比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい   作:れぜ

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第12話

 

―――まずはチェーンメール騒動について説明しよう、葉山グループのメンバーである戸部、大岡、大和に関する嘘の悪口が書かれたメールがクラス中に出回った。そしてそれを解決したいと思った葉山が奉仕部に依頼しに来たというのが導入なのだが……もう直接答えを言ってしまうと、この騒動は先週末に話に上がった職場見学のグループ分け三人一組で1人だけ省かれてしまう問題が原因だったのだ。葉山グループのメンバーである戸部、大岡、大和は葉山の友達ではあるがそれ以外は友達の友達、だから悪口を書いて蹴落としてでも葉山と一緒に組みたかった3人のうちの誰かの犯行である。

 

ただ原作でも犯人を突き止めるには至らなかった、犯人を捜したいわけじゃないという葉山の意向をくみ取った上で比企谷が提案したのは「犯人を捜す必要もなく、これ以上揉める事もなく、3人が仲良くなれる」方法。問題の原因である葉山を除外し3人を組ませ……葉山もその案を受け入れた、こうして騒動は幕を閉じたのだ。

 

正直俺には比企谷のような人間観察能力はないが、原作知識という頼もしい切り札があるし同様の方法を取れば解決は可能だと思っていた。実際にチェーンメールが送られるのは先週末から始まり、原作と違い一応対象内になっている俺の元にも届き……ただチェーンメールの文章は描かれた分しか当然分からずそれ以外については知りようがない。

 

だから開かずともチェーンメールだとは理解していた、ただどんな文章が書かれているのか?まぁ同じように3人の悪口だろうと思い確認した結果……

 

 

「チェーンメール、あれは人の尊厳を踏みにじる最低の行為よ。自分の名前も顔も出さず、ただ傷つける為に誹謗中傷の限りを尽くす。止めるにはその大元を根絶やしにしないと意味が無いわ、ソースは私」

 

「根絶やしにしたんだ……」

 

「とにかく、そんな人間は確実に滅ぼすべきよ。それが私の流儀、私は犯人を捜すわ。あなたも同意してくれるでしょう……比企谷君?」

 

「……」

 

「ヒ、ヒッキー!?」

 

「……頼む、ここは抑えてくれ比企谷君」

 

 

焦るガハマさんと葉山、何かサラッとヒキタニ君呼びじゃないのだが今はそこについて触れている場合じゃない。どうしてゆきのんは俺に同意を求めてきたのか?理由は先週末に送られてきたチェーンメールの内容にある。何故ならそこには―――

 

 

比企谷は童貞、短くそう書かれていたからだ。

 

 

「分かる、分かるよ?初回だから恐らくチェーンメールが本当にクラスの皆へ届くかどうかのテストも込めた送信だったんだろうね。実際それ以降俺に対する悪口は一切書きこまれてないんだしさ……」

 

「そ、そうさ!?君は悪くないんだしこの件で気に病む必要はないよ!だから怒りを鎮めてほしいんだ!」

 

「……まぁそうね、彼に同意するのは本当に嫌だけれど今回の件で比企谷君は完全に被害者よ」

 

「2人の言う通りだよ!げ、元気出してヒッキー!!」

 

「……ふぇぇ、優しいよぉ」

 

 

自分自身この怒りを鎮めるのが正しい事だと理解していた、何故なら例のチェーンメールに書かれた3人の悪口の件でクラスの雰囲気は悪いが俺のときにそうはならなかったのだから。てかむしろ―――どこかみんな優しかったな、童貞だとクラス中にバラされた俺に哀れみと同情を向けてきたのだ。

 

あーしさんもその中の1人で「ヒキオ、元気出しな」っておかん気質を発動し励ましてきてくれて、ただそんな優しさに触れたからかつい同級生に向けて「ママ……」と言うキモ発言をぶちかましてしまったんだけどね?ハイ、その後については一切思い出したくありません本当にごめんなさいでした。

 

こうして皆の優しさのおかげで犯人に対する復讐の怒りの断ち切りに成功した俺、話の流れが完全に脱線事故状態だったが改めて原作の流れに戻り3人について調査する事になった。俺はフラフラながらもなんとか立ち上がり。

 

 

「ぐっ……そ、その調査は俺がやるよ」

 

「童貞病み上がり谷君、無理しなくていいのよ」

 

「心配かそれとも馬鹿にしてるのか、一体どっちなんですかね??」

 

「わ、私もやる!今の状態のヒッキーを1人でやらせるのは心配だし、それに……ゆきのんのお願いなら聞かないわけにはいかないしね!」

 

「……そう」

 

 

声色こそいつもと変わらないが表情からして明らかに満更でもなさそうなゆきのん、そしてガハマさんは嬉しそうに抱きつき―――自分の頬をゆきのんの頬に当ててすりすりとさせていた。当然俺の反応は決まっている。

 

 

「あら^~」

 

「仲良いんだな」

 

「ゆいゆきは正義!」

 

「あはは……まぁ仲良いのは比企谷君もだよ」

 

 

俺の反応に若干引きつつ、それでも笑いかけてくる。ずっとヒキタニ君と呼ばれていたイメージしかないから葉山の比企谷君呼びは何だか新鮮だ、色々と目立ちすぎて皆が俺の存在を知っているからこその違いだろうが……その内側に抱いている感情は複雑にしても彼とも出来れば上手くやっていきたい。俺は素直にそう感じた。

 

 

 

 

「比企谷、どんまい(笑)」

 

「高2なら普通に付き合い経験0って人も沢山いるでしょ―――ちなみに私はもう彼氏いるけど」

 

「うるさいですね……」

 

 

席に入ると早速イジってくるクラスの奴ら、チェーンメールが流れた最初の頃はみんな俺に対して優しかったのに今やこの始末。いつか優しい君達に戻ってくれるといいな……俺がそう星に願っているといつの間にか葉山がこちらにやって来ていて前の席に座った。

 

 

「―――おかげで丸く収まった、サンキューな」

 

「……俺は何もしてないよ」

 

 

あの後は原作と完全に同じで、俺は答えを既に知っていたもののすぐに言っては流石に違和感しかないと思い一応教室へ向かって形だけの調査を行った。彩加とイチャイチャできたのはよかったけど、本当に俺は原作の比企谷をなぞっただけで自分では何も出来ていない。童貞の復讐ルートを折ったので結局犯人も突き止めず、でもまぁそこはやっぱり知らなくてよかったかなと思ってる。平和に生きるのが俺のモットーだしね?

 

 

「俺がアイツら3人と組まないって言ってたら驚いてたけどな、これをきっかけにアイツらが本当の友達になれたらいいなって思ってるよ」

 

「……そっか」

 

「―――比企谷君、まだグループ決まってないよね?一緒にどう」

 

「組んでもいいけど、多分別々になっちゃうと思うよ」

 

「えっ?」

 

 

俺の発言に不思議そうに首を傾げる葉山、そして彩加のグループ参加に関してだが。

 

 

「―――八幡!見学楽しみだねっ!」

 

「そうだね、彩加」(結婚しよ)

 

 

すれ違いが起きないように当然調査のときに話は付けてある、将来の俺の嫁なのだから当たり前だろう……黒板に葉山の名前を書くと分かってはいたが皆が集まってきて結局グループは分かれてしまった。何かあーしさんが「ヒキオ譲れし」と無言の圧力をかけてきてめちゃくちゃ怖かったです、そんな彼女に怯えて立ち去りながらふと思った。

 

俺の比企谷八幡としての学校生活は進んでいる、ただ主人公として比企谷が発揮していた彼だからこその対処能力みたいなものは自分にはない。だから今回みたいな出来事では原作の力に大きく頼ってしまい……そんな上っ面だけな俺ではとても手に負えない事態や人物に遭遇したらそのときはどうなってしまうのだろう?

 




手に負えない人物(皆さんご存じな例の魔王さん)

そこら辺の話は近いうちに…

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