後書き含めて長くなりましたので
お茶や牛乳を嗜みながらお楽しみください
皆の者ー!おはこんハロチャオー!
あなたの小指をハサミギロチン★
何者なんじゃ?
‥‥いかんいかん
昨日ゲーセンのスロットで金を溶かしすぎて、発狂しそうになりましたが無事現世に戻れました
改めましてスジモンです
種族名はクミチョー タイプは非行タイプ
無視タイプには強いのが売りです
‥って私は何とち狂った事言ってんだ?
ポケセンで因縁をつけてきたあの小太りゲーセンスジモンは警察に身柄を拘束されたそうだ
警察に拘束される前にウチのスタッフ(若衆)が朝早くに奴を捕まえて迷惑をかけたポケセンのジョーイさんの家まで赴き詫びを入れたらしい。行く時間考えろ
もちろん普通の謝罪ですよ。コンクリ詰めとかはやりませんよ。ポケモンは全年齢対象ですからね
私のことを話すとそのスジモンは発狂し、裏社会の人間だったとはつゆ知らず!と地面に頭を擦り付けて謝罪したそうだ。
とりあえず組のシマのゲーセンで得た戦利品は全て没収。更には持っているポケモン達は今後社会奉仕させるという契約書にサインさせそれで手打ちにし、その後警察に突き出したというのが事の顛末だ。
おそらく奴はムショにぶち込まれるだろう。契約書には奴が不在の際は代理人に全権を委ねると書いてある。つまり奴がムショ暮らしの間ウチの組のモンがポケモン達のトレーナー(代理人)ということになり、社会奉仕という名のタダ働きをさせる事が可能。(三食昼寝付き。週休3日。マッサージ、毛繕いサロン付き)えげつないねぇ
そして出所してシャバに戻ってもトレーナー資格は失ったまま。試験を受ければ合格できるが、前科モンにはかなり厳しく審査するので、まず受からない。だがもしトレーナー資格を取り戻したとしても、あくまで決めるのは保護したポケモン自身。
ポケモン達からの希望があれば前のトレーナーを蹴ってワビ組の所属になる事も可能。そうなるともっと好きに出来るってわけよー
もし、いちゃもん付けてゴネまくっても前科モンだと周りにバラす事で世間様からの風通しを悪くする事もできるぞ! こっわーい(ドン引き)
我々はこう言ったやり方で勢力を伸ばしてきました
やったね!
まあこれまでやってきたのは全員カタギじゃないからセーフ!
ウチの組のスタッフ優秀すぎーこれはスジモンですわ
マジパネェっす
事務所に戻ってきたら労ってやるか。怖いけど
さて突然話は変わりますが私は一体何をしているのでしょう?
正解は山積みになった書類と向き合っています!
ざっと50枚位かな。多すぎます。
反社の仕事は多岐に渡るが、最近は色々と揉め事とか多くて困ってる。
事務スタッフも現場に駆り出される始末。
お陰で事務仕事スタッフ手薄。更に電話対応で人手は絞られてできる人も少なくなっている訳ですね
という事で、今日は私が事務担当になりました。
パチパチ!見る限り経理とかがメインかな?
先月の金銭関係の出納書類を整理します。
他にも色々あるが50枚って多すぎない?
まあスジモン見るよりかはこっちの方が楽ですよぉ
さて一枚一枚めくっていこう!
‥うまくめくれん。ペーパーレス化しようぜ。
さて電卓片手にレッツゴー
「‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥‥‥」
お、これは先月私が使った経費だね。
見覚えのあるものばっかりだ、これは余裕っしょ!
「‥‥」
何度も何度も資料を見て、数字を確認するが
なぜ数字が一致しない‥まさか粉飾か?
こんなに使ったのは誰だ! 私でしたね‥
まずいぞ、この量今日だけで終わるか?
いやでもやるしか無い!
数字が合ってないから最初からか
じゃあ最初から計算し直す!
あれ?ここ合ってない?
ここか? 違うのここか?
うーん‥あ、ここかぁ!
‥えっと、つまりここをこうして‥
‥‥‥‥‥
何だよぉおもおおお!! またかよぉおおお!!
くそっ!難しい!
残り半分まで片付けたが、怒りがおさまらん
ムカつきすぎて気絶しそうよおおお!
でも経理関係は終わった
後は無心になってやるまでよ!
‥‥よし。いいペースだ
時間も結構経過してるみたいだし
てかこんだけ時間経ったのなら何かしらお手すきの人いるでしょ
なんで手伝ってくれへんの? 一応私組長なんだが‥
あー!頼む時間も惜しい!ええいままよ!!
‥‥
‥‥‥
‥‥‥‥!
「‥‥‥‥‥‥!」
‥‥‥‥‥‥
無心でやり続けていたようで何度か独り言をぶつぶつ呟いたりしていた感じがするが最後の1枚にサインしてと‥!
よ、よし、何とか今日中に終わったぞ‥!
長かったー! 今何時? 20時半!?
始めてからほぼ12時間ぶっ通しでやったのか
てか1人で終わらせたのやばくね?自分が一番ビビってるわドン引きします。
いやぁ、こんなに頭が痛くなったのは久しぶりだぁ‥
身体が悲鳴をあげている‥ 栄養と休養を取らねば
私がぐぐーっと伸びをしていると扉をコンコンとノックする音が。「入れ」と私は指示を出すと、ゆっくりと扉を開きスジモンが1人入室してきた。
「失礼します兄貴! 書類仕事お疲れ様でした!こっちの揉め事も無事完了しました!!」
「‥ああチャイブか。ご苦労だったな。」
うわ出た。
こいつは顔面暴力傷痕スジモンのチャイブだ。
パンチパーマと頬下の大きな傷がめっちゃ怖い。
ガタイもいいから正面から見るとほぼゴリラ。
スーツ姿は本当に厳ついし、迫力あるから私より組長の風格あるぞコレ。
ちなみにこいつは私の一番の舎弟を自称し、こいつとその子分がついて回ってきたお陰で就活どころでは無かったほどだ
「あと昨日はタマムシでのお仕事お疲れ様でした!
流石は兄貴です!タマムシはワビ組のシマの一つですからね。この流れでカントー地方を制覇したりましょう!」
え?それまじ?私は今のままで充分なんだが。
これ以上勢力広げないで
そんな天下布武しないとあかんのヤバない?
カントーって魔境すぎん?‥魔境だったわ
まだまだ仕事しなきゃいけないのか‥
つらい。つらすぎる。
私が将来に対して不安になる気持ちを持ち始めた時、目の前のチャイブが真剣な表情になると私に向き直り、口を開いた。
「兄貴すみません!この後少しお時間頂けますか?」
ないです。(無慈悲)
今日は疲れたよー。おしまいやおしまい!
けど断ると後が面倒なんだよなぁ
これで断って恨み持たれて下剋上されるとこわいから話だけでも聞くか
「‥何か要件があるのか?」
「はい。無理を承知でなんですがポケモン勝負して欲しいです!」
はい無理。(即答)
バトルなら他のスジモンに頼んで、どうぞ。
私は忙しいんだ。さてと断る口実を作ろうかと頭を捻るが‥ ん?腰に付けたモンスターボールが揺れているな
‥‥なるほど。そういう事ね。わかったよ。
仕方ないなぁ愛しのポケモンの為だ。
やるとしますかね
「わかった。準備もあるだろうから休憩も兼ねて30分後に始める。場所は組の裏庭のバトルコートで待ってろ。」
「兄貴!ありがとうございます! おい!お前らバトルコートの準備を整えろ!兄貴が来る前にだ!急げ!」
「「「は、はい!!」」」
「あと汗を流したいからシャワー室温めるのとタオルを用意しろ。」
「「「かしこまりました!すぐに用意します」」」
少し汗を流そう。疲れで頭がうまく働かない
気持ちを入れ替えないと倒れてしまいそうだ。
‥‥‥‥‥‥
そして私はシャワーを浴びた後に事務所スタッフが用意したシワの無い漆黒のシャツと黒ジャケットに袖を通す。こうしてみると普段着ているスーツとシャツ色が同じで厳ついな。ネクタイの色は違うけど。
ネクタイはつけなくていいか。バトルだけだし。
本当はジャージでやりたいが、ここには置いてないからなぁ。
バトルコートへ向かうとしますか
「‥‥ふわぁ‥ねむー」
シャワー浴びたとはいえ、眠気と疲労がやばい。目が覚めるどころか温まってむしろ悪化した。
本音言うと速攻で終わらしたい
これ立ちながら寝ちまうパターンだぞ
手持ちポケモンの主張がなければ帰ってたね
さてワビ組のバトルコートは裏庭のバトルコートのみだ。こんな夜の時間にやるとは近所迷惑かと思うだろうがワビ組本部はヤマブキシティとタマムシシティの間ら辺かつ街から少し離れた所にあるので、周りは倉庫とかなんかコンテナがあるぐらい。つまり近所迷惑にはなりません
その為街へのアクセス悪いから車は必須。徒歩だとキツイね。いつか移転したい。
さて私が色々と考えてる間に目的のバトルコートに到着した。
そこにはチャイブと照明やらグランド整備やらなどを準備しているスタッフがいた。
「兄貴!今日はありがとうございます。こっちはいつでもいけますのでよろしくお願いします!」
「「「組長お疲れ様です!」」」
「ご苦労。ここからは全員楽にしていいぞ。見物は結構だが、俺に合わせず無理しなくていい。明日の仕事もあるから遠慮せず帰って休むこと。」
全員が私に挨拶をするので、私は皆んなに注意点を述べると全員「はい!」と返事をするも誰一人帰ろうとしない。ええ‥ 一人位帰ろうよー
明日もあるし、皆休みなってー
‥まあ私もだけど
「おお。チャイブさんと組長のバトルが見れるとは!」
「お前は見るの初めてだよな?なら覚悟しておけよ。組長の凄さを実感するぞ。」
「はい!お二人のポケモン勝負見るの初めてです!」
私は腰に付けたボールを手に取る。
さっき激しく揺らした子だ。今回はスピアーの出番はない。
「兄貴!早速始めましょう! 互いに1対1のタイマンはどうでしょうか?」
え?タイマン?私と?ウソだ!?嵌められた!?
実はポケモン勝負じゃなくてタイマンだというのか!
勝ち目がねぇ!クソがよー!!
ふざやがって!!‥ってあ、モンスターボール取り出した。
よかったぁ 心臓止まるかと思ったわ。
極度の疲労で変な考えになってきてるわ
チャイブとタイマンとか勝てるわけないから。
「ああいいぞ。俺も出すポケモンは決まっている。」
「わかりました!ではよろしくお願いします兄貴!」
私とチャイブは互いに向き合いバトルコート中央のモンスターボール線から離れ、コートの一番端の線まで移動。近いとポケモンの技に巻き込まれるからね。
そして手に取ったボールを互いに投げる。
「グソクムシャやるぞ。」
「グソォッ!」
「オコリザル!出てこい!」
「キーッ!!」
「組長のあのポケモンはなんだ!?」
「そうこうポケモンのグソクムシャだな。主にアローラに生息するポケモンだ。」
「どっちのポケモンもかっこいいです!」
解説外野助かる。
私がお見せする手持ち2匹目はグソクムシャ。
スピアーが最初に加入したメンバーならグソクムシャは現状最後に加入したメンバーだ。
今回はグソクムシャがボールを激しく揺らしてまでバトルしたいという希望に応えたくてチャイブとのバトルを決めた。
この子は好戦的で、強者とのバトルを楽しむタイプのポケモンだが、私の意見を無視してバトルなどはしない。私がダメだと言ったらバトらないし、冷静できちんと弁える事ができるできた子だ。今回は珍しく主張してきたのでこの子の主張を受け入れようと思ったのだ。偶には一回だけでもわがままを許すのもいいだろうし
ちなみにグソクムシャの希望がなければスピアーでやってた。早く終わるから
30秒あれば相手を10回ひんしにできるからね
‥うそです。流石に盛りすぎました。1分に10回が限度かな
「さて始めるか。先手は譲るぞチャイブ」
「はい!オコリザルいけ!ふんどのこぶし!」
「キーッ!」
おー!オコリザルだ(遅い)
こいつ力強くて、モロに受けるとやばいんだよなぁ
しかもふんどのこぶしか。また珍しい技を‥
教え技か?
だがグソクムシャの装甲を破れるかな?
「グソクムシャ。左腕の装甲で受け止めろ。」
「グソッ!」
バコンッ!と装甲と拳が奏でる鈍い音は聞いてて痛々しい程。当然生身の拳と硬い装甲では押し負けるのは目に見えている。グソクムシャは何ともない様だが、オコリザルの方はかなり痛いみたいだ。
「オコリザルッ!!大丈夫か!?兄貴のグソクムシャ‥硬い‥!」
「防いだ!グソクムシャはなんともない!? なんという硬さだ!」
「さすがはそうこうポケモン。硬さは伊達ではないな。組長の鍛え方がすごすぎるのか‥」
「どっちもファイトです!」
実況外野助かる。
グソクムシャの装甲はそう簡単には崩れない。
グソクムシャはむし/みずタイプ。ふんどのこぶしはゴーストタイプの技でグソクムシャには等倍。
更にタイプ一致の技でないからダメージはまあ、そこそこだろう。
オコリザルは装甲に負けた事に腹を立てているのか地団駄を踏んでいた。
顔が怖すぎる‥ あれはポケモン版顔面暴力ですね
だがこれは攻撃のチャンス!
「グソクムシャ。アクアブレイク」
「グソッ!」
「オコリザル!来るぞ!回避だ!」
「キーッ!?」
グソクムシャは水で刀を作り出しそのまま接近してオコリザルを一閃。これぞ正にいあいぎりだ!
オコリザルが避ける体勢を作る前にアクアブレイクを叩き込む。相手はそれに耐えきれず、ワンバンで撃破
さすがはグソクムシャ! 早めに終わらせてくれてありがとう!
勝負はついたので、終わり!閉廷!
グソクムシャをボールに戻して、よし帰るぞ!
‥ってあれ?なんかボールがすごい揺れるんですけど‥ あのグソクムシャさん?‥まだやる感じ‥? いやぁ‥ちょっと相手も倒れてますし、死体蹴りは‥って‥うぉ! めちゃボールが手の中で荒ぶってる! ちょ!暴れんな‥!暴れんなよ‥!
ああ!もう!じゃあ最後まで付き合いますよ‥
いくぞ。グソクムシャ!
‥‥ん‥?
‥‥
‥ふぁあ‥ あらあら、抑えていた眠気が‥‥
zzz〜
side チャイブ
「オコリザル! しっかりしろ!オコリザル!」
俺は目の前で倒れ込む相棒に声を荒げていた。
兄貴に追いつきたい一心でポケモン勝負をお願いしたが結果はご覧の通りだ。
組織のNo.2として組長の兄貴を支えたい。
しかし俺は兄貴と比べると、頭も弱く、書類仕事も苦手。もっぱら俺自身の腕っぷしの良さとポケモン勝負だけが自慢だった。
かつてはポケモン勝負でそこそこ名を馳せたが、あるお方に完膚なきまでに叩きのめされた事で俺の人生は大きく変わった。
その男こそ俺が「兄貴」とお呼びするお方だ。
兄貴はちっぽけで小物だった俺に道を示し、更には助けてくれた事もあった。俺は返しきれない恩を受けたのだ
だから俺は兄貴のカントー地方制覇の野望を支えたい。兄貴と一緒に夢を見ていたい。
だが俺には力がまるっきり足りない。
任務でもポケモンの力を活かせずただ持て余しているばかり。
相棒オコリザルの力を引き出せずにいた。
それで何がNo.2だ!何が兄貴の舎弟だ!!
「‥‥!オコリザル!」
オコリザルは兄貴のグソクムシャにたった一撃でやられた。
やはり兄貴は強い。
ずっと憧れのその背を追いかけてきた。
初めて出会った時はスピアーさんにやられたんだっけ。まさに鬼神の如き強さ。
「‥‥」
兄貴はグソクムシャをボールにしまうと俺にさっと背を向けた。
まるで俺に失望したみたいに。
そうか━
俺では兄貴のお眼鏡にかなわなかったのか━
無理なのか‥俺如きが‥
兄貴の隣にいるなんて烏滸がましかったんだ。
俺は膝を付き、力が抜けたかの様に両手を地面にについて絶望した。
そして倒れ込む様に身を任せていると━
「‥‥!キーッ!! ウキーッ!!」
オコリザルが倒れた体をゆっくりと起こして叫んでいた。
まるで俺に「しっかりしろ!」と言わんばかりに。
「オコリザル‥?」
「ウキーッ!! キキーッ!!」
オコリザル‥
まだお前は俺の事を信じてくれるのか?
俺に諦めるなと夢を捨てるなと言ってくれるのか?
‥‥そうだよな。ここで諦めるなんてらしくないよな‥!
ありがとう。相棒
お前は最高だよ。本当に‥!
そして俺と一緒に戦ってくれ!
俺と兄貴の夢。相棒の力があれば百人力だ!
俺は立ち上がり、砂埃を手で払うと兄貴に向き直る。
「オコリザル! 行けるか‥? よし。呼吸を整えろよ。」
俺たちの気持ちを察したのか。
兄貴は俺たちに向き直ると手に持っていたボールを見つめた後、再びグソクムシャを繰り出した。
目元は暗くて見えないが、穏やかな雰囲気だ。
まるで俺たちの事を信じて見守ってくれている様な感じだ。
兄貴‥
兄貴はまだ俺たちの事を信じてくれるんですね‥!
兄貴は俺の事を見ていてくれるんですね‥!
勝負再開だ。兄貴行きます!
「オコリザル!ふんどのこぶし!」
「グソクムシャ。であいがしら」
「キーッ!」
「グソッ!!」
グソクムシャの爪がオコリザルを襲う。
オコリザルの攻撃よりもグソクムシャのであいがしらの方が遥かに早く、再び吹っ飛ばされる。
オコリザルは地に伏せるが、また立ち上がる。
「がんばれ‥!オコリザル!」
「‥ッ‥!キーッ!」
兄貴が指示を出す前に攻め切る!
俺はすぐさまオコリザルに指示した。
「まだだ!ふんどのこぶし!」
「‥ッキー!」
「もういっちょだ‥!ふんどのこぶし!」
「‥ウキーッ!‥‥」
怒涛の攻めにグソクムシャも身を固めて防戦するだけだ。そうだ。これこそ俺たちだ。
ただひたすらに相手を殴るだけの戦いこそ俺たちには相応しい。
だが妙だ。
兄貴であればこんな状況になってもすぐに手を打つ筈。
なぜ何も仕掛けてこないのか気になり、俺は兄貴に目をやる。
バトルコートを照らす照明とは違い、兄貴の目元は暗くて窺い知れない。だが口元がかすかに動いているのを感じた。
兄貴は俺に何かを伝えようとしている?
『もっと打ち込め‥』
そう言っている様に聞こえた。
もっと拳を打ち込めと言っているのか?
音は聞こえないし、唇の動きも遠いからはっきりとはわからんがそんな事を言っている気がしたのだ。
兄貴は何故そんな事を?
だが何か狙いがあるんだろう。俺はオコリザルに指示を出す。
「もっとだ‥!もっといけ!」
「‥ッ!キー‥!」
何度殴り続けたかわからない
オコリザルも拳を赤くしており、見ていて痛々しい。
そしてオコリザルが渾身の殴りをした次の瞬間‥!
「ウ?‥キー!?」
「オコリザル!? この光はまさか!」
突如オコリザルが光だし、オコリザルを覆い尽くす。
これは進化の光だ。まさかオコリザルが進化するというのか!?
まるで俺に意思を示せと言わんばかりに
そして光が晴れて見えたのは変わり果てたオコリザルの姿。ボサボサに振り乱した灰色の長い体毛にギラギラと真っ赤に輝く目、目の下に表れたドス黒い隈などはこれまでとは違う姿だ。まるで怒りを具現化した様な、怒りの化身とでもいうのだろうか?
ものすごいプレッシャーを感じた。
「コノヨザル‥」
兄貴は顔を上げオコリザルが進化した姿を見てそう呟いた。
コノヨザル‥コノヨザルというのがこいつの新たな名前‥ よし行くぞコノヨザル。お前の力を見せてみろ
「コノヨザル! ふんどのこぶし!」
「‥ッノォ!!」
バゴン!とグソクムシャを殴りつける。
さっきまで鉄壁の如く防いでいたグソクムシャもぐらついていた。
進化した事で更にパワーアップしたみたいだ。
だがそれだけではない。
「まさかゴーストタイプも追加されている?」
俺は思わずそう呟く。
ゴーストタイプの技ふんどのこぶしの威力がかなり上がっているのだ。これはタイプが追加された事による恩恵か。
「‥グ‥グソク‥」
グソクムシャはその一撃を受けて膝をつきそうになっていた。やはり、オコリザルから攻撃していたふんどのこぶしが効いている様だ。
俺はオコリザル‥いやコノヨザルに指示を出そうとしたが、グソクムシャは満足した様な笑みを浮かべると兄貴のボールに戻って行った。
特性ききかいひ
自分の体力が半分以下になると発動するグソクムシャの生存本能。
兄貴はボールに戻ったグソクムシャに目をやった後に俺に向き直る。
「コノヨザルへの進化おめでとう。さすがはチャイブだ。」
俺は兄貴からお褒めの言葉を頂いた。
穏やかな口調で、俺を讃える様に
すると続けて兄貴は口を開いた
「コノヨザルももう疲れているから、今日はもう終わりだ。有無は言わせん」
コノヨザルに目をやるが今にも倒れそうなほどだ。これ以上続けると危険であると兄貴は俺に言ったのだ
「みんなも疲れただろう。今日は終いだ。片付けしたらすぐ帰る様に。ではな。」
兄貴はそういうと背を向けてその場を去る。
まるで自分はこの場には不要とは言わんばかりに。
「兄貴!今日は貴重なお時間ありがとうございました!」
「「「組長!勝負お疲れ様でした!!」」」
皆の叫びが辺りにこだました。
コノヨザルに進化できたのは兄貴のおかげだ。
おそらく兄貴は全て理解していたのだろう。
どう言った事が条件でコノヨザルに進化するかは分からなかったが兄貴がそれを言わなかったのは俺の事を考えての事だろう。
進化の方法を伝えて進化したとしてもそれを制御できるかわからない。最悪暴走する危険性もある。
だからこれまで兄貴は俺に伝えてこなかったんだろう。
今回グソクムシャに一撃でやられた時に俺が諦めていれば進化は無かった筈だ。兄貴はおそらくそれを試した。俺に覚悟があるのかと。
コノヨザルはそれに応えてくれた。
だからグソクムシャは最後に笑みを浮かべてくれたんだな。俺の覚悟を見届けたから。
あの人はどこまで先を見ているのだろうか。
更に俺みたいな奴にも誠実に付き合ってくれるなんて
俺は思わず涙が出そうになった。
俺は幸せモンです兄貴。
あなたに出会えたからそして━━
「やりましたね!チャイブさん!」
「見たことのないポケモンですね。まさか進化するとはさすがですチャイブさん」
「このポケモンかっこいいです!」
俺を慕う舎弟達がいますから
そして俺は舎弟達に向き合うと頭を下げた。
「お前らいつもありがとう。これまで俺がやってこれたのはお前達がいてくれたからだ。だから改めて言いたい。俺は兄貴の夢を支えたい‥!その景色を見ていたい!だから俺の事を支えてくれねえか?頼む‥!」
俺は舎弟たちに思いを述べた。最早俺の懇願に近かった。情けないと思うかもしれない。見苦しいと思うかもしれない。
だがそれでも俺は兄貴に尽くしたいんだ‥!
自然と涙が溢れてくる。俺は熱い気持ちになったのだ
それを見た舎弟たちは涙ぐむ俺に向かって言葉を発した
「何言ってるんですかチャイブさん!それはこっちのセリフですよ‥!」
「チャイブさん。ここにいる皆同じ思いですよ。」
「俺らも組長リスペクトですから!やってやりましょう!」
「お前たち‥!本当にありがとな‥!」
俺たち4人で肩を組み、涙を流し続けた。
兄貴には到底見せられる姿ではない。
おそらく兄貴はそれを察してくれたのだろう。
俺たちはワビ組を更に盤石にする事を決心した。言葉通りこの日を境にしてワビ組は躍進したのだ。
ここにいたメンバーはこの日を「バトルコートの誓い」と記念日にした。
一方ワビ組組長‥
(眠気やばぁ‥立ったまま寝ちゃってたよ。まさか『PCのキーボード早く
(グソクムシャも何故か満足してたし、なんで殴られてたんだろ‥まさか‥!)
(グソクムシャはドMだった? もしくはストレスが溜まっていたのかも‥ごめんな。気づいてあげれなくて)
組長は盛大に思い違いをしていた。
後日グソクムシャに高級マカロンを振る舞ったりマッサージをしてあげたがグソクムシャは首を傾げ「?」マークを浮かべながらも施しは受けていたとか。
主人公‥書類仕事を一日で終わらせたやべー奴。
ちなみに他の組員も手伝おうとしたが、無意識の独り言「やめろ‥!」を聞き組長が言うし手伝おうにも手伝えずにいた為誰も手伝えず。本人は「やめろ‥ もうやめてくれ」という思いだったとか。
もっと組員と話せばいいのにね。
グソクムシャ♂‥アローラで密猟ハンターに捕まり、カントーで高値で売り捌こうとされた所をワビ組の組長に引き取られる。当時はコソクムシで希望があればアローラに帰す事も考えられたが自衛の力を持つべきと主人公が鍛え上げた。自身を鍛え更には意志を尊重してくれる主人公に主従を決意。彼の手持ちになる。
なおグソクムシャが好戦的なのは主人公を守る力を高める為。
今回チャイブの戦いに立候補したのはチャイブが思い悩んでいる事を察して彼の力になりたいと思ったから。最後の笑みも吹っ切れたチャイブの顔を見て安心したから。組長より見る目がある漢の中の漢。
チャイブ‥組織のNo.2。通称顔面暴力傷痕スジモン。主人公を兄貴と慕うが相棒の力を引き出せずにいた。主人公との出会いについてはいずれ書く予定。スピアーに容赦なくボコられ、畏敬の念を込めて「スピアーさん」と呼んでいる。
ちなみにオコリザルのふんどのこぶしはたまたま道に迷っていた観光客を助けたのがきっかけでお礼にと教えてもらった。
コノヨザル♂‥ただグソクムシャにやられてブチギレていただけ。怒りのままにぶん殴ってたらなんか進化した。基本話が通じない。チャイブの事は信用している。
外野モブ三人衆‥モブスジモン。チャイブの舎弟で、彼に憧れて組に入った。後半はオコリザルの意地とやられても立ち上がる姿に感涙して、無言になっていた。人気が出れば今後も出るかもね。
一般観光客‥パルデアから観光でカントーにやってきたかくとうタイプ使いの男。ヤマブキシティの格闘道場に行きたかったが道に迷い、己のパワー理論で建物ごと粉砕して道を作ろうとした時にチャイブと出会い、その後ヤマブキシティまで案内してもらった。
チャイブにとってはオコリザルの進化方法を教えてくれた男だが、口下手過ぎてチャイブに伝わってなかった。
密猟ハンター‥アローラでコソクムシを密猟した犯罪集団。他にも数々の密猟を繰り返し、家族と引き離されたポケモンも少なくない。
カントー地方での活動中にワビ組に目をつけられたのが運の尽き。
ワビ組にアジトをカチコミされ彼らに弱みを握られ、借金漬けにされ法外な利子返済の為、奴隷の様にこき使われる毎日を送る。密猟したポケモンはきちんと保護し生まれ育った地方に返したり、組に居ついたりした。
小太りゲーセンスジモン‥ワビ組組員と共に新人ジョーイさんに詫びを入れたり契約書にサインし、その後ムショにぶち込まれてケジメを付けた。手持ちはバンギラス。ボスゴドラ。サザンドラの3体。ワビ組に預けられた1日目で組を気に入り定住を決意。高級マカロンには勝てなかった。
新人ジョーイさん‥詫びに来たのが組員で、組長が来なくて内心ガッカリしていた。