夢中になって執筆したら1万字超えてました‥
長いとは思いますがお付き合い頂けますと幸いです!
「くそ‥!さすがはしてんのうにワビ組の組長だ。ここまでやるとはな!」
イブキさんと共闘する流れになり、私はカイロスを、イブキさんはチルタリスを繰り出した。カイロスの喧嘩殺法ことヒートアクションでロケット団のポケモンを再起不能にして壊滅させた。
スジモンにはスジモンをぶつけるんだよ!
「ふふっ‥!流石ね。あなたと一緒なら負ける気がしないわ。」
「チルッ♪」
「ありがとうございます。イブキさんこそですよ。そうだろう?カイロス。」
「カイロ!」
背中越しに言葉を交わし敵の様子を観察する。
ふぅむ、だいぶ数を減らしたけど動く気配なしか。それもそうか。‥ってそうだ!リーリエは無事か!?
私はイブキさんの近くにいるリーリエに目をやる。
「‥すごいコンビネーションです‥!カントーのことわざ‥アウンの呼吸とはこの事でしょうか。」
何やらすごい緊張感で語り出したが、カイロスが地上で喧嘩殺法してる中チルタリスが空中で暴れ回っただけなので、コンビネーションもクソもないパワー理論です。力こそパワー!これが真髄だ。はい復唱!
「中々やる様だが‥戦力はまだまだあるぜ!」
「よし!作戦通りに行くぞ!ドガース達はえんまくだ」
「「「ドガァ!」」」
後方から声が聞こえたと思ったら煙幕がモクモクと漂い周りが白煙で充満し視界が白く埋め尽くされる。
毒ガスじゃなそうだが、何も見えん!こわい!
「何も見えないわね‥ワザが飛んでくるかもしれない注意して!」
「チル!」
「カイロス気をつけろよ。リーリエは大丈夫か?」
「ロッ!」
「はい。先生こそ大丈夫ですか?」
声を掛け合い所在地を確認する。
うーむこれじゃあ何もできないな。どうしたものかと私が考え込んでいると、カイロスが雄叫びを上げながら敵をボコす音が聞こえた。おいおい!マジか!?
「カイロ!」
「チュー‥!」
「ゴルバ‥」
カイロスが声を上げてバコォ!とかドガァ!とか痛々しい音が周りに響き渡る。
やられ声からしてラッタとゴルバットか?
ヒートアクションが決まった様だな。あー痛そう‥
「見えない事をいい事にトレーナーまで狙うとは本当に何でもありね!」
イブキさんの方から激しくワザとワザがぶつかり合う音を聞き私は戦慄した。
やべえ!イブキさんを狙うという事は近くにいる私も巻き添えを食らうじゃないすか!
全く冗談じゃない!逃げるぞ! いのちだいじに!
私は距離を取ってその場から離れて逃げようとする。
カイロス頑張って!
「カイロ!」ドゴォバキャ!
「ベトォ‥!」
おうおうやってるねー。ポケモンという全年齢のジャンルでしちゃいけない音が今聞こえたが大丈夫かよ‥
私は攻撃が当たらない事を祈りながらビクビクして怯えていた。怖すぎぃ!
「‥〜!何を‥!離して‥━‥!」
何やら遠くの方でも揉める音が聞こえた為、かなりの乱戦になってる事は確かだね。
もうちょっと離れて逃げる準備しなきゃ‥と私が更に離れようとした時に足下の小石に躓きその場で転ぶ
いてぇ!顔打った!派手に額を擦りむき、血がブシャー!と出る。くそ!着流しが汚れちまう‥!
めちゃくちゃ痛いんですけど!転倒した中で過去最高の痛みなんですけど!
「くっ‥!まだ続くのね!攻撃が来るわ注意して!」
イブキさんが声を荒げて叫んでいるが私は立ち上がれず痛みのあまり蹲っていた。あーもうやだぁああ!
暫く蹲っているとビビビ!と高音が聞こえ頭上をビームが掠る。ちょっとこれって、はかいこうせん!?
ワタルがいやがるのか!? 人に向かって打つなんてさいてー!
「よっしゃあ!!見えねえ中でのはかいこうせんは避けられねえよな!これで組長の野郎も終わりだな」
「ゴルバ!」
「音の位置からして‥もしかして彼が!っ‥不覚!」
「チル‥」
モクモクと白い煙が少しずつ晴れて見えたのはゴルバットと向き合うチルタリスとイブキさん。そして倒れたポケモン達を背にして周りをみるカイロス。
お前倒しすぎや‥ いくら何でもやりすぎじゃない?
「な!?テメェ生きてやがったか!‥だが無傷じゃすまなかった様だな。」
やっぱり殺す気だったんじゃないか!
さすがはロケット団や‥!あのガラガラを殺すだけの事はある‥
私はふらつきながらもイブキさん達に目を向けた。
「‥よかった無事なのね‥‥なっ!?まさか血で顔が‥しっかりしなさい!」
「チルッ!?」
「カ、カイロ!?」
あ、お構いなく。額って血管がめちゃくちゃ多く通ってるんで少しの怪我で血がめっちゃ出るんですよ。
額から出た血が顔の右半分位覆ってるのが分かるね。
今右目瞑ってる状態なんで遠近感わからん。
カイロスとイブキさんにチルタリスが驚き、怒りの目線をロケット団に向けているが、転んで怪我をしたとは死んでも言えないっす。
「チルタリス!りゅうのはどうで周りを薙ぎ払いなさい!」
「チルッ!チールー!」
チルタリスが八つ当たりを発露するが如く周りにりゅうのはどうをぶちこみ、付近のポケモンを壊滅させる。やべえ!ワタル以上の逸材だ!さすがは従兄妹にして兄弟子の系譜を継ぐものや‥!
イブキさんが辺りを壊滅させた後に意識のあるしたっぱにイブキさんが近づくとそのしたっぱは観念したのか両手を上げて降参ポーズを取っていた。
「‥まさかここまでやるとはな。俺たちは最早戦う術が無い‥!」
「そうね。素直に負けを認めるのは嫌いじゃ無いわよさあ、色々と話してもらおうかしら?」
イブキさんが一人蹲るしたっぱを問い詰めていたが、そのしたっぱはニヤリと口角を上げるとイブキさんを揶揄う様に語り出す。
「負け?これはな戦術的勝利という奴さ。お前達‥何か見落としてないか?この場に足りないものがあるんじゃないのか?」
え?そうかな?私とイブキさんは周りをキョロキョロするが確かに何かが足りない気がする。
私が考え込んでいる中イブキさんは嘘でしょ‥と呟きしたっぱに向かって声を紡いでいく。
「‥リーリエがいない?‥まさかあなたたち‥!」
「ああ‥あの小娘は預かった‥重要な情報源なんでな」
何‥!Missカタギことリーリエがいないだと!
こりゃあまずい!
私は急いでリーリエを探そうとするが、またしても小石に躓き、その場で倒れ込んでしまう。
なんだよ!もおお!また(小石)かよおおおおお!!
「大丈夫!?やっぱり体が‥!しっかりして!」
「チル‥!」
「カイロ‥!」
私が転んで蹲っている時にイブキさんとチルタリスとカイロスは駆け寄り、イブキさんが私の脇を支える。
いい匂いだぁ‥ お胸も当たって嬉しい!てかまたデカくなってない?最強かよ!ああ
「擦り傷ですよ。大した事ありません。」
「強がるのもいい加減にしなさい!そんなに血を流してどこが擦り傷なのよ‥!」
「チル‥!」
「カイロ‥」
いやマジで擦り傷です。そうとしか言いようがない。
それよりもリーリエだよ!リーリエ!
拐われた事が知られるとまずいんですよ!
ちくしょーふざけやがって!なんでこんな目に‥!
私は思わず目の前のしたっぱ野郎に目をやった。
俺は今から怒るぜ
「カタギであるあの子に手を出すとは‥落とし前はきっちりとつけさせてもらう‥!」
「‥!な、なんだこの威圧感は‥!」
「!‥なに‥これがあの彼なの?いつもと全然違う‥まさに冷酷にして無慈悲な王‥過去のあなたはこんなにも冷たい視線を放つ人だったの‥!?」
ハァ‥!ハァ‥!やばい!
周りがなんか言っているが、かまけている余裕がない
怒り疲れてこんらんしている。あぁクラクラするぜ‥
覇王色使えんのに使おうとしたら相手が空気呼んでビビってくれた。このスジモンフェイスに感謝だぜ。
てかそれよりもリーリエだよ!リーリエ!
「‥いやそれよりもリーリエを早く‥!でないと‥」
私が預かっている手前リーリエを慕う人達に殺されるのは確実!それだけは避けたい。エリカ様にも幻滅されるし、ヨウ君とグラジオ君に殺されるのはだけは本当に嫌だあ!!
「‥そうよね。大事な存在よね‥怨念に囚われず、良く耐えたわ‥!チルタリス、いやしのはどうで彼を少しでも回復させて」
「チル〜」
「カイロ‥!」
ふわぁあ‥ 気持ちいい(即落ち)
緑色の光が私の額を覆い、チルタリスの羽根が体を包み込む。
うひょお!ポケモン吸いできるぜ!チルタリス最高!
やっぱモフモフしてるポケモン最高だぜ!
これだからポケモン吸いはやめられねえぜ!
「傷の治りが早い‥もう擦り傷程のレベルにまで回復を‥!?」
いえですから元々です。擦り傷だって言ってるじゃん
人の話聞いてる? 驚き過ぎだろ
「はかいこうせんを直接受けても五体満足‥かつこの回復力の高さ‥これもロケットチルドレンの副産物なのね。‥と言う事はやはり寿命も‥」
ん!?なんか小声で私のことロケットチルドレンって言った?そのあだ名はやめろォ!目の前のロケット団のしたっぱに関係者だと思われたらどうする!
私が勝手に狼狽している中、イブキさんはしたっぱに顔を向けると更に質問を続けていた。
なにやらしたっぱは震えている様だが、イブキさんの服装を見て笑いを堪えているんだな間違いない(無礼)
「何が目的なの‥何故リーリエを拐ったのかしら?」
「‥俺たちのボスが求めるFall‥お前たちの話を少しだけ盗み聞きしたが、あの小娘がそのFallとやらの手掛かりになるかもしれんと踏んだからだ‥」
「Fall? ‥それを知るのは後にして‥そこまで全容を理解しているのならあなたはこの作戦の指揮官の筈‥リーリエはどこにいるの?答えなさい。」
「俺たちは囮さ。本隊がルートを知っているからどこにいるのかなんて何も知らない。食客の胡散臭い大男に従うのは癪だがな‥」
「これじゃあどこに逃げたかわからないわ‥一体どうすれば‥?」
ふわもこしてて最高ー イブキさんがなんかシリアスな雰囲気を醸し出しているがそんなの知らね!
今はポケモン吸いを堪能するぜぇ!
fool↑気持ちいい〜
カイロスも来てみろ!最高だぜ!
‥ってん?
チルタリス吸いにかまけてて何かを忘れている様な‥
‥あ
ヤベ! リーリエ探さなきゃじゃん!!
‥‥
‥‥‥
side リーリエ
「くっ‥!離してください!」
「怪我したくなかったら大人しくしろ‥!」
手足を縛られ黒ずくめの男達に担がれる少女リーリエ
してんのうのイブキとワビ組の組長の息もつかせぬコンビネーションに見惚れていた時に、敵の煙幕で分断された隙を突かれて一瞬にして背後からの奇襲を受けて彼女は拘束された。
拘束された後はいつの間にか平原を抜け、草木が生い茂る深き森の中まで移動し、人目もつかず大木によって陽の光も枝葉によって遮られた地に彼女はいた。
「降ろしてあげなさい。その娘は丁重に扱うのです。」
「‥ああ。」
リーリエを担いだ男は彼女の手足を拘束していた拘束具を外すと彼女をゆっくりと地に降ろす。
解放されたリーリエは転びそうになるが、何とかバランスを保ち、拘束を解く様に命じた正面に聳える男を眼に収めた。
その男の身の丈は2mはある巨漢の男
黒いローブを羽織り、右目には赤いモノクルをつけた緑髪の男はリーリエを一瞥すると彼女を担いでいた男に再び声をかけた。
「この娘とお話がしたいのです。その為アナタ方には下がって頂きたい。」
巨漢の男が諭す様に男達に言葉を紡ぐと男達が顔を顰め不満を露わにしていた。
「‥わかった。だが下手な真似はするなよ」
「テメェは食客だからな。変な真似したらどうなるか‥分かっているよな?Fallを探し出すと言う任務を忘れるな。」
「‥ええ、承知しておりますとも。では後ほど」
黒ずくめの男達。ロケット団構成員は愚痴を吐きながらも巨漢の男の指示に従いその場から姿を消していく
文字通りこの場は巨漢の男とリーリエだけの空間だ
リーリエは眼前の男の底知れぬプレッシャーに思わず息を呑み、長きに渡る沈黙の時間を覚悟したが、意外にも先に沈黙を破ったのは巨漢の男であった。
「はじめましてと言うべきでしょうか?ワタクシはゲーチスと申します。まずはとんだ失礼を働いた事を深くお詫び致します。」
リーリエに対してただ深くお辞儀をする巨漢の男ことゲーチス。リーリエは礼節を弁え、自身に謝罪する男の態度に困惑していた。
「い、いえ。突然の事なのでわたしにも何が何だか‥」
先ほどまでロケット団構成員と思わしき男たちに乱暴に扱われ、恐れや怒りの感情を抱いていた。しかし、ゲーチスが礼節を弁えた対応を取った事で拍子抜けしてしまい、リーリエもどの様な接し方をすれば良いか混乱していたのだ。
「無理もありません。何せあのロケット団‥彼らからすれば何かを奪う行為は朝飯前というものです。」
男の発したロケット団という単語に顔をあげてゲーチスから距離を取るリーリエ。彼を警戒する様にモンスターボールを手に取り、一挙手一投足の動きを見逃すまいと観察する。
「!ロケット団‥!クミチョーさんと因縁のある組織の事ですよね‥ 何が目的なのですか‥?」
リーリエが距離を取った事にゲーチスは驚く事無くただ彼女を一瞥する。しかしその眼は悲哀に満ちた瞳であった。
「‥ロケット団の目的は世界征服です。‥しかしワタクシは彼らの行いを望みません。アナタの言う組長という者と目的は一緒なのです。」
「!クミチョーさんをご存じなのですか?」
ゲーチスはロケット団の行いが愚かで救いようが無いと言わんばかりに言葉を吐き捨てる。
まるで彼らが天下をとる事を望まず、ワビ組の組長の思いを汲んでいる様な口ぶりにリーリエは驚きを隠せず、ゲーチスを問い詰める。
ゲーチスはリーリエの言葉を聞くと空を見上げる様に言葉を紡いでいった。
「この世界の‥━━失礼。カントーとジョウトの裏社会を手中に収めたワビ組の組長という事は知っていますとも。そしてロケット団との因縁は切ってもきれないものという事についても‥」
「‥‥」
ゲーチスは左手を動かし、ワビ組の組長の事情を把握しているかの様にリーリエに訴えかける。
まるで計算された一幕の様な演劇の舞台披露に見えるその動きにリーリエは目を逸らせず見つめる事しかできなかった。
「‥ワタクシには分かるのです。あの者はワタクシと同一にして凄惨な過去の持ち主であると‥」
「‥え?それでは‥あなたもロケットチルドレン‥と言う事ですか?」
ゲーチスの放った一言にリーリエは思わず食いつく様に質問する。それを聞いて口角を上げるゲーチスだが丁度顔の位置に木の影が重なり、彼女からは表情が伺えずにいた。
「‥ロケットチルドレン‥なるほど‥彼にその様な過去が‥ワタクシも幼き頃に森に捨てられ、ポケモン達と過ごした事があるのですが、彼の過去はいかに凄惨なものか想像を絶します‥」
「そんな過去があなたにも‥」
身振り手振りの動きを加え、彼女に背を向ける事で悲壮感を演出し、言葉の節々に抑揚をつけて感情の昂りを付け加える様な完成された悲劇の一幕はリーリエに強い同情心を植え付ける。
そんなリーリエに畳み掛ける様にゲーチスは自身の感情を言葉に置き換えてリーリエに訴える。
「ですからワタクシは同じ様な過去を持つあの男の力になりたいのですよ。どうですか?ワタクシと共に彼の負担を少しでも減らすお手伝いを致しませんか?」
「‥!?そ、それは‥しかしどうすれば‥」
信頼する師匠の手助けをするという甘い言葉があまりにも自然に彼女の心にするりと入っていく。
ロケット団構成員に誘拐された罪悪感から逃れる為、師匠の手助けをしたいという免罪符を彼女に与える。
まさしく心の隙をついた言葉に彼女の心は大きく揺さぶられていた。
「それは簡単です。アナタが持つUBの情報を教えて頂きたいのです。UBを捕獲‥いえ保護する為にFallについても教えて頂きたい。」
リーリエが考える隙を与える間にゲーチスは選択肢を用意した。彼女は罪悪感から逃れる為にその免罪符を手にすると見込んで。
しかしその早すぎる提案がかえってリーリエの心の中に僅かに残る疑念を刺激した。
「‥しかしわかりません。あなたはロケット団の人間の筈です。何故仲間を裏切る様な真似を?」
「‥信じられないとは思いますがワタクシはウルトラホールを通じてこちらの世界に来た人間です。彼らはワタクシを道具としかみていない‥ワタクシは元の世界に戻りたいのです‥!その為にも協力をして頂きたい。」
感情を昂らせて悲痛の思いを露わにしてリーリエの同情を誘うゲーチス。
まるでその問いを待っていたかの様な言葉の間取りと感情の抑揚には並みの人間なら思わず同情心を誘うだろう。
リーリエは唇を震わせてぎゅっと手を握って俯く。そんな彼女の様子を見たゲーチスは思い通りに事が進んだと言わんばかりに邪悪な笑みを浮かべる。
そしてリーリエが再び顔を上げるとゲーチスは表情を切り替えて悲痛な面持ちで彼女をみる。
「もう一つお聞きしたいのですがあなたの目的はFallを探し出すと言う事でよろしいのですか?」
リーリエの問いにゲーチスは顔を顰めて睨みつける衝動に駆られそうになるが、その気持ちを抑える様にリーリエを優しく諭す様に言葉を紡ぐ。
「ええその通りですとも。Fallを探す事がワタクシの目的とも言えるでしょうな。」
ゲーチスの答えにリーリエは確信ついた明確な答えを得たのかゲーチスから距離を取ると呼吸を整えて彼に警戒の表情を浮かべて指摘するように一言発する。
「それはおかしい話です‥」
「何だと‥?」
リーリエの放つ疑念の言葉に反応するゲーチス。
矛盾を指摘する様な問いにゲーチスも苛立ちを隠せず低い声を出す。リーリエはそれに怯えずに疑念がある点をゲーチスに突きつける様に口を動かした。
「‥Fallとはウルトラホールを通って別世界に行った人間を指します。つまり本来であればゲーチスさん。あなたはFallの筈‥ですがそれを全く知らない様な素振りであり、ロケット団からは何も言われていない事に違和感があります。」
「そしてわたしがあなたと挨拶する前にロケット団の構成員の1人が放った一言‥『Fallを探し出すという事を忘れるな』つまりロケット団もFallを求めている。それではあなたはわたしに嘘をついている事になります‥」
「‥‥」
ロケット団がFallを求めているのならばFallであるゲーチスを利用すればいいだけの話だ。道具としか見てないのならそれもできる筈。しかしそれとは別でFallを求めるのは彼がFallでは無いことを意味する。
それがリーリエについている嘘だ。
そしてゲーチスがFallの事について存じてない事。更には前述した嘘を隠して話した事がリーリエの疑念に拍車をかけたのだ
彼女の鋭い指摘にゲーチスは唸る様に唇を震わせて彼女を睨む。
「答えてください。あなたの真の目的とは何なのですか?それを聞くまではわたしはあなたを信用できない‥!」
「ふはは‥!ただの小娘かと思ったが存外やるではないか。」
「!?」
先程とは打って変わり邪悪で狂気的な表情を浮かべるゲーチスにリーリエは身の毛のよだつ悪寒が全身を覆い尽くす感覚を理解した。
ゲーチスはリーリエを見下す様な仕草で彼女に詰め寄った。
「その通りです。ワタクシはFallとは何なのかを知り得ません。ですが我らが王‥サカキ様はFallを求めている。あの男‥いいえボスが世界を握るにはFallの情報が不可欠!」
ゲーチスが王と崇めるボスサカキ。
だがその表情には彼を側近として支え、野望の成就を願っているものには到底見えなかった。
まるで歪な支配欲。ゲーチスの底知れぬ野心を垣間見たリーリエはありのままを是とする組長とは相容れない事を理解した。
「‥先生‥いえクミチョーさんとは比較にならないおそろしい野心の持ち主です‥」
リーリエが呟いた組長という言葉に反応したゲーチスはまるで汚物を見るかの様な思いで気持ちを吐き捨てる。
「ワビ組の組長ですか‥くだらん。折角カントーとジョウトという二つの地方を手中に収めたのに野心がなさすぎる‥所詮は歯車になろうとする人の形をした愚か者か‥」
「‥!」
それは師と呼び、敬う彼に対しての最大の侮辱と信念を理解しようともしない上部だけの批判だ。
リーリエの心の奥底で何かが切れるような音がしたが彼女は握り拳を作り、ただ耐える。
ここで怒りに身を任せ、無闇に力を行使すればそれこそ目の前の男と同じになるからだ。
師への侮辱を意にも介さずただ耐える彼女の芯の強さを理解できないのかゲーチスは舌打ちをするとリーリエに向き直る。
「‥無駄口が過ぎましたね。さてアナタはワタクシの真意を知った。ここから無事に帰す訳には行きません。せめてUBがどこにいるのかの情報だけでも教えて頂ければ多めに見ましょう。」
「‥わたしは知りません。ビーストさんについてもそうですが居場所なんてもっての外です。」
リーリエは首を横に振る。
UBが潜伏する場所は勿論、生態や行動原理などリーリエは知る筈も無く答えようが無い。
もしリーリエがUBについて知り得たとしても
ゲーチスにUBの情報を渡す事はしない。それ程までにゲーチスを危険視していたのだ。
リーリエの態度を見たゲーチスは目を瞑り残念です。と呟くと彼女に向き直り、懐からモンスターボールを取り出し彼女を再度一瞥する。
「‥何かを知っているかと思いましたが‥何も知らぬと言うのなら仕方なし‥では花々しく散れ!」
ゲーチスは口角を上げ、邪悪な笑みを浮かべると、取り出したモンスターボールからポケモンを繰り出そうと左手をゆっくりとあげる。
(ポケモンを繰り出す余裕がない‥!ここは逃げるしか‥!)
リーリエがその場から離れようと背を向けて駆け出そうとした時、世界はゆっくりと動いている感覚に陥る
ゲーチスがボールを投合する仕草もまるでスローモーションビデオの様な緩慢な動きに見えるほどの錯覚。
そして彼の左手が大きく揺れるが、ボールは手から離れていなかった。
リーリエは疑問に思いゲーチスを見ると、彼の体が激しく揺れている姿を確認する。
いや、ゲーチスだけでは無い。背後の大木そして地面もまるで地震が起きたかの様に激しく揺れている。
「な、なんなのだ‥この揺れは‥!この音は地響きの音では無い‥!まるでジェット機の様な高音‥」
(!この感覚‥覚えがあります。あれは確かおつきみやまで‥‥まさか‥)
(‥来る‥!‥一体‥いえ‥更にもう一体の気配が!)
リーリエは直感的に空を見る。木々の枝葉で覆いつくされ空の光は葉の間から僅かに漏れ出るのみ。
その枝葉を突き破り空から巨大な二対の影が襲来するのを確認した。
その影はリーリエの前に鎮座する大木の前に着地すると強い衝撃波がリーリエとゲーチスを襲う。
「かがやふ‥」
「デンショック!」
「あの時のビーストさん‥確か名前はテッカグヤ!そして‥もう一体のビーストさん‥ 何者でしょうか?」
木々の枝葉を突き破ってリーリエの前に降り立つ二体のUB. 以前おつきみやまで組長と交戦したテッカグヤと見た事の無いUBだ。
青白く発光する頭部とコード状の黒い触手が生えており、その触手は白い結束バンドのような物で5本に束ねられている姿をした正しく未知の生命体。
突き破った枝葉の割れ目から光が降り注ぎ二体を照らすその様はまさに異様と言えるだろう。
「何!UBだと‥!?この状況でワタクシの邪魔をするというのか‥!」
ゲーチスが苦虫を潰した様な険しい表情を浮かべ、テッカグヤともう一体のUBを見る。
二体とも巨漢のゲーチスよりも高さがあり、ゲーチスを見下ろす様に一瞥していた。
「おのれぇ!このワタクシを見下ろすとは道具の分際で舐めたマネを‥!」
「かがふ」
「デンショッ」
「‥っ!」
現れた二体のUBはゲーチスには全く目もくれずリーリエをただひたすらに見つめている。
そして二体のUBがリーリエへゆっくりと歩を進めるが突如テッカグヤがオーラを放ち、もう一体のUBへ攻撃を始める。もう一体のUBは体から電気を生み出して電撃をテッカグヤに打ち込んでいた。
「がや!」
「デンショ!」
まるで縄張り争いの様に小競り合いを始めた二体のUB. その規模は凄まじく、電撃やテッカグヤの放つ火炎のワザで木々が倒され、多くの野生ポケモン達が一斉に逃げ出していたのだ。
「ここではあまりに分が悪い‥ここは一度退きましょう。覚えていなさい小娘‥!」
ゲーチスはリーリエに恨みつらみの表情を浮かべるとその場から立ち去り、彼女一人が取り残される。
リーリエはなおも争いを続けるUBを見て焦りの表情を浮かべていた。
(ビーストさん達はまだこの世界に慣れていないから戸惑い暴れている‥ わたしが止めないと‥!)
リーリエは争いを続けるUBの姿を見て、ポケモンと違った未知の力に改めて恐怖を覚えた。
今ここには自分を助けてくれる組長はいない。彼女と手持ちのポケモンだけしかこの場にいないのだ。
手持ちのポケモンの力を借りて二体の暴走を食い止め森への破壊活動をやめさせたかった。
彼女はウツロイドの入ったボールを握り、UB達の元へと向かう。
しかし彼女はFall
UBからしてみれば帰巣本能を刺激する存在であり、そんな存在がいきなり接近するとどうなるか。
彼女はまだそれを理解できていなかった。
「かがやふ!」
「デンショック!」
「!?早い‥!」
二体のUBは本能の赴くままリーリエの元に接近する。あまりの速さにリーリエも反応できずにいた。二体のUBはFallである彼女の影響により、更なる暴走状態に入り、リーリエを襲わんとしていた。
(これは逃げられない‥!先生‥ごめんなさい)
(‥ヨウさん‥助けて‥!)
最悪を想像し師との特訓や想い人の笑顔や思い出が走馬灯の様に頭を駆け巡る。
リーリエは逃げる事を辞めてその場で蹲り、両手を頭の後で組み、前腕で頭の側面を覆う防御体勢に移る。
彼女が目を瞑り、強い衝撃と痛みに耐えようとしたその時、遠くから地を駆ける様な足音が聞こえた
「ゼドアーッ!」
(‥どうしたんだろう‥痛みも衝撃も来ないのは一体‥?)
一向に訪れない衝撃と痛みにリーリエは何が起こったのかと恐る恐る目を開けるとそこには背を向けて彼女を守る様に佇む一体のポケモンがいた。
全身が黒の四足に首筋には緑色のリードの様な装飾品らしきものが見えたまるでヘルガーの様な見た目をしているポケモン。
だがそれはヘルガー系統のポケモンでは無く、別種のポケモンである事は明白だ。
「かがや‥」
「デンショ‥」
UB達はリーリエを守る様に佇む黒い四足のポケモンを恐れているのか先程と打って変わって彼女を襲う気配が見られない。
(このポケモンさんは一体‥ビーストさんはこのポケモンさんを怖がっている‥?)
「ゼドッ‥!」
「かや‥!」
「デン‥!」
リーリエが疑問に思う中、黒の四足のポケモンがUB達に対して睨みをきかせると二体のUBは黒の四足のポケモンを恐れ、テッカグヤは上空へ飛び上がり、もう一体のUBは木々の間を跳躍して逃亡した。
「‥‥」
「あの‥ありがとうございます!助かりました‥」
リーリエは自身を守ってくれた黒の四足のポケモンに深くお辞儀をして感謝の言葉を口にした。
黒の四足のポケモンはリーリエに振り向くと観察する様に彼女を見る。最初は彼女の握るモンスターボールを凝視し、その後は胸元にかけた小さな水晶のネックレスをただ見つめている様子であった。
「‥なるほど。秩序を司るジカルデが彼女に近付いた。これには深い意味がありそうですね。」
「秩序を乱す存在に裏社会の平定者。どちらでもないいわば中庸の道を進まんとする彼女との邂逅をジカルデが望んだというのか‥?」
木々の間の影からフードを被った一人の男が現れる。
フードに隠れてはいるが白銀の如く白い髪に白い髭、左目を閉じて背は曲がり、服も豪華絢爛とは程遠い物で着用し、所々に穴が空いた世捨て人の如き風貌の男だ。
「!!」
先程のゲーチスとはまた違った風貌の男にリーリエは思わず後ろに下がり、再び警戒の表情を浮かべ男を捉えた。
「あの‥あなたは?」
リーリエは恐る恐る目の前の男に何者であるか尋ねると男はゆっくりとリーリエに近づき、フードを外して彼女に目を向ける。
「失敬。順を追ってお話しないといけませんね。」
「はじめまして、わたしはFと申します。」
ゲーチスと同じく丁寧な口調で話し出す謎の男F
彼は敵なのか味方なのか
リーリエはそれを見定める為、強い警戒心を持って彼の言葉に耳を傾けようとしていた。
主人公‥イブキが真剣に戦っている中転んで怪我したり、チルタリス吸いをしたりとやりたい放題してる人
イブキ‥ロケットチルドレン計画で体を弄られ凄まじい回復力に伴い寿命が減っている事(勘違い)に心を痛めた。今回の件で主人公が未だに過去に引きずられ過去の冷徹な人間に戻るのではと彼を案じている。
リーリエ‥ゲーチスの口車にまんまと乗せられそうになったが細かな矛盾に気づきゲーチスを見破った。
FallがUBを引き寄せる性質がある事をエーテル財団が知るのはSMクリア後時空からいう設定にしたので彼女はそれを知らない。矛盾あったら申し訳ない
ゲーチス‥卓越した話術でリーリエの同情を買う作戦で情報を抜き取ろうとしたが見破られた。ロケット団構成員からは胡散臭い奴と距離を置かれ人望があまり無い。ちなみに過去の話の設定は彼の息子さんがモデル。息を吐く様に嘘をつくゲス。
UBの皆さん‥Fallに引き寄せられたが、ジカルデにビビって退散した。
ジカルデ‥秩序を司る犬の見た目をしたポケモン。森の秩序を乱す存在につい本能が出た。
F‥復活の◯ラダリ。相変わらずカントーでジカルデセルを集めている。