比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい   作:れぜ

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第5話

 

「いや~!旧約は何度読んでも面白いなぁ!家に帰ったら新約も読まなきゃね」

 

「比企谷君が聖書を愛読してる事実に驚きを隠せないわね」

 

「えっ聖書?」

 

「旧約や新約と言ったらそれが当てはまるけれど……違うの?」

 

「―――とある魔術の禁書目録はオタク界の聖書と言っても過言じゃないかな!」

 

「……反応した私が馬鹿だったわ、時間返してくれないかしら」

 

 

オティヌス可愛いよね、創約も毎回楽しみにさせていただいております。まぁ禁書話はここまでにして……本日は奉仕部活動3日目、一昨日昨日と通報寸前のセクハラ行為をゆきのんに行い退部しようと計画した俺はその悪しき心を彼女に浄化され今ここに居る。とりあえず強引な手段はもう取らずに、良いタイミングを見計らって去ると決めた。

 

現在は依頼人が来ないから完全に読書タイムと化しているのだが、俺には一つ強く引っかかってるのがある。それは―――ガハマさんの存在だ。

 

俺は愛犬をスパ〇ダーマンのマスクを被り救出したのだが、顔を隠しているのでガハマさんは俺だと認識していないはずなのに……2年で同じクラスになってからよく彼女の視線を感じるのはどうしてだろう?この前なんか一度完全に目が合ってしまい物凄い勢いで逸らされてしまった。今までは抱いていた不信感に蓋をし続けてきたけど2日前の平塚先生の一件、比企谷とゆきのんによる意見衝突が無くとも違った形で本編の重要要素である勝負の話はしっかりと出てきた。つまり世界の強制力とやらがある程度働くのかもしれない、ならばガハマさんも何か別の流れで奉仕部へ入部するのだと思う。それは彼女にとって間違いなく救いであるし良い事だ。

 

じゃあ俺への視線は何なんだという話になるけど、スパ〇ダーマッは完璧だったし?まさかバレてるわけはないよね??

 

そういえばマスクの目元が転がったダメージでちょっと破れていたような……

 

 

「ア、アレは大丈夫だったはずだよね」

 

「何かしら罪谷君、過去の犯罪行為でも思い出して法の裁きが下る事に怯えているの」

 

 

むしろヒーロー的行為なんです、俺がそう言葉を返そうとした瞬間コンコンと部室のドアがノックされる音が鳴った。ゆきのんが「どうぞ」と言うと、そのドアはゆっくりと開かれ現れたのは。

 

 

「し、失礼しまーす、平塚先生に言われて来たんですけど……」

 

 

雪ノ下雪乃に続く第2のヒロイン、由比ヶ浜結衣―――ガハマさんである。俺の存在に気づいたのか彼女は目を丸くさせ。

 

 

「な、何でヒッキーがここにいんの!?」

 

「こっちの台詞だよガハマさん……マジで何でここにいんの??」

 

 

わけがわからないよ。

 

 

 

 

「―――2年F組、由比ヶ浜結衣さんよね。座って」

 

「私の事知ってるんだー!」

 

「Yukipediaさんだからね」

 

「でも残念、広大な電子の海でもあなたの存在は把握できていなかったわ」

 

「えっ、ヒッキー同学年じゃかなり有名人だよ」

 

「……ちなみに良い意味か悪い意味、どちらかしら」

 

「あはは……」

 

「何でそこで愛想笑いなんですかガハマさん、ねぇ平塚先生も言ってたけどもしかして俺ってマジで変人扱いなの?」

 

 

悲C……お互いに混乱状態となってしまったのを見たゆきのんはため息をつきながら椅子を用意し、一旦落ち着きなさいと言わんばかりにガハマさんへ座るように促した。俺も同様に座ったがまだ収まらない、だって今のタイミングで来る意味はつまりクッキーの件しかないよね?

 

「俺、実はスパ〇ダーマンなんだ」とゆきのんもいるこの場でカミングアウトしようものなら絶対零度に凍らされそうなので話すわけにもいかず、調理場へ移動する事になってしまった。まぁとりあえずその件は後で2人になれるタイミングで聞くとして……そっかぁ。今からクッキー食べなきゃいけないのか。

 

 

「ねぇ」

 

「サ、サラッと肩に手を置くのはやめてちょうだい。何よ?」

 

「―――終わったら結婚」(俺、この戦いが終わったら結婚するんだ)

 

「……」

 

「雪ノ下?」

 

 

何故かゆきのんは顔を真っ赤にし、調理室へ着くまで話しかけても答えてくれずずっとどこか上の空だった。

 

 

 

 

 

 

ガハマさんの依頼はやはり気になる人へ手作りクッキーを作りたいとの内容で、最も本編だと送る相手は目の前にいる比企谷なのだが……やはり顔を見られていたのか?そう疑問に思うも中々2人きりになれるタイミングが訪れてくれず困る。クッキー食べるのも正直憂鬱で仕方ないし悩みばかりだ。

 

 

「曲がってるわ、あなたエプロンもまともに着られないの?」

 

「ごめん、ありがとっ!」

 

 

あら^~

 

何気ないこの2人のやり取り、だが既にここからゆいゆきは始まっていて―――よし復活!やっぱり百合は元気の源ですね。でもホムセンの木炭みたいなクッキーを食べるにはもう少し力が必要かな。

 

百合エネルギーを欲している俺だったが、ちょうど2人のやり取りが今まさに……

 

 

「その周囲に合わせようとするのやめてくれるかしら?酷く不愉快だわ、自分の不器用さ無様さ愚かしさの遠因を他人に求めるなんて恥ずかしくないの」

 

 

こ、これはくるぞ!!

 

 

「カ、カッコいい……」

 

「なっ」

 

「しゃあっ!」

 

 

瞳を輝かせてゆきのんへ尊敬の眼差しを向けるガハマさん、もうこれだけでエネルギーは充電満タンだけどそこから発せられるガハマさんの一言一言が俺の力を限界のその先へ超えさせてくれる。

 

……さて、味見係としての役割を果たしますか。

 

 

「雪ノ下、正しいやり方教えてあげな。そしてこのクッキーは責任持って俺が全部食う」

 

「……ごめんなさい、後半何て言ったのか脳が理解できなかったのだけれど」

 

 

皿に乗った沢山のもくた……クッキー!

 

 

「見ててねガハマさん―――この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます」

 

「ヒッキー!?」

 

「比企谷君!?」

 

 

1枚ずつ口の中へ入れていくたびに視界が揺らぐ、5枚目辺りから立っていられなくなりやがて最後の1枚を食べ終えた瞬間に意識は暗闇の中へ。その寸前俺の瞳に映ったのは信じられないようなものを見る目のゆきのんと……気のせいだろうけど。

 

 

「ヒッキー……」

 

 

胸に手を当てて恍惚とした表情を浮かべるガハマさんの姿はまるで―――何故だろう、恋する乙女のようであった。





次回に続きます!
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