THE IDOL M@STER in 池袋ウエストゲートパーク 作:minmin
ここから少しずつ物語が動き始めます。
『眠れない夜この身を苛む煩悩・・・』
エディは女子高生が歌う曲とは思えない歌詞とリズムに合わせて軽快に踊っている。この曲を聴くのは2回目になるが、なるほど他のアイドルと比べても異色だった。そこらのアイドルのやたらと甘ったるい曲に飽き飽きしているアンタも是非聴いてみてくれ。一部では同じ事務所の双子が歌うカバーの方が人気らしいが、俺は断然オリジナルの方がいい。
ノリノリで踊っているエディに軽く手を振って家へと急ぐ。マコトさーん、一緒に踊りましょうよーなんて声が背中にかかるが気にしない。エディにそんなつもりはこれっぽちもないだろうが、引き立て役になるのは真っ平御免だった。
家に帰ると我が家の最終兵器、おふくろがエディに負けないくらいご機嫌に笑っていた。正直にいって気味が悪い。というか気持ち悪い。ほら、聞いたことないか?笑顔とは本来攻撃的なものである、って。本当かどうかは知らないから興味ある奴は調べてみてくれ。とにかくおふくろはそれぐらいイイ笑顔だった。
「アンタまた何か頼まれたんだって?765プロダクションのプロデューサーだっていう人が誠君にお世話になりますって、菓子折りもって挨拶に来てくれたんだよ。まだ若そうなのに礼儀正しいいい子だねえ。誰かさんとはえらい違いだよ。何頼まれたかは知らないけど、キッチリ力になってやんな」
どうやら菓子折り1つで懐柔されてしまったらしい。いつか詐欺にでも引っかかるんじゃないだろうか、このおふくろは。
「言われなくても仕事はしっかりやるさ。今からその仕事のメール見てくるから、邪魔しないでくれよ」
「はいよ。本当にいい子だったねえ。20年前に貴女に逢えてたらアイドルにスカウトしてた、だってさ。私もまだまだ捨てたもんじゃないねえ」
勘弁してくれ。おふくろが歌って踊ってる映像が頭に浮かんでこないうちに俺は部屋に飛び込んだ。
MACを立ち上げメールをチェックする。Pから送られていたメールには、ファミレスで見た例の地図情報と、こらからの路上ライヴ開催予定が添付されていた。本文の最後は、このアドレスに24時間いつでも連絡をしても構わないということ、依頼を引き受けてくれて感謝するとの言葉で結ばれていいた。そつがないとはこういうことを言うんだろうか。
しばらくメールを眺めながら考えて出た結論は―ストリートに闇に紛れる相手には、同じくストリートに生きるやつらの力を借りることが一番だってこと。善は急げと連絡する相手は勿論、池袋のストリートの王様だ。
「ハーイ、こちらキング。ほんとー?ありがとねー」
2コールで応答した繋ぎのGガールにかけた、いい声してるな、アイドルやってみたらいい線いくんじゃないか?、という言葉は2言であっさりスルーされた。どうやら俺にはプロデューサーの才能はないらしい。
「マコトか。何の用だ。この前のロックシンガーの時みたいに景気のいい話なら大歓迎なんだがな」
タカシのゆったりした、けれど貫禄のにじみ出るバリトンが耳に響く。ケンカの才能とダンスの才能は直結しないだろうが、タカシのルックスとセンスならアイドルになっても大成功するだろう。
「残念ながらそこまでじゃないな。仕事内容はストーカーの捜索から確保、対処まで。報酬は30万だ」
あの札束が会社の経費なのかPのポケットマネーかはわからないが、これ以上増えることはないだろうし、俺個人としてもそのつもりはなかった。
「それだけじゃ協力するには弱いな。1人1万としても30人しか動かせない。ストーカーを探すところから始めるなら、1日やそこらでは終わらないだろう。他に何かGボーイズにとっていい条件はないのか」
一応、ある。のか?
「間近で今人気のアイドルが見れる、かもしれない」
「アイドルか。生憎俺は詳しくないが。一応聞いておこう、名前は?」
「765プロダクションの菊地真。ニックネームは王子様、らしい」
「菊地真、か。お前と同じ名前、・・・・・!!?」
タカシの声が突然大音量でかき消された。キングがいる場所でこんなこと、普通はありえない。何があった?戸惑っているとタカシの声が戻ってきた。
「喜べマコト。Gガールズが大勢無償で手伝ってくれるらしいぞ。マコト君のためならお金なんていらない、だそうだ。愛されてるな」
この野郎、絶対わかってて言ってやがる。
「そりゃあよかった。詳しい打ち合わせをしたい。どこかで会えるか?」
理由はともかく王様の許しは得た。Gガールズの力はありがたく使わせてもらうことにしよう。
というわけで我らがキング、タカシの声だけ初登場。
しかしアイドルマスターのキャラはまだPだけというw
次話にはアイドルが1人登場する予定です。
感想お待ちしています。