ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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おはこんハロチャオ!
という事で(半分ほど)ナンジャモ回です

いよいよ10世代来ますね!
どうなるか楽しみです!

あ、ちなみに本小説はZA外伝で完結予定です。



後のエレキトリカル★ストリーマーとその筋の者(スジモン)

 

 

「あらあら‥ふふふっ‥お似合いですわよリーリエさん。」

 

「エリカさん!ありがとうございます。着物の着付けから茶道まで‥初めての体験でした!」

 

 

 

タマムシジム内にあるジムリーダー専用の控え室。そこにリーリエはいた。

 

タマムシシティを探索中に偶然タマムシジムリーダーのエリカと再開し、エリカに誘われて着物の着付けや茶道の嗜みを教えて貰うなど、異国の地による新鮮な体験にはリーリエも目を輝かせた程だ。

 

ちなみに一緒に散策したピッピは歩き疲れたのかモンスターボールの中で休んでいる

 

 

「やはり素材が良いと何を着ても似合いますわね。リーリエさんには他にも着て貰いたいものがありますわ‥!」

 

リーリエと同じく目を輝かせるエリカ。

リーリエを着せ替え人形の様に次々と着物の着付けを行い、今も三着目の着物の着付けを終えたばかり。

常人であれば辟易する場面だが憧れの着物に袖を通せる喜びにその様な感情は生まれなかった。

 

だが一つ思う事はあった。

その気持ちを胸の中に秘めたまま過ごしたく無いと思ったリーリエはその思いを口にした。

 

 

「あの‥エリカさん‥エリカさんは何故ここまでわたしに尽くしてくれるのでしょうか?」

 

 

「あの組長さんが大事にされるお方なのです。それに遠くから来たのですもの。カントーの事を好きになって貰いたいのですわ。」

 

 

リーリエの問いに柔らかな笑みを浮かべるエリカ。

その笑みにリーリエはほっと胸を撫で下ろす。

それを見たエリカもリーリエに優しく語り始めていた

 

 

「組長さんはカントーとジョウトにおいて絶大な影響力を持つ裏社会組織ワビ組の長です。失礼があってはなりません。ワビ組のお陰で秩序は守られカントーは平穏なのですから‥」

 

「ワビ組‥確かヨウさんが呟いたのを耳にした事が‥クミチョーさんはそのワビ組の組織の長だったのですね‥」

 

 

リーリエと行動を共にしたアローラチャンピオンのヨウはアローラに越してくる前はカントーに住んでいたという。

あまりカントーの話はしてくれなかったが、スカル団との対峙の際にワビ組よりかは怖くないと言っていたがこの事だったのかと合点が言った。

 

 

「ええ。さっき話してくれた先日のおつきみやまの件で組長さんの戦いを見ていたのですよね?でしたら、その実力は感じ取った筈です。彼の強さは並大抵の者では挫く事は出来ないと」

 

 

リーリエの脳内にふとよぎるのはおつきみやまでのUB襲来について。

あの夜テッカグヤと呼ばれるUBと対峙していた組長と彼の手持ちの活躍で難なく撃退した事からかなりの実力者である事は理解したが、裏社会組織の組長であるのならそれも納得できる話だ。

 

 

(タイプ傾向からしてむしタイプ使いですよね‥まるでグズマさんです。でもグズマさんよりもクミチョーさんのグソクムシャさんの方が遥かに鍛え上げられていた感じがします。)

 

アローラ地方を拠点に活動したならずもの集団スカル団。そのリーダーグズマはかなりの実力者だ。

 

かつてキャプテンを目指した人物なだけはあるが、それ程の実力者よりも遥かに強い組長の実力にリーリエは驚愕した。

 

 

だがそれ以上に疑問に思う事があった。

リーリエは組長の事に詳しいと思わしきエリカに純粋な疑問を投げかけていた。

 

 

「‥しかし、何故クミチョーさんはわたしにここまで手を差し伸べてくれるのでしょうか?‥母さまや家族を持つわたしを羨ましいとも言っていましたが‥」

 

 

「‥!!なるほど‥組長さんがそんな事を‥ですがそれも致し方ない事なのですわ‥そう簡単に呪縛からは逃れられないと‥相当根深いトラウマ‥やはりまだ過去に囚われているのですわね」

 

リーリエの問いにエリカは俯き暗い表情になる。

その事に触れるのはいけない事だと予感するが、まるでそれに触れなくては先に進めない様な感覚に陥り、リーリエは意を決してエリカに問いかける。

 

 

「‥エリカさん?それは一体どう言う事なのでしょうか?」

 

「‥組長さんは孤児です‥両親から捨てられ愛を受けずに育ったのですわ‥」

 

「‥え‥?‥うそ‥クミチョーさんが‥!?」

 

衝撃の発言にリーリエの表情は凍りつく。

自身とは違ったその境遇に驚きを隠せずにいた。驚きというよりも強い悲哀の感情が彼女を覆い尽くしていく。

 

 

「組長さんに許可なく話すのは心苦しいのですが‥彼は未だ過去から抜け出せず苦しんでいる‥リーリエさんは彼と行動を共にするのですから、ロケットチルドレンについては知っておく必要がありますわね‥」

 

 

「クミチョーさんの過去‥ロケット‥チルドレン‥?」

 

組長の隠された過去。

最初の両親に愛されず捨てられた孤児という一言が衝撃的だがここで逃げてはダメだと本能が訴えるのを感じ取ったリーリエはエリカに向き直りその眼が彼女を捉える。

 

 

エリカはリーリエの態度を察して、静かに物語の語り部の様に語り出していく。

 

 

 

 

「そうですわ‥まずは彼の生い立ちから話していく必要がありますわね。‥では先ず‥彼は‥━━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

「あの、ありがとうございます‥その‥席まで用意してもらって‥」

 

 

オッス!オラ虚空(コクウ)!(の眼)

目の前にいるのはナンジャモ!私は反社者(ハンシャモン)

ワクワクすっぞ!(現実逃避)

 

 

 

 

‥と言う事で、私の目の前の席に座り対面する形になるナンジャモ氏

原作ネームドとこうもエンカウントするとはね‥

嬉しいんだけど、自分と接する事で原作に影響が出るかもと密かに戦慄しているスジモンじゃ。

さっきまでのテンションが嘘みてえだろ?

今冷静になりましたわ‥

 

 

 

ナンジャモがうるさくてお店側の迷惑になるかもしれんので、私の客だと言うと血相を変えてナンジャモの席を用意した店員さん達。

まあスジモンのボスだけど、そこまで血相変えなくても‥

 

危うくナンジャモが迷惑系配信者になる所だったぜ。よかったよかった。ワビ組のパワー半端ねえぜ!

 

あ、ちなみにカイロスにはボールに入って貰った。

ナンジャモが大爆食いしてるカイロスの写真を撮りたいと言ったので撮らしてあげた。それもあってか、今回カイロスは機嫌がいいから大丈夫そうだな!

店を破滅させずに済んだぜ!

 

 

「Mr.ふりそではボクの事をご存知なんですか?見た事があるって‥言ってたけど」

 

 

振袖? ちゃうわ!これは着流しや

言うならMr.着流し!それか組長だな。

相変わらず独特なセンスの持ち主やな、ジャモ氏〜

 

「いや。気のせいだ。見間違いだったかもしれん。私が知っているのは別人(みらいのすがた)だった」

 

「ガーン!悲報ナンジャモ。カントー人気なかった‥」

 

ワードが一々古臭えな‥本当にあのナンジャモかいな

もっと特徴的なワード使って、どうぞ。

 

 

「そうだよね。パルデアでもデビューして日が浅いしカントーで知られている訳ないか‥配信者っていう新ジャンルの開拓だからね〜」

 

 

私が知らないとなると急にタメ口になりやがる。

プロ意識が無さすぎて草。ほんとにジャモ氏なのぉ?

 

 

 

「配信者?インフルエンサーじゃないのか‥」

 

「!!実は結構詳しい人な感じ? そうそう!未来の夢見るインフルエンサーナンジャモ!ボクはスマートフォンという新たな次世代多機能型携帯端末の新たな可能性を開拓したかったんだ!」

 

 

 

おぅふ‥随分と早口で目を輝かせて私に迫るじゃない。その瞳はまるでbeautiful eyes

私のボソッと呟いた一言に迫り来るナンジャモこわい

 

前世では良く聞いたインフルエンサー。下手な芸能人よりもまさかこれほどまでに知名度が高くなるとは当時思いもしなかったね。

 

ちなみにポケモン世界では専門用語っぽくなってるので、周りで喋っている人ほぼいない。私が迂闊過ぎる一言で専門職かと思われた。助けて!

 

 

「でも‥なんか上手くいかないんだよね〜再生数が伸び悩んでいるというか‥何かアドバイスあるかなー?」

 

 

ないです(即答)そんなもん知るか(辛辣)

そんな事私に聞かんでくれる?

スジモンの流儀なら教えてやれるのだが‥

 

 

「そうか‥だが私じゃなくても良いのでは?」

 

「いやいや!Mr.ふりそでのあのスマートフォンの使い方といい、初見でボクがインフルエンサーを目指しているのを見抜く力は只者じゃ無い!何者か知らないけどボクの魂があなたに助力を乞うべきだと言っている!」

 

 

スジモンなんだがなぁ‥一応ワビ組の組長です。

それにスマホロトムやっぱ珍しいかぁ‥

随分と未来に生きてやがる‥!のが私です。はい

 

 

「お願いします!案を!案を下さい!」

 

ここまで必死に頭下げられると罪悪感やばいです

仕方ねぇな。人肌脱ぐか!

ヤクザ脱ぎこと早脱ぎは出来るが。

でもあんまり口出しするのはしたく無いなぁ‥

 

さっきも言ったが下手に介入するとSVへの影響が強まる可能性あるし、どうしよ? 

 

 

 

うーんどうするかーと私が周りを見渡すと私の横をフワッと通り過ぎる店員さん。テラス席の片付けかな?

お疲れさまです!

 

さっき私に話しかけた店員さんで強面な美人ではあるのだが、一人称が「ボク」の僕っ娘で話すと面白いという、キャラが強い人だ。うーむ、ギャップという奴か‥何故そう感じるのかはやっぱり‥

 

 

「‥やっぱり口調か‥」

 

「口調?‥やっぱりキャラ変って事かなー

 

女性と言えど口調が悪いとマイナス評価に陥りがちだまあそれも魅力的なのだが。

見た目が強面でオーラ持ってそうな超絶美女の口調が柔らかだとギャップでハートを射抜かれるパターンが多い。

 

 

「口調が大事ってこと?」

 

そう!口調が大事です!というのはそのキャラを作るのに最も必要なもの!

僕っ娘とか俺っ子とかが一番わかりやすい。

性格が一番口調で出るからね。どんなキャラかわかりやすい!単純明快が一番!あとはうーむ‥

 

 

「‥特にインパクトのある口調は大事だな。風貌とは異なるキャラクターや、お決まりの台詞があるとなお良しだ‥」

 

 

そうだ。インパクトある口調ですよ。口調。

女性の魅力の一つがそれだな。

やっぱりキャラ重要です!つまり個性です!個性!

個性溢れる女性に魅力が無いわけ無い!

 

女性の魅力は話し方や態度、雰囲気、体の部位があるがまあ後者は私の性癖だな。

女性の魅力は話す際の品性にも現れる。

 

 

他にも性癖は色々あってだな‥

‥てあれ?私は誰に対して性癖談義をしているんだっけ?

 

 

「なるほど!口調を変えてみる事が魅力につながると!初見のインパクトが大事だもんね!」

 

 

しまったぁあああ!

まさかのジャモ氏に性癖談義を仕掛けてもうた。

刺激が強い話してないよね?何ちゅう事を!

すまん!ネームドに対して飛んだ無礼を!!

 

 

「じゃあ先ずは始まりの挨拶をインパクトのあるものにしないとかーうーん」

 

 

ってあれ?ナンジャモ氏?

どうしたの?急に黙ったかと思うと下を向いてブツブツと唱え始めた。何?呪いの呪文?

お経?これから仕留めるスジモン(私)を供養する為?

 

 

 

 

「ボクはナンジャモ!‥うーん平凡か‥」

「ナンジャモン!よろしくじゃモン!‥なんか違うな‥」

 

「ナンジャモンジャ‥テレビジョン‥」

 

大丈夫?病院いく? はわわわ‥ どうしよ‥

私の性癖談義でこんらん状態になってしまった様だ。

まだ年若い女の子には早かったのか!?

クソォ‥すまない!私のせいでこんな目に‥!

 

 

「うーん!わかんないよぉ!」

 

 

「‥!?」

 

 

うわ!びっくりした!

そんな急に大声出さないでくださいよぉ!

性癖がわかんなくなるまで考えるとか真面目かよ!

無理するな!

 

私が驚いたその時、店の中からトテトテ!とモンジャラがこちらに向かって走ってくる。あら、ボテボテ走りかわいいね

 

 

「モジャ!モンジャ!!」

 

モンジャラが大声でナンジャモの足にペシペシとつるのムチで優しく叩いた。

ナンジャモはそれに驚き、席から落ちるくらいのけ反っている。

 

「わわ!なんじゃ!?何者なんじゃ!?このポケモン!?」

 

 

「モンジャラだな。ツルじょうポケモン。カントーでよく見るくさタイプポケモンだ」

 

「え?もんじゃ?」

 

 

ちゃう!モンジャラや!

美味そうな名前やんけぇ‥

 

 

 

「モジャラ!モンジャ!」

 

「わわ!ごめんよー!うるさかったね。気をつけるよ」

 

 

モンジャラがおい!口を慎めよ!とナンジャモを注意した後の態度を見てモンジャラはわかったのならよし!と笑顔になり、その場を立ち去る。

 

このモンジャラスジモン特性あるね。

スジモンジャラといったところか‥

 

あとナンジャモとモンジャラって間違えそうで、しかも噛みそうだわ。

 

「‥‥‥」

 

モンジャラが去った後急に静かになったナンジャモ氏

あら傷ついちゃったかな? まあ無理もないか‥

いきなりモンジャラに詰められたら怖いもんね。

‥なんかぶつぶつ言っているけど大丈夫なの?

 

 

「ん?‥ナンジャモ‥モンジャラ‥!さっき言った‥何者なんじゃ‥と合わせて‥ハッ!」

 

「何者なんじゃ?‥ナンジャモです!これ良いかも!」

 

 

「Mr.ふりそで!ビビッと来たよ!ピカっとひらめいた!この挨拶良いかも!」

 

 

閃いた!

 

我、天啓を得たり

 

懐からガラケーを出すか、手帳を出すか、木彫りでも始めるのかと思うほどの勢いじゃな。天啓が来た!

 

 

なるほど舞い降りたか‥

何かを掴めた様でよかったよ。それと声を抑えてくれ

またナンジャモンジャ‥間違えた。モンジャラ氏に睨まれるからね

 

「おお‥何かしっくり来る感じ〜これは良いかも!」

 

「他には語尾や敬称も変えてみる感じも良いかもねー!」

 

勝手に盛り上がってて草。

一人性癖談義も済んだ様じゃな。なんだかよかったよ

じゃ、金払って帰るから。

ナンジャモ氏の分も払うから。私の奢りだぁ!

これを罪悪感による罪滅ぼしといいます。はい

 

 

「よし。メモメモ!この後口調変えたもので軽く動画撮ってみようかなー カイロス氏の大食い写真も上げてーと」

 

肖像権はないんですか?勝手に使うのはマジでNG

 

でもまあ、さっきナンジャモに使っていいよ。と言ったから無断ではない。オヤブン顔負けの体格のカイロスとか誰得なんすかねー

 

 

私は勝手に立ち上がると一人で妄想しているナンジャモの邪魔をしない様にその場を立ち去る。

 

店員さんお勘定お願いします!

あとこれチップ!姉貴の好きなシノギです。

うそ!シノギじゃないですよ!

カイロスの分まで働いてくれたお礼ですわ。困った事あったらワビ組までどうぞ

ケジメつけさせるんで!

 

 

「Mr.ふりそでー!色々とありがとう!またよろしくー!」

 

「パルデアまで気をつけて。カントーの観光を楽しんでくれると嬉しい。」

 

 

店を出て、私が路上に出たのを確認したナンジャモ氏は私に手を振っていた。また大声出すと今度はモンジャラにパワーウィップ叩き込まれるぞ!

 

 

 

 

 

ん?また、よろしく?って言ったか?

まあいいか! 

リーリエを迎えにいく必要あるし、向かわなきゃな!

 

てかリーリエどこにおるん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ナンジャモ

 

 

 

 

 

 

「さてさて、さっきあげた動画の再生数は‥っと‥」

 

黄色いダウンジャケットを羽織り、薄紫と水色の二色の髪色を伸ばした特徴的な少女が顔を綻ばせて、タマムシシティ公園のベンチに一人座る。

 

ベンチに座る少女の名はナンジャモ。

パルデア地方という海外の地方から観光で訪れた少女である。

スマートフォンを難なく使いこなし、動画や写真をインターネットの動画投稿サイトにアップする動画配信者と呼ぶべき人物だ。

 

しかし配信者としてデビューしたは良いがお世辞にもカントーはおろかパルデア地方でも知名度はそこまで高いとは言えない。

 

動画を投稿しても再生数があまり伸びず、配信の内容も平凡と言える様なありきたりのもの。体を張った配信も行ったがすぐに飽きられ、また元の再生数に戻ってしまうほど。

 

 

「えー!今までよりもバズってるー!?あのカイロス氏の写真関係が伸びてるよー!」

 

 

 

 

 

しかし今回は違った。

溜まった貯金を使い海外のカントー地方で、はねやすめをする為の気ままな一人旅の筈が、上げた動画が思わぬ形で再生数が大きく伸びた。

これにはナンジャモも驚愕するばかりだ。

 

 

「コイキングのたきのぼり以上にすごい!これもMr.ふりそでの手腕!?」

 

 

ナンジャモは興奮しベンチからずり落ちそうになるが周りから見られている事に気づき、一旦座り直す。

 

冷静になったナンジャモは先ほどまでカフェで一緒にいたある男を思い浮かべていた。

 

 

「いやぁー中々スゴイ人だったなーMr.ふりそで!」

 

 

ナンジャモが呟くMr.ふりそで。

白い着流し衣装の上に黒羽織を来た強面の男。年齢からして20代であるが、整った顔立ちから出る言葉はナンジャモからすれば意外な言葉が多かった。

 

(ボクが配信者であると言った時に首を傾げる事なく話していたから配信者という言葉は知っていたんだね。珍しいよねー)

 

 

インターネットを使った動画配信者という言葉に聞き馴染みの無い人は多くいる。

というのも世間一般ではまだTVが広く普及しており、動画投稿という事すら知らない人が多数であるからだ。ナンジャモはそこに可能性を見出し、これからはインターネットの動画が主流になると考えていた。

 

 

 

(まさかボクが開幕の挨拶の事やキャラ作りについて悩んだのを初見で看破する。更にはボクがインフルエンサーとしてみんなに夢と希望を与えたい事を見抜くとはねー あの宙に浮くスマートフォンといい‥本当に何者なんじゃ?)

 

着流しの男が指摘した点はまさにナンジャモが考えていた事だ。彼はナンジャモにインパクトのある挨拶や語尾などが必要である事を少しの会話で見抜くとは、なんという観察眼であろうか。

 

(鋭い眼光は見かけにもよらないんだねーボクと少し話しただけで、把握する鋭い洞察力と観察力‥天才と言えるのかな‥何故ここまでそれを発揮できるのか?それはつまり‥)

 

(‥その筋に詳しい人‥つまりは最新のトレンドを扱う業界の人なのかな?‥いわゆる‥その筋の者。

‥スジモン!?なんちゃって!)

 

 

テレビ業界ではなく、新市場としてインターネット関係、とりわけ動画投稿者や配信といった物に着手する人間の一人がもしかしたらその着流しの男の正体かも知れない。

 

更には彼が扱うスマートフォンは宙に浮き、動き回るという機能が付いている特別仕様。

業界人で無い事が嘘であると言えるだろう。

 

思わぬ出会いにナンジャモは口角を上げて目を輝かせ

その歓喜の気持ちを口に出さずにはいられなかった。

 

 

「フヒッ‥!これはもっと極めていけば更なるバズりのチャンス!?‥しまった!もっとあの人からアドバイス貰っておけばよかったよー」

 

 

「Mr.ふりそでの大食いカイロス氏やあの人の素性は気になるけど、いつかゲストとして呼ぼうかなー?」

 

 

腕を組み、未来の有名配信者である自分を想像して微笑みを浮かべるナンジャモ。

あの着流しの男と接点を持てば自分の動画の再生数は大きく上昇する事を確信したのだ。

 

 

 

「しばらくカントーに滞在しよっかなー?何か面白い事が起きそうだし!」

 

 

そうと決まれば話は早い。

着流しの男を探して彼にまたアドバイスをもらおう。

だが同時に観光も楽しみたい。

ナンジャモはベンチから離れると、鼻歌を口ずさみながらスキップするかの様な軽快な足取りでその場を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥ぐすっ‥まさか‥ひどいです‥!そんな事が‥!」

 

「‥それが彼の宿命なのですわ。」

 

「だから‥クミチョーさんは家族を欲しがったのですね‥!」

 

「そうですわ。裏社会の人間とは孤独な人が多いのです。彼も己の運命には抗えないと感じていたのでしょう‥」

 

 

リーリエはその場でへたり込み、大粒の涙を流していた。嗚咽とも呼べる彼女の様相にエリカはリーリエを抱擁し彼女を慰める。

リーリエがいくら涙を拭おうとその涙が止まる気配はない。

 

 

ワビ組の組長の過去はリーリエがこれまで出会った人物の中でも壮絶な過去を持っていたのだ。

 

両親から捨てられ、かつてカントー地方で悪事を働いたロケット団という組織による洗脳教育と厳しい訓練を受けた事。

組織の指令で他の地方に出向き、帰郷した時には組織は解散し、彼以外のロケットチルドレンは記憶を消去され彼だけがその十字架を背負い続ける事に。

 

 

(‥なんて残酷な過去なのでしょうか‥!命令に忠実な下僕として育てられ、共に過ごした仲間からは記憶を抹消され、あの人という人間を知るものは誰もいない‥それは存在そのものに対しての否定じゃないです

か!)

 

 

知れば知るほどに怒りと悲しみで心が埋め尽くされる。もしも神という存在がいたのならなぜ彼にだけ厳しい罰を与えるのだろうかと問いただしたくなる程に

 

 

「だからこそ彼は裏社会に身を投じたのですわ‥己の宿命を呪わず、それと向き合う事に‥」

 

「ですが‥私は勘違いしていましたわ。どこか彼を英雄視していた事に‥彼も一人の人間。当然羨ましがる事なんてあるでしょうに‥!それに気づかなかったなんて‥!」

 

エリカもリーリエと同じく涙を流して、己を恥じた。

これまでの彼の苦しみを理解していたつもりでいたが違ったのだ。彼も同じ人間。どこか彼を英雄視し、理解せずにいた己を恥じたのだ。

 

エリカはリーリエに向き直り、その場で彼女に頭を下げていた。謝罪ではなく強い懇願。その思いを彼女に伝えようとしていたのだ。

 

 

「リーリエさん。私は組長さんを光の世界に呼び戻したいのですわ。何年かかっても彼の幸せを見届ける‥それがジムリーダーとして、いえ私エリカとしての本心です‥ リーリエさんもご協力いただけますか?」

 

 

「はい‥!わたしもクミチョーさんには世話になりっぱなしなので‥あの人に恩を返したいと思っています。」

 

「リーリエさん。ありがとうございます。私もカントージムリーダーとしてあなたをお支えできる様に精進致しますわ。」

 

互いに座った状態で決意を露わにする。

しかしリーリエには何か迷いがある様子であった。リーリエはその迷いを払拭したいのかエリカにゆっくりと口を開いた。

 

 

「‥エリカさん‥!‥それについても相談したい事があります。この話を聞く前から考えていた事で‥その‥クミチョーさんの迷惑にならないかが不安材料と言うのでしょうか‥」

 

 

「?なんでしょうか?‥大丈夫ですよ。安心してゆっくりと喋ってくださいね。」

 

エリカはリーリエを不安にさせまいとリーリエの瞳を見つめて優しく微笑む。

その笑みを見てリーリエは胸を撫で下ろし、自身の思いを発しようとした。

 

 

 

「‥はい。実は‥━━━」

 

 

 

 

 

‥‥

 

 

 

「━━‥という事を考えているのです‥!」

 

 

「まあ!良いと思いますわ!私はそれについては反対しません。」

 

 

「え!本当でしょうか!」

 

自身の思いを口にして否定されるかと思ったが、エリカは手を合わせて満面の笑みを浮かべる。

まるでリーリエのこの先を祝福する様な喜びであった

 

だがまだ一抹の不安が残るのかエリカは咳払いすると再びリーリエに向き直り、真剣な眼でリーリエの瞳を見つめながら話し出した。

 

 

 

「‥ただこれは直接聞いてみないとわからないでしょう。この後、彼とお会いするのですよね?では私も同行致しますわ。ですからご安心くださいリーリエさん。」

 

 

「!ありがとうございますエリカさん!」

 

エリカの態度にリーリエも思わず息を呑んだが、それは杞憂に終わりそうだ。

 

リーリエはエリカに頭を下げて感謝の気持ちを伝えていた。エリカという心強い味方を得て、不安な気持ちが晴れた様な気がした。

 

リーリエはその場で立ち上がると目を瞑り、己の気持ちや決意に改めて向き合おうとした。

 

 

 

(クミチョーさん。わたしは家族に恵まれました。母さまと兄さまという存在がわたしにはいる‥ですがクミチョーさんにはいない。それがどれほど苦しいものか‥わたしには想像できません‥)

 

(クミチョーさんは反対するかも知れません‥ですがわたしは決心したのです!わたしはあなたを助けたい‥!その為にも‥━━)

 

 

 

 

リーリエは拳を握り決意を固める。

アローラを出た時とは違う新たな心境と決意。

 

少女リーリエのカントーでの冒険はここから始まりを告げようとしていた。

 

 

 





主人公‥呑気にカフェでナンジャモと話していた人。Mr.ふりそでというあだ名に納得してない様子。

ナンジャモ‥ナンジャモの定番挨拶はここからスタートしたという体に。
それを教えてくれた主人公(勘違い)にまた会ってアドバイスを貰いたいと考えている。
あの古参厄介視聴者グルーシャも当然動画を見ているが、突然ナンジャモ語を使った事よりも組長のカイロスの大食いぶりとそのデカさにびっくりしたらしい。


リーリエ‥主人公の過去(捏造)に大号泣。強く同情し主人公の助けになりたい事を考え、迷惑になるかもだがある事を決心したのだとか。

エリカ‥組長の幸せを未だに願う聖人。グリーンが不在の為、組長を救う会(仮題)にリーリエを勧誘した


ヨウ‥カントーからアローラに越してきた為、当然ワビ組の事は知っている。まあ、悪さなんてしてないしケジメをつけられた訳ではなく、あくまで噂で聞いただけなので本当の怖さを知らない。その噂よりも怖く無いと思われているスカル団かわいそう。


ちなみにナンジャモの動画が伸びたのはナンジャモの挨拶というよりかは組長の体格がクソデカオヤブンのカイロスである事と並外れた大食いっぷりな写真がウケたから。
ここからナンジャモの評価がシビルドンのぼりに。



アルセウス‥(いやだから知らんて‥なんでこっちにヘイト向けるの??)
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