比企谷八幡に転生した俺は平和に生きたい 作:れぜ
材木座回という事でいつもよりラノベネタ多めのゆるゆる回です(まるで普段は真面目かのような言い方)
―――皆さんは中二病という言葉をご存じだろうか?思春期を迎えた中学2年の頃にかかってしまう恐ろしくも愛すべき病で、形成されてく自意識と夢見がちな幼児性が混ざっておかしな行動を取ってしまうアレだ。昨日まで週刊誌オンリーだった奴がいきなり英語の原書を読み始めたり、コーヒーの苦みも何も分からないのにブラックにこだわってみたり、自分には特別な力があると信じてオカルト芸に思いっきり倒れこむなど……以上で。
「我は剣豪将軍!材木座義輝だー!!」
「―――中二病の説明を終わります」
「ヒ、ヒッキー詳しいね……」
「……分かりやすかったけれど、いつもと口調が違いすぎて引用感丸出しなのはどうかと思うわよ」
「まぁ実際これが材木座の説明には一番適してるんだよ」
神アニメに感謝、モリサマー可愛いよね。特に凸森との絡みがめちゃくちゃ良くてさ、もう尊すぎ―――カップリングトークはここまでにして改めて状況を説明します。
俺はいつも通り奉仕部へ向かうと、そこには部室のドア前で中の様子を訝し気に伺うゆきのんとガハマさんの姿が……そんな2人を見て部室内に居る人物はすぐに察せた。
「それで、彼はあなたの知り合いなの?」
「クラスは違うんだけど体育の時間でたまにペア組んでてね、そこで知り合いになった」
「し、知り合いだと!?剣豪の我と八幡は長き時に渡り共に数多の戦場を駆け抜け生き残った相棒の仲―――まさか散っていった仲間達の顔を忘れたのか!」
「昨日は織斑一夏に続く第2の男性IS操縦者になって、世の男共が羨むハーレムを作ってやるわ!悪いな八幡よ!とか相棒どこ行った設定の話してたじゃん」
「ケ、ケプコンケプコン……」
本編の比企谷と違い俺はぼっちではなく一応友達もいる、だから余り物同士でペアを組まされる事がない。つまり材木座と関わらないルートもあり得たのだが……普通にラノベやアニメの話を詳しくできるし、ノリがウザいだけで根は悪い奴じゃないのも原作読んで知っているので俺の方から声を掛けたのだ。ちなみにその時の材木座は中二キャラを捨てて素直にめちゃくちゃ嬉しそうな顔してました。
矛盾を突かれた材木座は額から汗を流しながら、気まずそうに目線をキョロキョロ動かしたものの「ま、まぁそんな事もあったかもしれぬが今はどうでもよい!八幡よ、奉仕部とはここでよいのだな?」と開き直って聞いてきた。ただその質問にゆきのんが答えると目を逸らし俺の方を見て会話を進めてくる、その気持ち分かるなぁ。ゆきのん怖いもんね?
時々マジで氷漬けにされるんじゃないかって思うもん、でもこんなの絶対本人には言えないけど。だからバレる心配のない心の声で言うのさHAHAHA。
「本当に氷漬けにしてあげましょうか?」
「……えっと、雪ノ下さんはニュータイプか何かですか??」
「その意味はよく分からないけれど……あなたの考えてる事なんて単純だからお見通しよ」
「へぇ~そういう理解の関係ってまるで夫婦みたい」
「ななっ、何変な事言ってるのよ!?そういうのはまだ早いんじゃないかしら少しは段階ってものを踏みなさい先走り谷君」
「後半早口すぎて先走り谷君の部分しか聞こえなかったんだけど……てかそれ語呂悪くない」
「説明聞いても全然理解できない……ねぇヒッキー、ああいうのって他にもいるの?」
ここで先ほどから会話についていけず……というか乗る気もないであろうガハマさんからの疑問、だいぶ引いた顔をされていらっしゃるけど材木座の場合は正直まだマシなんだ。過去の歴史をベースにしてるので0から生み出したオリジナルではない、言わば軽度の中二病患者である。
「いるよ、もし知りたければ教えてあげる。ガハマさんは深淵を覗く覚悟をお持ちで?」
「な、何か長くなりそうだから遠慮しとくね」
俺は前世で5冊にも及ぶ黒歴史ノートを製造している、例えばオリジナル必殺技。光と闇よ、この対極の二つを用いて世界に平穏をもたらさ―――需要ないですよねごめんなさい。ちなみに重度の中二病であった俺が卒業した理由は、クラスの好きな女子に偶然ノートを見られてしまい「〇〇君ってそういうの好きなんだぁ……キッモ」と軽蔑の目つきで言われたからだ。ちゅらい。
ちょうどゆきのんに話し方や目を見て話しなさいと説教され、落ち込む材木座と同じように俺も過去の傷口が再度開いた事からダメージで胸を抑えていると……それに気づいたガハマさんが心配そうな表情を浮かべながら俺の隣に来てくれた。
「辛そうだよ、どこか体調悪いの……?」
「過去の女の子を思い出して心の傷がちょっと」
「過去の!?」
「うん、まぁアレは俺が悪いんだけどさ……でもせめてもう少し優しくしてほしかったなぁ」
「いや何があったし!」
何故か俺以上に狼狽えてる様子のガハマさんであったが、自分を落ち着かせるように深呼吸をした後……頬を赤く染めながら小声でボソッと。
「……私ならヒッキーに冷たくなんてしないのに」
「えっ?」
「なっ、何でもない!」
思わず首を傾げる俺だったが、ふと見れば材木座がゆきのんの正論ビームに滅されそうになっていたのでそちらを止めた。陰キャにVS氷の女王はボス戦すぎるよ。
その後、原作と同じように材木座の書いた小説を俺達奉仕部の3人が読む事となった。読者だったときは「うわ、大変そうだな~」って適当に思ってたけど、実際にこの側になる日が来てしまうとは……それより天使様の新刊読んでいいですか?
翌日。
「―――おはよヒッキー!」
「……ガハマさんさ、材木座の小説読んでないでしょ」(原作知識による名推理)
「は、はぁ!?しっかり読んだけどっ」
「最後主人公が親指立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙なしには読めなかったよね」
「マ、マジ分かる!それ良かったよね!」
未読確認が取れました、ただ正直それで正解だと思う。会話に挙げた歴史に残る名作映画と比べるわけでは当然ないが、それにしても材木座の作品は酷かった。魔法名などが中二病時代に俺が考えたのと似ていたものだから、読んでてリアルに変な汗が出てきちゃって……そして放課後。
「「―――ぐわああああああああ!!!」」
「……どうして私のダメ出しで比企谷君もショック受けてるのよ」
「だって実質俺のセンスまで×食らったみたいなもんだし……」
「は、八幡……!」
救いを求めるように俺を見つめてくる材木座……俺も正直作品の完成度自体はゆきのん側の意見と同じなのだが、ここは優しく数少ない長所を素直に褒めてやろう。ダメ出しの中で唯一男性読者としては同意できない点、それは「ここでヒロインが服を脱いだのは何故?シラけるわ」という所。
俺は材木座の肩に優しく手を置き。
「材木座、ヒロインを素直に巨乳にしたのはナイスだぞ。そういうのって馬鹿にされやすいけどやっぱり王道だと思うし必要なんだよな、俺は―――ちゃんと分かってるから。最高だった」
「……信じてたぞ八幡よー!」
握手し合う俺達、でもそんな中。
「わ、私もまだ可能性はあるもの……」
「……よしっ!」
落ち込むゆきのんと小さくガッツポーズを取るガハマさん……いや何でだろ?