Infinite・Avenger -無限の彼方の復讐者ー 作:MAI²
キリが良かったので今回は前後編で分けました。
後編は明日出す予定です。お楽しみに。
友人「妹君の卒業式の日に何やってんだオメーは」
「ミ゜」
(ちゃんとお祝いしました)
◾️◾️◾️
5月◯日
退院、で良いのだろうか。
怪我もある程度治り、落ち着いた今日寮の部屋に戻ってこれた。
ここ数日分の日記もまとめて書いてしまう。
死ぬかと思った。
何だったんだあの気味の悪いISは!
ただでさえ見た目が奇怪だって言うのに、あんな人外染みた動き方。
聞けば無人機ということらしいが、そんな事あり得るのか?
目の前に出てきた時点で認めざるを得ないんだろうが……。
一機がアリーナのシールドをこじ開け、もう一機が内部に侵入してきて。
もう一機がその外、客席に降りてきて、此方に武器を向けてきた
観客席もある都合上、かなりの強度がある筈のアリーナのシールドを貫通する兵器を、生身の人間に。
僕の隣には布仏さんもいたんだぞ。
咄嗟に展開したISでソレを逸らしたのは良かったけど、そこからは酷い物だった。
碌に抵抗も出来ないまま一方的に攻撃され、機体も肉体もボロボロ。
あと少し助けが遅れていたら……と伝えられ、ゾッとした。
ISを纏っていて尚、命の危機に晒されていたのだ。
織斑先生からは、独断でのIS使用と、相手との実力差を見誤るなとお叱りの言葉を頂いた。
あんな危機的状況でそんな無茶な、という意見は封殺された。
弟である織斑君も無茶したと聞いたが、そちらは特にお咎めなし、寧ろ心配されていたそうだ、羨ましい。
とは言え、お見舞いにきてくれた布仏さんからも心配の言葉をかけられたし、それ程危機的状況だったということだろう。
強くなりたい、また同じ状況になっても、せめて、布仏さんを怪我させないくらいに。
そういえば、僕を助けてくれたのは三年の生徒会長らしい。
なんでも布仏さんの知り合いなんだとか。
今度お礼を言いに行かねば。
【死亡した2人目男性操縦者の日記より抜粋】
◇◇◇
織斑周辺の痴話喧嘩事情には関わらないように立ち回り、鳳のストレス発散模擬戦に付き合わされないように立ち回り、自主訓練でも場所や時間が被らない様に立ち回り…………少し疲れた。
なんで俺の方がこんなに気を使ってるんだ……?
「私きつねうどんー、ユッキーは何食べるの〜?」
「……海老天うどん」
「それだけで足りるのー?」
『ユッキーはもっと食べなきゃダメだよ〜?』
加えて、布仏さんの存在。
心の何処かで安心感を覚える度に、
どれだけ今は良くたって、いずれはあの人は……
◇◇◇
クラス対抗戦当日。
俺は適当な所で時間を潰していたが。
満員御礼の観客席の最後方の壁際、座らずに壁に凭れ掛かる様に立つ。
頭部のみISを部分展開し、ハイパーセンサーでアリーナ周辺の情報を収集する。
この後やって来る襲撃者、もとい無人機をいち早く察知するためだが──
「今のところは反応無しっと……」
俺の抱える不穏さとは裏腹に、よく晴れた空だった。
それは突然だった。
考えれば当然だ。
あの天災が造ったのだ、生半可なセンサー類で見つけられる訳がない。
アリーナのシールドが破られ、所属不明機が侵入。
織斑と鳳が戦闘を始めた。
残された専用機持ちはパニックになった生徒の避難誘導。
外部からのハッキングでロックされたドアをこじ開ける。
その間も、俺の意識は常に上空で待機している無人機に。
『織斑先生!アリーナ上空の機体も動き出しました!バリアの外……観客席に、雪待君の元に向かってます⁉︎』
『何⁈』
『◾️◾️◾️◾️◾️──』
「……よぉ、会いたくなかったぜ、俺は」
他の生徒には目もくれず、ゆっくりと俺の前に降り立つ漆黒のIS。
到底人語とは思えない機械音声だけが俺に届く。
あの時もそうだった。
此方を探る様にずっとピコピコピコピコピコ……思い出しただけでゾッとする。
震える手を無理矢理握り込み、シールドとサブマシンガンを展開する。
視線はそのまま、ハイパーセンサーで周囲を確認。
周囲にはまだ、生徒の姿が多数。
「とっとと失せろ、巻き込まれてぇのか」
「は、早く逃げるよ……!」
「う、うん!」
『◾️◾️◾️◾️──』
瞬間、大型の砲塔がこちらに向いて──
「させるかよ……!」
先ほどに比べればまだ大人しい、それでいて殺傷力は十分すぎる一撃が空へ放たれた。
『雪待!』
「所属不明機と接触!一先ず生徒のいない場所に……避難急げ‼︎」
最低限の文言を伝えるだけ伝えて通信を切る。
そのままシールドを胴体に押し付ける様にして瞬時加速を交えたシールドバッシュで、真っ直ぐ上空に弾いて、飛び上がり追い縋る。
『◾️◾️ー!』
向けられる第二射、第三射を避け──ようとするのを思いとどまってシールドで防ぐ。
まだ避難が終わっていない観客席に、攻撃を向かせるわけにはいかない。
「ウザってぇ!」
お返しとばかりにマシンガンを放つが避けられる。
なら──!
「コイツで……!」
『◾️◾️◾️』
銃からブレードに持ち替える。
距離を詰め、腕のビーム砲の死角に、文字通り奴の懐に潜り込む。
あちらも迎え討たんと、機械的な腕にブレードを出して構える。
「そんなのも持ってんのかよ!」
『──』
ブレード、シールドバッシュ、蹴りも交えた連撃で押し込む。
『◾️◾️◾️◾️ー!』
間合いを空けようと放たれる右の突き。
左腕のシールドで下方に押し込む様に受け流す。
目の前には無防備な相手の上体が晒されている。
「シィッ!」
一閃、シールドバリアーの上から押し込む様に斬りつけ振り抜く。
右肩から首筋にかけて装甲に亀裂が走り、その隙間から案の定と言うべきか、コード類が顕になる。
「先生!コイツら、機械です!」
我ながら白々しいが、端的に事実を述べる。
と、同時に返答が返ってきた。
『此方でも確認した、奴らに生体反応は無い!ソレは、無人だ!』
「さぁ……遠慮はいらねぇな!」
下を見る、直下に人影は既に無い。
此方の避難を優先的に進めてたか。
前転の要領で一回転、踵落としを見舞い叩き落とす。
ガァンッ!
うつ伏せで観客席に突っ込む無人機、武装を格納し、パイルバンカーを呼び出す。
(呆気ないな……)
そんな事を考えつつ、下に向かって瞬時加速。
自重も乗せた渾身の一撃を叩き込む、そのまま、トリガー。
バガァンッ!!
背中から貫通し、地面を砕く一撃。
衝撃でそのまま無人機は上半身と下半身が泣き別れになった。
「対象の沈黙を確認、と……」
アッサリとした、手応えの無さを感じつつ周囲を見る。
周辺の避難は済んだようだが、まだアリーナの反対側の避難は終わっていないようだ。
(ゲートは既に開いている様だし、救援に向かう必要は無さそうか……)
よく見れば布仏さんが、誘導している様だ。
普段からふわふわしてる人だが、こういう時は本当に頼りになる。
伊達に生徒会に入ってないってことかね……。
(シールドが多少消耗したぐらいで、大した損傷は無いし、意外となんとかなるもんだな……)
危惧してた程の事態に陥る事なく、安堵の息を漏らした。
その時だった。
◇◇◇
アリーナの反対側、ユッキーと所属不明機ISの戦闘音が止んだ。
先程チラリと見た限りは彼の優勢だった。
アリーナのシールドを破壊して、観客席へと向かってきたソレとユッキーが戦闘してものの数分。
未だおりむーとりんりんの方は戦闘が続いているのに、後から始まった、それも一対一の戦闘。
改めてユッキーの実力の高さを実感すると同時に、その由来が分からなくなる。
(ううん、考え事は後。避難誘導も後ちょっとで終わり……)
「キャッ……いったぁ……」
「大丈夫〜?ほら、あともう少しだよ〜」
ゲートの付近で転けた生徒の手を取って立ち上がらせる。
そのまま付き添おうとして────
「あ、ありが「ガァァァ⁉︎」ッ⁈」
すぐ側に、知った声と、知っている機体が飛んで、否、突っ込んできた。
◇◇◇
『新たな機体反応だと⁉︎』
『ゆ、雪待君が被弾!モロに貰ってます!』
「ぐっ、クソが……!」
突如、背後に現れたソレは、先までの無人機とはその姿が多少異なっていた。
大型のビーム砲台は、小型化されガトリング仕様に、更に近接ブレードを装備した腕を四本持つ異形。
『無事か!雪待!反応しろ!』
「っぐ、シールドエネルギーは残り6割、スラスターはまだ生きてる……ってぇなぁ、オイ……!」
突如として背後に現れたソレの奇襲を受けた。
急なことで、回避も防御もままならず、吹き飛ばされ、アリーナのほぼ反対側まで吹き飛ばされてしまったのだ。
機体状態をチェック、まだ戦えるのを再確認。
「ユッキー!」
「!布仏さん、チッよりにもよってこっちか……!」
背後から声が掛かって反射的に振り返る。
そこには、生徒に手を貸す布仏さんの姿。
『◾️◾️◾️◾️◾️ー!』
「っ⁉︎ヤバ……⁈」
機械的不協和音が響く。
再び振り返れば、砲口が回転を始めていて──ー
「ふざけろ……⁉︎」
咄嗟にシールドを構える。
背後に布仏さん達を庇って。
視界が、真っ白に染まった。
(前回の最後の方に日記入れるの忘れてたとか口が裂けても言えねぇや)