ワタル推しの方、口調が違ったりしたら申し訳ない
ワタル
かの有名なドラゴン使いのトレーナー
こいつのカイリューは本来覚える筈の無いバリアーを覚えていたり、人にはかいこうせん撃ったりとやりたい放題の男だ。最もスジモンに近い男ともいうべきか
そんな奴と対面したくなかったわ。
機嫌損ねるとはかいこうせんかりゅうせいぐん撃ってくる可能性が高く私は今戦慄している。
「まずはお会いできて光栄だよ。君とは会って話をしたかったというのが俺の思いでね。」
「‥‥」
「君の事はカントーのジムリーダー達からも聞いている。アンズさんやエリカさん。グリーンも言っていたな。とても気に入られているみたいだね。」
はわわわ‥アンズさんやエリカ様ならまだしも、グリーンが言っているという事は私を捕まえる気満々だよこの人‥気に入られてるってどう考えても獲物を仕留める的なニュアンスにしか聞こえんわ‥!
「それにさっきのバトル‥とても見事だったよ。あのイブキ相手にあんな戦法をとるとはね‥やはり君の実力はズバ抜けている‥」
「‥俺は特に何もしてませんよ。相棒のスピアーの頑張りのお陰です。」
私は何もしてません。あれはスピアーがやった事なので私じゃなくてスピアーを褒めてやってください。
だらしないトレーナーですまない。
私が言ったことに対してワタルはうんうんと頷き、柔らかな口調で語りかける。
「流石だね。実力を過信せず、ポケモンを信じる力か‥イブキが敗れる訳だ。」
「‥まあ及第点ね。わたしは全然、ぜんっぜん!本気じゃなかったけど!」
さっきあんた落ち込んでましたやん‥
強がり言っちゃって、あーかわい
彼女の発言にワタルは苦笑するが、それを見てムッとするイブキさん。この二人確か従兄妹でもあるんだっけ? おもしれぇな。
「イブキや。お主はもう少しこの方の様に謙虚に己を見つめ直すべきじゃ。お主は力を求めすぎる‥」
小姑ぉ‥ちょっと長老様。
人前で注意はやめた方がいいかと‥
ほら、本人の尊厳とかもありますし気持ちはわかるんですけど、叱る時は二人きりで、簡潔にして最後は軽くフォローの一言入れるとかした方がいいと思いますが‥
「‥長老様。わたしは力のみを求めるのはその‥やめようかと思います。わたしにある弱さを強さに変えていきたい‥わたしにしかない強さを見つけたいのです‥!」
イブキさんは長老様を見ると弱々しく話し出すが、途中から口調が徐々に強くなっていく。まるで決意を固めるかのように。
「イブキ‥お主‥」
「力だけが本当の強さじゃない。わたしは新たに戦いたい相手を見つけました。その者と決着をつけたい。その為に強くなりたいのです!」
そうだよ。
イブキさんの強みであるそのグラマラスな体付きとツンデレ属性はかけがえの無いモノなのだ。それを伸ばせば更に人気が出るし、魅力が伝わると思うな。
戦いたい相手か‥誰じゃろうのう?(すっとぼけ)
「イブキ‥成長したのう‥そうじゃ。力のみが全てでは無い‥良き好敵手と巡り会えたの」
「‥はい‥!長老様。」
なんか感動シーンなんですけど。
私はイブキさんの胸にしか目がいかなかったんですけど。長老様は涙を流しイブキさんの手を取り喜び、それをワタルは微笑ましそうに見つめていた。
そして長老様がイブキさんから離れるとイブキさんは何かに気づいたのか突然バッ!と私に振り向くと顔を紅潮させて私を指差し声を震わせながら話し出す。
「‥ッ!‥屈辱よ‥!こんな事聞かれるなんて‥!」
いやぁ‥いいものですなぁ‥
こんなにツンデレ剥き出しだとからかいたくなりますよー。今も彼女は肩を振るわせて顔を真っ赤にしながら感情剥き出しで私に問い詰める姿は最高だな!
「‥次は勝つわ!メガシンカもさせてやる‥!それまでわたし以外に負けるのは許さないから‥!例えワタルであってもね!」
あーかわい!かの野菜王子みたいなこと言うじゃん。
素晴らしいものだな。私も思わず頬が緩む。
いつものスジモンフェイスが崩れるかの様に。
てか負けるの許さないってキツくない?ワタルとか勝てる気がせんわ。でもまそんな機会ないか!(フラグ)
「あなたなら最胸以上を目指せますよ。イブキさん」
「その余裕次は崩してみせるわ!‥だから‥その‥‥あなたも頑張りなさい‥」
ぐはあぁああ!!
本日二度目のきゅうしょ!
最後のデレが破壊力高すぎる!
早速強みを活かしてきやがった!応用力高すぎ!
やはり天才か‥
イブキさんは長老様に頭を下げると私を一瞥し、そのまま足早に立ち去っていく。
残されたのは長老様、ワタル、私のむさ苦しいメンズのみ。萎える
「‥なるほど。あのイブキをあそこまで‥これも彼の実力かな‥」
何かワタルの奴がボソボソ言っているけど、何なの?君そんなキャラだった? サイコパスから根暗キャラにフォルムチェンジしたのか?
「そうじゃな。あのイブキを変える何かがあったのじゃろう。良き好敵手との出会いが成長につながるからの」
「ええその通りです。イブキは大丈夫でしょう。彼と言う超えるべき壁を見つけたのですから」
だから二人して何話しているのじゃ?
私だけ置いてけぼり。寂しい。私は寂しい‥
何か二人でコソコソ話したかと思ったらワタルが私に近づいてきた。
うお!急な接近だと!? 私にはかいこうせん撃つ気か!?もしくはギガインパクト!?
「さてと。ちょっと君とは二人で話したくてね。場所を変えたいんだが‥どうかな?」
いやです(即答)
何で見ず知らずの男と話さなあかんのじゃ。大人のお姉さん呼んでこいよ! あーでも呼ぶとワタルにベタつきそうだよなぁ‥こいつモテそうだし。
おそらく選択権ないよね。断ったらはかいこうせん飛んで来る可能性あるから実質脅しです。
スジモン以上にやべえなこのドラゴン使い野郎‥
「‥わかりました。」
「ありがとう。長老様俺たちはここで失礼します。」
「うむ。二人ともご苦労であったな。着流しのトレーナー殿。改めて感謝するぞ。」
「?いえとんでもない。」
何かお礼言われる事あったっけ?
まあ貰えるものは貰ってやるよぉ!病気と男以外なぁ!
さてワタルちゃんに連行されて暗い洞窟を進んでいくのだが嫌な予感しかしないぜ!
帰りてえ‥!
‥‥
‥‥‥
「この祠の中なら人目に付かない。そこまで畏まらなくても大丈夫だよ。」
いや無理です。こんな狭くて蝋燭位しか灯りがないの怖すぎる。怪談話でもするんか?
ちなみにワタルに連れられて私はりゅうのあなの祠の中にいます。はい。
「君は中々面白い男だね。あのイブキが君に懐くとは思わなかったよ。これもワビ組組長の人徳がなせる技かな?」
おもしれー男判定ありがとうございます。
全く嬉しくないが
イブキさんってあれが素じゃないの?だってHGSS主人公の事結構気に入ってた感じっぽいじゃん。主人公ヒビキ君かコトネちゃんどっちかわからんけど。
「わかりませんね。俺如きにイブキさんが懐く筈がありませんよ」
「‥シロナさんから聞いた通りか‥結構な重症だな。これは‥」
私みたいなモブがネームド様に好かれる筈がございません。てかシロナさんって言わなかった?まあ元チャンピオン同士だし、交流している感じか?
てか重症って何? 厨二末期って事? 厨二卒業した筈なんだが‥わからんの
「‥まあいい。それよりもイブキが言っていたが、口ぶりからして君はメガシンカが使えるのかい?」
何でそんな事聞くの‥?まさかスジモンの市場調査?
ワビ組組長の実力を調査してるんだな!なるほど厄介な敵だからどの位の戦力か調査するんだな!後で組ごと私を潰す為に!!ちくしょう!ふざけやがって!
「いえ‥使えませんよ。今の俺では使える訳がない‥道具もありませんしね。」
「なに‥?‥ふむ。そうか‥確かにキーストーンも所持せず、更にはメガストーンをポケモンにつけている様子ではなかったね。」
スピアナイトもメガネックレスも今持って無いから、使える訳が無かろう!残念だったな!
「‥やはり重いか‥それとも負担が大きいのか‥?」
「ええ。まだ重く感じます(物理的に)まだあれは俺には辛い‥(疲労的な意味で)」
「!そこまでストレスなのか‥!」
まあ、ストレス?なのか?
特訓しているから楽にはなったけど、後はポージング位かなぁ‥ でも自然体なポージングって何だろ?
ネックレスを取って笑みを浮かべるとか。何か強者っぽいポーズはないのだろうか。
「難しく考え込む必要はないよ。焦らなくてもいいさ。君とスピアーの絆は本物なのだからね。」
え?やさし(チョロい)
そんな雑な理由でも許してくれるんですか?ワタルって結構優しいんだね。意外やわ。私チョロすぎない?
「プラズマ団との確執もあるだろうから、色々と考え込む気持ちもわかるからね」
‥前言撤回するわ。(高速手のひら返し)
やっぱこいつ怖い。プラズマ団の話とかやめてよ。
遠回しにワビ組も潰すぞって言っている様なものじゃん!
「プラズマ団か‥」
「最近話題のね。ジョウトの地で暗躍するポケモン失踪事件の黒幕。まあ俺よりもワビ組の方が詳しいんじゃないのか?」
同じ穴の狢みたいな言い方やめろぉ!確かに組員は詳しいですよ。暇さえあればプラズマ団狩りしてくるからさ!しかもあいつら最近私に護衛と称して張り付くから自由に動けないんですよ!最悪ー!
「ワビ組とプラズマ団‥二つの組織が大規模な抗争を起こすんじゃないかと世間はピリついていてね‥」
それまじ!?そりゃ放って置けないわな!
まずい!反社の抗争とか仁義なき戦いや!カタギを巻き込んじまう!誓って抗争はやりません!!!
「‥俺は出来ることをやるだけ‥これが使命‥ただ筋を通すだけですから」
そうだ。今はただ筋を通すだけ‥それしかできない。
私が生き残る為の大事な使命だ。
でも今あいつらプラズマ団狩りにハマってて怖いんだよなー。私の言葉でも止められないよ。
勝手に私の意思だと勘違いしてやっちゃうから勘弁して欲しい。
「筋か‥なるほど聞いた通りだ‥ただ体には気をつけてくれよ。色々と心配なんだ。」
てか何でここまで私を気にかけてくれる訳?一応裏社会のボスですよ私は‥何か打算があるんじゃないのか?
プラズマ団とワビ組の抗争‥
私を気にかける‥
つまりワビ組がこのまま健常に活動して欲しい事は組員がプラズマ団狩りをしてくれた方が助かるって事だよな?
‥まてよ。と言う事はプラズマ団とワビ組が潰し合う事を願っているということか!?
そうか!お互い抗争で争い合う様にワタルは仕向けている感じか!!
なるほど!弱った所を一網打尽という事か!!
姑息!卑劣様!!
なんという神算鬼謀‥!人にはかいこうせんを撃つのではなく、弱ったところを狙うとは正に謀聖や‥!
「ワタルさん‥ ワタルさんは何故そこまで俺を気にかけるのですか‥?俺みたいな奴を‥」
私は思わず聞いてしまった。何故私に優しくするのか。それは私を仕留めるためか単に親切か。
まあ素直に答えるとは思わないがつい口が動いてしまったのだ。
ワタルは私の肩に手を置くと優しく微笑み私の瞳を見つめ、自然と私とワタルの目が合う形になる。
え、何これは?(ガチ困惑)
「簡単だよ。俺は君が大好きなんだ。君の在り方や潔さ。立場は違えど筋を通そうとするその姿勢にね。」
ゑ?
どう言う事だよ!!
気色悪い事を申すでない!!
「イブキとのバトルも惚れ惚れしたよ。計算尽くしの戦略とスピアーとの強い絆はまさに理想のトレーナーだよ。」
お前の事が好きだったんだよ!って事ぉ!?
ワタルゥ‥! お前ホモォ‥そっち系だったのか‥
大胆な告白に私は思わず白目をむき、気を失いそうになる。ヴォエエエエ!!(ガチ嘔吐)
過呼吸と体の震えが止まらん‥ やめてくれよ(絶望)
「だからこそ、君の様なトレーナーを失いたくない。俺も責任を取らないとな‥」
おい待て!責任を取るって!?まさか結婚!?
夫婦の誓い的なアレ!?ざけんな!!
こいつ!私のケツの穴を狙ってやがったか!!
ただの私欲じゃねえか!クソが!
断ったらはかいこうせん待ったなし!!
だが私は死んでもお前とはいたくない!!
「いいえ違います。あなたがそんな責任を背負う必要は全くない。」
「だがそれでは‥」
「あなたは他を探して下さい。(他の男を探せ)他にできる事をね。ではここで失礼します。」
ほら打ってみろよはかいこうせん!
私を仕留めてみろよ!(ヤケクソ)
ワタルが手を退けた隙を見計らい私は急いでその場を去った。奴は私にフラれた事がショックなのか唖然と立ち止まる。
私は女性が好きなのだ。男なら他を狙うんだな。
あーやべ 汗と震えが止まらん‥
今日は速攻で隠れ家に帰るぞ! ワタルがストーキングしてくるのが怖いからさっさと帰る!
特性ききかいひ 発動じゃあ!!
side ワタル
(彼には本当に頭が上がらないな。だがそれ以上に彼を苦しめているものがある‥)
ワビ組組長が去った祠の中でワタルは一人組長が去った扉を見つめていた。
場所を変えて組長と二人きりで大事な話をしていたのだ。話題はプラズマ団やワビ組について、更にメガシンカについて、そして━━
(━━ロケットチルドレン。やはり彼の過去はそれに囚われたままだ。)
そう。ロケットチルドレン
ロケットチルドレンの洗脳教育により、彼は表社会での生きる術を知らずに育った。それ故彼は裏社会こそ己の全てであると表社会を影から守る事を決意した。プラズマ団との対立もその責任を果たす為と言える。
(彼は筋を通すと言った。それはプラズマ団による事件の責任‥それを背負うつもりだ。現に俺に責任は無いと言った。あくまで裏社会の問題は裏社会の人間の責任である‥君はそう言いたいんだね?)
これは裏社会の問題であるから、表社会の人間の責任では無いとワタルを庇ったのだ。
ワタルもリーグを代表する人間の一人。世論ではポケモン失踪事件を早期に解決できないリーグ委員に非難の声が上がっている。
それを知ってワタルを庇ったのも一つの理由だ。
(義理と人情か‥とてもロケットチルドレンとは思えない発言だな‥ 何故彼がこうも表社会の人間を守るために動くのか‥)
(前にグリーンが言っていたな‥洗脳教育を受け、かつての仲間に忘れ去られても決して恨まず、泣き言を言わずに風評被害にあった者達を守る為に彼は動いていると‥)
ロケットチルドレンは世間での計画を隠し通す為にロケット団によって記憶を消し去られ、彼についての存在も忘れ去られたという。
だが世間では未だにロケット団への恐怖からか被害者だった筈のロケットチルドレンも非難の対象であり、それが払拭出来ずに今も続いている。
彼は今も名も知れぬ同胞の為に、汚名返上と彼らの名誉を回復するために裏社会で人々を影から守っているのだ。
(君の根底にあるのは強い優しさだ。だからメガシンカも本来は使える筈‥ という事はやはりロケットチルドレンのトラウマによる自信の消失があるのだろうな‥)
彼の実力の高さはロケットチルドレンの過酷な訓練によるものだろう。しかしそれにより精神の摩耗は想像以上であった筈だ。
本来の彼は優しく、他人思いの人間だ。己を否定され罵声と暴力を振るわれる日々が続いていたに違いない
(過去の洗脳教育と恐怖が知らず知らずの間にストレスとなり、自信を消失した事でメガシンカが自分には荷が重いと感じさせ、そんな自分を責めて情けないと思う事はとても辛い事だろうな‥)
彼とスピアーとの絆はとても強固なものである事は誰の目から見ても明らかだ。しかし彼自身が心の奥底、つまり潜在意識では自身にメガシンカは相応しくないと思う事が枷となっている。
おそらくメガシンカは出来るがその力を十分に発揮出来ないのが彼の現状と言ったところだ。
(シロナさんが言っていた通りだ。それが君を苦しめ、無意識の内に自罰的になっている‥ 君とポケモンとの絆は本物なのに‥ )
スピアーも最初は彼に道具の様に使われて恐怖した筈だ。そこから長い時を共に経てスピアーは彼を許し絆は本物になったのだろう。
しかし彼はそれを引きずっている。自分はロケットチルドレンとしてスピアーを道具の様に扱ったから許される筈もない‥と
(彼が謙虚なのは自信の無さからくる自己肯定感の低さによるものだろう。イブキとは正反対だね‥)
己を信じて絶対の自信を持つイブキと自罰的で己を卑下し、自信を失った組長の二人は対照的だ。違う性質を持つからこそお互い惹かれる何かがあるのだろうか
ワタルは考えながら辺りを見渡し、祠の扉をゆっくりと開けて外に出る。
そのまま祠から出ると、腕を組みながら柱に寄りかかるイブキがワタルを見つめていた。
「イブキか‥どうしたんだい?」
「長老様から聞いたわ。‥で話は済んだの?彼はまだ中にいるのかしら?」
イブキはワタルに近づくと組長の事を気にかける様に話しかける。ワタルは今しがた彼は帰った事を伝えるとイブキは俯き、考える様に顎に手を当てていた。
「そうなのね‥ どう?何か聞けたかしら?‥メガシンカの話をした時の彼は辛そうだったから‥」
(流石に気づくか‥)
イブキも気づいていたのだ。彼の違和感に
メガシンカの力を発揮出来ず苦しんでいる彼の姿はイブキの目から見ても感じるものがあったのだろう。
イブキは彼を案じ、祠の前で待っていたのだ。
「彼の実力ならメガシンカ自体はできるだろうが、やはり過去が関係しているのだろうね。大きなトラウマになっているみたいだ。」
「ロケットチルドレンね‥ 全くひどい事するわねロケット団も‥本当に彼は大丈夫なのかしら‥?」
胸の前で祈る様に手を握り、目を瞑るイブキ。
神に祈りを捧げる様に彼を案じていたのだ。ワタルも同じ気持ちだ。彼の事が心配でたまらない。
イブキがここまで心配するとは彼も大した男だ。と思った事をワタルはそのまま言葉として発した。
「イブキ‥随分彼の事を心配するんだね。君にも大切に出来る友達が出来たのは嬉しく思うよ。」
ワタルはこれまでとは違った態度を見せるイブキに安堵の表情を浮かべた。ワタルの発言を聞いたイブキはすぐさま顔を上げると、顔を紅潮させながらワタルを睨みつけて喋り出す。
「‥はぁ!?‥と、友達じゃないわよ!‥えっと‥そう!ライバルよ!ライバル!心配なんかじゃなくて、あいつがメガシンカ出来なかったら、わたしが最強の称号を取り返せないの!勘違いしないでよね!!」
「‥?心配してるじゃないか。」
「だから違うわよ!!」
イブキがワタルに向かって怒鳴り散らしているが、ワタルは気にせず流していた。イブキがこうも一人の人間に強い感情を抱いている事にワタルは驚きを隠せずにいた。
(あのイブキがここまで気に入るとは‥対照的な二人だからこそ強さと弱さが浮き彫りになって見えていたのかもな‥)
これまでのイブキは力という強さに執着していた。
強いドラゴンポケモン使いとは力こそ全てであるという考えに至り、今ではしてんのうを凌駕する程の実力になった。長老の言葉に表面上は従うも、真の意味での強さを忘れてしまっていたのだ。
(イブキの持つ強さとはこの事だね。一度決めたら曲げない意思の強さとバトルの観察眼は俺以上かもな。それを一度の勝負で見抜くとはな‥)
イブキの強み。彼はそれを見抜いていた。だからこそそれに気付くようにイブキ本人にアドバイスを送っていたのだ。大事な事を自分自身で気づかせる力が彼にはあるのだ。
(力だけが本当の強さじゃない‥確かにその通りさ。でも君にも当てはまるよ‥君の真の力は根底にあるその優しさだよ。)
(君は強い。だがメガシンカにトラウマを抱えている。だからこそイブキは心動いたんじゃ無いかな‥強いが故に脆い君の姿を見て‥)
彼はとても危ういトレーナーだ。
義理と人情を大事にし、名も知れぬロケットチルドレンの被害者の為に身を削っている。しかし洗脳教育で自罰的になり、己を卑下しメガシンカにトラウマを抱える様になった。
イブキも彼の本当の姿をあの戦いで感じ取ったのだ。
そんな彼を心配しつつも心の奥では憧れ、超える事がイブキの目標になったのだろう。
(イブキと話している時の彼はどこか柔らかい表情に見えたよ。もしかしたらこの二人は良きライバル関係になるのかもしれないな。)
イブキとバトル後に話している時の彼の表情は口角も上がり、とても優しい顔つきに見えるほどだった。彼について聞いた噂では己の行く道を突き進み、裏社会の面子を保つ為か、驚く程表情を変えない事だ。
しかし心境の変化があったのか彼は想像もつかない程に柔らかくなったのだ。
(それに最後俺が彼の肩に手を置いた時、嬉しさのあまり震えていた。おそらく心配してくれる存在がいなかったのだろう。これまで闇の中にいたからこそだな‥)
ワタルが彼を心配して労った時の、表情はどこか苦しそうな表情でもあったが無理もない。こんな自分に心配される価値は無いと卑下していた。後半震えていたのは嬉しさが込み上げてきたのだろう。一人で孤独に戦った男が発露した寂しさなのかも知れない。
そしてイブキとライバルになれた嬉しさもあり、孤独を感じずに済んだ事を喜んでいるのもあるのだろう。
(俺もすっかり彼に魅了されたな‥みんな気にかける訳だ。何と言うか彼を放って置く事が出来ない‥一人のファンとして応援させてもらうよ。)
ワタルは彼の力になりたいと本気で思っていた。不器用ながらも前に進もうとするその意思とイブキを変えたその人柄にワタルも魅了されていた。
自分には出来ない事を本気でやり遂がんとする修羅の道を往く彼を。
(長老様も彼の事を気にかけていたようだし彼はドラゴン誑し‥かも知れないな。ドラゴン使いは強者を何よりも求める。他地方のドラゴン使いが彼をどう見るか‥それも楽しみだね。)
ドラゴン使いは性格に一癖ある人物が多いが、そんな人物から強者の判定を受けたら彼はどうなるのか。持ち前の人徳で魅了するか、イブキの様にライバル視されるか定かでは無いが、波乱の道になるだろう。
(君の行く道に祝福を。プラズマ団との確執も無理はするなよ。君は言ったね 他に俺が出来ることをやれと。俺にできる事‥それはリーグの力を使い、ジョウトの平穏を守る事だ!)
ワタルは彼の行く道に幸運を祈ると同時に今後のジョウトの未来と平和を守る為に決意を固めて動こうとしていた。
一方ワビ組組長‥
しばし時間が経ち
組長は拠点としているホテルに戻り臨時の組長室にて休息を取っていた。
すると外から組長室の扉をドンドンと叩き、組長が中に入る様に手引きする。
「組長失礼します。今しがた潜らせていた連中から連絡がありました!」
「連絡だと?話せ」
「はい。何でもプラズマ団の潜伏地と思われる箇所をいくつか突き止めたそうです。地図で見てみますと、場所はこの地点とここの地点と‥」
組員がジョウト地方の地図を広げると、プラズマ団潜伏地の箇所をマーキングする。その地点はくらやみのほらあな。つながりのどうくつといった洞窟や洞穴など潜伏にはうってつけの箇所が中心だ。
ただその中で一つ。洞窟では無い潜伏地があった。
ワビ組の組長はその一点を指差して組員に尋ねる
「ここはなんだ?チョウジタウンか‥?」
「はい。そこはかつてのロケット団アジトです。プラズマ団のボスは拠点をそこに移して何かを企んでいるかと思われます。」
プラズマ団は人目に付かない様に洞窟や洞穴に潜伏していた。しかし七賢人の一人リョクシは最近それらを脱して今はかつてのロケット団アジトに潜伏していたのだ。
封鎖されているとは言え、電化設備も生きている可能性が高く、何かを企んでいるのかもしれない。
彼とその他数名の科学者らしき人物が洞窟から拠点を移したらしく、その理由はアジトに何かがある事を意味すると言うのか。
「ボス‥か」
「はい。七賢人の一人リョクシ。奴はそのチョウジタウンのロケット団アジトに潜伏しています!」
敵の首領はチョウジタウンにあり。
ワビ組は本格的に戦いへの道へ進もうとしていた。
(リョクシ‥? ‥ああ!あのコガネのちかつうろで会ったおっさん!?え!?あの人七賢人なのぉおお!?)
ワビ組の組長は一人だけ状況が理解できず一人置いてけぼりであったとか。
主人公‥ワタルにケツを掘られると思い込み、苦手意識を持つ。夢にまで出てくるほどトラウマになった。
イブキ‥主人公の過去や運命に翻弄される姿(勘違い)を彼から感じ取り、力になりたいと思っている。いつか万全なメガシンカで彼と戦い最強の称号を取り返す事を望んでいる。
ちなみにいずれはライバルから良き友へとなりたいらしいのだが性格上素直になれない為当面難しい
ワタル‥かつてロケット団の残党を相手した事もあり主人公の過去や運命にかなり同情的である為、心動かされた。またイブキを変えた事に感謝の気持ちが強くなり、主人公の力になる事を決意。誓ってホモではない。はかいこうせん撃つのはワタルの裁量次第
ドラゴン誑し‥まあ、他地方のドラゴン使いとは何らかの形で絡む事があるかも知れない。
あるインフルエンサーとか、年配の四天王。幼きドラゴンガールにして後のチャンピオンと、その少女を育てたジムリーダーとか海賊風味の四天王とか、あとメイドラゴンとかね。
まあ後にそのメイドラゴンとはミアレで出会うのだが。
ちなみにその主のゴージャスにして可憐なセレブにも目をつけられたりとか‥どうなる組長?
いつも閲覧頂きありがとうございます。
あと3、4話位で本編は完結する予定です。
よろしくお願いします!