないじゃない!!!戦車を揃えたらはい終わりじゃないのよ戦車道は!!!整備部寄越しなさい!!!」
学園長は苦々しい顔で話した。整備部は自動車部に任せる手筈だったという。だが廃部になり、次が用意出来ていなかったと。カチューシャは学園長をビンタした。
「痛い・・・」
「何考えてんのよ!!!早く再結成させなさい!!!!」
「問題があって・・・」
「また問題!?!?」
そしてカチューシャが聞いた話はまたもやカチューシャを唸らせるものだった。
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「それで・・・どうするんですか?」
「自動車部を復活させるわ。」
部室に戻り、車長らと隊長、そしてマネージャーの伊藤の前でカチューシャは言った。自動車部を復活させると。だがしかし、部員達の顔はイマイチ晴れなかった。
「・・・文句あるの?」
「無い・・・ですけど・・・大丈夫ですか?あそこやばいですよ。」
「そのようね。」
聞けば自動車部は前生徒会長の息が掛かった部活動だったらしく、技術科の生徒が多く集まっていたという。だが前生徒会長の息が掛かっていたと言うことは思想が文武両道なら何しても良いに染まっていたと言うことで大変な問題児達の集まりだったという。曰く、公式レース永久出禁。曰く、草レース永久追放、曰く、公道レースで逮捕者。やばい部活だ。だがカチューシャは背に腹は変えられなかった。戦車道の選手は整備なんて出来ない。出来てもそんなチームは長続きしない。大洗という異端が出てきたがそれは超特殊ケースだ。参考にならない。カチューシャはそれでも自動車部復活を強行することにした。
「湊、伊藤、着いてきなさい。自動車部のガレージに行くわよ。」
「はい!!!!!」
「はい〜!」
3人で自動車部のガレージに向かう。カチューシャは不良の集まりに対して気負う事は無い。だが体格で負けるので積極的に関わろうとはしなかった。行く時は戦車に乗ってだった。だが今は顧問。そして教官だ。戦車道部を任せられたのでもうなりふり構っていられない。
「・・・あれ?」
カチューシャはガレージのシャッター横の扉を開けた。中はどんな不良の溜まり場かと思ったが、綺麗に整頓されていて見栄えが良い。各種設備も磨かれている。不良の溜まり場には思なかった。
「・・・?」
「ありゃ?どちらさま?」
「あーあかねちゃん。この人戦車道部の顧問だよ。」
「湊ちゃん。そっかー」
あかねと呼ばれた生徒にカチューシャは問うた。部長はどこかと。あかねはちょっと待っててーと言って奥に向かう。すぐさま油に汚れたツナギを来た長髪の少女が現れた。
「戦車道部って・・・もしかして整備の話ですか?私、猪狩あやめです。」
「そうよ。貴方達今は何をしてるの・・・?」
「あー今はですね・・・旋盤とか設備で学園艦の整備部品作ってるんですよ。廃部になっちゃったけどそれはやってくれって技術科の生徒は言われてるから。」
「そう・・・じゃあ戦車道の設備は動かせる?」
「動かせますよ。マニュアルはもう読んであるんで。」
「じゃあ動かして。」
「でももう部活じゃないから動かせなくて・・・」
「大丈夫よ。許可を取ってきた。」
そう言ってカチューシャは書類を見せた。あやめは目を見開きカチューシャに書類の一部を指差した。
「あの、これ・・・」
「それが自動車部を復活させる条件よ。」
「・・・。」
あやめは書類を睨んでいた。そして再び口を開くとこう言った。
「明日まで考えさせてくれません?」
「良いわよ。」
そしてカチューシャは部室に戻る。疲れたと椅子にもたれ掛かったら、もう残った部員達が戦車の整備をしているとの事だった。とりあえず許可し、伊藤に部品や消耗品の発注を任せて終わったら解散と告げて自分も帰った。そして翌日。
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翌日、自動車部に行き、復活するかどうかあやめにカチューシャは問うた。そして予想外の答えが返ってきた。
「こちらも条件をつけさせてください。」
わかった。だが自分では飲めないと持ち帰り、学園長に相談することにした。学園長に自動車部にこう告げられたと伝えると。学園長は苦虫を数万匹噛み潰した顔で頭を抱えた。自動車部の出した条件。それは。
「科学部の再建もしたら自動車部復活を飲む。」