Infinite・Avenger -無限の彼方の復讐者ー   作:MAI²

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どうもmai²=デス。
創作意欲が止まらないので初投稿です。

友人「UAもお気に入りも少しずつ増えてんじゃん」
「ありがたみぃ………」
友人「もいっこの方もボチボチじゃんね」
「感謝ァ………!」
友人「どうせXmasも年末年始も⭐︎HI⭐︎MA⭐︎なんだしさ、冬季休暇中もじゃんじゃん書けよな」
「辛辣ゥ…………………」


第四話

 

 

放課後、完全にダウンした織斑は放置された状態で各々が教室から出ていく。

俺も手早く荷物を纏めて教室を後に、廊下を歩く。

ただし、急がず、少しだけゆっくり。

今日はもう一つやることがあるからな。

 

廊下を歩けば、周囲の視線が自然と集まる。

やはり2人目でも男子は男子、いやでも注目される。

 

「あれが──ー」

「噂じゃ──ー」

「まぁでも──ー」

 

男・異分子への嫌悪が半分、興味が半分といった所か。

前は9:1ぐらいの感覚だったんだが。

あの時感じた違和感が強まる、まるで俺の知らない態度や反応を感じる。

 

(おかしいな……こんなことになる筈ではなかったんだが)

「あ、いましたー!良かった、ギリギリ間に合いましたか!」

「山田先生、と織斑先生」

 

小走りで向かってくる副担任と、その後ろから歩いてくる担任。

前者の手には二本の鍵が、後者には一つの大きめのスポーツバッグ。織斑の分だろう。

 

「はい!こちらが寮の鍵になります!」

「寮、ですか……暫くはホテルからの通学と伺っていましたが」

(まぁ当然知っていたんだが)

 

我ながら白々しいと思いながらも疑問を口にする。

 

「お前達二人は事情が事情だ、安全面の考慮から、急遽部屋割りを変えさせてもらった」

「と言っても、雪待君の部屋は元々空いてた個室だったので、ホテルからの荷物も届いてますよ」

 

手の早いと思いながらも鍵を受け取る。

番号は……コレも変わらず、か。

 

「それでは!これから織斑くんにもこれを渡しに行くので」

 

さようならー!道草食っちゃダメですよー!なんて言いながら教室に向かっていく山田先生と、その後をついて行く織斑先生。

 

「………………帰るか」

 

ここから寮までの間の道草とは一体、なんて。

校舎を後にし、寮へと向かう。

廊下の最奥、改めて部屋番を確認し、鍵を開け部屋に。

 

「……変わらない、な」

 

ウンザリする程に見慣れた内装。

いっそ安心感さえ…………いや、流石に無かった。

 

(一先ず荷解きとシャワー……)

 

粗方終わったのは既に日も沈んだ時間。

既に疲れていたのも相まって、夕食を取るのも断念にして、俺はその日初めての学園一日を締め括った。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

何一つ見当たらない、地平線の先まで続く草原。

吹いた風が、髪を揺らす。

ふと、目線を上に。

 

『もうすぐ、もうすぐ逢える……』

 

宇宙(ソラ)だ。

ゾッとするほどに真っ青(黒)な。

雲一つ見当たらない、それを俺は見上げている。

 

不思議だ、太陽も月も、星だって出てる。

今が昼なのか、夜なのかも分からない。

 

『今度こそ、アナタを届けてみせるから』

 

暖かなナニかを感じる。

太陽?

違う。

風?

これも違う。

 

何かもっと近く、すぐ側から。

……背中?

 

思わず振り返るも、そもそもそこには何も……いや、あった。

 

『だから、アナタもワタシを連れて行って?一緒に』

「あぁ、分かってるよ。今度は一緒だ」

 

常に俺に寄り添ってくれたキミ(翼)が。

機械仕掛けの翼(キミ)が。

 

今度こそ届くと信じてその手を伸ばして、飛びあがろうと爪先で地面を蹴って────

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

ゴトッ

 

「……ってぇ」

 

慣れない(知ってる筈の)ベッドで寝たせいで上手く寝付けなかったか、寝返りを打って落ちてしまったらしい。

 

「っくぁ……良い夢見てた気がするんだがなぁ……」

 

あんな気分のいい夢なんて、ばあちゃんが死んで以来見てなかった気がする。

なんとも言えない気分のまま時計を見れば、普段の起床より20分ほど早かった。

 

「………………まぁ、早起きってことで」

 

納得いかないまま顔を洗い、運動しやすい格好に着替えてから外へ走りに行った。

ここ最近、ホテルに軟禁されてた時には出来なかった、運動の再開だ。

 

「ハッ……ハッ……ハッ……」

 

グラウンドでは、朝練やトレーニング、果てにはダイエットと称して走る生徒は少なくない。

そんな所、俺が使えばどんな憂き目に遭うかは想像も難くない、というか、実際に遭ったので。

 

だから俺は、朝の人気(ひとけ)のない、離れたアリーナの外周を回るように走る。

 

「朝から精が出るな」

 

何度目かのインターバルを挟んでいる時、不意に声をかけられた。

 

「……織斑先生」

 

その格好は、普段ではそう見ないであろうランニングウェア姿。

既に走っていたのか、僅かに汗をかいている様子だ。

わざわざこんな所に、何の用だ……?

 

「……おはようございます」

「ああおはよう、それにしても……グラウンドはこの時間からでも使えるぞ?」

「いえ……俺が使って、他のに目ェつけられても面倒ですから」

 

そう答えた俺の様子を見て、ふむと見定めるようにこちらに視線を向けてくる。

 

「重症気味な女性不信、女尊男卑思想の女性への反発。突っかかってきた女子生徒とその取り巻きを総じて病院送り、音声データによる証拠付きで」

「……知っていたんですか」

「2人目の男子だ、過去の調査ぐらいは入る」

「そうですか…………で、何が言いたいんです」

 

思わず語気が荒くなる。

反省も後悔もしてはいないが、よりにもよって女にそれを言われるのは、咎められているようで気分が悪い。

 

「いやなに、話を聞く限り、確かにおまえは被害者だ。そう睨むな、説教がしたいワケじゃない」

「で?」

「はぁ……そのままでいい、聞け。この学園は、良くも悪くもISに触れる学園だ。勘違いする小娘共も少なからずは存在する。この先、そのテの輩から絡まれる事もあるだろう」

「昨日のように、ですか?」

「あぁ、アレは特に典型的だがな。だが、面倒な奴はお前に直接手を出してくるやもしれん」

「お前達、とは言わないんですね」

「……アイツには私という後ろ盾があるからな……すまん、配慮に欠いた」

 

申し訳なさそうな顔をする先生を見て、少し意外だと思う。

そんな事を言う気概がこの人にあったなんて。

 

「話がそれた、兎も角、今後そういった生徒から被害を被った際には、私か山田先生に言え」

「…………」

「意外、といった顔だな。これでも一応は担任なんだが……私も山田先生のことも、信じられないか?」

「………………」

「信じられないならそれでもいい、利用するぐらいの気概で構わん」

「……仮に」

「?」

 

(助けてと言えば、貴女は僕を……)

 

「……いえ、もしそういう奴が現れたとして、俺が直接手を出すのは不味い、ということかと」

 

先日のように、と話を逸らす。

危ない、昨日今日と思考が少し緩くなってる気がする。

 

「……時と場合によるが、やりすぎてくれるなよ?」

「…………善処しますよ」

 

で、と話を改める。

 

「結局自分には何か用で?」

「あぁ、そうだ。先のお前の発言だが」

 

先?どれだ?

 

「別に、お前が使った程度で文句を言うような奴はこの学園にはいない…………と言い切りたいのだが、先の発言の後では弱いな」

「そうですね、言い切って欲しかったですね」

「……すまん」

 

また謝られる。

調子狂うな……。

 

「一先ず、私が言いたかったのはそういう事だ」

「…………まぁ、どうも」

「引き留めたな、いい時間だ、授業には遅れるなよ」

 

そう言い残し、寮へと向かう先生の後ろ姿を見送る。

そういえばあの人寮長だった、接点なさすぎて忘れていた。

 

(もう少し後にしてから戻るか)

 

鉢合わせたりとかしたくないし。

気不味いわ。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

部屋に戻り、シャワーを浴びて。

昨日食べれなかったのもあったので、気持ち多めに朝飯を摂って、教室に向かう。

相変わらず生徒からの視線が向けられるが、先刻の先生の言葉のせいか、悪意や敵意(そういう)視線を少なく感じてしまった。

 

悪いことではない筈なのに、何故だか前よりも居心地の悪さを感じた。

 

 

「織斑、雪待、お前達二人には専用機が用意されることになった」

 

授業中、織斑先生から伝えられる。

そして俄かに騒がしくなる教室。

尤も、織斑にはその重要度が伝わってないようだが。

 

織斑先生からの指示で織斑が教科書を読み上げる。

要約すれば、世界にあるコアには467個という限りがあり、各々所属や用途が存在する。

本来であれば、国家代表やその候補生でなければ用意されることのない貴重なソレを、素人もド素人の男子二人の為に割くということだ。

贅沢の極みとも言えるだろう。

豚に真珠、猫に小判とも。

 

「織斑の機体は現在製作中、雪待には学園の訓練機を貸し出す形になる。希望の機体があれば伝えろ」

 

……改めて聞くと酷い差だ。

片や最新鋭機、片や量産機。

贅沢な我儘だと分かってはいるが。

 

代わって欲しいか?

いや……流石にブレード一本の自爆機はちょっと……。*1

 

「あの、織斑先生……篠ノ之さんって、その……」

「ああ、そうだ。篠ノ之はアイツの妹だ」

 

おずおずと一人の生徒が質問し、織斑先生が答える。

瞬間、再び生徒が騒つく。

 

「あの人は関係無いッ!……私は、あの人じゃない。教えられるような事は何も……」

 

……ホント、あんなのが身内だなんて、災難だよな。

 

「姉が人殺しだなんてよ……」

 

尤も、篠ノ之から受けた過去での事を含めれば、姉も姉なら妹も妹って感じだが。

 

 

 

授業が終わり、昼休みを迎えた。

 

オルコットは織斑の所へ煽りに行っている。

絡まれる前に飯食いに行こう。

席を立ち、教室を後に。

 

授業前に購買で買っておいたパン片手に、外の端の方に設置されてるベンチに向かう。

この時間(昼休み)、二番目に女子の気配が無い場所。*2

ここは変わってないらしい。

 

「はぁ……」

「ため息ついたら、幸せが逃げちゃうよ〜?」

「ッ⁉︎」

 

背もたれに体を預け、息を吐くと同時にソラを見上げて、背後に立つその人の見下す目と目が合う。

驚きで背が攣りかけた。

 

「布仏さん……」

「ヤッホー」

「なんで、此処に……」

「ん〜?ユッキーが一人で何処かに行ってるのが見えてね〜食堂の方でも無いみたいだし?」

 

こんな所があるなんて知らなかったな〜なんて言う彼女は、そのまま俺の隣に座る。

その距離、拳二、三個分程度。

 

「よく見つけたね〜」

「……偶々だよ」

 

ずっと知ってたなんて絶対言えない。

 

一人の昼休みは、基本ずっと此処にいた。

君が此処にくるのも時々。

二人の時は基本屋上だったから。

 

「……その、布仏さんは良かったのか」

「うん?」

「昼飯、持ってるようには見えないが」

「えへへ〜いつもお菓子食べちゃうから、お昼はたまにしか食べないんだ〜」

 

全部知ってる。

 

何も持ってないと袖をヒラヒラと揺らすその姿も、はにかんだようなその表情も、そんな不摂生な生活習慣も、実はソレを気にしてはいる事も。

 

「そう、か。まぁ、程々にな」

「……ふふっ、ユッキーは優しいね」

「…………………………」

 

もはや何も言うまい。

パンを口にする。

春の日差しが暖かい。

 

「ユッキーは専用機はどうするの?」

「んむ……ラファールにする」

「おー即答」

 

これは授業が終わってすぐに伝えてある。

最初から決めていたことだ。

ついでに、一つ注文も添えて。

これもある程度は予想済みだったのかすんなり通ったが。

 

打鉄は、重厚な装甲と安定した機動性が重視された機体だ。悪いとは言わないが、俺が使うには遅すぎる。こればっかりは相性の差だ。

 

「で、どうするの?せっしーの事」

「……来週、か」

 

記憶通りなら、この時期のアリーナは予約が埋まって使えない。

つまり、ぶっつけ本番でしかないのだ。

策に関しては練るだけ練ってある。

後はその準備が間に合うかだけ。

 

「事が上手く運べば、だな」

「おぉ〜自信有り?」

 

ニコニコと笑みを浮かべるそれも、全く嫌味を感じない。

むしろ、見守られているようで心地良い、なんて。

 

「あ、織斑先生が機体の受け取りは明後日の午前中になるってさー」

「土曜か……待って、なんで布仏さんがそれを知って?」

「むっふっふっふ〜」

 

何故か不敵に笑う布仏さん。

その後の質問も、のらりくらりと躱され、結局真相は掴めぬままだった。

 

 

 

 

 

 

*1
白式『⁈』

*2
(Q.一番は?A.男子トイレ)









名前 雪待 薊   誕生日 3月19日
身長172cm

彼ですか?
成績は非常に優秀、運動能力も秀でた、まさに文武両道、優等生の鏡のような生徒です。
手の掛からない生徒っていうのも、あながち間違いじゃないですよ。
ただ、教室に限らず学年内においても孤立しているようで、友人と言える関係の生徒がいないみたいで…それだけが気掛かりでしたね。

理由?元々近寄りがたい雰囲気?みたいなのはあったんですけど、多分、アレが一番ですかね。

過去に、ある女子生徒と揉め事が起こって。
近隣住民の「生徒が複数の暴漢に囲まれて暴行を受けている」なんて通報を受けて、警察に通報しつつ他の教員と大慌てで現場に向かって目にしたのは、複数の気絶した地域の不良と、喚くその女子生徒とその子を追い詰めた彼で。

話を聞けば、一方的に絡まれて、手を出されてからやり返したと。
ポケットからレコーダーが出てきた時には驚きましたよ。
準備が良すぎたんですよ。
その一件以外でも結構よくあることだーって言ってましたけど。
今の子って皆あんなにしっかりしてるもんですかね?

え?えぇそうです、女尊男卑ってやつですかね。
あんまり自分じゃ気が付かないもんですね、意外とそういう人達が周りに居るなんて思いもしてなくて。
まさか生徒間でそういうのが起こってるなんて聞いてなくて、私たちの間でも問題になりましたし。
実際、それ絡みでイジメも幾らか見つかってしまいましたから。

その一件で、余計に彼の周りから人が離れるような空気を感じましたね…自分でもどうしてもやれなかったのが、心残りですよ。

はい。彼の家庭環境についても聞き及んではいますよ。担任ですから。
その……市や国からの支援を受けているとはいえ、あの歳の子がたった一人で生活なんて…とてもじゃ無いけど私だったら、なんて。

だから、ほんと凄いんですよ彼。
授業も休まず、課題も出して、アルバイトもして、受験じゃ誰よりも早く推薦取ってましたから。
何もしてやれなかったですから、担任面も出来ないし、鼻が高いなんて口が裂けても言えないですけど。


【中学三年時の担任への聞き取りより】

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