文長いですが、よろしくです。
またHGSS以外のキャラも今後出す予定なのでご容赦を!
海は広いな 大きいな
わたし仕事や 帰りたい
さて今私はジョウト地方アサギシティの沖にいる。
クルーザーに乗ってきたのだが、船の中は超高級ホテルみたいで全く休めなかった。ふて寝しようにも周りが煌びやか過ぎて集中できん。
私の様な庶民には眩し過ぎますわー
野生のポケモンや渦潮で到着が遅れ、夕方になってしまったがアサギの沖に船で一泊するまでは予定通り
まあ、そこら辺のホテルより高級だからご飯とかサービスは無問題!私の方は大問題。
そして一夜明けて私は街に降り立った
おお!これがジョウトか!
初めて旅に出た時を思い出すなぁ
わたしは いま! ジョウトちほうへの
だいいっぽを ふみだした!
うんうん旅とはこうでなくてはね
アサギシティに到着しましたー
アサギシティ
しおかぜ かおる みなとまち
ジョウト地方有数の港町。
カントーでいうクチバシティ。ホウエンだとカイナシティに当たる。有名なアサギの灯台はアサギのシンボルとも言われているそうだ。
こうしてみると感動するね
ゲームだと灯台の灯りはデンリュウのアカリちゃんのお陰なのだがまだ現役なのだろうか?
夜勤お疲れ様です!
よし!改めてジョウトに来たんだ
最初のこの空気と景色と今の思いを感じ取ろう。
うん!潮風が気持ちいいね!
最高!
うん!キャモメも気持ちよさそうに空を飛んでいる!
最かわ!
うん!私は今すぐ高飛びしたい!!
最悪!!
時刻は只今午前6時。
朝早い時間だからか、船乗り以外誰もおらん。
一緒に来た組スタッフは午後まで自由にして良いと伝えたが、私の警護をすると言ってうるさいので「あんまり、仰々しいとかえって怪しまれるからやめろ」と言って引き離した。むさ苦しい奴と一緒とか嫌やわ。
なので適当に過ごしてもらってまーす
さてと午後まで時間あるし、眠気覚ましも込めて散歩するかー 折角だし少しでも見て回りたい。
テクテク歩いてポケセンやら定食屋を通り過ぎると砂浜が見えてくる。
おおーええやん。ザザァーと波の音と砂浜でのんびり過ごすクラブ達。これぞ港町!風情がありますなー
水着のお姉さんは‥流石にいないか‥
残念やわぁ。浮き輪とかあれば私が膨らませてあげたりして色々とお話してぐへへな事を‥なんちゃって
「海は広いな。空も大きい‥」
カントーにいた時は仕事に追われたり、ビルや建物に囲まれて空を見上げる事も無かったからより広く感じる。自然ってマジぱねぇ‥!
「自由になりたいな‥まだ囚われたままか‥」
思わず、ぼやいてしまう。
くそっ!まだスジモンとして囚われている事にイラ立ちを隠せない。正に奴隷。スジモンの家畜、スジ畜や。社畜の亜種と言っていいだろう。
あぁ観光してー、女の子とイチャイチャしてぇ
かわいいポケモン吸いしてぇ!
アオキさんあんたすげぇよ。してんのうとジムリーダーの二足の草鞋とかやべえよ。スジモンとカタギの草鞋を履く私も見習わせてもらっていいすかぁー?
「あのう‥珍しい身なりですね。エンジュの方ですか?」
「ん?」
あら綺麗な声‥ 私に話しかけたのかな?
あとエンジュの方?あっそっか、今着てるの着流しだった。演歌歌手っぽい服で結構目立つ奴なんだよなー だからエンジュの人と間違えたのか。
私は声をかけてくれた人に向き直ると、おお!と思わず目を大きく開いた。
両側で二房結った茶髪のロングヘアー。橙色のリボンがついた薄緑のワンピースに白いカーディガンを羽織る可憐な美女がそこにいた。
ネームドや‥ネームドがおるぞ‥!しかも推し!
誰じゃと思う?
「‥申し訳ない。エンジュの者では‥」
「あ!そうなんですか!後ろ姿だからてっきりエンジュからの観光客の方かと‥」
手を口に当てて、微笑みを浮かべながらお話する姿は正に天使!いや女神!!
まあゲーム内でも結構優遇されてるよね。
「いきなり話しかけてごめんなさい。あたしはミカンと言います。よろしくお願いしますね。」
はいよろしくお願いします!そうミカンさんです!
アサギジムのジムリーダー!
HGSS時代よりも大人びた美女に成長した姿はとても眩しい。あと心優しいトレーナーで、あのアカリちゃんが心を開く人物なのも納得だ。
まさかそのミカンさんに会えるとは!かんげきー!
さすが私の推しの一人!
ほんっとちょうかわいい。なんなの?
メロメロ入っちゃうね。
「こちらこそ。アサギジムのジムリーダーとお会いできるなんて光栄です。」
「ご存知だったんですね‥ で、ではその‥改めまして‥こほん‥!」
「ん?」
「わたしはアサギジムリーダーのミカンです‥!使うポケモンは シャキーン!!‥‥はがねタイプです」
「‥‥」
「‥‥」
お、おう(困惑)ファンサありがとうございます。
まだまだそんなお年頃なのかね?10年後に蒸し返したらブチギレられそう
決めポーズなんか決めちゃってかっこいいと思ってんの?(率直な感想)
でも可愛いからokです!
「‥こほん!まあ自己紹介はさておき、おそらくジョウトに来るのは初めてですよね?ワビ組の組長さん。」
「え?」
「ようこそアサギシティへ‥!あなたは有名なんですよ?なるほど‥次はジョウトという事なんですね」
し、しまったー!そうだ私はスジモン!
カントーを制覇したやべえ組織の人間だから、次はジョウトを荒らしに来たかと警戒されるわなぁ!
一目見て分かるってマークされてる感じ!?
まずい‥どう切り抜ける?
言い訳?にげる?しらを切る?ゆびをつめる?
うーん‥ どれもきつい!
選択肢間違えれば即アウトだよ!これは!
大試練!ミカンの試練!やばいかもしれん!
どうする?‥と私が判断に迷ったその時
ぎゅるるる‥‥
「‥‥」
「‥‥」
突如鳴り響く腹の音!腹の虫が暴れ出した!
はらのむしの さわぐ!
鳴ったのは私の腹ではなく、当然━━
「‥‥//!」
はいミカンさんです。
私が目を向けると赤面してさっと視線を逸らす。
あ〜かわいい(鼻血)こんな姿見れませんよ。
ミカン推しの皆様見てるー?最高だぜ(煽り)
‥と内心で煽り散らすが本人からすれば今すぐ
からにこもるを連発する恥ずかしさに違いない。
わかるってばよ‥人前で腹が鳴るのめっちゃ恥ずかしいよね。ましては女の子だとなおね。
推しに恥はかかせん!恥をかくのなら私がかく!私はスジモンや!失う物はめっちゃあるけど何のこれしきぃ!
「‥すみません朝早くて空腹なのを抑えきれませんでした。」
「‥え‥!‥でも‥わたしの‥」
「いえ ミカンさんが聞いたのは俺の空腹音です。朝ご飯がまだなので、おすすめのお店を教えて頂けませんか?」
「あ、‥ええと‥はい。わかりました。私も朝ご飯まだなのでご一緒しますね。ふふっ‥!すぐそこのアサギ食堂というお店ですのでこちらに。」
よかった。うまくいったぜ。
ミカンさんも話に合わせてくれて感謝や。
そしてナイス空腹音。おかげで私のスジモンに関する話題は彼女の記憶から抜け落ちた筈だぜぇ
そして私はミカンさん行きつけのアサギ食堂に立ち寄り、奥の座敷に向き合って座る形で注文した食事が来るのを待っていた。内装は昔ながらの趣のある定食屋みたいで懐かしく感じる。町中華の様な安心感だ。
「へいお待ち!ミカンちゃん用のスペシャルアサギメニューだよ!お連れさんはこっちだね!ではごゆっくり!」
「わあ♪いつ見てもいいですね!いただきます!」
「‥‥」
ええ‥なにこれ(ドン引き)
私は朝定食で味噌汁やら漬物やらを頼んだのだが、ミカンさんそれなんです?
クソデカどんぶりの海鮮丼なんだが◯郎系みたいな感じの盛り付けは食欲を減退させる効果あり!
山の様な壮大さ‥
そうまるでMt.テンガン?それともMt.シロガネ!?
「‥ふふ!美味しいですね。いつもお昼にお邪魔する事が多いので朝食べるのは新鮮です。」
「そうなんですね。」
あかん。
可愛いんだがその食べっぷりが凄まじくて目がそっちにしかいかん。山の様にそびえ立った盛り付けがもう中腹位まで消えている。朝っぱらから何ちゅう食欲と強靭な胃袋や
大食いキャラ設定と聞いていたがここまでとは‥
ジョウトジムリーダーは化け物か‥!
その後しばらくは笑顔で話していたのだが会話が途切れると私の顔を見て申し訳なさそうに俯いてしまった。
「‥えっと、その‥色々と気を遣わせてしまって、すみません。わたしとした事が‥」
「何のことですか?俺はご飯を食べたかっただけです。観光としてこのお店は来たかった所もあるので。こちらこそ紹介してくれてありがとうございます。」
ミカンさんと同じ釜の飯が食えて最高ですわ
実は観光として行くなら押さえておきたいお店なんですよねこの店は
このお店行ってみたかったし、なにも問題ない!
ご飯うまいし、推しと食べれるし文句なし。仕事じゃなければなお良し!
「‥観光‥ふふっ‥そうでしたね。ありがとうございます。‥エリカさんが話した事を思い出しますね‥」
え?それまじ?エリカ様から結構聞いてる感じ?あの人とアンズさんには嫌われてないと思うからちょっと気になるなぁ。グリーンとかはアンチ入ってそうだから聞きたくないが
「それにカントーに引き続いてジョウトとは‥ワビ組も大変なんですね」
「‥‥」
しまったーー!?話を戻されてしまったー!
そうだよ。ジムリーダーだもんね。
治安維持しないといかんし、カントーで幅利かせてるスジモン放って置くわけないもんなぁ!
何という策士!
可愛さで油断させて私の警戒心をゼロにした挙句、逃げづらい奥の座敷まで誘導してくるとは!
お店も行きつけだから監視の目もあるし逃れられん!
これはアサギジムリーダーの可憐な術だ。
「先日ジョウトで手持ちのポケモンが失踪するといった事件がありまして‥わたしは不安なんです。大好きなポケモンがいなくなるなんてとても心苦しくて‥」
はわわ‥!まずい!これ疑われてるよ!
遠回しにワビ組がやったんだろ。白状しろ‥!って事でしょ!?
いや知りませんよ! ジョウト来たばっかやし!
一般通過誘拐スジモンの仕業ですよ。多分!
「それは辛いですよね‥大事な存在を」
「そうです。あなたなら分かりますよね。大事な存在や居場所がなかったからこそ‥」
あわわわわわわわ!
ミカンさん俯いて裾を握りしめておられる‥!
これはド怒りですね。げきりんブッパしておられる。
お前にわかるか?あいつの苦しみが!みたいな感じで言われると心苦しくなるからやめてくれ(切実)
「‥‥」
「‥組長さん。あなたはジョウトで何をしようとしているの‥?」
「‥俺は何もしませんよ。ただ‥」
「ただ?」
「やるべき事をやるだけです。」
ミカンさんの疑いの目が恐ろしい。
震え声からして感情ダイマックス!the激怒!
彼女に目を向けられん。
あかん、何もしませんとしか言えん。
今やるべき事をやるしかない。
「やるべき事?それは一体‥」
「筋を通す。それしかありませんので」
そう。俺は誓ってジョウトを荒らしません
そうとしか言えない。まずは行動に移そう。
誠意を見せるのです!言葉で言っても説得力ないなら行動で見せるしかない!
「組長!ここにいましたか。お食事中失礼します。」
ガラッ!と勢いよくドアを開けて入ってくる組のスタッフ‥っておい!なに勝手に入ってるんだ。周りの迷惑になるでしょうが!
「組長。午後の予定について、共有したいことがあります。お時間頂いてもよろしいですか?」
よくねえわ!見て分かるだろ。大事な話し中だ。
何でこのタイミングで入ってくるんですかねー
あと人前で組長と呼ぶな 周りにバレる!
どうするかとミカンさんに目を向けると営業スマイルでお構いなくと私に退席を促した。
やべえ!さっきの言葉が早速嘘になる!
これぞクイックリー掌返しの術!
ミカンさんの信頼度−893!これはまずいですね‥
この余裕のある笑み‥
私を泳がせて証拠を集めて捕らえるつもりだろうか‥
なんと計算高いお方だ‥!
勝手に入ってきやがって!
空気読めや!このスジモンが!
と、とりあえず流れを見てスタッフが因縁つける前に退席するしかないだろう。私はその場で勘定を済ませてミカンさんに丁重に挨拶する。
「ミカンさん。お時間頂きありがとうございました。」
「こちらこそです!色々と知れてよかった‥!またお会いできるのを楽しみにしてますね。」
やべえよやべえよ‥!
色々と知れてよかった(あなたの本性が知れたわ!)
またお会いできるのを楽しみにしてますね。
(次会う時は豚箱ね!鎖で繋がれる姿が楽しみ!)ってこと!?
なんという事だ。
ミカンさんってこんなに裏表のある人だったのか‥
いや、HGSSより成長してるのもあるだろう。社会の闇を知ったか‥
それでも推しや!(ファンの鏡)
ああ、もうジョウトに来て早々なんて日だ!
砂浜でたむろしてるクラブ達が羨ましい。
あの眩しい太陽と広い海が憎い!全てが嫌になるぜ!何でこんな目にあうんだ!
こんな世界なんて大嫌いだ!!
「早速ジムリーダーとコネを作っていたとは‥抜け目ない‥!俺たちには休憩させて組長本人は休まずに‥その矜持や誉れ、学ばせて頂きます!!」
うるせえ!お前のせいで台無しや!誉れとか何言ってるんじゃおめえ!
誉れは浜で死にました!
先が思いやれる‥ ああ胃が痛い‥
‥胃薬買うか
side ミカン
「行ってしまいましたか‥」
ミカンは迎えに来た部下と共に退店するワビ組の組長の背を見ていた。一人でひたすらに奔走する姿は見ていて痛々しい程に
(観光と言っていたけどあれはおそらく嘘でしょう。カントーの次はジョウト‥それ程までに責任を負う姿勢は流石としか言えない‥)
ワビ組がカントー制覇後、カントーの治安が以前に比べて格段に良くなったのだが、カントーで活動していた犯罪組織がジョウトに流れつき、ジョウトの治安は乱れつつあった。手持ちポケモンが行方不明になる事件など、かつてロケット団の残党が活動していた時と同じ位に
(組長さんは筋を通す。と言っていたけどそれがジョウトに来た理由なのかしら?カントーから逃れた組織がジョウトで迷惑をかけた事に対しての‥)
以前親友のエリカから聞いた事がある。
ワビ組の組長は生まれのカントーを何よりも愛している事を
あんな仕打ちを受けた世界に対しても憎しみを持たずにひたすら純粋に身を削って戦っているのだと
己の幸福を追い求めもせず。周りの為に己を使い潰していると。まるで自身には価値が無いかのように
悲劇の英雄みたいに誰にも感謝されずにいるが、世界に必要な存在であるとエリカに語られた時は驚いたが、実際に本人と話してみて彼に力を貸したくなる理由も分かった。
(あの人は愛で動いてる訳ではない‥おそらく強い責任感と義務感が彼を動かしているのね。)
カントーでの揉め事をジョウトに持ち込んでしまった。それに対しての責任を果たす為にジョウトに来たのだろう。裏社会の揉め事を他地方のましてや表の世界の人間に影響を与えるのはワビ組の面子が立たない。彼はそう踏んだのだろう。
だがそれ以上に彼は過去の妄執に取り憑かれている。それを取り払わんと言わんばかりの行動に見えていた。
(ロケットチルドレン計画‥組長さんはロケット団の悪魔の実験の被験者。奪われたままの人生‥それにまだ囚われている‥)
『自由になりたいな‥まだ囚われたままか‥』
あの時の彼の独り言が頭の中で反復した。
毎朝のルーティンとして行っている散歩時に彼を見かけ、その時に独り言を聞いてしまった。
話で聞いていた服装とは違い、黒地に赤い刺繍のギャラドスの着流し姿は威圧感を放っているかの様だった。ワビ組として何よりも面子を大事にした服装ではあるのだろう。変に警戒させない為にも珍しい服装だから話しかけた所から起点を作った。
彼は青空や広い海に感動しているが、その背中はどこか寂しくも見えた。牢屋に鎖で繋がれ、その事に苦しみつつも人並みに自由を夢見ている一人の人間に見えてしまったのだ。
(彼を英雄の様に見ている人は多いと思うけど、英雄なんかじゃない‥被害者とも言えるし、彼もまた一人の人間なのね‥)
そう。他のジムリーダーからも彼の話を聞く事があるのだが、この世界や大事な隣人を愛して己の運命を呪わず、無垢で強い意志を持つ英雄の様な認識なのだ。
しかし実際は繊細で過去に囚われ、自由を求めるもそれを表だって主張せずに仮面を付けて耐えている身の丈を弁えた一人の人間の姿だった。
本当は孤独で寂しいだろう。誰にも理解されないのが苦しいだろう。数奇な運命から逃げたいだろう。
でもそれを心の中に押し隠して蓋をした。
更にはそこに責任と義務という名の仮面を被り、己のできる事に精一杯尽くすだけの不器用な人間だった。
まるて必死で大人のフリをする子供の様な痛々しさ。弱弱しく見えるその気丈さに心動かない人間はいない。
(世間で言う不器用な人‥というのはあの人を指すのかも‥だけど何より組長さんは優しい。自分に厳しく他人に優し過ぎる。人によっては受け取り方が変わるから、毒にも薬にもなる。彼の様な生き方を見せられるのは特にね‥)
彼はミカンのかいた恥を己の恥だから気にするなと彼女を気遣った。ミカンの誇りを守る為に。ワビ組の組長ともなれば面子は何より大事なのにそれを捨ててまで気遣える彼の強さという名の優しさに他ならない。
過去の妄執に取り憑かれてはいるが、それを振り払わんとし、今の自分にできる事を必死でやろうとしているのだ。
(‥なるほど。それがあなたの本当の姿‥ 全てを知っても嫌悪する気持ちにはなれない‥ でも仮面の姿しか見ていないエリカさんもそうだけど、アンズさんに至っては完全に惚れ込んでるみたいだし‥組長さんも中々罪な男ね。)
ふふっと笑みを浮かべるミカン。
何故だろう。彼を放っておく事ができない。
彼の事を知るほどに手助けしたくなる。
以前カントーとジョウトで合同のジムリーダーの会合で彼の話題になった時、エリカやグリーン、アンズが彼を擁護した事を思い出す。彼はカントーとジョウトに欠かせない存在だと あの時は驚いたものだ。
アンズに至っては彼に関しての想いが強いのか、何かボロを出さないようにと必要以上に彼の事を話そうとはしなかった。くノ一としての矜持を守ろうとしたのだろう。
(あなたは愛されてますよ組長さん。本当の姿を見たとしても幻滅する人はいません。だから信頼できる人達の前ではその仮面を外して、責任感と義務感に押しつぶされないようにしてくださいね‥ )
彼の本性、仮面の内は己の胸の内に秘めておこう。
話すのは無粋だ。何より彼の優しさと強さに免じて。
ミカンは立ち上がり、勘定を済ませた後にアサギ食堂を出て外の空気を吸う。
眩しい陽の光が彼女を照らしていく。
(過去に囚われる必要はありませんよ。人間どうしても逃げたい時が来る 逃げ場所が必要です。限界が来たのなら、自由を求めたいのなら、いつでもわたしを頼ってくださいね。他の方でもいいんです‥ )
普段とは違う特別な朝。
たった一人の人間との交流でこうも見える景色が変わるのかとミカンは感動すら覚えていたが、その思いとは裏腹に黒く小さな澱みが不安として残っている部分もあった。
その小さな澱みがなんなのかミカンは気持ちを切り替えて思案する。
(‥しかし手持ちポケモン失踪の件といい‥本当にワビ組から逃れた組織だけの仕業なの?‥何か嫌な予感がする‥調べる必要があるのかも‥)
捉えようのない小さな違和感。ワビ組の目から逃れた組織の犯罪だとは思うが何かが引っ掛かる。ジムリーダーとしての勘か虫の知らせと言うべきなのか。
だが、この不穏は間違いではない事をミカンは後になって思い知るのだがそれはまだ先の話だ。
一方ワビ組組長は‥
(ああ!まさか監視されてるのか!? あの人も!?この人も!?私をみてるううう!?)
(私のそばに近寄るなあああああ!!)
ミカンの言葉を意味深発言と受け取って疑心暗鬼になり、着流しを着ている事から、物珍しさで見られていただけなのに監視されているとその日一日は警戒心マックスで過ごしたとさ。
主人公‥推しに会えた嬉しさで有頂天になるも推しが自分を疑っている事に内心穏やかではない。それでもミカンは推し。やる事なす事裏目に出るので胃薬が理解者になりつつある。
誓ってジョウトは荒らさないと言うがどうなる?
ミカン‥過去の妄執(ロケットチルドレン関係)に囚われており、本当は逃げて自由になりたいが、今の己の立場から強い責任感と義務感という仮面を被り、己を偽り不器用ながらも我が道をいかんとする主人公に隠れた母性が目覚めそうになる。
ミカンは私の母親になってくれたかもしれない女性だ!
主人公に関しての認識は歪んではいるがあながち間違いではないのかも?
アンズ‥ほのかな想いを抱いており、組長を語り継ぐ事を決意している。月日が流れワビ組の活躍を聞くたびにさすが組長さん!と喜び、一番英雄視している人。他の女性が主人公の事を話すと嬉しい反面、自分にも知らない組長の面を知るのは楽しくない様子。エリカと話す時は要注意
最近は別の修行に励む事が増えており、料理と裁縫、家事全般の修行をしている。
エリカ‥主人公解放戦線筆頭。これまでの悲劇の運命から彼を救い出し、楽しいカタギライフを歩ませたいが為に協力者を募り、見事ジムリーダー達を味方に引き入れた立役者。
ミカンに布教したのがエリカなので主人公の好感度が割と高めだったのはその為。
組長の良さを色々と布教しているのだが、アンズはライバルが増えると内心穏やかではない。
グリーン‥最初は疑っていたが、主人公の過去を知り、彼の無垢さと素直さに脳を焼かれ、自称マブダチに。なお主人公からは避けられている模様 つまり片思い。率先して話すことはないが、「わかってねえな。あの人はな‥」と厄介後方腕組みポジションを獲得。他人がなんて言おうが、あいつの良さを知るのは俺だけなんだよなスタイルを貫く。