比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい   作:れぜ

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第11話

 

「―――さしずめ俺は、傷ついた渡り鳥か」

 

「うっわ……お兄ちゃんが朝っぱらからポエムってる、どうせまた何かのアニメかゲームに影響されたんだろうけどね」

 

「小町、君はいつの間にか夏休みの過ごし方ってのを……忘れてしまっていないかい?」

 

「はいはい、そもそもまだ季節は春だし小町はお兄ちゃんみたいに夏休みを殆ど家に引きこもって過ごすような無駄な使い方はしてないよー忘れちゃってるのはお兄ちゃんの方じゃない?」

 

「普通に泣きそう」

 

 

徹夜でサマポケをクリアした俺は今やうみちゃんのお父さん気分、やっぱりギャルゲは最高だね。学校生活で荒んだ心を癒しに島へ行きたいものですよ……だが残念な事に今日は平日なのでいつまでも現実逃避をしている余裕はない。ソファーで偏差値25ぐらいしか無さそうなゆるゆる女子向け雑誌を楽しそうに読んでいる小町の姿はとても可愛く正直ずっと見ていたいが、同時にお兄ちゃんとして妹が遅刻するような事態も避けたい。

 

 

「そのまま雑誌読んでると遅刻しちゃうよ」

 

「やば!?」

 

 

慌てて立ち上がる小町だったが、その口元にはさっき食べていたパンのジャムが付いていた。本人もそこに気づく様子は無かったので俺が拭いてあげると「……ありがとね、お兄ちゃんっ!」と照れの混じった笑みを浮かべており、もはや天使かと錯覚するレベルの可愛さだ。

 

 

「―――そんなもん、何度でも拭いてやる「片付けよろしくねー!」

 

 

世界に進撃した男の名台詞パロを最後まで言う前に小町が脱いだ服を俺の頭に投げてきて、彼女はそのまま制服を取りに行ってしまった。全く、やんちゃな妹だ。でも……

 

 

「そういう所も良いんだよねぇ~」

 

 

 

朝食の最中で俺も時間が無いにも関わらず、小町の服を持って立ち上がり洗面所へ移動して洗濯機に入れた。どんなときでも妹の言う事なら文句の一つも言わずに受け入れる、何故なら妹の全てを肯定し受け入れるのが兄としての役目だからだ。

 

 

「よし、自然な流れでお兄ちゃんに小町の着てた服を―――絶対今頃夢中になって嗅いじゃってるよね!?お、お兄ちゃんは変態さんだなー?でもそういう所も小町的にポイント高い!後でタイミング見計らって洗濯機から回収しとこ、お兄ちゃんの匂い付き♪」

 

 

妹と仲良く健全な関係を続けていく為に、俺はこれからもお兄ちゃん道を極めていくつもりです。だから小町もその思いに答えてくれたら嬉しいなぁ。

 

 

 

 

 

 

「有識者曰く、男の娘とは実質女の子である。男の娘とは本来まるで見た目が女の子のような男の子を指す言葉なのだが、そこには意義を申し立てたい。何故なら男の子でありながら大半の女の子より可愛さが上回っているのなら、それはもう女の子と言っていいのだと思い……比企谷、もう頭が痛くなってきたからこれ以上読むのやめるぞ。さっさと結論を言え」

 

「希望する職業は専業主夫、そして希望する職場は―――彩加の自宅です!将来の俺の嫁なんですよ!!」

 

 

ちなみに有識者とは当然俺の事である、このまま男の娘トークを続けるとキリが無いので改めて状況を説明すると……今度の職場見学での希望先、そこに書いた内容で俺は何故か平塚先生にお呼び出しを受けてしまっていた。高校生活を振り返ってから含めて呼び出しはもう3度目、毎回真面目に書いてるつもりなのに×判定を受けるとは悲しいものだ。

 

平塚先生はかなりお怒りのようで、頬も真っ赤に染まっており……だが怒りというよりは不満の感情が大きい気がする。まるで婚活パーティーで狙っていた相手が自分ではなく違う女を選んでしまい敗北と言うような切ないアレだ、隠してるけど多分またプライベートの婚活で失敗しちゃって機嫌悪いんだな?ここは優しく慰めてあげよう。

 

 

「平塚先生」

 

「……何だ?」

 

「いい相手、必ず見つかります。諦めずに運命の出会いを信じてこれからも頑張ってください、俺応援してますよ!」

 

「―――ほっ、欲しいのは応援じゃなくてお前からの気持ちだ比企谷ー!どうして私の自宅を希望しなかったー!?」

 

 

こうして俺はまたもや平塚先生の右ストレートを食らいKOした……慰めたつもりなのに何でむしろ怒りが増してしまったのか、その理由が俺には分からなかった。

 

平塚先生はコホンと咳払いをし。

 

 

「と、とにかく見学希望調査票は再提出だ。それと伝え忘れていたが今度の職場見学は3人1組で行く事になる、好きな者達と組んでもらうからそのつもりでいたまえ」

 

「……ふぁい」

 

 

抹殺のラストブリット、正直かなり効きましたよ……

 

 

 

 

 

「痛った……まだダメージが残ってるとかどんだけ強いんだよ、撃滅のセカンドブリット受けたら俺死んじゃうのでは」

 

「中二病谷君、会わなかったの?」

 

「それ平塚先生のセンスだから俺を中二扱いするのやめてね??というか会うって誰に……あっ」

 

「―――あっ!ヒッキーいた!」

 

 

確か俺が奉仕部に来ないからガハマさんが探しに行ってくれてたんだったっけ、色々あったせいかうっかり忘れてたな。でもタイミング的にちょうど来てくれて良かった、「あなたがいつまで経っても部室に来ないから探しに行っていたのよ、由比ヶ浜さんが」と言う倒置法ゆきのんに何気なくショックを受けていた俺だったが……そんな中ふと疑問が一つ沸いた。

 

それは何故ガハマさんは本編と同じタイミングで部室へ戻ってきたのか?彼女が比企谷君探しに手こずっていたのは聞いても誰も存在を知らないからである、俺は……自分で言うのも悲しいが悪い意味で有名人らしい。でもならば一応知られてはいるはず、なら少しはズレなきゃおかしいのだ。

 

つまり―――時間の歪みが生じているというのか!?まずいぞ急なSF展開だ、タグを追加しなきゃ!

 

 

「わざわざ聞いて歩いたんだからね、そしたらみんなヒッキーに対する愚痴言い始めてさぁ。昼休みのデスメタルテロの件マジでうるさかったって」

 

 

はい、時間ズレが無かったのは自分のせいでした。タグ追加しなくて済んで助かったね、でもどうしてだろう?これなら急にエイリアン襲来ぐらい衝撃のSF展開の方がマシだと思ってしまうのは……落ち込む俺を見たガハマさんは慌てて。

 

 

「デ、デスメタルの件は文句言ってたけど2回目のリクエストで流した青春ソングは好評だったみたいだよ!?やるじゃん比企谷、センスいいわってみんな見直してくれてたし!」

 

「……ホント?」

 

「うん!だから―――元気出して!」

 

 

太陽のような笑顔で笑いかけてくれるガハマさん、あのリベンジリクエストは教室で流れたタイミングが最悪すぎて周りの反応が分からなかったんだけどちゃんと好評だったんだ。それに対して安心するのと同時に俺はガハマさんの自分を心配し気遣ってくれる優しさに心を強く打たれた。

 

俺は感謝を伝える為に彼女の手を握り。

 

 

「ありがとう、元気出たよ。ガハマさんは本当に優しいね」

 

「……えへへ、別にそんな事ないよ」

 

 

顔を赤くしながら微笑むガハマさん、しばらくお互いに笑い合っていると。

 

 

「そ、その程度で愚痴るなんてよっぽど我慢が足りない人達なのね、私は比企谷君が何度おかしな曲を流そうが気にも留めないわよ。だってあなたはそれ以外でも十分なほどにおかしい人だもの」

 

 

同様に顔は赤く、どこかソワソワしていて落ち着かない雰囲気のゆきのんがそう言ってきた。今のは遠回しだが伝えたいのは俺のやらかしなんぞどうでもいいし、そんなのでいちいち不満に思う事もないという意味だ。流石ゆきのん!

 

 

「雪ノ下もありがと」

 

「……か、感謝される意味が分からないわね」

 

 

こうして部室に和やかな空気が流れ、ガハマさんと連絡先も交換した。昼休みデスメタルテロも意外と悪い事ばかりじゃない、そんな冷静に考えると謎すぎる結論に俺が行き着きそうになったその瞬間一通のメールが俺のスマホに届いた……そういえばこの回か。

 

―――開くまでもなく分かる、例のチェーンメールだ。

 





ヤンデレ妹な小町ちゃんは需要あると信じています!(ヤンデレ好きの揺るぎない意志)
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