リアルで色々と立て込み遅くなりました。
今回も場面転換多いのでややこしいとは思いますがよろしくです!
リーリエは寝息を立てて休むコスモッグを撫でた後に片手で抱き抱え、睨み合う二体のポケモンに意識を向ける。
「ぎょるわぁあ!」
スイクンとウネルミナモは互いに睨み合ったまま動かずにいたが、静寂を破る様に先に動いたのはウネルミナモだ。
再びみずのはどうをスイクン目掛けて放ち続けるが、スイクンは紙一重でかわしていく。
「すい」
スイクンの表情には余裕すら見て取れる程の軽やかな動き。まるで無駄な動きを極限まで減らしたその動きはジョウトに伝わる舞踊の様な流麗な調べを想起させる。
「‥すごい。ジョウト地方特有のダンス‥ジョウト舞踊の様な控えめでありながらも華を感じさせる美しさです。すごく綺麗‥」
「ピー‥」
リーリエとピッピはスイクンの動きに魅了されていた。動くたびにはためく二本の帯状の尻尾の美しさはまさに神秘的と言える。
スイクンはそのまま舞うが如くワザをかわし続けると
リーリエの前に降り立ち彼女に指示を出す様に促す。スイクンの華やかな所作に見とれ、乱れた心を入れ替える様に頬を叩くとリーリエはスイクンに指示を出した。
「 スイクンさん!みずのはどうです!」
「すすいー!」
「ぐるぎゃ?」
スイクンの口から放たれるみずのはどうは反射的にウネルミナモが体を逸らす程の威力ではあったがワザを受け続けても平然としている様子からワザのこうかはいまひとつと言えるだろう。
リーリエは現状を把握する為にもひたすらに思考する
(ワザの感触具合からして相手はみずタイプなのでしょうね。このままでは平行線です‥スイクンさんの使えるワザが分かれば優位に立てるはず‥)
(こんな時先生なら瞬時に対処出来る筈‥けど、わたしにはやっぱり難しいのかな‥)
「すい」
リーリエが思考の沼に嵌り、不安気な表情になる所をスイクンは見逃さなかった。まるで彼女を案じる様に帯状の尻尾で腕に絡ませ現実世界に引き戻す。
「スイクンさん‥そうですよね。ごめんなさい。戦いに集中しないと!」
「すい!」
今は戦いの最中、長期の思考と自信の消失は大きな隙になり得るからだ。リーリエが顔を振って意識を眼前の敵に向けるとスイクンはそれで良いと言わんばかりに微笑む。
そしてその眼前のウネルミナモはスイクンに標的を定めると口元から赤い光が漏れ出すのが見えた。
「ぎょるわぁ!」
口元から放たれたワザはかえんほうしゃ。ほのおタイプの大技だ。予想外のワザを繰り出したウネルミナモにリーリエは動揺を隠せなかった。
「!かえんほうしゃ!?その様なワザも使うのですか‥!スイクンさんかわしてください!」
「すい!」
「ぎょるわぁ!」
ウネルミナモが放つワザをかわし続けるスイクン。
ウネルミナモはかえんほうしゃの他にもワザを幾つか切り替えて繰り出していく。
そのワザの応酬にスイクンは何も出来ず、ただかわし続ける事しかできない。
「ぎょる‥わぁ‥!」
ウネルミナモは絶え間なく激しいワザを繰り出し続けたからか息を切らして疲労の汗を流していた。
接近しようにも尻尾を鞭の様に振り回し容易では無い
「かえんほうしゃのみならず、りゅうのはどうにねっとう‥これは厄介ですね。接近しようにも近づく事も困難でワザを当てる隙も無い‥」
「ピー‥」
リーリエとピッピはバトルに進展が無いこの状況をどう打破するか必死で考えていた。こんな時尊敬する師と呼ぶあの人ならば奇想天外の発想をする筈だとリーリエは過去を思い返していた。
(初めて先生のバトルを拝見した時のお相手はテッカグヤさんでしたよね‥確かあの時はグソクムシャさんとメガヤンマさんで‥━━)
おつきみやまでUBテッカグヤと相対した組長のバトルが頭によぎる。その光景を懐かしんでいる合間にリーリエの脳内に電流が走った。
(‥!これなら行けるかもしれません‥!けどこれはスイクンさんの使えるワザ次第になるかも‥)
平行線の戦いに活路を見出したのかリーリエの目つきが変わった。スイクンはそれを察知するとリーリエに近づき彼女を案じる。
「すい?すい」
「スイクンさん‥ありがとうございます。お聞きしたいのですがスイクンさんの使えるワザは━━」
リーリエはスイクンに端的に幾つか質問をした。
それに対してスイクンは首を縦や横に振ったりしてそれぞれ否定と肯定の意思を示す。
それを聞いたリーリエは良かったと胸を撫で下ろすとスイクンと共にウネルミナモに向き直る。
「ぎゅるおお!」
ウネルミナモは息を整え、目に迸る殺意をスイクンに向ける。そして再び口の中が赤く光り始める。かえんほうしゃを繰り出すサインだ。
その光を見たリーリエはスイクンに間髪入れずに指示を出す。
「スイクンさん!ハイドロポンプ!」
「すい!」
「ぎょるわ!!」
スイクンの口から大量の水が解き放たれウネルミナモを襲う。ウネルミナモも負けじとかえんほうしゃをスイクンへと繰り出し、ハイドロポンプとかえんほうしゃが衝突する。
高温の炎と熱を奪う水の二つがぶつかるとどうなるのか。当然リーリエはその答えをよく知っている。
「ぎょるわぁ!?」
水と炎がぶつかることで発生する気化熱の原理。
水が炎の熱を奪う事で生じる水蒸気が辺りを漂い、視界を奪う。ウネルミナモはその現象に大いに戸惑い、何も出来ずにただ狼狽するのみ。
「スイクンさん!スピードスターです!」
「すいー!」
何も見えないのは相手も同じだと高を括るウネルミナモだが、それに反してスイクンの放つワザが全て命中する。必中技と呼ばれるスピードスターが面白い様に命中し、ウネルミナモは思わず怯んでしまう。
「ぎゅるおお!」
そして水蒸気が晴れると、怒りで目が更に血走りスイクンを睨みつけるウネルミナモ。
ワザの影響か鬣は汚れ、大きな角にも削れた様な跡が残っていた。
ウネルミナモはその怒りをスイクンに向ける様に口の中に溜めた水分をねっとうとして解き放つ。
「作戦通りです!スイクンさんミラーコート!」
「すい!」
スイクンの前に黄色いバリアが生成されると、ウネルミナモが繰り出したねっとうを弾き返した。
まさかワザを返されると思わなかったウネルミナモは威力が倍増したねっとうを体に浴び、その熱さに悶絶する。
「ぎょるおおー!」
ねっとうを浴びたからか体中からは湯気が立ち込め、遠くからでもその熱さが伝わるほどの威力がある事を実感した。
そしてリーリエはウネルミナモが怯んだ隙を見計らい更に指示を出す。
「今です!ぜったいれいど!」
「すい!」
スイクンがウネルミナモまで接近するとスイクンの両足から氷が生成され、その氷が侵食する様にウネルミナモを覆い尽くしていく。
命中精度はかなり低いが当たれば一撃で相手を戦闘不能にするこおりタイプ最強のワザ
「ぎゅるおぉ‥!」
一面が氷で覆われるも僅かな隙間から手を伸ばしてスイクンに攻撃を図るウネルミナモ。しかしその攻撃はスイクンに届かず眼前で止まる。
体力が限界を迎えたウネルミナモはそのまま眠る様に意識を失った。
「上手くいきましたね。スイクンさんありがとうございます。」
「すい!」
「ピィ!」
本来であれば氷の生成は遅く、生成している間にスイクンが倒されていた可能性は高かった。
しかし氷の生成がかなり早かったのには理由がある。
それはムペンバ効果と呼ばれるものである。
高温の水が低温の水よりも短時間で凍ってしまう現象で、冷たい水よりも熱いお湯の方が短時間で凍る不可思議なこの現象をリーリエは応用したのだ。
テッカグヤとの戦いで見せた気化熱の原理と相手のワザを利用するという師の教えを最大限活かした戦術をリーリエなりに発展させた戦法と言える。
「このポケモンは一体何者なんでしょうか?UBでは無く‥造形からして古代を生きるポケモンとか‥?」
「‥ピィ‥」
「‥‥」
リーリエとピッピは氷漬けにされたウネルミナモに目をやり思案する。UBとは違いスイクンと同じ造形をしたポケモン。そのデザインはまるで原始的な世界を生きていた事を想起させる。
「ウルトラホールが収縮していきます。それに従い空が徐々に明るくなっている‥」
「ピー!」
「すい」
リーリエ達とスイクンはウネルミナモを一瞥した後に空を割ったウルトラホールを見つめていた。
その穴はリーリエとスイクンが再会を果たした時より収縮しており、いずれはホールも閉じるだろう。
リーリエは胸の中で眠るコスモッグに目を向ける。
あれだけ激しい戦闘が行われていたのにも関わらず、寝息を立てて休む姿から少し拍子抜けしたがホッと^_胸を撫で下ろすとスイクンに向き直る。
「スイクンさん。ありがとうございました!あなたのお陰で身を守れました。」
「ピィ!」
リーリエとピッピはスイクンにお辞儀をして感謝の気持ちを伝えた。
スイクンは気にするなと言わんばかりの態度であったが、その眼は慈愛の思いで満ちている様であった。
リーリエは頭を上げると、水平線の遥か彼方を見つめていた。まるで今すぐにでも帰路につきたいという思いを眼に宿す様に。
スイクンはリーリエの気持ちを察したのか、彼女の横に並ぶと後ろ足を折りたたみ、その背に乗れと言わんばかりに催促する。
「すい」
「スイクンさん‥わたしの気持ち分かるんですね‥わたしは先生の所に戻りたいのです。まだ教えて欲しい事もありますし、何よりあの人の過去を解き放ち楽になるお手伝いをしたい!」
「ピィ!」
リーリエの覚悟を見届けると言わんばかりに彼女の瞳を見るスイクン。リーリエはピッピをボールにしまうとスイクンの背に跨ぎコスモッグを片手で抱え込む。
リーリエが跨った事を確認するとスイクンはゆっくりと地をかけ、そのまま海の上を滑る様に進んでいく。
「揺れを全く感じない。まるで地を走る様に滑らか‥すごいです‥!」
波も立てずに海上を進むスイクンの乗り心地は快適と言わざるを得ない。
リーリエは組長が無事である事を祈る様にスイクンにしがみ付き、その場を後にした。
‥‥‥‥
「ぐぉおおおる!」
「ええい!」
二つの爪と爪がぶつかりあい空間が大きく震えている
まさに王者と王者の譲れない果たし合い。
エンテイとウガツホムラが距離を取り再び睨み合う。
エンテイは涼しい顔を浮かべているもののウガツホムラは反対に息を切らし、その眼には疲労の感情を浮かべている。
「ええいー」
エンテイは後ろに佇む青年Nを気にかける様に声をかける。Nはその問いに頷きエンテイと言葉を交わした
「ああ。無茶難題にも答えて見せるさ。だから安心してくれ。」
「えーい」
まさに持つ者と持たざる者の戦い。
優秀なトレーナーを持つエンテイと一人で立ち向かうウガツホムラの事を指すと言えるが、それだけでは無い。それは戦うポケモンの持つポテンシャルも同じである。
Nはウガツホムラとの戦いにおいてエンテイの持つ底知れぬ強さにまるで気持ちが引き締まる思いであった
(改めて見るとすごい力だ‥炎帝とは良く言ったものだね‥それでいてレシラムの様な包容力‥そして彼のトモダチ‥スイクンとライコウか。機会があれば話してみたいな)
ウガツホムラの持つポテンシャルも凄まじい物だが、それ以上に見ず知らずの自分に采配を任せるその豪胆さこそエンテイの魅力であると言えるのかも知れない
Nはポケモンの言葉を理解している。短時間とは言えエンテイが次に出すワザとタイミングもイッシュの元チャンピオンを下した彼には造作も無い事だ。
Nは手を挙げてエンテイに指示を送る。
「エンテイ!せいなるほのお!」
「ええーい!!」
エンテイの口から青き業火とも呼ぶべき大火力の炎をウガツホムラに命中させる。赤と青が入り混じった紫の高貴な炎はこうかいまひとつであるウガツホムラの体を容赦なく燃やし尽くす。
「ぐぉおおるる‥!」
これまでの戦闘の傷もあり、その炎はウガツホムラの痛みをより強く刺激した。ウガツホムラはその炎に焼かれ、ただNとエンテイを睨む事しか出来ない。
その姿を見たNは優しく諭す様にウガツホムラに言葉を紡いでいく。
「勝負はついた。ボクはこれ以上キミを傷つけたく無い‥キミはキミのいるべき世界に帰るべきだ。」
「ぐぉるる‥!」
「‥‥」
Nの出した提案に警戒する様に唸るウガツホムラ。
エンテイはウガツホムラから距離を取り、Nの挙動を見守る様に静かに佇む。
そしてNはゆっくりとウガツホムラに近づいて微笑むと警戒心に染まった眼を直視して更に言葉を紡いでいく。
「大丈夫。これ以上争う理由はない。ボクを信じて欲しい」
「ぐぉるる‥」
Nは懐からキズぐすりを取り出してそれを体中に塗布する。痛みに驚くウガツホムラだが傷が癒えている事が分かると、抵抗せずにキズぐすりを塗るNにただ身を任せた。
「‥よしこんな所か‥他に痛むところはないかな?」
「‥ぐぉ‥!」
ウガツホムラはNに対してお礼を言う様に頭を垂れていた。Nは気にしなくてもいいよ。と呟きウガツホムラを一撫でする。
「‥‥ぐぉる」
Nの誠実な態度に心動かされたのか、ウガツホムラは考える素振りを見せた後に、彼の無垢で純粋なその眼をしばらく見つめる。
そして彼の問いに応えると言わんばかりにNに背を向けゆっくりとウルトラホールの穴にまで近づいていく
「!ありがとう。話を聞いてくれて‥さ、元の世界に戻ってキミの行く道を進むんだ。」
「ぐぉるるる‥」
まるで気にするなと言わんばかりにNと言葉を交わしたウガツホムラはそのままウルトラホールに入ると、空の割れ目は綺麗に閉じ、青空の光が辺りを照らし普段と変わらぬ太陽が顔を出していた。
Nはしばらく空の割れ目があった空間を見つめた後に後ろを向くと、静かにNを見るエンテイの元に近づき声をかけた。
「キミが来てくれなかったらボクは危なかった。
改めてキミに感謝を。ありがとう!」
「ええーい!」
お安いご用だ。と言わんばかりに空に向かって高らかに叫ぶエンテイ。その雄叫びは勝利を告げる凱歌か。
Nはその雄叫びに心が震えるばかりの強い感情が漲る事を理解するとエンテイと再び向き直り言葉を紡ぐ。
「‥キミを見ているとボクのトモダチを思い出すよ。真実の白き英雄を‥」
「ええい‥えい」
エンテイの炎の煌めきはかつての友と呼ぶべきレシラムを想起させる。レシラムとエンテイに直接的な繋がりは全く無い。だがエンテイの溢れ出る王者の貫禄を神話の英雄を支えた白き真実と重ねて見ていたのだ。
エンテイはNの話すトモダチとやらに興味を持つと同時に彼に自身の背を預ける操り人の資格があると判断し、彼に額の黄色い冠の如く装飾に触る様に指示を出した。
「えい‥」
Nは静かに頷くと冠の上に手を置く。するとNの体に橙のオーラが纏われ、そのオーラがNの体内に入っていく。
まるで王の威厳と民を愛する包容の精神に包み込まれた様な感覚。だがそれ以上に感じるのはエンテイの気配と、遠方の清らかな水の奔流と猛き稲妻の閃光だ。
「えーいえい!」
「すごいエネルギーだねこれは‥遠くから感じるこの気配はキミのトモダチなのかい?」
Nの呟きに頷くエンテイ。
Nは何故これ程までに自身を気に入り、力を分け与えてくれるのかを不思議に感じていた。その事をエンテイに問うと当然だと言わんばかりの表情でNを見つめ、声をあげていた。
「えいええーい!」
「この地を生きる全てのもの達の守護‥その為にボクを助けた‥そして力を貸す事も辞さないと‥」
ジョウト地方に伝わる伝説のポケモンホウオウによって蘇生された三体のポケモン。その強大すぎる力は人々から恐れられ、あらぬ攻撃と迫害を受けたとも言われている。
しかし三体のポケモン達は理解していた。
ホウオウが力を与えた事の本当の意味を
それは人知れずこの地を守り抜くことだ。
災いを未然に防ぎ、主人たるホウオウが愛する人の世を影から見守ることに
今回ウルトラホールという異世界の門が開き、未知の生命体が人の世を脅かそうとしている。最早影からその脅威を守り抜く事は出来ない。三体のポケモン達はそう判断し、今時代を生きる英雄達に助力を願ったのだ。
「ボクも同じだよエンテイ。ありのままの世界を守る為にも‥ボクの夢の果ての実現を目指したいんだ。またキミの力を貸して欲しい。」
「ええーい!」
「ありがとう!頼りにさせてもらうよエンテイ。」
Nはエンテイの鬣を一撫でするとエンテイは頷く様に顔を動かす。それはまさに炎の皇帝とかつての英雄が手を取り合う美しき友情譚といえるだろう。
‥‥‥
「あの穴に帰っていった首の長いライコウ‥UB‥では無いな。何者だ?」
「ららーい!」
「助かった‥礼を言う。さすがはジョウトの守護神だ。これがかつて求めた最強の力か‥」
場所を変え、深き森の中に佇む赤髪の青年シルバーと稲妻の王君ライコウ。パラドックスポケモンのタケルライコを撃退し一息つく。
かつてシルバーが求めた最強の力は未だ健在。だが今の彼はそれに対しての執着は無く、最強とは彼と彼のポケモン達のコンビネーションである事を理解していたのだ。
「‥‥」
「俺たちは俺たちで最強の力に近づくさ。ライコウにも負けない最強の力をな。」
「らい!」
最強を求めるその青年の眼はかつてのものではない。大事な物を知り、己の矜持に生きる成長した姿そのものだ。ライコウは安心した様にシルバーを一瞥すると背を向けて木々の間を駆け抜けていく。
「ふっ‥そうか。もし力を借りる時があればまた頼むぞライコウ。」
ライコウが立ち去った後に呟く様に吐き出すのはシルバーの思いだ。かつての様に一人だけで進むのではない。手を取り合い協力して強くなる。まさに人とポケモンの共生そのものだ。
そしてシルバーは一人残されたこの空間でひたすらに思案する。それはリベンジ・レインボーロケット団について
「さっきのポケモンといい、UB襲来といいやはりロケット団の奴らが今回の騒動を引き起こしたと見ていいのか‥」
「なあ親父‥」
その呟きは風によって掻き消される。
彼は彼で己の因縁と向き合いそれと決別する為に立ち向かう覚悟を持ったのだ。
シルバーは覚悟を決める様に拳を握るとそのまま背を向けライコウが駆け抜けた奥の木々の間へと歩み出すとその影の中へと消えていった。
‥‥‥‥‥
「ふん。他愛も無いな‥所詮ビーストはビースト。恐るるに足らん」
「ドサ!」
「‥かがや‥」
「デンショ‥」
サカキ様鬼つええ!
逆らうやつら全員ひんしにしてやがるぜ!
ドサイドン一体でテッカグヤ様とデンジュモクをのしちまいやがった‥
一方私は放置プレイをかまされており、一向に手足を解放してくれる気配が無い。
さっきのお姉さんに手取り足取り解放して欲しいぜ!
私の欲望もな!!
「よしUBを捕えろ。ザオボーよ後はお前の腕の見せ所だな。」
「はっ!サカキ様!このザオボーにお任せを!」
背筋を正してサカキ様に向き直るザオボー
最早軍隊やん。ザオボーが何か変な道具を取り出してUBを捕まえているのを確認したが影になって見えん。
私はただ呆然と見ている事しか出来ずにいた時、サカキ様は私の元に歩いてやってくると私を見下ろしながら口を開く。いやこれプレッシャー半端ねえって‥
「君の噂は色々と聞いているぞワビ組の組長よ。ワビ組という組織を立ち上げてカントー、ジョウトの二つの地方を制覇したという事をな」
「‥‥‥」
わああ‥推しから評価とか恐悦至極!望んだ訳じゃねえけどな!それは自称右腕のチャイブの仕業なんですよ!あいつ今アローラ行っててアローラでもスジモン組織立ち上げたとか噂で聞いたから勘弁して欲しいんすよ!
「その手腕私は高く評価している。素晴らしいモノであると‥そんな君に私から提案したい。」
「‥なんでしょうか?」
「私と‥手を組まないか?」
え?手を組む!?同盟的なやつ? スジモン同盟?
まじで?てか何で同盟組むの?私みたいにこんなスジモン連中と手を組まなければならないほどRRR団やばいんすか??
「ロケットチルドレンを名乗る君とは語り合いたい事もあるのでね。」
はわわわ!これ完全にキレちゃってるパターンですよ
何勝手にロケット団の関係者名乗ってんねん!
ケジメつけろや‥!って事でしょ!?
同盟というのは建前で本音は悪さしない様に監視するとかってことか!ちくしょー違うんです!弁明させてくれよ!!
「‥サカキ様‥いえ私は‥!」
「今すぐに‥とは言わん。然るべき時に回答を聞きたい。良い返事を期待しているぞ組長よ」
「さて、行方を眩ましたコスモッグを追う。おそらくリーリエと一緒だ。彼女を探し出すんだ。」
「「「はい!サカキ様!!」」」
弁明させてくれよー!と私の意見を聞く前に突然身を翻し私に背を向けて部下たちと立ち去るサカキ様。
待ってくれー!おーい待ってくれ!
え?てかいや‥あの‥あと手足の拘束解いてえええ!
山中に手足縛って放置とか洒落にもならねぇから!
何で置き去りの極みをかましてくのぉーー!?
クソがょおおお!!!
‥‥
‥‥‥
「ぜドアーッ!」
秩序を司るポケモンジガルデ。
崖の上に佇み、雄叫びを遠い海に向けて放つと辺りにその叫びが反響し、空気が揺れている様だ。
「この地でのジガルデセルの収集は終わりましたか。後は各地に散るセルとコアの回収を急がねば‥」
その崖の下には白髪の男Fが大きな岩に腰掛け、ジガルデの様子を観察する。
ジガルデがひたすらに遠く見つめる水平線の遥か彼方の遠き地で何かを見出しているのだろうか。
「ジガルデが向く方角はカロス地方‥またカロスで大きな騒動が起こる事を予期している?」
Fは顔を俯かせ思考に耽る。
己の罪と2年前の大惨事に向き合う時が来たが記憶を全て失い、どう贖罪すべきか分からずにいるその表情に暗い影を落とす。
そして再び顔を上げるとジガルデが見つめる先の海では無く反対の空を割る大きな穴に目を向けていた。
「カントーの秩序は彼らに任せるべきでしょうね。ジガルデもそれを望む筈です。ワビ組の組長とリーリエ、それにNか‥」
カントーの秩序の平定はこの地の人間に任せる事をジガルデは望んでいるのだろう。
ジガルデは消える様にその場から立ち去り、Fも立ち上がると、その後を追いかける様にその場を後にするのであった。
「せめて彼が望む世界‥というものを知ってからカロスに向かいたいものです。そこまでの時間を許してくれるかは分かりませんが。」
主人公‥ロケットチルドレンという異名がサカキの怒りに触れたと勘違い。必死の弁明より先にサカキは退散した。
サカキ‥主人公をRRR団へ勧誘し、その返事を後日聞きたいと彼を山中に放置する置き去りの極みを使った。手足の拘束を解こうとも考えたが、変に抵抗されるとアレだし裏社会の大物だから大丈夫だろうと判断してそのままに。そこは解いてあげましょうよ‥
リーリエ‥スイクンの助力もあり、なんとかウネルミナモを倒した。無人島にいる為、離れた主人公と再会すべくスイクンと行動を共にする。
スイクン‥リーリエの奇想天外の戦法に思わず感心した。恩を返すこともそうだが彼女の奥底に眠る英雄の素質に惹かれつつある。
N‥戦闘後はエンテイの背に乗り、近くの街に降り立った。かつての友レシラムと同じほのおタイプからかシンパシーを感じているとか。
エンテイ‥Nがポケモンの声を聞けることに驚いたがポケモン勝負の采配が見事過ぎて感心し、願わくばまた共に戦いたいと思っている。
Nに三犬探知用の気配レーダーを貸したのでNは三犬の位置が大体わかる。
ちなみにこのレーダーはGPS機能付きみたいなものなのでエンテイにNの位置は筒抜け
プライバシーなど無い。
シルバー‥尺により戦闘はカット。戦闘は終始優位に立ちライコウをサポートした。
ライコウ‥シルバーの采配を気に入り、一流のトレーナーとして高く評価した。
パラドックスポケモン‥一体を残し、ウルトラホールに戻り元の世界に帰還。残った一体はスイクン渾身の一撃により戦闘不能。未だ氷漬けで溶ける気配なし。今後登場するかはわからん。
UB達‥弱っていた事もありドサイドン一体にボロ負け。そのままサカキに捕まりUB軍団の仲間入り。
チャイブ‥しまキングのハラからかくとう使いとしての心構えなどを教わり、弟子のグズマや元スカル団メンバーとも交流した。
チャイブを慕う人達によって自警団組織アロハ会なるものが生まれ、義理人情を叩き込んでいるとか。
エーテル財団といいワビ組の影響がアローラを侵食しつつある。カプ神はどうみているのかは不明。
F‥たった1ヶ月ちょいでカントーのジガルデセルとコアを集め切ったヤバい人。リーリエが話す組長が望む素晴らしい世界(勘違い)とは何かを知りたいと思っている。
ジガルデ‥秩序の犬。三犬いるしカントーは大丈夫だろうと判断。てかここでカントーに介入するほど暇じゃ無い。過労死には気をつけて下さい。