今後についてのアンケートにご協力頂けますと幸いです
詳しくは活動報告をご覧頂ければと!
『‥!失礼。キミが今抱えてるポケモンはスピアーですよね。』
最強の助っ人加入で喜んでいる時にミュウツーは私が抱きかかえるスピアーを見ていた。
「ああ。頑張ってくれたから、少しでも休ませてあげたいんだ‥」
私の呟きにミュウツーは無言で近づき、スピアーに手をかざすと緑色の光がスピアーを包み込んだ。
懐かしいものを見る様でありながらも慈愛に満ちた表情を浮かべながら、いやしのはどうでスピアーが傷ついた箇所が修復していくと垂れていた触覚もピンと立つ程に回復した。
疲れからかそのまま目を瞑るスピアーをボールに戻し私はミュウツーに向き直る
『時間が無いので簡易的な応急処置です。強い疲労によるものが大きいので、ボール内で少しでも休ませてあげてください。』
「ミュウツーありがとう。ところでなぜミュウツーはここに?」
本当にありがてえ!神様!仏様!ミュウツー様!
感謝の気持ちでいっぺえだが、なんでミュウツーがここに?
さっき私の腰からあのボールが離れて、それが突如光ったと思ったらミュウツーがいた感じなので状況がよくわからん。
ミュウツーは足元に転がったボールをサイコパワーで私の手に置くとボールの中から石ころを浮かせた。
ん?これは確かミュウツーから貰った石ころ?
『この石にワタシの力を込めていたのです。死を感じるほどの強い感情が石に伝わると、石がワタシに位置を教える様に‥石が光ったのはその石が本来秘めている力‥によるものかと。』
ははーん。なるへそー
GPS機能付きって事ね。便利ー!じゃあ、あの時死を受け入れていたらマジで死んでたってこと!?
やば‥! 生き恥晒してよかった!!
てか石保管しておいてよかった!
私は石をボールにしまいフタを閉めて大事に握り直す。
『‥本題に入りますがワタシが相手取るのはあの赤い二足歩行のポケモンで良いのですね。』
ミュウツーは時間が無いと言わんばかりに目の前のゲノセクトを観察する。うむミュウツーvsゲノセクトか
劇場版みたいでええやん。
「ああ。あのポケモン‥ゲノセクトに手持ちのポケモンがやられてピンチだったんだ。」
『ゲノセクト‥それに手持ち‥なるほど、スピアーとカイロス以外にも仲間を見つけたのですね。』
「そうだよ。大事な仲間だ。」
『‥ふふ。良いですね‥‥さて、そろそろ展開したバリアーも限界の様です。砂埃も晴れてきましたし、準備はよろしいですか?』
楽しく会話していたがもう時間的にきついか。流石にこの場面で厨二ノリは出来ないのは無念ではある。
私は頷くと、ミュウツーは申し訳ありません友よ。と話し出したので耳を傾ける。
『キミとは9年123日8時間18分53秒振りですので、積もる話もあるのですが、それはまた後ほど。今は目の前のゲノセクトに集中しましょう』
めっちゃ細かく覚えてるぅ!?
君初めての友達だからって色々と重すぎない?嬉しいけど距離感どうすればいいの?これ
私が思考を終える頃にはバリアーがガシャン!と壊れ、砂埃が晴れると私が健在なのを見たおっさんが、めちゃくちゃ驚いていた。
「なに!? あの攻撃から逃れたのか!‥それにそのポケモン‥まさか‥ロケット団が作ったと言うあの‥伝説のミュウツー‥!?噂は本当だったのか‥」
『ワタシの事をご存知なのですね。ワタシは彼の大事なトモ。故にアナタを敵と判断します。』
おっさんはめちゃ驚いていたが、そりゃ伝ポケいたら驚くだろ。ミュウツーは冷たくあしらい全く相手にしていないが。
「!?喋れるのか‥!?ゲノセクトと違い意思の疎通が可能‥なんという科学力だ‥!」
それはそう。ミュウの遺伝子から作られたとは言え意思の疎通ができるってやばいよね。しかもポケモンとも話せるし、凄すぎぃ!
「凶暴と言われるあのミュウツーを手懐けるとは‥!奴はロケット団の後継者の中でもエリートだと言うのか?N様と同じ英雄の担い手と‥!」
なんかおっさんがビビってぶつぶつ言っているがあんなの無視無視!!
私はミュウツーに近づき、耳打ちする様に小声で話しかけた。
「ミュウツー。戦う前に一つ聞きたいんだが、君の使える技は何がある?」
『概ねほとんどの技が使えます。流石に神話に登場するポケモンや特有の技などは使えませんが、キミの要望には応えて見せます。』
ふむふむ。じゃあ思いつく限りは大丈夫と。
え?チート過ぎん?あのゲノセクト以上じゃね
そんなチートと手を取りあっての共闘とかワクワクするじゃんね。てかドキドキしますわー!
「まさかミュウツーと一緒に戦うなんてドキドキするよ」
『ええワタシもです。トレーナー戦は初めてですのでキミの采配期待していますよ?』
デビュー戦か‥!こりゃあ尚緊張するぜ!
あーやばい気絶しそう。メガシンカの疲労と緊張で頭がボーッとするが、気のせい気のせい!!
「‥ゲノセクトの調整は抜群だ。例えあのミュウツーであっても敗北など有り得ん!」
「ギュオーン!」
「ミュウツー!頼んだぞ!」
『ええ お任せを』
ミュウツーとゲノセクトが互いに向き合う。
お互い一歩も動かず静寂だけがこの場を支配した。
それに我慢できなかったのかゲノセクトが先に動いた
「ゲノセクト!テクノバスター!」
「ミュウツー!サイコカッター!」
「ギュオー!ギュ!」
『‥!ハァアー!!』
ドカン!とテクノバスターとサイコカッターが衝突するがサイコカッターの方が威力が高く、テクノバスターを破り、ゲノセクトに直撃!
「ギュオー!?」
そのパワーは凄まじく、あの巨体のゲノセクトが呆気なく吹っ飛ばされる程。吹っ飛ばされた時の強い衝撃波に思わずぶるっちまったぜ‥!
「なんだこのパワーは!?威力が違い過ぎる‥!」
『‥ふむ。なるほど‥』
何やらミュウツーが自分の手を見つめていたが、今更厨二アピール!?闇の力が目覚めそうだ‥!的な感じの奴かよ‥ あのゲノセクト固いから早めに仕留めてくださいよぉ!
「ミュウツー だいもんじ!」
『追撃ですね。行きます!』
「ギュオーアア!!!」
ミュウツーが手を交差させて円を描く動きをすると、空中にとても大きな火炎の「大」の字が浮かび、両手でそれを押し出すとその大火炎はゲノセクトに直撃!
「ギュオ!?」
こうかはばつぐんだ!
威力やば!大火事やん!
火炎の熱で私まで死ぬかと思った‥
てか手の動きカッコよ!厨二を心得すぎだろ!
「ゲノセクトが‥!やはりそのパワー伊達では無いか‥!」
『当然です。ワタシはオリジナル以上のサイコパワーを秘めています。単純な力比べならおやめなさい。』
なんか火炎を背景にしてるからラスボスっぽいんですけど‥ あなたそんなキャラでしたっけ?結構自罰的というか自己肯定感低すぎなミュウツーだった気がしたのですが‥
「‥なに?オリジナルという事はロケット団はミュウツーをいくつも複製していたのか‥?なるほど。ではお前はその中の成功体という事か‥」
『‥それは違いますよ。ワタシはミュウツーの中での欠陥品でした。オリジナルよりサイコパワーが強いだけ‥それの制御で他の事は何もできないミュウツーのなり損ない‥』
『ですが、彼はワタシを認めてくれました。ありのままのワタシで良いと!ワタシはワタシであると!それがワタシを強くしてくれたのです!!』
「!!」
おおーええ話で感動的やな。(他人事)
そんな事言ったっけ?覚えてないなー(鼻ホジ)
まあかなり前だから思い出補正だろ!
「ありのまま‥」
『ポケモンは人と共にあるから強くなれる。ワタシは彼というトモを得たから今があるのですよ。』
「‥!ええい!!起きろゲノセクトよ!貴様の実力はそんなものでは無いだろう!」
「ギュオ‥!」
ゲノセクトがゆっくりと起き上がるが、かなりのダメージだ。そりゃあまあ4倍弱点ですし、あんなやべえ技食らって消し炭になってないのがスゴイわ
『ゲノセクトよ‥アナタは何故戦うのですか?』
「ゲノセクト構うでない!ラスターカノンだ!隙を作りだせ!」
「ギュオー!!」
ミュウツーが話しかけるも無視して暴れるゲノセクトくん。ラスターカノンのグミ撃ちでミュウツーはその場から離れざるを得ない感じだ。
「ミュウツー!上昇して回避!その後は降下して掻い潜るんだ!」
『了解です!!』
ミュウツーは迫るラスターカノンをひたすら避け続けるが技が途切れる気配がない。
壁や天井がボコボコ抉れて砂埃がやばいですわー
うむアスベストで死ぬかもしれん
『凄まじいですねこの弾幕は‥ これでは近づけない』
「ゲノセクトよ!まだだ!撃ち続けろ!」
「ギュオアーオオ!!」
『‥!厄介ですね。バリアーを張っても削られてしまう。あれ程の猛攻だと貼り直す暇がない‥!』
たし蟹。
ミュウツーはバリアーで体を覆っているのだが、めちゃ消耗して今にも壊れそうだ。
うーん何か良い手はないかね?
‥ん?いい事思いついたわ!これ使えるんじゃね?
「ミュウツー!ミラーコートをバリアー状にできるか?それで体を覆うんだ!」
『!なるほど!そんな手が!』
ミラーコート
特殊技を倍にして跳ね返す、謂わばとくこう版カウンターだ。これならば相手の攻撃を無効にできるぜ!
まあ相手ではなく私にも跳ね返るリスクがあるが、ミュウツーなら上手くやるだろ!(投げやり)
現にラスターカノンがめちゃ反射して壁にピンボールみたいに跳ね返しやがる。ミュウツーはそのままゲノセクトに接近し、私はすかさず指示を出す。
「ミュウツー はどうだん!」
『ハァー‥ セイヤァ!!』
ミュウツーが両手で大きな球体を作り出し、かめ◯め波みたいな構えからはどうだんを繰り出した。
技の規模はほぼ元気玉だが。
それがゲノセクトに命中してラスターカノンは途切れゲノセクトは怯む。
ドカン!と周りに瓦礫が飛び交うとかやりたい放題過ぎる。これ地下施設保つかね?倒壊するぞ。
「ギュオアー!?」
技が途切れた瞬間を見計らい、ミュウツーはゲノセクト前にテレポートして話しかけていた。
『ゲノセクト。ワタシはアナタをこれ以上傷つけたくない。攻撃をやめてくださいませんか?』
「ギュオーア!ギュオオオ!ギュア!」
『‥製造者の為に使命を課たせとの命令‥なるほど。アナタも人の手により造られたのですね‥』
「ギュオア?」
『‥ワタシもアナタと同じです。人に造られし存在‥アナタの気持ちは強く分かります。ですが、ワタシは彼の為に戦います‥!』
「ギュオ‥ ギュオオオ!ギュオア!」
『‥‥戦う事こそゲノセクトの役割としてアナタに寄せられた強い期待だと‥なるほど。ますますワタシに似ている‥』
『それでアナタは良いのですか?あの男は役割のみ押し付けて、アナタの思いを汲み取っているとは思えません。アナタの自我や意思を尊重して個体としてではなくアナタ個人として見ているのですか?』
「ギュオアー!ギュオ!? ギュアオイ!」
『ふむ‥そんな事は関係ない‥とそれにワタシは彼に命令されていません。これはワタシの意思なのです』
『そう。ワタシの思いはいつでも彼と共にある!ワタシはミュウツー!我ハココニ在リ!ワタシはワタシです。いつか彼と共にある未来の為にワタシは戦います!これこそがワタシの思いであり、願いなのです。』
「ギュイイ‥ギュイ‥!ギュアー!」
『‥なるほど人とポケモンのキズナを信じられないと。でしたらワタシと彼の強さをアナタにお見せしましょう。遠慮はいりません。アナタの全力をワタシにぶつけなさい。』
おおーなんか饒舌に会話してますね
私とおっさんは蚊帳の外。二人で楽しい時間を作ってやがるがあのおっさんはめちゃくそ焦ってるな
「ゲノセクトよ!何をしている!ミュウツーとのお喋りは終わりだ!」
「ミュウツー。君はどうする?」
「ギュ‥!ギュオアー!」
『あのゲノセクトの全力を受け止めたいのです。そうすれば、ゲノセクトも何か分かる筈‥』
拳での語り合いか。殴り合い友達ができたか‥
まあ拳じゃなくて特殊技での語り合いだが。
てかミュウツー?厨二卒業してスジモンの道にいく感じなの?否定はせんよ。おすすめもしませんけど
「君の気持ちを尊重するよ。ゲノセクトを放っては置けないんでしょ?友達だから」
『トモダチ‥ 君がそういうのならばそうなのでしょう。‥心強いですねキミと共に存るのは。そして心地よい‥スピアー達が羨ましく思えるほどに』
「ミュウツー‥」
『一緒に行きましょう。人とポケモンは共にあってこそ。ワタシはキミに委ねます。』
「ゲノセクトよ。わたしに従うのだ。最大出力のテクノバスター!」
「ギュオアー!!!」
ゲノセクトの砲台からめちゃでかい光弾がズドォン!とミュウツーに命中する。物凄い威力だが大丈夫だろうか?私の手持ちなら10回位ひんしになってそう
『‥!!』
「他愛もない‥いかにミュウツーと言えども今のは効いた筈‥!」
「ギュオ‥!」
やべえよ。ミュウツーの姿が見えないんだけど‥
私のマイフレンド‥ どこへいったんスカ
『良い一撃ですね。ですがアナタの思いはまだ弱い‥そんな一撃では彼は倒せませんよ』
いえ余裕で消し炭になります。
例えとは言え限度があるだろ!でもよかった!何とかミュウツーは生きている。天井近くまでいて気づかんかった。
所々体にダメージが入ってはいるが、じこさいせいを使っているのか肉体は段々綺麗になっている。
うむ強靭!無敵!最強!!
「馬鹿な!あれ程の一撃を耐えるだと‥奴の性能は化け物なのか!?」
「ギュイ‥!」
『トモを思う気持ちがあれば、こんなモノかすり傷です。人とポケモンを繋ぐ強い意思の力‥それこそが根源にあるのですから。』
「‥強い意思‥人とポケモンとの関わり‥」
『さて、それではワタシと彼の力をお見せしましょう。さあワタシに指示を!』
すまん。何言ってるかわからん。
厨二なのか、スジモンなのかハッキリして欲しい
とりあえず私はミュウツーに適当に指示を出す。メガシンカに近い強い繋がり的なモノを感じるね
これが厨二友情パワーだ!厨二は世界を救う!
握り込んだモンボの中から光っぽいのが出てる気がするが気のせいだろ!
「ミュウツー サイコブレイク!」
『ハァア‥!セイヤ!』
ミュウツーの手に光が集まり、それが球状に膨らんでいく。紫と白が入り混じったその光は真っ直ぐにゲノセクトに飛んでいき直撃した。
その光は眩しくはあるが、温かみが感じる様な優しい色合いだった。
「なるほど‥ありのままとはこれだったのか‥人とポケモンが手を取り合う世界‥か」
「ギュア‥!」
ゲノセクトとおっさんは光に呑まれているかの様に見えたが大丈夫なの?浄化しちゃった感じ?
あの光めちゃくちゃ綺麗だったけど
そして光が晴れると倒れているゲノセクトらしき姿。瓦礫とか砂埃というかが酷くてよく見えんが
「‥敗北か‥立て直しも厳しい‥ここから退いて体力の回復だけでも‥」
おっさんが何やらぶつぶつ喋り、
まあ何もしてこないから大丈夫っぽい。
マーイーカー!
つまり私たちの勝ちだ!!!ミュウツーありがとう!
あー終わったー
『これこそがワタシ達の力です。ゲノセクトよ』
「ハァ‥ハァ‥」
『大丈夫ですか!?しっかり‥!』
だいじょばない。いやーきついっす
なんか急に息が上がっちゃってぇ‥やばいやばい。
私はやべえ疲労感に襲われ片膝をついていた。
頭もボーッとしてきたし眠いわ。
夢の中にいる気分だぜ。テンション下がるなぁ‥
「‥!‥!‥!!」
そして、なんか後ろの方から女性の叫び声と大きな足音が近づいてくるのがわかった。
段々その声の主がはっきりと聞こえてくる時には扉が開かれ私の真後ろにいた。
「‥ここね!‥なにこれ‥!?ポケモン達が倒れて、荒れ果てている‥!」
後ろを振り返ると目に入るのは息を切らして私を見るシロナさん。
あれ?シロナさんだ。何でここに?
体もふわふわするしやっぱ夢なのかな?いつから寝たんだろ?わからんが考えるのめんどくせえ!
こんな所に来るわけないし、うん夢だ!
この半端じゃ無い眠気じゃ何もしたく無いわ
あーやばいやばい。夢の中のシロナさん助けてー
私はシロナさんまで近づくも足がもつれて倒れこんでしまう。やべえー 立ってらんねぇわ‥
「‥え?ちょっと!大丈夫!?」
‥私はそこで意識を失ったが、なんだか花の様な美しき香ばしい匂いが体を包んでいる。
ああ柔らかい‥ 天国や
zzz‥‥
‥‥
‥‥‥
「‥全く、無茶するわね‥でも無事でよかったわ‥!」
シロナは目の前で倒れる彼を咄嗟に抱き止めた。
高身長な彼をそのまま支えるのは難しい為ゆっくりと仰向けに寝かせて、シロナの太腿の上に彼の頭を乗せた所謂ひざ枕の形で休ませた。
「決着がついたのね‥とても激しい戦闘だった事は分かるわ‥」
横になって休むワビ組の組長の髪をさっと撫でて辺りを見渡すシロナ。壁は抉れてその一部が燃えており床も瓦礫で散乱とした光景はまさに死闘だったのだろう
ワビ組組長はさっきまで激戦を繰り広げていたに違いない。アジト前でのワビ組の組員から聞いた情報によるとこの階にいるのはプラズマ団の首領。つまり相手はあのリョクシだ。
砂埃でよく見えず、奥に人影らしきものが
だがまずは彼の安否確認が先だ。
「シロナさん!彼は‥!?‥ん?見つかったようだが‥これは一体?」
「大丈夫よ。疲れて寝てるだけ‥ふふっ‥全く心配して損したわ‥」
シロナの背後から扉をこじ開けて慌てた様子で入ってくる黒マントの男ワタル。彼もまた組長の事を案じてシロナと共にプラズマ団アジトに乗り込んだのだ。
シロナの膝の上で休んでいる組長の様子を見て、恐らく極度の疲労で意識を失ったのだろうと推察する。
無茶をした彼には後で説教をする必要があるだろうがまずは彼を安全な所に連れていくべきかを考えていた
ワタルはふぅ‥と息をつくとシロナの横に片膝をつき、彼女と共に彼の様子を観察する。
『‥‥お取り込み中失礼します。』
「‥え!あなたは!?」
「‥‥!」
突然優しい口調で話しかけられた二人はその声に反応して顔を上げると、息を呑む程の驚く光景を目にした
人語を喋るポケモンに驚いていたのもあったがそれ以上にそのポケモンを見ることこそが衝撃だったのだ。
『彼のおナカマですか?怪我が無いようでしたら、ワタシのいやしのはどうで彼を少しでも回復させてたいのですが‥』
「え?ええ‥是非お願いするわ。」
「‥まさか‥君はあのミュウツー?どうしてここに?そして何故彼を治してくれるんだい?」
なぜ二人は驚いていたのか
それは破壊の遺伝子とも呼ばれる人造ポケモンミュウツーが目の前にいたからだ。
ロケット団によってあるポケモンの遺伝子を素に作られた謎多き凶暴なポケモン。ワタルは何故そのミュウツーがここにいるのか、そして目の前の彼を治すのかその繋がりがわからずにいたのだ。
『‥まずここにいるのは彼の力になる為です。ワタシは彼と協力してゲノセクトというポケモンを打破しました。』
「ゲノセクト?倒れているポケモン達のことかい?やはり彼は一人で戦っていたのか‥」
『ワタシと戦ったのは赤い個体ですが、その他は彼のスピアー達が相手していたみたいですね。』
組長はミュウツーと協力して倒れているポケモン達、ゲノセクトとやらを相手にしていたみたいだ。という事はミュウツーは彼の指示に従ったという事になる。
シロナは何かに気付いたのか、彼が大事に握っているモンスターボールを見てミュウツーがここにいる理由を推測した。
「彼が握っている古びたモンスターボール‥!彼は宝物と言っていたけど‥まさかこのボールにミュウツーあなたが‥!?」
『宝物‥それ程までに大事にして下さるとは‥とても嬉しいですね。』
彼が言っていた。このモンスターボールは大事な宝物であると。つまりこのミュウツーは彼に取って大事な手持ちポケモンである事が判明した。
しかし何故彼がここまでミュウツーを大事にするのか。シロナはパズルを組み立てる様にこれまでの彼の過去などから整理していく
(気性が荒いミュウツーが彼にここまで肩入れする理由‥それはロケットチルドレンが関わっているのだけは間違いないわね)
(しかし、何故ここまでミュウツーは彼に肩入れを?ロケット団の関係者であるのなら彼を恨む筈‥いくら彼が優しいとは言え、この事に対しては到底分かり合えるとは思えないわ‥)
ミュウツーは自身を生み出した人間を憎悪している。その理由がミュウツーの持つ凶暴性だ。かつてミュウツーの研究に携わっていた研究者が述べていた。あの力はまるで人類への怒りである‥と
しかし今ミュウツーが彼に向ける目線は慈愛に満ちたものであった。凶暴性とは正反対なミュウツーの態度にシロナは混乱していた。
(彼がミュウツーに慕われる要因は何?それが見えてこない‥何かわからないのかしら‥)
彼とミュウツーの繋がりが全く見えてこない。ミュウツーが彼を慕う理由が思い浮かばず、更に思考の沼に嵌るシロナ。そんな時ミュウツーが放つ言葉がシロナの考えを大きく動かした。
『そしてワタシが彼を治す理由‥それは彼はワタシの
(共‥?つまり彼とミュウツーは共にある‥ということ?まるで一心同体‥それが指し示すものは‥まさか‥)
(彼はミュウツーと同じ遺伝子配列の家族であるというの!?)
そう。彼はミュウツーと同列の存在である。だから彼はミュウツーを大事にしていたのだ。
驚愕の事実にシロナは頭が真っ白になった。
(ロケット団の担い手として育てる為に遺伝子配列を弄られ生まれた存在が彼‥ そうなれば当然親なんていない。その後ロケットチルドレンとして利用されたという訳なのね‥!)
(ポケモンは自分に似た匂いを同族意識として見るみたいだけど‥ミュウツーは彼に家族の繋がりを遺伝子という匂いで感じ取ったのね‥なんて残酷なの‥!)
(ミュウツーの言う「共」とは共に繋がった存在を指す。やはり、彼とミュウツーは種族は違えど同じ遺伝子配列の家族なのね。だからこそ彼に対して慈愛の視線を向けていたと言うのかしら)
彼がギンガ団に見せた冷酷性、凶暴性は弄られた遺伝子配列によるものだったのが真相であったのだ。更に彼が歴史に詳しい事の一旦もそれが関係していた。
(そうか!プロジェクト:ヌルに詳しいのはその為だったのね!あなたにとって血の繋がりのあるミュウツーの研究を調べていく過程でプロジェクト:ヌルに触れ、自然と歴史に詳しくなったという訳ね!)
シロナはミュウツーと彼の関係を知り、同情の気持ちと同時に感謝の気持ちを抱いていた。
彼を支えてくれた事
そして憎悪に飲まれず優しさを得た事
そして見知らぬ自分たちを信じて話してくれたことに
「ミュウツーあなたはとても優しいのね。ありがとう。見知らぬ私たちの質問に答えてくれて」
『彼のナカマであるのなら当然です。ワタシは彼に救われた身でもあるので信頼できるのです。』
ミュウツーは強力なテレパシー能力を持つと言う。シロナが思った事を否定しないという事はそれが正しい事を意味する。
ミュウツーがここまで優しくなれたのは彼の内に眠っていた優しさがあってこそだろう。ミュウツーにとってたった一人、言わば血の繋がる家族として彼の言う事を聞いたのだ。
それがいつしか本当の優しさになった。
なんと美しき世界であろうか
「ん?シロナさん!何だか天井の砂埃が舞い落ちているが‥!これは‥!」
ゴゴゴ‥!と天井のヒビが広がっていく事を確認したワタルはシロナに問いかける。組長とリョクシの戦闘により、天井が倒壊しかけていたのだ。シロナはそれにハッと気づくと、ワタルに向き直る。
「まさか‥ここは倒壊するというの!?いけない!今すぐ避難しないと‥!そういえばリョクシは‥!‥まさか‥あの時の人影であるリョクシが逃げた‥?」
「‥おそらくそうだろう‥!‥俺たちが倒れた彼を気にかけている間にね‥!」
砂埃が少し晴れると先ほどまで動いていた人影は消失していた。二人とミュウツーが話している隙を見て逃亡したのだろうか。
倒れているゲノセクトを回収せずに逃げたのだから相当切羽詰まっているのだろう。
もしくはリーグの人間であるワタル達にゲノセクトを任せた方がゲノセクト達の為になると考えた可能性もあるが真意は不明だ。
『‥少々パワーを出しすぎましたね。やはり制御はまだまだか‥ 倒壊まで猶予はありますが二人とも準備を!』
「ああ!そうするよ。シロナさん!彼は俺が背負う!脱出を!」
「‥でもゲノセクトが!」
「‥心苦しいが‥いつ倒壊するかわからないこの状況じゃ自分たちの命が大事だ!ぐずぐずしていると生き埋めになる!」
『でしたらゲノセクト達はワタシにお任せください。ワタシの力で一度離脱しますのでどうぞお先に。彼の事‥お願いします。』
「‥ミュウツーすまない!ああ!任されたよ!」
「ええ!ありがとうミュウツー!」
天井のヒビ割れがミシミシと少しずつ広がり、周りの壁にも亀裂が入り、倒壊の危険性が高まっていく。
ミュウツーは倒れているゲノセクト一体一体を器用に浮かせるとその場からテレポートで離脱した。
さっきまで砂埃で見えなかったが、奥には扉らしきものがあり、その扉が開きっぱなしだった。
おそらくリョクシはその奥の扉から脱出したのだろうか
ワタルは組長が握りしめているモンスターボールを腰に付け直すと彼を背負い、シロナがその後に続く。
「来た道を戻ればいいのよね?‥エレベーターは動く‥!よかった!急いで!」
「ああ!頼んだよ!」
エレベーターに乗り込むとパスワードを打ち地下一階へ急ぐ。複雑な迷路と化し攻め込むのに時間がかかったワビ組組員達とは違い、ワタルは記憶を頼りにアジトの入り口まで急ぐ。
そして、地下一階に到着するもそこにワビ組の組員の姿は無い
ワタルとシロナが組長の手助けの為加勢した事をワビ組組員に伝えてあるので、迷惑になるまいとプラズマ団員達を捕縛した後直ぐに撤収していたのだ。
ワタルとシロナは駆け足でアジトの入り口を目指す。地下一階は地下二階とは違い、床や壁に損傷はみられないが足元から聞こえる地響きの様な音が恐怖を誘う
「後もう少しだ!アジトの入り口まで‥!?‥!まさか‥ここにいたのか‥!?」
「‥!どうしたの?急に立ち止まるなんて‥」
ワタルががその場で急に立ち止まるとシロナも慌てて足を止める。止まった時にワタルが背負っている組長を大きく揺らし、彼の体に激しく振動を伝えて思わず落としそうになる程だ。
シロナは驚くワタルの顔を見た後に正面に向き直ると、男性らしき人影が目に映る。
シロナはその姿を見て驚愕の思いを口にしていた。
「な!?まさか‥!ずっと待っていたと言うの‥!?」
「待て。ここから先は通さない。わたしが相手だ」
「リョクシ‥!」
穴が所々空き、裂け目でボロボロになった黒装束衣装を纏いながら佇む年老いた男。
七賢人リョクシがそこにいた。
「野望は潰えた━」
「ゲノセクトは戦闘不能。全てのアジトは潰され機能せず、我々は完全敗北したのだ。」
静かながらも厳かな口調でリョクシは語り出す。
ワタルとシロナは警戒の目線を向けているが、リョクシはまるで懐かしいものを見る様な澄んだ目でワタル達を見ていた。
「‥奇妙なものだ‥今のわたしはかつての私が蔑んだ無意味な抵抗をしている。全く合理的ではない判断を」
「‥‥!!」
「‥組長君?」
ワタルに背負われた組長がワタルの肩に手を置き背中から勢いよく飛び降りた。
先程足を止めた振動で彼を起こしたのだろうか。
組長は呼び止めるワタルを手で押し込め、シロナはそれを止めずにただ見ているだけ。彼はリョクシの正面に立ち、睨む様に対峙する。
「最初はこの場から退こうとした。だがそれでは繰り返しである。そこでわたしは考えたのだ。価値あるモノにしたいと‥!」
「‥
リョクシはワビ組組長の顔を見ると、まるで旧来の友と接する様な穏やかでありながら強い意志を秘めた目線を向けて、語り出す様に言葉を紡いでいく。
「ここで君と戦う事は本来何の意味もない。ワビ組が勝利して我らが敗北。野望は潰えた‥これが覆る事は無い。だからわたしのこの意地は君への敬意だ‥!」
「さあ、勝負を始めよう。君とわたしの最後の勝負を。‥最後の
ぶつかるは意地と意地。立場も目的も関係ない。
譲れないプライド同士のぶつかり合いだ。
今ここに己の意地をかけた最終決戦が始まろうとしていた。
主人公‥気がついたらワタルに背負われた為、起きた時気分が悪くなった。リョクシと向き合ったのは早くワタルから逃げようと考えていた為。
リョクシ‥覚醒して己の意地をかけた戦いを主人公に挑む挑戦者になり、ゲーチスの呪縛からついに脱した
色違いゲノセクト‥リョクシ達による洗脳教育で自我を否定され戦闘マシーンと化した。ミュウツーとの戦いで自我や人との絆に気づき、主人公とミュウツーに興味を抱く様に。
ミュウツー‥バトルで強すぎるサイコパワーの制御が外れかけ、思わず周りを消し飛ばしそうになった。本当はテレポートをワタル達に使えば解決するのだが暴走のリスクが高く、飛ばす場所を大気圏とか山頂に送る可能性があった為
最後ゲノセクトに対してテレポートを使ったのは頑丈だし大丈夫やろと謎に信頼していた為
シロナ‥主人公とミュウツーを家族と勘違いしてしまった人。益々主人公に同情を寄せる様になる。
ワタル‥シロナと同じ。同情ならぬ同上
※シロナとワタルはミュウツーの個体が複数体いる事を知らない。その為このミュウツーをロケット団が作り上げたオリジナル個体であると勘違いしている。
プロジェクト:ヌルに関しては
その筋の者(スジモン)と美しき歴史の探索者の
後書きをご参照ください。