比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい   作:れぜ

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第7話

 

「―――何が悪かったんだろうなぁ?」

 

 

現在はお昼休み、購買でパンを購入し教室へ戻る最中の俺は今朝の出来事を思い出していた。登校して早速平塚先生に呼び出しを受けてしまい、何かと思い職員室へ向かった所……理由は生物の授業の課題である「野生動物の生態」で俺が書いた内容についてのお叱りだったのだ。本編で比企谷がこの課題で怒られてたのは覚えているため、そのルートは避けようと頑張って考えたつもりなのに。

 

「人間、男なんてみんな本能のままに生きる野生動物ですよ。特に……夜はね!獣と化すのだわー!(貞操概念逆転世界の場合は女)」

 

 

俺が職員室へ入った瞬間に「つつ、つまり比企谷は仕事終わりの私をお持ち帰りして家に連れ込み襲うつもりかー!」と平塚先生渾身の右ストレートを食らっちゃったよ、早口で何言ってるかはよく聞き取れなかったけどね?マジでこの世の真理を突いた自信作のつもりだったのに、ただでさえ雨でジメジメとした空気な事からあまり気分が優れないのに落ち込んでいてはもっと良くない。でも俺には一つ楽しみがあるから大丈夫なのだ……前に放送部へデスメタルをリクエストしたのは失敗だったと素直に認めよう、だから俺はその反省を活かし先週にまた曲を希望したのさ。

 

 

「青春万歳!な明るい陽キャ向けソング、チャンスは今週!これをもし流してくれれば前回の批判を挽回できるはず。変人扱い脱却への第1歩というわけさHAHAHA」

 

 

まぁ可能性は低いだろうけど、微かな期待を胸に抱きながら俺は教室のドアを開くとそこでは。

 

 

「―――結衣さぁ、最近ちょっと付き合い悪くない?」

 

「それはそのっ、やむにやまれぬというか……私事で恐縮というか」

 

「今のじゃ分かんないからちゃんと言ってよ、あーしら友達じゃん!」

 

「ごめん……」

 

「だからごめんじゃなくて、何か言いたい事あんでしょ!?」

 

 

獄炎の女王として男子生徒から恐れられているあーしさんこと三浦優美子、彼女がガハマさんの態度への不満を露わにしていた。平塚先生と放送部の件でうっかりしていたが今日がこの場面の日か……お弁当箱を隠すように後ろに持っているガハマさん、まだ今の段階では周りに気を遣ってしまうのが多い彼女にとって奉仕部でゆきのんと昼食を取るというのはかなり伝えにくいのだ。

 

俺の存在に気づいたのかガハマさんと目が合う、だがこんな状況を見られて気まずいのか彼女はすぐに目線を逸らしてしまい……氷の女王ゆきのんの到着まで後もう少しかかるか?それまで辛そうな表情を浮かべる姿を見なきゃいけないのは嫌だな。

 

よし決めた、ガハマさんのためにもゆきのんが来るまでの時間稼ぎをするとしよう。2人きりの部室で昼食を取る、そんな最高の百合空間を形成する事の何が悪いと言うのだ。この世の宝だろう。

 

―――陰キャ界の星であり、メンタル超つよつよな俺にかかれば余裕だ。

 

 

「あーしさーん!ちょっと俺のお話を聞いていただけますか!!」

 

「ヒッキー……」

 

「……は?ヒキオ今あーしさんつった??」

 

「ふぇぇ怖いよぉ」

 

「ヒッキー!?」

 

 

オタクとギャルの相性は最悪で完全に瞬殺である、イキってすみません……いや俺は時間稼ぎをすると決意したのにこれではダメだ。そもそもあーしさんだって男子からは恐怖の対象だけど葉山に対しては恋する乙女な一面があるし、ゲームの専用ルートではおかん的な一面で俺をキュンキュンさせてくれた。要は話せば分かり合える相手なのだ。

 

俺はあーしさんが座る席の目の前に立ち。

 

 

「―――リベンジいいか?」

 

「……うっざ」

 

 

蛸の悪魔と契約してそうな顔の良いデビルハンターの如く勝負を挑んだ、サラっとうざいとか言われたけどもう折れないよ。ただ俺の役割は時間稼ぎなんだからね。

 

 

「空気を読む事に定評のあるこの俺が場の空気を綺麗に浄化してやんよ!」

 

 

そう高らかに宣言した瞬間、スピーカーから「次の曲は2年F組、比企谷八幡さんのリクエスト曲です」と声が聞こえ……えっこのタイミングですか放送部さん??

 

そして無慈悲にも曲が始まり―――ひたすら大音量で青春最高!ウェーイ!という感じの歌が教室中に響き渡る、3分ほどで終わったのだが場の空気は浄化されるどころかむしろ更に悪化し絶望する俺に対しあーしさんはまるで蛇のように鋭い目つきを向けてきて。

 

 

「これがヒキオの言う浄化ってやつ?」

 

「ハ、ハイ……」

 

「マジ引くんだけど……もうちょっと空気読めば?」

 

 

ゲームじゃめちゃくちゃ可愛かったあーしさんから、心底軽蔑してるであろうレベルのマジトーン。

 

ヤバ、精神壊れる。助けてゆきのん……

 

 

「情けないわね、何その程度の相手に無様な負けを晒しているのよ」

 

「こ、この声と容赦のない罵倒はまさか」

 

「由比ヶ浜さんが中々来なくてわざわざこちらから出向いてみれば……随分楽しそうね、マゾ谷君?」

 

「……雪ノ下様ああああ!!!」

 

 

獄炎の女王が支配するこの場に流れるように現れた存在、氷の女王であるゆきのん。頼もしすぎる、俺は喜びからかつい彼女の元へ走り寄りその手を握った。

 

 

「待っておりましたよ女王、あなたが来るまでの時間はこの私が身を削って稼ぎました」

 

「その腹立つノリは何……あ、後手を離してくれないかしら」

 

「あっごめん」

 

 

何故か頬を赤くするゆきのんに首を傾げていると、遅れてガハマさんも駆け寄ってきた。

 

 

「由比ヶ浜さん、遅れるのなら連絡の1本でも入れるのが筋だと思うのだけれど」

 

「ご、ごめんね!私ゆきのんの携帯知らなくて……」

 

「そう、なら一概に悪いとは言えないわね。今回は不問にするわ」

 

「俺マジで頑張ってさ、一言でいいので褒めてください」

 

「偉いわね、お猿さんにしては頑張った方じゃない?」

 

「ウッキー……」

 

 

ここからは元の流れと同じように、ゆきのんがあーしさんに雪の如く真っ白色の切れ味抜群な言葉を浴びせたものの葉山が間に入り言い争いには発展せず……正直あーしさんもトゲこそあるけど実の所は良い面も持っているのでこういうのは聞いていて正直複雑だ。ガハマさんの弁当箱をチラッと見て、ゆきのんは「先に行くわね」と教室から出て行った。

 

俺の役目も終わったし出るか、まぁ散々だったけど……ヒーロー告白といいガハマさんには酷い所しか見せられてないなと落ち込む俺だったが。

 

 

「ヒッキー、私の事を助けてくれてありがと」

 

「完全に失敗しちゃったけどね、ダサかったでしょ」

 

「……全然そんな事ないよ」

 

「……そう?」

 

「―――うん!」

 

 

ガハマさんは花のような笑顔で散々だった俺を肯定してくれた。

 

こうして彼女はあーしさんにずっと言えなかった本音を話し、無事仲直りできて……俺の事を話す部分で休み時間に寝たフリは変わっていたのに本を読んで笑っててキモいしは何故かそのままだった。それにゆきのんから「あなたの変な笑い方、それに時々あら~って言うのも気持ち悪いからやめた方がいいわよ」と言われてしまい俺は涙目である。

 

この場に残っていると教室から出てきたガハマさんから「盗み聞きだ!?キモい!ストーカー!」などキモ連呼されてしまうので、ゆきのんを追う形で俺も歩き始めた。まぁそれもそれでご褒美な気もするけどね?

 

 

 

「笑い方は注意するけどさ、あら^~はどうしても言いたくて……ダメ?」

 

「ダメよ」

 

 

ズバっと言われてしまったので渋々了承しようとしたが……後を追ってきたガハマさんがゆきのんに腕を絡め、その行動に対し戸惑いつつも拒否はしないゆきのん。そんな2人を近くで見てた俺は。

 

 

「あら^~」

 

 

そう気づけば口に出ていた……百合は尊いんだし仕方ないよね!

 

 

 

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