ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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いつもありがとうございます!!



英雄の卵とかつての英雄とその筋の者(スジモン)

 

 

 

 

 

 

 

あー今日もいい特訓日和だぜ!

本業のスジモン業務と副業としてリーリエの特訓のシフトで休み無し残業有りの日々を送っていまーす

勤務時間はスジモン業務10時間、リーリエとの特訓5時間、休憩2時間、睡眠時間3時間の日々が続いている。

 

まさに月月火水木金金なり

と言う事で皆様方は私は今何をしているかお分かりですね?

 

 

 

 

 

「ピッピさん!ドレインキッス!」

「ピ!」

 

 

 

そう!リーリエとの特訓!

またしても人気ゼロの無人島で特訓しているぜ!

ピッピのワザを的に向かって放ち、しっかり当てられるか確認中だ。リーリエはポケモンバトルをまだやった事無いので先ずは基礎を固めないとね。

 

 

 

「だいぶワザの狙いが定まってきたな。次は移動しながらワザを打つ練習だ。ピッピと走りながらワザを使って練習しよう。」

 

 

「はい!ピッピさん。わたしと走りながら一緒に今のワザを使いますよ!」

「ピィ?ピッピ!」

 

 

 

ピッピさん首傾げてるけど大丈夫すか?

こんな意味不明な特訓やる必要あるのかと思うが素直に従うのは結構嬉しいね。

 

私はその場から遠く離れてリーリエを見守りながら手元を動かす。これを切って‥炒めて‥と

 

ふふふ楽しみだぜ!

 

 

 

 

「彼女の特訓は順調かな?」

 

 

 

私がニヤニヤしながら作業している中、後ろから現れたのはイケメンN。

あの路地裏の逃亡劇から数日経った訳だが、Nは暇さえあればリーリエの特訓を遠目から見ている事が多い

 

別に無理して付き合わなくても良いのだが、何か思う所があるんすかね。

基本猫みたいなスタンスで普段は単独行動してるけどたまにふらっと現れる感じ。

 

だが無人島までどうやって来たのかこれがわからない

 

 

 

「まさかキミにこんな特技があったとはね。まあ‥各地を旅をしていたから当然か」

 

 

ん?私が昔旅した事話したっけ?まいっか!

 

Nは関心する様に私の手元を見ていた。

ふふ!ただの強面スジモンだと思っていただろうが、当てが外れたなぁ‥!

 

私をそこらのスジモンと一緒にするなよ!

旅で培った最強のスキル!即ち料理!モテスキルにも必須やね!ちなみに色々と作れるぜー私は!

組長になってから披露する場面がなかったからようやく活かせるかな!

 

「ああ、旅で必須のスキルだからな。私もたまには料理がしたいのさ」

 

 

「ふぅん‥結構現代的な料理を作るんだね。キミの事だからもっと古風な料理を作るかと思っていたよ。」

 

 

まぁ着流し衣装だから和食的な奴作ると思ったっしょ?残念だったな。和食もいいが、こういう時は簡単で楽しく食える奴がいいでしょ?

 

と言う事で私は今カレーを作っているんだぜ!

ガラルカレーもいいが、やっぱり日本風カレーだろ!

いわゆるカレーライス!ナンもいいがこれに限る。

献立は濃厚豚無双無水カレーチーズトッピングです!

 

うっひょぉおおー!!カレーは飲み物!

そしてカレーをすするぅ! ◯すぞぉ!

やばいクレーマーのSUJIRUです!

 

 

 

 

「それも悪くないが今日は日本風カレーだ。カレーはこれが一番美味しい。」

 

 

「ニホン?全く知らないな‥キミは本当に色々な事を知っているんだね。想像以上に様々な場所を冒険したからこそか‥」

 

 

あ、やべ! ボロが出た!日本は私の前世の地や!

この地には存在せん!まあウルトラホール使えばワンチャンあるかもだが

とりあえず話題を変えよう!ボロが出る前にね!

 

 

 

 

「そんな事ないさ‥それよりもNから見て彼女‥リーリエはどうだ?」

 

 

そう!とりあえずリーリエの話題ね。

私はNにそう尋ねた。元チャンピオンからのアドバイス無い?

こんな特訓で大丈夫かね?ここで下手うってリーリエとエーテル財団から見限られるのだけは勘弁!

 

 

 

 

「素直で優しい子だ。トモダチのピッピもリーリエの事が大好きなんだね。まさにあのトレーナーの様な‥」

 

 

いやリーリエの人間観ではなくて特訓のアドバイスが欲しいんですが、それは。

Nにそうツッコミたかったが神妙な顔持ちをするNに私は日和っちまったぜ‥

Nは少し考えた後にまた言葉を紡いだ。

 

 

「だのに‥野生のポケモン達は彼女を恐れている‥キミが話してくれたUBの様な‥それに彼女の腰に付けたモンスターボールから感じる気配は一体‥」

 

 

 

あ、それウツロイドです。

人前で披露してパニック起こすとまずいので念の為、夜とか人目のない所でリーリエと遊んでいるっす

私とスジモン共の監視の中でな!

スジモン共という衆人環視の中でのイチャイチャとかどんなプレイだよ‥ リーリエすまない

 

 

 

「キミがそこまでリーリエの面倒を見るのはそれと関係があるのかな?」

 

「ああそうだ。私は彼女を(師匠枠として)導く必要がある。」

 

 

だって彼女を指導しないとエリカ様に殺されるだろ!

見限られてあの養豚場の豚を見る目で見られるのはマジで嫌じゃ!見下すのも見下されるのも嫌いなんじゃ!

 

それに下手うってエーテル財団に変な噂流されると逆上したグラジオ君やヨウ君にも殺される可能性があるのだ。マジで本気でやらんと私が死ぬ

 

 

 

「‥なるほど。彼女の為に覚悟ができているのか」

 

 

「私の生命にかけてな(成果が出ないとエリカ様やグラジオ君に殺されるから)」

 

 

「!やはり彼女には英雄の資質があったか‥!」

 

 

Nは驚愕していたが、私は先行きに落ち込み下を向いていたから聞き逃したわ。

だって失敗したら私の首は物理的に飛ぶかも知れんからな。落ち込みたくもなるよ。

 

私の気持ちを察したのかNは私に近づくと元気出せよと言わんばかりに優しく語りかけて来た。

 

 

 

「わかった。ボクも出来る限り協力しよう。他ならぬキミが目を掛けたんだ。その価値はある」

 

 

 

N‥!お前なんと言うイケメンや‥惚れてまうやろー!

こんなスジモンの悩みを聞いて即座に判断するとは‥流石はピュアでイノセントなイケメンだ!

まさに100人力だぜ!

 

 

「ありがとうN!心強いよ。流石は私の英雄だ‥!」

 

「‥面と向かって言うのはやめてくれ。ボクにそんな資格は‥いやキミに言ってもらえるのは嬉しいかな」

 

 

Nは顔を背けて呟くが、私にはわかるぞ!

照れちゃってまぁ! もっとからかいたくなるが今は目の前にあるクソデカ圧力鍋(約50L)と特注巨大炊飯器を運ぶ必要がある。ざっと50人前だぜ!

カイロスがバチクソ食べるから用意したが足りるか不安だ。

 

まあ無人島来る前にマカロン500個平らげたから多少は大丈夫だろう。

財布は大丈夫じゃないが裏金使えばオッケー!

スジモンは隠し口座を二桁持っているのでな。

 

 

 

 

よっしゃ!キリの良いところでリーリエの特訓切り上げてカレータイムと行こうじゃねえか!

 

私は特訓中のリーリエに近づき手をパンパン叩くと、リーリエ達は私の方に振り返る。

 

 

 

 

「さてリーリエ。そろそろお昼にしよう。休憩だ。」

 

 

「はい!今日は先生が用意したんですね!楽しみです」

「ピッ♪」

 

 

まあ普段はリーリエだがたまにはね?

リーリエばかり料理させるのはコンプラ的に厳しいので今後は私も作ることを提案しました。

エリカ様に知られて怒られるのを怖がっている訳じゃないぞぉ!

 

 

さて、準備すっぞ!

私の手持ちポケモンみんなー!飯の時間だぜ!

 

リーリエも腰に付けたボールを投げて‥

あ、ウツロイド出て来た。

 

ちょい待ち‥

 

Nおるんやが 大丈夫なん?????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥ふぅ‥ご馳走様でした。先生のご飯とても美味しかったです♪」

「ピッー!」

 

「すごくおいしいね。これはまた食べたくなる」

 

 

私が用意した折り畳み用チェアに座るリーリエとリーリエとポケモン用チェアに座るピッピ。

Nはリーリエと向かい合う形で折り畳みチェアに座って微笑み、皆一息ついていた。

 

 

 

と言う事でカレーを振る舞いましたがめちゃくちゃ好評でした。

カレーは無水で作ったので味は濃厚、そして野菜特に玉ねぎをバチクソぶち込んだので優しい風味でありながら、くどく無い濃厚さという運動後だと堪らない味付けです

トッピングで焦がしチーズ入れるとまろやかさが加わり、更に上手くなるぜ! 

 

 

「べのめの〜」

 

 

ウツロイドも最初は警戒していたが、リーリエがカレー差し出したら気に入ってくれたみたいで今かなり夢中になって食べてますわー!表情はわからんがね‥

 

 

「なるほど‥これがUBのウツロイド‥ポケモンと同じだね‥キミもトモダチと言えるのかな?」

 

 

「べののん〜?」

 

 

ウツロイドが?マークを浮かべているが無理もないっすね。

NはリーリエがUBを持っていた事に驚き、リーリエが捕まえた経緯などを軽く話した所Nも少し同情して今に至る。取り敢えず騒ぎ立てることも無く安心だ

 

 

そしてその遥か後方ではガチャガチャと騒がしくカレーを食べまくる光景が広がり私はそこに目を向けた。

 

 

 

「スピッ!」

「グソォ」

「メェガアアヤァアアアンンン!!」

「カイロ!!!!」

 

『おおー!これは美味いですぜ!クミチョー!あっしには勿体無いくらいでっせ!』

 

 

 

お!よく食べてるなぁ!

私のポケモン達にも好評な様で安心したぜ!

スマホロトムも今はスマホから出て普通のロトムになってカレーを食べている。

カレー残す方が勿体無いから残さず食って下さいな

 

 

「スマホロトム‥か。次世代多機能型携帯端末に入り込むポケモン‥これも人とポケモンの共生かな‥」

 

 

Nは何やら微笑ましそうな表情で見ていた。

スマホロトムは珍しいのか私の袖の下から出て来た時に目を丸くしていた。まあポケモンが電子機器に入り込むって想像出来ないわな。

 

 

 

「ギュオ‥」

 

 

そしてその輪から離れ、ポツンと背を向ける奴がいるな‥ 私はよそったカレーを二つ手に取りそのポケモンに近づく。

 

 

 

 

「やっぱり賑やかだね彼のポケモンたちは‥とても魅力的なトモダチだよ本当に‥」

 

「Nさんは先生とはどう言った経緯で出会ったのですか?」

 

「ん?ああ‥あれは確かジョウト地方の‥━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Nとリーリエが話している時に私は遠く離れて過ごすゲノセクトに近づき声をかけた。

 

 

「ゲノセクトお疲れ様。これ作ったから食べるぞ」

 

「ギュオーン‥」

 

 

やっぱり距離感掴めてないか‥ 無理もない。

一度敵対した事を引きずっているのかここ3年もの間ゲノセクトは手持ちポケモンとの交流に消極的だ。このままではまずい。私の方から距離を詰めてあげないとな。

 

 

「これ美味いぞ‥?ゲノセクトも一緒に食べてくれ」

 

「ギュオー」

 

 

私が差し出したカレーライスを手に取ると?マークを浮かべるゲノセクト。私は自分のカレーライスをすくって自分の口に入れる。

うん、おいしい!こりゃあいい出来だぜ!

食ってみな、飛ぶぞ。

 

 

「ご飯にカレーをつけて、こうやって食べてみるんだ」

 

「ギュー‥ギュ!?ギュオー!!」

 

 

私がスプーンをすくってゲノセクトの口に入れさせるとゲノセクトはその美味さにびっくりしたのか体を大きく動かす。うむ良い反応じゃな

そして手に取ったカレーを勢いよく流し込む様に食べるゲノセクト。おいおいそんな事していると‥

 

 

「ギュオー?」

 

 

ほら口の周りがカレーで汚れているぞ全く‥

私はハンカチで口を拭こうとしたがゲノセクトデカくて届かん。屈んでくれるかしら?

 

 

「ゲノセクト。私は君とも更なる絆を深めたいと思っているんだ。だからまたご飯作るから食べてくれるか?」

 

「ギュ‥ギュオー」

 

ゲノセクトは迷う素振りを見せたが、私の意思は固いぜ!私の手持ちなんだから仲良くやるんだよぉ!

私はゲノセクトの目を見て優しく語りかけた。

 

 

「過去は過去で関係ない。大事なのは今!ゲノセクトはどうしたい?絆を確かめたいとは思わないのか?」

 

「‥‥」

 

 

ゲノセクトは頭を下げる様に俯きながら、尚も迷っている様だ。うーむ難しく考え込んでいるのかもな。

だがここで日和ると上手く行かなくなる。大事なのは決断や!やってやるぜぇ!

 

女の子と接する時もそう!優柔不断は逆に信用を無くすぜ!さっき日和ってたから説得力無いと思うがな!

 

私はゲノセクトに思いを伝えた。

 

 

「絆は考えてわかるものでは無いさ。まずは私と楽しい事や美味しいご飯をいっぱい食べて私達と一緒に楽しい事を知ろうか。」

 

「!ギュオー!!」

 

 

ゲノセクトは手を上げてわかった!と言っている様に見える。まだまだこれからだな。

いきなり信頼関係は作れないものさ。

私はゲノセクトに手を差し出して握手しろと催促した

 

 

「ギュオー!」

 

「改めてよろしく頼む。これから楽しくやっていくぞ」

 

 

ゲノセクトはおそるおそる私の手を触り私はそれを握り返して約束した。

 

うむ!ひんやりして冷たいが心があったかくなるぜ!

私は久しぶりに笑みを浮かべてゲノセクトを見つめていた。

 

さぁて‥やったろうやないかい!

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥‥

 

 

 

 

side N

 

 

 

 

 

 

「‥なるほど‥先生が持っていた白い羽根‥Nさんのお友達のポケモンさんの羽根だったのですね‥」

 

「ああ。懐かしいな‥‥キミの持つそのネックレス‥あの時その羽と共に光り輝いていた様だが一体‥」

 

つかの間の休息

特訓の合間の昼餉の時間に青年と少女は語り合う。

互いの境遇などについて深く触れず、ただこれまでの旅路についてを

 

青年ことNは少女リーリエの持つ水晶を模るネックネスの神秘的な輝きに目を向けた。かつて自身が友と呼んだ伝説のポケモンの輝きと重ねていたのだ。

 

 

「これはスイクンさんから頂いたものです。北風の化身と言われる伝承のポケモンさんから‥」

 

 

「ふぅん‥言うなれば伝説のポケモンか。キミの話を聞いても思ったがキミは伝説のポケモンとも縁があるみたいだね。UBにほしぐもと呼ぶポケモン‥か」

 

 

あらゆる穢れを浄化させ力に変えるという北風の化身

伝説と呼ばれるポケモンは英雄の中の見えざる力に惹かれるものだろうか。

彼女の話すUBにほしぐもと呼ぶ太陽を喰らいし獣は彼女に導かれるがままに邂逅を果たしたと言える。

 

 

「ふふっ‥お互い別の地方での冒険譚があったんですね。これも巡り合わせというのでしょうか。」

 

 

「‥‥‥」

 

 

リーリエが優しく微笑むとNは目を背けた。

リーリエが放つ光の優しさに耐えられなかったのだ。

かつて英雄になる事を信じた先にあったのはポケモンと人を切り離した世界。

絆とは程遠い世界を作り上げようとした己に語る冒険譚など必要ない‥自身の夢を叶えるまでは。

 

そして彼が目を逸らした先にあったのはまさしく人の負の側面がもたらした被害者と呼ぶべきポケモンだ。

 

 

 

「どうかしたのですか?‥あれ?先生とゲノセクトさんの方を見て‥」

 

 

「ゲノセクト‥プラズマ団が作り上げた改造ポケモン‥まさかキミが持っていたとはね‥」

 

 

「改造ポケモン‥!?タイプ:ヌルさんと同じ様な‥だから先生はゲノセクトさんの事を秘密にしろと‥」

 

 

改造という単語に反応して絶句するリーリエとは違いNは深く考え込む。ゲノセクトについての在り方や己の責務についてを問い続けているのだ。

 

 

(ジョウトでワビ組にいたと話す元プラズマ団の子から聞いたよ。ジョウトでのプラズマ団残党との抗争で多くの人とポケモンの未来を救った事。そしてその場にゲノセクトがいたという事を‥)

 

(かつてのボクは改造して生み出されたポケモンの存在を絶対に認めなかった。そんな命を弄ぶ行為は許されざれる事だとね‥今でもそう思うさ‥けど‥)

 

(勝手に改造をして生み出しておきながら存在の否定などあまりにも都合が良すぎる。ボクはそれに気づかないフリをして逃げていたんだ‥)

 

(だからこそ、これはボクの落ち度でもある。王であったボクが正しく研究者を導こうとしなかったからね‥ゲノセクトは人間を強く恨んでいるだろう。だが恨むならボクだけを恨んでくれ。)

 

 

深く考え込み、俯こうとしたNの目に映るのは仲良く談笑しているのか手を上げて喜び、彼に頭を垂れて組長たる彼と手を握るゲノセクトの姿。

Nにはそれがまるで王に忠誠を誓う臣下の礼に見えた

 

 

(そうか‥キミはそれを察してボクとゲノセクトを鉢合わせ無い様にして、二人きりでボクの事情を説明しているんだね‥全くフォローが上手いな。ボクはゲノセクトを否定して人生を奪った様なものなのにね。)

 

 

Nは直感的に理解した。

彼がゲノセクトを諭してNを庇い、恨みを持つ人間に復讐をしない様に説得していたのだ。

彼の心情を理解したゲノセクトが彼と握手している事がその証拠だ。恨みを受け入れて諭すとは正に彼こそ王の器と言える。

 

 

(さすがはカロスの王だ。彼はまさに愛を与えるものであり、ゲノセクトは愛を奪われたもの‥与える、奪う、もしくは奪われる。というのは世界の真理かもしれないね。)

 

 

彼はゲノセクトに愛を教えてそれを与えた

ゲノセクトは愛を奪われていたが今彼から与えられた

この世界を示す二つの真理をNに伝えたかったのかもしれない。Nは更に深く思考して、以前彼が話した彼の望む世界についてを思い浮かべていた。

 

 

(奪うものと与えるもの‥ボクがかつて白黒付けようとした真実と理想‥どちらも似ているが、真に大事なのはどちらかでは無く両方。つまりバランスという数式。彼が見ているのはそれだ。つまりそれこそ━━)

 

 

 

「それこそがありのままの世界か‥」

 

 

「‥え?ありのまま?前にも言っていた様な‥」

 

 

「彼が望む世界さ。己の意志を信じて他者の意見も尊重し、ありのままを受け入れる世界‥それこそが世界を正しく導けるモノであるとね。」

 

 

彼が言っていたありのままの世界。

世界は不完全だ。それ故に美しいというのが答え。

 

与えるもの(創造)奪うもの(破壊)真実()理想()。二極化された世界はやがて行き詰まり、人とポケモンの可能性は更に狭まれる。

原初の美しさとしてのありのまま。それらを守る為に最善を尽くす事。更には己の意志を信じて他者の意志を尊重する世界こそ真に素晴らしき世界なのだ。

 

 

「‥すごい‥!さすがは先生です。良き未来を作るためにそんな事まで考えているなんて‥!」

 

「リーリエが師事を許されたのもその考えを伝える為でもあると思うな。彼はキミに資質がある事を見抜いたんだ。」

 

「Nさん‥」

 

 

リーリエは師の考えに深く感動するがその責務を担う弟子の自分には荷が重いのではと俯いてしまう。しかしNはリーリエを励ます様に優しく語りかける。

 

 

「ボクもキミには光るものがあると思っているんだ。可能な限りではあるが協力しよう。昔イッシュリーグに挑戦した事もあるからね。」

 

 

「え!?本当ですか!それはとっても心強いです!」

 

 

Nの言葉に目を輝かせるリーリエ。

彼の弟子であるならば力を貸す事もやぶさかでは無い。まさかここまで人と関わる事になるとはN自身想像もしていなかった。

 

 

 

 

リーリエとN。

伝説のポケモンに見初められし英雄の卵とかつての英雄。二人が見る先にいるのは言わば裏社会の調停者。

 

奇妙な縁で出会った二人を繋ぎ合わせたカントーに今新たな風が生まれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこをどいてくれるかな? 逃げたポケモンの力は過去の平行世界とはいえ未来の為に必要になるだろうからね。」

 

 

カントー地方有数の発電施設の一つカントー発電所と呼ばれる場所付近に大きな緊張が走る。

 

浅黒い褐色の肌に特徴的な髭が見えるが黒いハンチング帽とサングラスで顔を隠した中年の男。グレーのスーツにグレーのベストと赤いネクタイを着用し威厳ある雰囲気を漂わせて一人の青年と向き合っている。

 

 

「断る。と言ったらどうする?」

 

 

スーツの男の問いに躊躇いもせずに鋭い目つきで睨む赤髪の青年。手にはモンスターボールを取り臨戦体制に入ろうとしていた。

 

 

二人の間の空間は正に沈黙。たった数分の沈黙が永遠に感じる程の緊張状態だ。

 

そしてその緊張を先に解いたのはスーツの男の方だった。

 

 

 

 

「‥やれやれ。本来であればお仕置きをしたいものだが時間をかけ過ぎたね。仕方ない‥撤収だ。」

 

 

 

スーツの男は観念したかの様に両手をあげて赤髪の青年に背を向ける。

 

すると男の判断に不満があるのか男の背後で佇む二つの人影が顔を顰めて舌打ちをしていた。

 

 

「チッ‥!今回は従うがあんたは食客。命令される筋合いは無い。」

「そうだ!俺たちのボスはあの人だからな。」

 

 

「そうだね。わたくしと君たちのボスはあくまで協力関係。言わば業務提携に近いからね。気をつけるよ」

 

 

「あまり調子にのるなよ。よし急げ!」

「この事はボスに報告する。あまり勝手な行動をするなよ」

 

「じゃあ行きましょうか。君たちのボスの元にね。」

 

 

スーツの男と遠巻きに見ていた黒ずくめの男たちは足早に立ち去り、その場にいるのは赤髪の青年ただ一人

 

 

 

「‥‥‥」

 

 

赤髪の青年はスーツの男たちが立ち去り、姿が見えなくなってもなおその先を見つめていた。まるで過去に経験した出来事を思い出す様に

 

 

 

「あの格好はロケット団か‥?だがヒビキの奴が叩きのめしたロケット団が何故カントーにいる?」

 

「解散した筈の組織がまた新たに再始動したのか?‥わからない事だらけだな‥そしてあの場で鉢合わせたあのポケモン‥」

 

 

腕を組み思考する青年。不意にスーツの男が話したあるポケモンについてを思い出していた。

青年がスーツの男と鉢合わせた時に思わず男とポケモンとの間に入った事でそのポケモンは影を縫う様な早さでその場から立ち去ったのだ。

赤髪の青年はそのポケモンが逃げた先と思わしき獣道に目をやる。

 

 

「俺が来た時にはすでにあのポケモンが奴らから離れて行った‥あまりの早さに姿も見れなかったが‥」

 

 

わかったのは四足に大きな体躯。

まるで稲妻の化身の如く颯爽と立ち去る姿に青年はかつて旅をしていた時に自身が追い求めたある伝承のポケモンと重ねていた。

 

 

 

「かつて手にしたかった最強のポケモンの一角‥だが今の俺には必要の無いものだ。なんたってこいつらが俺にとっての最強なんだからな。」

 

 

青年が追い求めた最強のポケモン。

だが既に手持ちポケモンが自身にとっての最強である事を理解した今、その力は必要の無いものである。

 

青年は獣道の先から自身を見つめる視線を感じていたが、敵意の無い視線である事を感じ取るとそのまま踵を返してその場を後にした。

 

 

 

 

 

「‥‥」

 

 

 

獣道の先の大木の上から青年を見つめる一つの視線。

その視線の主は青年が立ち去った後に天に向かって叫んだ。

 

 

 

 

「ららーい!!」

 

 

 

空には雲が立ち込め、ゴロゴロと雷鳴が辺りの雑音をかき消していく。それはまさに稲妻を玉座とした王君か。

 

 

北風の化身

炎の皇帝

稲妻の王君

 

 

ジョウト地方に伝わる三体のポケモン達がカントーに一同に集う事は何を意味しているのか。

それぞれがまるで自身の力を引き出せる存在‥言わば英雄に求めるものがあるのか。

 

 

それは後に起こるカントーでの大きな騒動を予期して動いているのかもしれない。

 

 

 

 





主人公‥実は多才で料理上手。おそらくネームドの中ではNと一番仲が良いかも。顔は良いので最近Nと一緒にいるとモブの女性達から黄色い声援を受け、あらぬ疑いをかけられているとか。

リーリエ‥主人公だけではなくNも特訓に協力してくれる事に。四天王クラスの実力の組長とイッシュのチャンピオンの実力のNというヤバすぎる教育体制と本人の才能が合わさり将来が楽しみの逸材である。

N‥リーリエの特訓も出来る限りという形で協力する事に。ゲノセクトに恨まれてもおかしく無いと思い、ゲノセクトに改めてお詫びしたいと考えている。

ゲノセクト‥最近絆について難しく考えすぎて分からなくなってきた。まずは楽しい事から知ろうという提案に乗り、趣味探しと好物料理を巡る旅を考えている
ちなみに人間は恨んでいないし、Nのことは知らない




スーツの男‥帽子の隙間から見える前髪と特徴的な刈り上げはある人物を想起させるが‥

赤髪のトレーナー‥かつてロケット団を率いていた男の子息と関係ありそうだが‥

稲妻の化身‥成り行きとは言え赤髪のトレーナーが間に入った為何とか逃れた。赤髪のトレーナーに何か思う事があるのか見定める様に見つめている。

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