比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい   作:れぜ

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テニスのルール間違ってたらごめんなさい(土下座)


第10話

 

愛する彩加、そしてもうギャルには屈しないというカス童貞の矜持の為に勢い任せで勝負を吹っ掛けた俺。だが冷静に考えてみると……女テニで県選抜に選ばれた経験のあるあーしさんとサッカー部エースの葉山さん、そんな2人にド素人の俺が勝てるわけはなく本編のようにゆきのんが参戦するまでボコボコのはず。この場に彼女がいてくれれば良かったのだが、この試合が今日起きる事を予想出来なかったのもあり今は彩加の傷の手当をするために校内で保険室の先生を探している最中だろう。このままガハマさんとペアを組んで試合を始めても結果は見えてしまっているし、それに彼女が足を軽く捻ってしまう怪我をするという展開もどうせなら避けたい。だって痛いのは辛いしね?

 

そこで俺は試合開始を遅らせ、その間にガハマさんに頼んでゆきのんを呼んで来てもらう作戦を取ると決めたのだ。耳打ちでその作戦を伝えると(何故か頬を染めている)ガハマさんも納得してくれて校舎に向かってくれて……後はどうやってあのあーしさんに試合開始を待ってもらうかである。ただでさえあーしさんからの好感度が低い俺だが、先の「サッカーしようぜ!」というトンチキ発言により更に印象は悪くなったらしく見るからに機嫌が悪い。そんな彼女が俺の頼みなど聞いてくれるのか?いや普通なら無理だろう。

 

でも俺には最終手段と呼べる秘策がある。

 

 

「―――いい加減にしろあーしさん!!」

 

「……ヒキオ、あんたマジでやる気?」

 

「ダ、ダメだよ八幡!」

 

「それだけはいかんぞ八幡よ!?」

 

 

必死に止めてくる彩加と材木座、2人とも俺なんかを心配してくれてありがとう……でもいいんだ。これで彩加を守れるなら俺はどうなってもいいと思ってる、己のプライド、そして社会的立場などを全てを失う覚悟で発動する超必殺技。食らえ―――

 

 

「靴でも舐めるって言ってるだろ!!!」

 

 

そう言って土下座して懇願する俺にあーしさんはもはや怒るのも馬鹿らしくなったのか、素直に待ってくれる事になった。喜ぶべきはずなのに何故だろう?俺の瞳からは自然と涙が止まらなかった……心は硝子だぞ。

 

 

 

 

「彩加、俺は頑張ったよね……そう思うでしょ」

 

「う、うん!八幡は偉いよ!だから泣かないで……?」

 

「由比ヶ浜さんから話を聞いて来てみれば―――比企谷君、あなたはまた何かやらかしたのかしら?」

 

「あっ雪ノ下様!俺の武勇伝を聞いてください!」

 

「……お断わりね、死ぬほど馬鹿らしいのが目に見えてるもの」

 

 

落ち込んだ俺を慰めるように頭を撫でてくれる彩加、男の娘にバブみを感じるというまたもや学会報告モノの新事実に行き着いた俺の前に―――ようやくゆきのんの姿が。

 

色々あったがここから試合スタート……ん??

 

 

「ユニフォームすっごく似合ってるよ!それに私はテニスとか素人だし、ここは得意そうなゆきのんに出てもらう方がいいね!」

 

「……何で私が」

 

「だってこんなの頼める友達、ゆきのん1人なんだもん!」

 

「と、友達……」

 

「うん!友達!」

 

 

あら^~

 

前世から百合エネルギーの力で不平等な世の中を生き抜いてきた俺だ、なのでこの後来るであろうシーンを当然だが知っている。彩加の元へ行き救急箱を渡すゆきのん。そしてそれを見たガハマさんは嬉しそうに笑って。

 

 

「やっぱりゆきのん優しいね」

 

「どこかの男はアメリカ全土をも一瞬で凍らせる女と陰で呼んでいるみたいだけれど」

 

 

正直アベン〇ャーズに入れそうって思っています、いやX〇EN?まぁそんな事は今はいいとして……遂に来るぞ。ゆいゆき推しとして絶対に見逃せない場面の一つがね。

 

 

「ま、誰に何と思われようと構わないわ……だから友達と思われるのも別に構わない、けれど」

 

「ゆきのんっ!!」

 

「あ、あんまりくっつかないでくれるかしら?暑苦しい」

 

 

笑顔で抱きつくガハマさん、そして口では文句を言ってるがどう見ても満更じゃないゆきのん。

 

砕け散って消滅したはずの心がゆっくりと再生していくのを感じる、もう大丈夫―――何かずっと散々だったけど今度こそ折れない確証があるよ。

 

 

「―――絶対試合勝つぞ!!行くぜ雪ノ下アアアアアア!!!」

 

「比企谷君は暑苦しすぎよ」

 

 

ド級のリトライ、ドリトライってる俺の前に「……もういい加減待ちくたびれたんだけど?」と心底不満そうな表情のあーしさんがやってきた。

 

 

「ヒキオは当然として……雪ノ下さんだっけー?悪いけどあーしはアンタにも手加減する気ないから」

 

「私は手加減してあげるから安心してもらっていい「俺は手加減しねえぞ、待たせちゃった分……腑抜けた試合にするつもりはない!勝負だ!!」人に被せるのはやめなさいKY谷君」

 

 

百合エネルギー充電率500%の俺は誰にも負けるつもりなどない、そんな俺を鼻で笑うように見下してくるあーしさん。だが本人も元女テニの血が騒いでいるらしく、挑発に乗ってやるよと言わんばかりにやる気を出している。

 

 

「オタクがギャルに勝てないという道理、俺が打ち砕いてやるよ」

 

「……面白いじゃん、そのプライド今度こそへし折ってやるし」

 

 

俺達のテンションに冷めた白い目を向けてくるゆきのん……いやこれは聖戦なんですよと弁明する暇もなく試合は始まった。

 

まずは1球目のサービス、ゆきのんではなく俺が打つ事となり「ド素人のなんか余裕でしょ」と油断していたあーしさんだが―――まさかのまさかである。回転した打球を返すのが精いっぱいで、しかも打ち返した球は綺麗に俺の元へ帰ってきた。困惑一色の今がチャンスとストレートを放ち見事1ポイント先制。

 

 

「―――まだまだだね」

 

「ヒキオ!今の打球どうやったし!?」

 

「ふっ……それはシークレットさ」

 

 

千葉の手塚国光こと俺が繰り出した比企谷サーブ、本家の恐竜を滅ぼす程ではないが……あれマジでどうなってるんです??

 

ゆきのんもあーしさんと同様の反応で素直に驚いておられる様子。

 

 

「あなた、テニス出来たのね」

 

「いや全然」

 

「……謙遜は嫌われるからやめた方がいいと思うけれど?あの打球はとても素人が打てるようなものじゃないわ」

 

 

感心してくれるのは嬉しいんだけど、本当に成功した理由は特殊なんだよね。一時期ハマっていた頃に何度か練習で打ったときは当然上手くいかなかった、漫画の必殺技なのだから当たり前だ。今回の成功は間違いなく充電した多大な百合パワーのおかげ……でも今ので既に100%消費して残り400%まで減ったのを体感で理解できる、俺は相手側に聞こえないようゆきのんの傍に近づいて耳元に口を当てた。

 

ガハマさんと同じ、いやそれ以上に顔を赤くするゆきのん。まるで過去の体験(もしよければ第1話を読んでね!by作者)からか耳元で喋られる事に弱くなっているように感じる彼女に、どうしてだろ?と俺は首を傾げつつ考えを伝えた。

 

 

「雪ノ下、俺はベストプレイスでの風向きを詳しく知らないから多分例の魔球は使えない。それにテニスの王子様でいられる回数には限りがある、とりあえずやれる分は頑張るよ。でも百合エネルギーが切れたら……後はお願いしていい?」

 

「殆ど何を言ってるのか分からないわね……まぁいいわ、私体力にだけは自信がないから途中まで比企谷君が代わりに頑張ってくれるのは正直助かるの」

 

「つまり―――俺と雪ノ下の協力プレイだね、普段は罵倒しかされてないから何かそういうの嬉しいよ」

 

「なな、何を喜んでるのかしら!?これが終わったらいつもの2倍罵倒してあげるわ感謝しなさい」

 

「ひぇぇ……」

 

 

「……今のはまぐれに決まってるじゃん、そうじゃなきゃヒキオなんかにあーしが点を取られるわけないって」

 

 

かなり怒り心頭なあーしさん、クラスの上位カーストと対等に渡り合える機会など滅多にない。だから俺はこのチャンスを活かしてあのトラウマを乗り越えてやる、好みなギャルキャラ、オタク君との純愛イチャラブを楽しんで読んでいたらラストでチャラ男に寝取られオチ。だが俺は気づけば鬱勃起していて……

 

 

「―――NTRは許さん!ねぇあーしさんもそう思うでしょ!?」

 

「……絶対、絶対まぐれだし!マジでこんな奴に負けたらあーしの一生の恥だから!!」

 

 

こうして周りを置き去りにする俺達の戦いは続いた、そして最終的な試合の勝敗はというと―――

 

 

 

「優美子!大丈夫か!?」

 

「隼人……」

 

「「うおおおおおお!!流石隼人!!」」

 

 

途中で百合エネルギーが底を尽きた俺に代わり、体力万全な状態のゆきのんによる圧倒的なプレイにより見事勝利を収めたのだが……最後の彼女の打球を何とかして拾おうと必死になったあーしさんがネットに衝突しかけた所を葉山が助けて今に至る。試合に勝って勝負に負けたというやつだ、まさか俺じゃなくてゆきのんが打っても結果は同じになるとはね?運命の強制力さん流石です。

 

 

「お疲れ雪ノ下、せっかく勝ったのに何かアレだけどね」

 

「……別に、これで戸塚さんの依頼を問題なく継続できるのだから気にしないわ」

 

 

そんな事を話している俺達の元に、何故かあーしさんがやってきて。

 

 

「あのさ」

 

「さ、流石に素手で勝負続行は勘弁してもらえませんか」

 

「……ヒキオはあーしを何だと思ってるわけ?」

 

 

獄炎の女王です、最も正直に言えるわけもないのだが……相変わらず俺と話してるときは不機嫌そうなあーしさん。でも少しだけその表情を緩め。

 

 

「やるじゃん、一応あーし県選抜に選ばれた経験もあるぐらいだし自信あんのに……まさか張り合ってくるとは思わなかったんだよね。こういう真剣勝負ってやつ?今はもうテニスやってないけど、久しぶりに楽しめたわー」

 

「……俺も楽しかったよ」

 

身構えていたが口から飛び出したのは意外すぎる言葉、思わず拍子抜けしたというか……安心と同時に感じる喜び。今まで出来なかったけど、あーしさんとはこういう風に軽く話してみたかったからね。

 

ギャルとオタク―――歴史に残る和解である。

 

 

「また近いうちにあーしとテニスしてよ、今度こそ負けないから」

 

「……もう尊いエネルギー無いからまた溜まったときでいい?」

 

「……何かキモ」

 

「傷ついちゃうからそういう事言わないで!?」

 

 

訂正……まだ和解には時間がかかりそうです。






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