比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい 作:れぜ
ラノベの妹キャラ、それはこの世に少なからずいるであろうお兄ちゃんになりたい同士諸君にとっての救いの存在である……いきなり何だよキモとツッコミを入れるのはやめてほしい。実際前世の俺は一人っ子だったから願望を抱く側の人間で、美少女妹の兄かめちゃくちゃに甘やかして堕落させてくれるムチムチお姉ちゃんの弟になりたいといつも思っていた。あっ呼び方は弟君で設定はOLね?それ系のASMRにはよくお世話になってましたよハイ。
しかし願望は所詮願望止まり、俺には縁の無い話だと諦めていた。だが今世で比企谷八幡になった事で俺にはついに―――喜べ少年、君の望みはようやく叶う。
「あっ!おかえりお兄ちゃん~!」
「ただいま―――My sweet angel」
比企谷小町という妹ができたのだ。
「ちょっとウザいノリはいつもの事だし置いといて、お兄ちゃん!小町の好きなアイス買ってきてくれた!?」
えっちょっとウザいって思ってたのショック、もぅマヂ無理。部屋戻ったらマリカしょ……泣きそうになりながら俺は袋から希望通りの品を出すと小町は嬉しそうに目を輝かせていた、もぅマヂ可愛い。
「それにしてもお兄ちゃん早かったね!まだメッセージ送ってから30分も経ってないよ?」
「お兄ちゃんはアクセルフォームに変身してたから余裕だよ」
「いやそのネタ分かんないから」
「じゃあクロックアップ」
「……お兄ちゃんさぁ、そういうネタを安易に女子の前で使ったら一発でアウトだからね。オタクとしてのライン、ちゃんとわきまえないとダメだよ?」
「わァ……あ……」
火力高めなドストレート忠告により語彙力ちいかわ化して俺は膝から崩れ落ちてしまった、流石妹。兄をよく分かっていらっしゃる、だって俺もう既に女子の前で何度もついやらかしているしね。女子からの反応は……聞かないでください。
落ち込む俺を見た小町は、棒アイスを口に咥えながらしゃがみ込んでこちらに目線を合わせ。
「でも小町は妹だからね、そういうダメな所も含めてお兄ちゃんだと思うし嫌いじゃないよ。ていうかむしろ結構好きかも、あっ今の小町的にポイント高い!」
「……小町ぃぃぃぃ!!!」
頭を優しく撫でてやると小町は気持ち良さそうに目を細めていた、その後もソファーに座り一緒にアイスを食べながら妹の頭を撫で続け―――もうお兄ちゃんは小町がいないと生きていけません。
「どう?今日のカレーはいつもより美味しくできた自信あるよ!何故ならある隠し味を入れてみたんだ!」
「隠し味……それはお兄ちゃんへの愛情、かい?」
「何言ってんのお兄ちゃん……チョコレートだよ、入れると美味しくなるってネットで見たの」
「おいおい季節を勘違いしてるぜ、バレンタインは冬だからちと早いんじゃねぇのか?まぁ小町からのチョコレートなら365日いつでも大歓迎だけどな!」
「ゴミいちゃん味の感想はよ言えや」
「めっちゃ美味しいです」
俺達の両親は共働きで、だから帰ってくるのが遅いときの夜ご飯は俺と小町のどちらかが作る決まりとなっている。今日は小町が作ってくれたのだが妹の手料理というだけで美味しさ100倍、元気100倍で今なら領域の押し合いですっくんにも負けない自信があるよ……廻る呪いの話はさておき小町がこうして元気でいてくれるのは嬉しいんだよね。
本編では幼い頃に家へ帰っても誰もいない寂しさから家出してしまったというエピソードがある、原作知識を持つ身として妹にそんな思いをさせるわけにはいかない。そう決意した俺は放課後になった瞬間、友達からの遊びの誘い等を「俺にはお兄ちゃんとしてやらねばならない事がある!」と全て断りスピード帰宅して小町の帰りを毎日出迎えていた。その成果からか孤独を抱かず家出も無しに小町は大きくなってくれて、お兄ちゃんを全うできた俺は感無量である。
元でも八幡は妹に対してはかなり甘かった、しかし俺はそれ以上にダダ甘状態。それでも小町の性格は特に変わらないのだが……時々何か不穏なものを感じるのは気のせいだよね。
「……お兄ちゃん、確か部活入ったんだよね」
「昨日からね、まぁかなり強引だったけど」
「その部におんな―――女の人はいるの?」
「いるよ、てか部員は現状俺ともう1人。雪ノ下だけだし」
「へぇ……」
気のせいだよね!
小町はいつも明るく可愛い俺の天使なのさ。
「ソシャゲで俺の推しキャラのイベントがあるんだとか言って食べたらすぐ上に上がっちゃった、全くお兄ちゃんはさぁ……でもこれでアレができるよね」
私、比企谷小町には毎日欠かさず行っている事がある。それは―――
「えへへ、お兄ちゃんの制服の匂いは何度嗅いでも飽きないよ」
洗濯機に突っ込まれたお兄ちゃんの制服を取り出し、その制服に思いっきり顔を埋めて匂いを堪能する事だよ!ちなみに休みの日は部屋着をクンクンしてるからね!
「お兄ちゃん好きだよ、ホント大好き……」
小さい頃からいつでも傍にいてくれて、家に帰ってくれば必ずお兄ちゃんがいる。だから孤独を感じずにこれたんだ、そんな存在がいて好きにならない訳がないよ……お兄ちゃんが可愛い可愛いと沢山褒めてくれるたびに胸の内が温かくなる。
でもおかしいなぁ?
「……知らない女の匂いがする」
部活で何があったかは知らないけど、当然小町を一番に見てくれるよね。信じてるよ?
―――お兄ちゃん♪