比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい   作:れぜ

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第3話

謎谷八幡君こと俺はゆきのんに対し過激なレディコミ風で迫っていたのだが、平塚先生からの右ストレートを食らい無事KOされた。でもあのまま進んでたらR18化して3話をこちらじゃ掲載できない可能性があるから助かったよね……カス童貞が何言ってるんだというツッコミは無しでお願いします。

 

 

「まま全く、比企谷には困ったものだな!?」

 

「……更生の余地なんてありません、このまま彼を野放しにしていたら多くの女性が被害を受けます。早急に処置を検討するべきです」

 

「安心したまえ雪ノ下―――ここは責任を取って教師の私が比企谷の欲望を一身に受けるとしよう」

 

「……発言の意味はよく分かりませんが、私と平塚先生に何か致命的なズレがあるのは理解できました」

 

 

現在俺は某団長の最期ポーズで床に倒れ伏しているのだが、2人はそんなのお構いなしで話をしている。正直起き上がるのに手を貸してもらいたいんだけど、とりあえずゆきのんには頼める立場に無いので平塚先生の方へお願いすると「よく見ると比企谷の倒れ方……完全にアレだな!」と目をキラキラ輝かせながら手を貸してくれた。ガンダム好きだもんね分かってくれると思ってたよ。

 

ようやく話に参戦できる状態となった俺は、このままでは通報しかねない雰囲気を醸し出しているゆきのんに対し弁明を行う事に。

 

 

「雪ノ下、さっきの件なんだけど「何かしら変態谷君、言い訳は面会で聞くわよ?」

 

 

絶対零度で俺を凍結させるかの如く睨みつけてくるゆきのん、もう有罪確定かぁ……と絶望する俺だったが彼女は顔を赤くし目を逸らしながら。

 

 

「本当だったら通報する所だけれど、今回だけ特別に目をつぶってあげるわ。感謝しなさい」

 

「えっマジ……?」

 

「二度は言わないわよ……ふ、不快ではなかったから仕方なく許しただけで

 

 

最終回以降のギリギリ許してくれるどころかもう普通に受け入れちゃいそうなデレゆきのんではなく、氷の女王である好感度0状態の初期ゆきのんが許しを与えてくれた……だと?

 

俺は驚きと同時に己の愚かな行いを恥じ、彼女の慈悲深さに心の底から感動で震えた。奉仕部を抜けたい気持ちは変わらないのだが、こういった強引な手段を取るのはもうやめよう。

 

溢れ出る感謝の気持ちからか、気が付くと俺はゆきのんの手を握っていて。

 

 

「ありがとう」

 

「べ、別に礼なんていらないわ」

 

「本当にごめん、俺もう―――雪ノ下には絶対あんな事しないから。約束する」

 

「えっ……」

 

 

俺を浄化してくれたゆきのん様、そんな彼女を汚す行為は絶対にしてはならない。そう誓うのだった。

 

ゆきのんが何故かショックを受けているように見えるけど、100%気のせいだよね。

 

 

 

 

 

「比企谷の件が解決してざんね―――安心したわけだが、とりあえず私から言いたい事がある」

 

「今何か言いかけませんでした?」

 

 

俺とゆきのんの2人は椅子に座り顧問である平塚先生の話が始まったのだが、ふとある下りが抜けているのを思い出した。それは比企谷とゆきのんが意見の相違で衝突しそうになったときに、平塚先生が提案した奉仕部でどちらが人に奉仕できるかという勝負。勝った方は負けた方に何でも命令できる、本当なら「ふーん、エッチじゃん」と言いたくなる素晴らしいもの。でも俺を浄化してくださった彼女にそんな邪な気持ちなど抱きません、恐れ多いですわ!

 

ただ勝負というのは作中でもかなり重要なポイントで……それを言ったら本編開始前にも作品の核となるイベントはいくつかあるんだけどね?全ては一気に語れないが最も重要な所は説明しておこう、奉仕部3人の関係がある種始まった瞬間と言えるガハマさんの愛犬を助けゆきのんの乗るリムジンに轢かれ入院したお話。流石に犬の危機を見過ごせない、だが認識されるのは避けたい。悩んだ末に俺はとある方法を取った。それは。

 

―――スパ〇ダーマンのマスクを被り華麗に犬を救出、そして目の前の光景に脳の理解が追い付かず呆然とするガハマさんに犬を渡し全力疾走で場から逃亡。犬を助けられたし顔も見られずである、我ながら最高のアイデアだったよ。よし!勝ったな……いや今のフラグでは??

 

僅かな不安に蓋をして俺はニヤケ面を浮かべていると、ゆきのんからの冷たい視線を感じ……地獄からの使者に失礼だぞ!

 

あっそっちはスパ〇ダーマッだったわ。

 

 

「一度きりの高校生活、君達も青春したいと思わんかね?」

 

「思いません」

 

「インドア最高!」

 

「ノリ悪いな……まぁいい、私が言いたいのはせっかく部活をやるというのにこのやる気の無さは問題だ。そこで心の導火線に火を灯すきっかけを作る事にした」

 

 

これはもしかして。

 

明らかに楽しそうにしている平塚先生は拳を高く突き上げ。

 

 

「比企谷と雪ノ下、2人にはこの部でどちらが人に奉仕できるか勝負をしてもらう!そして勝った方は負けた方に何でも命令できる!これならやる気の炎……あっ」

 

 

まさか違った形で勝負の話が出てくるとはね、俺は何か世界の強制力のようなものを感じていると……これ絶対今言える!最高なネタ閃いたぞ!と平塚先生が思いついたのが彼女のドヤ顔からひしひしと伝わってきた。もうこの後出てくる台詞想像できたけど多分やめといた方がいいですよ?

 

 

「やる気の炎、いや―――死ぬ気の炎燃やしていけー!!」

 

 

シーンと静まり返り、そういう系にまるで疎いゆきのんは当然意味が分からないので首を傾げている。渾身の一発がスベった事実で素直に半泣きの平塚先生に対して。

 

 

「場の空気を零地点突破・ファーストエディションみたいに凍らせられてよかったじゃないですか(笑)」

 

「……うわあああん!」

 

「平塚先生……物凄い勢いで出て行ったけれど大丈夫なのかしら」

 

「大丈夫、ああいうのって誰もが一度は通る道だから」

 

 

オタ友同士でもネタ通じないときあるんだよな、それ知らないんだマジか……ってなる。平塚先生の心がREBORNしてくれるのを祈って俺は本を開いた。奉仕部って基本依頼人来ないときは本読んだり自由に過ごしていいの快適、前世で羨ましいなと思って見てたよ。

 

まぁ俺帰宅部だったけど……甘々ラブコメのラノべを読んでいるのにも関わらず謎の切ないほろ苦さに胸を締め付けられていたとき。

 

 

「……」

 

 

同じように本を開いてるのだが、何やら無言でチラチラと俺の様子を伺ってきているゆきのんに気が付いた。読んでる本が気になるの?でも内容見せて引かれたらさっきの平塚先生と同じように半泣き化する自信あるよ、いいじゃない夢ぐらい見てもさだって現実はいつも残酷で不平等で世の中マジ「比企谷君」おっと失礼。

 

 

「その、勝負の件……あなたはどう思ってるのかしら?」

 

「ん?別に俺はどうだっていいよ、特にやりたい命令なんてないし」

 

 

誓ったからね、てかゆきのんに対して「アレコレ命令したい!」とか言ったら今度こそアウトでしょ。もう通報ルート確定だよ。

 

 

「そう、ないのね……い、いえそれでいいのよ!?むしろあったら私は今度こそ比企谷君を有罪にさせてもらうわ。ええ、10年は出てこれないのを覚悟しておく事ね」

 

「せめて5年がいいなぁ」

 

 

俺の返答に対し一瞬不満そうにしたものの、自分で矛盾した感情がおかしいのに気づいたのかそれを隠すように早口でまくし立ててきた。よく分からないけど……ならゆきのんは命令に対してどう思ってるんだろ?

 

 

「じゃあさ、もし雪ノ下が俺に勝ったら何を命令したいの」

 

「もし?私が勝負に負けるなんてあり得ないのだけれど」

 

「あっはい」

 

 

アナタそういう人でしたね??このまま話は終わりかと思いきや。

 

 

「命令したい事、一応あるわ」

 

「……単身で国家潰してこいとかは流石に勘弁してください」

 

「あなたは私を何だと思っているのよ……そ、その」

 

 

体を揺すり回答に躊躇うゆきのん、あの彼女ですらそこまで言いずらい内容―――つまり単身で世界征服してこいだと確信し震えが止まらない中ポケットに入ったスマホからメッセージの着信音が鳴り開くとそこには。

 

 

「お兄ちゃん帰りに買い物お願い~ちなみに好きなアイス買ってきてくれたら、頭を撫でる権利をあげるよ!まぁでも……そんなの抜きにしてもお兄ちゃんからのナデナデなら小町はいつでも大歓迎なんだけどね。あっ今の小町的にポイント高い!」

 

 

妹の小町からのメッセージ、アイスか……アイスだな!?

 

 

「ほ、本当のご奉仕の続きを「俺がお兄ちゃんだぞ!!!」……は?」

 

 

妹がアイスを欲している、ならば俺は―――全力でお兄ちゃんを遂行する!!

 

俺は本を鞄の中へ入れて椅子から立ち上がり部室のドア前まで足を進める、これら全てを合わせて約1秒にも満たない。人間の身体能力を遥かに上回っている、自分でもどうしてか分からない。でもそれはきっと……俺がお兄ちゃんだからだ。

 

 

「ごめんねゆきのん!俺帰るよ!また明日ねー!」

 

 

走って遠くなった部室の方から「……そう呼ぶなと言ったでしょう!!」とゆきのん怒りの叫びが聞こえた気がした。

 

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