ウリルとハスミは連邦生徒会までやってきていた。既に他校からもおそらく立場が高いであろう生徒もやってきている。
「ミレニアム…そしてゲヘナも連邦生徒会を問いただそうとしているようですね…」
「じゃのう。しかし…この場所にしては妙な気配が降りてきておるの。
大人で、恐らく男じゃ。」
「男性…ですか?」
「うむ。」
そう会話していると、連邦生徒会の幹部"七神リン"と、見知らぬ大人の男性がエレベーターから出てきた。
「代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を…うん?隣の大人の方は?」
ミレニアムの制服を着た青髪の生徒がリンに連邦生徒会長を呼べと言おうとするも、その前に男性に気づいた。
「…ほほう。なるほど。お主がこの騒ぎを収める鍵じゃな?」
「?」
いきなり理由のわからないことを言われて困惑する大人の男性。
「あの…あなたは?」
「ワシはウリル。そこのハスミというお嬢さんの所に居候させてもらっておるただの爺じゃよ。」
「ご紹介にあずかりました、羽川ハスミです。」
「…さて、代行と呼ばれたお嬢さんや、ちょいとこの爺の考えの答え合わせをしとくれ。
…連邦生徒会長は行方不明となり、その代わりとしてその若いのが呼ばれた。という考えじゃが。どうかね?」
「…概ね正解です。まず、連邦生徒会長は噂で広まっている通り、行方不明となりました。」
「「!?」」
「結論から言うと、サンクトゥムタワーの最終管理者である連邦生徒会長が失踪したため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。どうにかして認証を迂回できる方法を探していましたが…」
「…その認証をどうにか出来る目処が立ち、それでそこの若いのが呼ばれたと。そう言うことじゃな?」
「その通りです。この先生こそが、フィクサーとなってくれるはずです。
こちらの先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、失踪したはずの連邦生徒会長が特別に指名していた人物です。」
「ど、どうも…」
「行方不明だった連邦生徒会長が指名…ますます分からなくなってきたわ…と、とりあえずこんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカと申します。」
「トリニティ自警団所属、守月スズミです」
「改めて自己紹介を。正義実現委員会所属、羽川ハスミです。よろしくお願いいたします、先生。」
「ゲヘナ学園風紀委員会所属の火宮チナツです。」
「ワシはウリル。よろしく頼むぞい。」
「よ、よろしくね。」
「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。」
連邦捜査部「シャーレ」
単なる部活ではなく、一種の長法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在する全ての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすら可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です。」
どうやらこの先生は、とてつもない権限を持っているようだ。
(ワシにはわかる。この大人はそれほどまでの力を手に入れようとも、きっとその力を誰かのために使う男じゃ。…じゃが、まずは様子を見ていくことじゃな。判断はそこからでも遅くはないはずじゃ。)
「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが…シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今は殆ど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下にとある物を持ち込んでいます。
先生をそこにお連れしなければなりません。
モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…」
「シャーレの部室?…あぁ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだよ。矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こして、そこは今戦場になってるみたい。」
「…はい?」
「連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたい。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?
あと、"黒い犬"や"赤いアザラシ"みたいなのものいたって。」
「…!」
「どうされたのですか?ウリルさん。」
「それで、どうやら連邦生徒会所属のシャーレの建物を占拠しようとしているらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?
まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大したことな…あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!」
「…」
…リンはお怒りのようだ。
「だ、大丈夫?」
「…だ、大丈夫です。…少々問題が発生しましたが、大したことではありません。
…ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです。」
「…えっ?」
「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう。」
「ちょ、ちょっと!?」
そうして、シャーレ奪還戦が開始されようとしていた。
("黒い犬"に"赤いアザラシ"…もしかしなくとも…奴らじゃろうな。)
「ウリルさん?」
「ハスミ、おそらくこの先の戦闘はただのやんちゃなお嬢さんの懲らしめでは終わらんぞい。…おそらく一悶着あるとワシは確信しておる。」
「…?」
"黒い犬"に"赤いアザラシ"
にゃんこ大戦争をされている方なら直ぐに分かるはずです。