誤字報告ありがとうございます。
『それは一大事ですね‥早速組の者達で捜索します!』
「ああ頼んだぞ。」
手足の拘束を気合いで引きちぎり山中置き去りの極みから抜けだした私は道中スマホロトムで組員にリーリエの捜索を命令する。
リーリエに危険が及ぶと私が(アローラ組によって殺される危険があって)やばいので組員に怒鳴りつける様に連絡し快諾させた。これぞ組長特権!
『組長‥リベンジ・レインボーロケット団とか言う奴らへのケジメはいいんですか‥?』
「‥ああ、まだいい。」
最近ロケット団の活動が少しずつ増えてきている事も組員はわかっている様だ。ワビ組は何かとケジメをつけたがる組織だからロケット団にも焼きを入れたいのだろう。だが相手は反社の中でも最強格のスジモンなので下手に手を出さない様にしないとね。
『カタギの衆を食い物にするだけじゃ飽き足らず、組長を蔑ろにする不届きものにはケジメが必要です。
ワビ組の代紋を汚されちゃ面子も丸潰れってもんですよ‥!』
まあカタギの皆様泣かすのはNGなのは同意だが私へのクソデカ忠誠心はやめて欲しい。
チャイブの奴が私を持ち上げるせいで迂闊な事ができないのよね。電話越しでもわかる組員の怒りに思わずぶるっちまったぜ‥
『組長が必要と仰るならば戦争の準備も整えます!奴らを根絶やしにするなら喜んで行きますよ!ですからどうかご無事で組長!』プツン!
おい!ちょっとまて!何か不吉なワード言わなかった!?戦争とか根絶やしとか鎌倉武士かよ!
ザ・蛮族!もしくは薩摩隼人?
まずいぜ!下手に刺激すると戦争になっちまう!!今動員できるワビ組の兵隊は少なくても3000はあるからガチでやばい
カントー全土を巻き込んだポケモン大会が始まっちまう!!
『ロトロト!クミチョー!お疲れさまですぜロト!ロト?リーリエ嬢との特訓は無しですかいロト?』
電話が切れた後にそのまま私の周りをビュンビュン飛ぶスマホロトム。そうかこやつは知らんかったな。私は事の経緯をロトムに説明すると!マークを頭に浮かべると捲し立てる様に話しだす。
『ロト!?それは大変ですぜロト!だから組のモンと通話していたロトですか!?あっしも協力させて欲しいですぜロト!』
「ありがとう。頼りにしてるぞ。」
『ロト!カタギに手ぇ出すとは許せんロト!必ずケジメと焼き入れまっせ!ロト!!』
あ、ちょっと先行かんで!
UBとかに襲われるかもしれんからさ!
私は空を見上げると空の割れ目が消え、さっきまで夜空の如く暗かった空が澄んだ青空に変わったことを目にする。
あーよかった。ウルトラホール修復したんやね。
て事は逃げ込んだUBもいるって事ぉん?
もおおお!勘弁じでぇ゛!!!
‥‥
‥‥‥
「スイクンさんありがとうございます。‥ここまでで大丈夫ですよ。」
「すい!」
カントー地方の東端に位置するシオンタウン
そのシオンタウンの電波塔(旧ラジオ塔)の位置から山を越えて更に東に進むと大きな崖に突き当たりその崖下にリーリエ達はいた。
パラドックスポケモンと呼ばれる古代のポケモンを撃破した後はひたすらに大海原を光の速さの如く駆け抜けた。
シオンタウンにはワビ組の事務所が存在する為、事務所に行けば組長たる彼と連絡を取れる筈だ。
これでようやく人の世界に戻って来れたと言える。
「‥!」
「どうしました?何かが来てる‥?」
スイクンは何かの気配を感じたのか崖の影をただ見つめる。その目つきは警戒というよりかはまるで友や仲間を待ち侘びているかの様な期待の目。
リーリエは少し警戒する様に身構えるが、その崖の影から足音が聞こえ人影が姿を現す。
「リーリエ!‥何故ここに?それとそのポケモンは‥」
影から現れたのはリーリエの師の組長の友であり特訓を手伝ってくれるN。見知った存在の登場で安堵の表情を浮かべると小走りでNに近づき言葉を交わす。
「あ、Nさん!‥‥えっとこのポケモンさんはスイクンさんです!」
「すすい!」
リーリエがスイクンを紹介するとそれに応える様に声を上げるスイクン。エンテイから聞いた友の話を聞いていたNは目を見開きスイクンへと近づく。
「‥スイクン‥キミがエンテイのトモダチか‥ボクはN よろしく頼むよスイクン」
「すい」
「Nさん。どうしてここにいらっしゃるんですか?」
「ああ、それについてだけど‥━━」
リーリエの純粋な疑問にNは淡々とこれまでの事情を説明していく。
空に空間の割れ目ができて見知らぬポケモンが現れた事。そしてそのポケモンと類似する炎の皇帝エンテイと共闘し撃退した事。更に絆を深めたエンテイからスイクンやライコウの話を聞いた事を簡潔に説明した。
「!そうなんですね‥実はわたしもスイクンさんと一緒にその古代の風貌をしたポケモンさんと戦ったんです。」
リーリエも同じくスイクンに類似したポケモンと戦い退けた事を話す。場所は違えど同じ状況に陥った環境に奇妙な因縁を感じていた。
「なんだって?リーリエも同じ様な事が‥」
Nが顎に手を当てて思考に耽る時にふとリーリエが大事そうに抱える見た事のないポケモンが目に入る。
Nは咄嗟にそのポケモンについてをリーリエに尋ねていた。
「‥キミが抱えているそのポケモン‥まるで星の子の様な‥一体どこで?」
濃い紫色のガス状の身体に煌めく星々の模様はまるで星から生まれ落ちた子供の姿に見えなくもない。
寝息を立てて休んでいる様子からリーリエを信用している事は間違いない。
すやすやと寝息を立てている姿はかつて一緒に島を巡ったほしぐもの様でリーリエは慈しむ目でそのポケモンを優しく撫でる。
「ふふ‥まるでほしぐもちゃんみたい。あ、すみません。この子はコスモッグさんです。話すと長くなるので割愛しますがリベンジ・レインボーロケット団で囚われていたとか‥」
「!最近街で見かける連中か‥キミが前に話してくれたほしぐも‥そのポケモンはそのほしぐもと━━」
同一の存在であるのか━━
Nはリーリエにそう問おうとしたその時一つの影が姿を現す。
「北風の化身スイクン‥それに星の子‥なるほどまさに英雄の卵か。その卵も孵化しつつあると言うのでしょうね。」
「「!?」」
背後から不意に聞こえた男の声にリーリエとNは咄嗟に振り返るとそこにいたのは崖を背にして寄りかかる白髪猫背の世捨て人の風貌をした男性。
その眼から光は感じ取れないが、何かを成し遂げる強固な意思を宿している事をNは本能で理解した。
「アナタは‥?」
意味深な発言をする世捨て人の男を警戒する様に距離を取るN。だが隣にいたリーリエは真剣な表情を浮かべるもののゆっくりとその男に近づき話しかけていく。
「Fさん‥ですよね。お久しぶりです」
「ええ、またお会いしましたね。」
リーリエの発言から互いに知り合いである様だが、どこで知り合い何を話したのか聞きたい事は山ほどある
何を考えているのかわからないFの態度にNは警戒を強める中そのFはNに向き直るとゆっくりと頭を下げて謝罪し、言葉を紡いでいく。
「失礼。わたしの事はFとお呼びください。そしてあそこにいるのは秩序を司るポケモン‥ジガルデです。」
「ジガルデ‥?」
Fが向ける視線の先を目で追うN。目線の先には崖上に佇む黒き四足の獣が佇んでいた。
「‥‥」
「‥‥」
N達の視線に気付いたのか、ジガルデはNとリーリエを一瞥するとその隣に佇む北風の化身スイクンに目をやる。スイクンもジガルデを見つめ返し二体のポケモンの視線は静かに合う。秩序を司る存在と言わば守護に務める存在の邂逅。
本来であれば絶対に起こり得ない巡り合わせであるが互いに思う事はあるのか暫く見つめている様だ。
そしてジガルデは踵を返すとそのまま足早に姿を消す
「ジガルデ‥何も話さず去っていったね。秩序を司る存在と言っていたが‥」
「そうです。破壊と創造、真実と理想‥どちらにも属さない存在と言えるのでしょうね。プラズマ団の元王Nよ。」
「‥‥」
Fの咄嗟の発言に口を閉じて俯くN。まるで過去の所業を問い詰める禁断の一言だ。プラズマ団の悪行は到底許されるものでは無い。
Nが押し黙り、まるで後悔の念に囚われたその表情をリーリエは疑問に感じていた。
「‥え、Nさん‥?それってどう言う‥」
「‥昔の話さ。身の丈に合わない英雄の玉座に無謀にも座ろうとした道化‥とも言えるかもね。」
リーリエの疑問の声に震え声で答えるN。
人とポケモンを切り離す事でポケモンは完璧な存在になり互いはより高められる事を本気で信じていたのだ
しかし結局は一人の男の野望の為の詭弁に過ぎず、己はただ踊らされていただけに過ぎない。
Nは自罰的になりながらもFと向き合い、自身を変えてくれた
「ボクは英雄の器ではありませんよ。本当に王と呼ぶべき男をボクは一人知っています。」
「‥ワビ組の組長たる彼ですか‥確かに彼はそう呼ぶべき存在でしょうね。」
ワビ組の組長はかつて過去にカロス地方を統治していた賢王だとNは考えている。
彼の逸話は御伽話となり、物語の中で出てくるある兵器がフレア団によって復活し2年前カロスでの大騒動を引き起こした。
Nが幼い頃聞いた御伽話の内容は嘘では無かった。Nは拳を握りしめ、王たる彼が作った人々を癒す装置が兵器に転用され、また未来の人間の手によって再び利用された事に怒りを感じていたのだ。
「‥彼は過去を悔いているからこそ、影から世界を守る為にワビ組を作った。本当であればカントーではなくカロスを見るべきなのに‥」
彼はカントーの人間では無く元々はカロスの人間。
2年前Nはイッシュ地方のプラズマ団騒動の為、同時期に起きたカロス地方の騒動についての事情を知らない。
人々の話を聞く限り、カロスの民は今もその騒動の傷が癒えずにいる。
その為、人々の傷を癒やし教え導く王たる彼の存在が不可欠なのだが彼が表立って動くことはない。何故ならワビ組を作り影から世界を守る事が彼の役目だからだ。
今を生きる者が世界を再建し、未来をより良くする為に彼は静観しているのだろう。
Nの発言を聞いたFは驚きと共に関心の表情を浮かべていた。
「‥‥なるほど。彼の視野は想像以上に広いのですね。これからカロスに起こるであろう厄災を予期するとは恐ろしい程の予感力です。しかし何故彼はそこまでカントーだけではなくカロスの事まで心配りを?」
「簡単な事ですよ。彼が望む世界はカントーだけでは無いのだから」
Nは彼がカロスを気にかける理由を理解している。
しかしFにとってそれは理解の範疇を超えたものだ。
考えてもわからない答えではあったが、Fはリーリエが以前話してくれた彼の考えというものが不意に頭をよぎり、その思想を口にする。
「前に
「ありのままの世界」
「‥‥?」
「それこそ彼が望む世界です。己の意志を信じて他者の意見も尊重しありのままを受け入れる世界‥それこそが世界を正しく導けるモノであると‥」
ありのままの世界
それこそが彼が望む世界の形である。
己の意志を信じながらも他者の意見や意志も尊重するまさに清濁を併せ呑むが如くありのままを受け入れる世界。それこそが美しく素晴らしい世界なのだろう。
Fは彼の意志が善悪という二元論を飛び越えた壮大な思想を持つ事に驚きを隠せない。
まさに理解の範疇を超えた理想論とも呼ぶべき考えがFの心を大いに動かしていた。
「‥ありのまま‥ですか。それこそが弟子である彼女に託す意志であると。」
「ボクもかつては
「そして旅の先で出会ったのが彼です。彼が教えてくれたありのままの美しさを守る大切さ。それが今のボクを動かしている‥!」
Nは彼の思想こそ世界を変える数式であり、化学変化を巻き起こす事だと信じている。Nの持つ夢。それはいつか人とポケモンがモンスターボールという道具に縛られずとも共生できる世界の実現だ。
彼が話すありのままの世界と見事に合致している。モンスターボールという文明に頼らずとも互いの意見や意志を尊重する世界だからこそ実現できるNの夢。だから彼とNの波長は見事に調和し友として信頼しているのだろう。
「Nさん‥先生の事をそこまで‥」
Nの話す彼の夢を改めて聞くと鳥肌が止まらないと言わんばかりに声が震えるリーリエ。Nにもおそらく壮絶な過去があったのだろうとリーリエは察した。
だからこそ彼の意志を一番理解し寄り添えている。Nと組長の関係はまさに理想の信頼関係であるのだ。
Nの語り口を見ていたFは自然と口が開いていた。
「与えるものと奪うもの‥真実と理想か。対局にありながらもその本質は同じと言えるのでしょうね。ありのままの世界‥その様な考えもあるとは盲点でした。」
理想論でありながらもこの世界における大切にすべき真実にFは言葉を失う程の衝撃を受けた。まさに王と呼ぶべき人物で無くては考えもしない筈だ。
記憶を失う前の自分だったら彼の思想は理解できたのだろうか。
おそらく理想論だと吐き捨て相手にしないだろう。
Fは空を見上げると先程までの暗黒に染まった空とは打って変わった清々しい程の快晴に安心を覚える。
Nやリーリエという若者が彼の意志を継いでいるのならば大丈夫である筈だ。
FはNとリーリエの方へと向き直り言葉を紡ぐ。
「私は諸事情によりカントーを去らなければなりません。もしかしたらこのままお二人とお会いする事はないでしょうね。」
「‥‥」
「そんな‥」
最後の言葉の様に風に消えてしまいそうな弱弱しくも名残り惜しさを感じる発言に聞こえたNとリーリエは言葉に詰まる。Nからすると対面して1時間も経っていない筈なのに不思議とFの雰囲気と強い意志を無意識の内に彼と重ねて見ていたのかもしれない。
Fは暫く無言になるが再びNとリーリエの顔を見ると強い決意を固めたのかその表情は強張り、並々ならぬ覚悟の威厳を見せていた。
「私は未だ何を見て進むのか‥何を思ってこれからを生きるのかを見つけていく必要があります。その為にも今はジガルデの使命に応える必要があるのです」
「Au revoir. 二人の良き旅路を願っています。」
Fが別れを告げてその場を後にする。
リーリエ達はFの決意に固まった後ろ姿に何も言えずにただ見つめるのみ。
Fが立ち去った後、無意識の間にNはリーリエに自身の思いを呟いていた。
「あの人の決意は凄まじいものだね。あの人もまた業を背負って生きているのか‥」
「‥そうですね。ジカルデさんから与えられた使命‥それは一体何なのでしょうか‥」
Fと名乗る男と行動を共にしているジカルデ。
自らの意思では無くそれはまるでジカルデの赦しを得る為に共をしているかの様だ。
果てなき修羅の道を進まんとするFは過去にどの様な所業に及んだのか‥まさに業を背負っていると言えるだろう。
「すい」
「スイクンさん‥?これは一体‥」
リーリエが悲痛の表情を浮かべている中スイクンがリーリエに近づくと首元に下げた水晶のネックレスを一瞥し、帯状にはためく二本の尻尾をそのネックレスに絡ませるとその尻尾が白く光り輝く。
まるで汚れを全て洗い流すかの様な清廉な光。リーリエはその光から目を離せずただ見つめていた。
そしてその光が消えるとスイクンはリーリエと向き直り言葉を紡いでいく。
「すいすすい」
「おまじない‥キミとその胸に抱える星の子の力になれるかもしれない。スイクンはそう言っているね。」
スイクンは優しく微笑む様にリーリエを見ていた。Nはスイクンの言葉を翻訳しリーリエに伝える。まるで娘を心配する母親の如き深き慈愛にNも優しい気持ちに包まれる。
リーリエは首元から下げた水晶のネックレスに触ると暖かいエネルギーが体を巡る強い命の奔流を感じた。
そのエネルギーを感じ取ったリーリエはスイクンの眼を見るとその瞳にはリーリエの姿がはっきりと映し出されていた。
「‥そうなのですね。ありがとうございますスイクンさん。今度はわたしがこの子を守る‥!」
「すい!」
かつてほしぐもを連れ出したあの時は自身に力が無く、守られてばかりだったが今は違う。
守る力も手に入れ己で考え行動する事が出来るのだ。
リーリエは胸の中で眠るコスモッグの姿を一瞥して決意を固める。
星の子と呼ばれるポケモンコスモッグ。
リーリエがほしぐもと呼んだポケモンとは別個体であるが、ほしぐもと同じ様に大切な人の為にその力が必要になるかもしれない。
リーリエは無意識の間にそう思っていた。それはまさに因縁とでも言えるものである。
そしてこの星の子は後に大切な人の為にその力を存分に振るう事になるが、この時のリーリエはそれを知る由もない。
‥‥
‥‥‥
「リベンジ・レインボーロケット団‥ワビ組の組長さんの過去からしてサカキと接触したのには理由がある筈。UB騒動もワビ組が裏で手を引いたマッチポンプの可能性もあるのは捨てきれないわね‥」
セキエイ高原
カントー地方とジョウト地方のポケモンリーグ本部セキエイリーグの一室にて円卓の中央に置かれた淡い灯りを囲み、四人の人間が影を背負って座っていた。
その中の一人のウェーブがかった銀髪の美しき女性が呟く様に言葉を紡ぐ。
その女性から見て右側に座る影が女性の言葉を聞くと口角を上げて語り出す。
「ファファファ‥ ロケットチルドレンか。拙者の娘もあの男の毒牙にかかったと見て間違いないか‥毒を持って毒を制されるとはな‥」
「ボクのエスパーパワーでも読みきれない彼の行動には驚かされるが同時に恐ろしくもある。彼は本当に信じるに値する人間なのか‥」
不敵な笑みを浮かべた黒の忍び装束に身を包む中高年の男とその男の正面に座る仮面を着用した紫色のシャツの青年がある男への警戒心を高める。
それはカントーとジョウトを制覇した裏社会組織ワビ組の組長について
彼の過去の経歴からして今カントー地方で暗躍するリベンジ•レインボーロケット団と癒着し、カントーの平穏を乱す存在なのかをこの一室の住人‥四天王達は議論していたのだ。
「‥‥‥」
「イブキよ。お主はどう思うのだ?お主とあの男はそれなりの仲だと聞いているが?」
その一室の中でただ一人無言を貫く水色のボディスーツに身を包みマントを羽織る水色の髪の女性。四天王の中ではまだ就任したばかりの新参イブキだ。
目を瞑り四天王の議論に耳を傾けていたが、彼女が一言も言葉を交わそうとしない姿を見た忍び装束の男キョウがイブキに意見を求めた。
イブキはワビ組の組長をライバルであると公言し、何度もポケモン勝負をする仲だと言う。
ここで組長の肩を持つのなら然るべき対応を取ると、遠回しに牽制しているのだ。
イブキは目を開き、キョウに目線を移すと淡々と自分の考えを告げた。
「‥ライバルの彼がもし世に仇する存在なら引導を渡す‥それだけです。」
「‥‥」
リーグ四天王としては理想の答えであるがライバルとして見るのなら冷淡とも言える。
しかし彼女の手は震えており、ライバルでもあり友とも呼べる間柄だからか本来ならば対立したく無い筈だ
それらを押し殺してただ四天王としての責務を果たそうとする彼女のいじらしい姿にキョウは何も言い返せずにいたのである。
そして銀髪の女性が顎に手を当ててふと考え込む素振りを見せた後に再び口を開いた。
「組長‥いいえロケットチルドレン被験成功事例第一号。‥ロケット団の意思を継ぐ為にワビ組を作り、サカキの傘下に入る為にこれまで力を蓄え、カントーとジョウトを支配下に収めたのかしら?」
「あなたがカントーを‥世界を脅かす存在なのか、わたくしの目で見極める必要があるわね」
黄色のキャミソールと白のロングパンツを着用した銀髪の女性こと四天王筆頭のカリン
その眼には四天王として組長の正体を見極めんとする強い意思が宿っていた。
一方ワビ組組長‥‥
『先生ご心配おかけしました。』
ワビ組組長のスマホロトムを通してリーリエから連絡が入り、安否確認をしていた。
コスモッグのテレポート先にウルトラホールが開き、未知のポケモンが現れ、スイクンと共闘した事やスイクンの背に乗り大海原を駆けた事。その後はNと合流し行動を共にした事など現状を簡潔に説明してくれた
今はそのスイクンと別れ、シオンタウン事務所に保護されておりリーリエが精神的ショックや大怪我が無い事はまさに不幸中の幸いとも言える。
『それではまたよろしくお願いします!先生。』
スマホロトムの通話が切られ一息吐く組長。
リーリエが無事であった事でとりあえずは一安心。
だがリーリエが話した内容を振り返った時、組長の顔色は蒼白になる。
(ウルトラホールから現れた未知の生命体‥リーリエの話聞く限りウネルミナモじゃね?あのパラドックスポケモンの‥て事はウルトラホールが繋いだ先って古代の世界!?)
(いやエリアゼロの可能性もある‥これって軽く原作崩壊した感じじゃね?さらに生態系崩壊もあるよね?ジガルデ働き過ぎだろ。過労死するんちゃう??)
(UBの次はパラドックスポケモンとかなんなのよお!!あー胃が痛いよぉ!!コライドン助けて!)
組長は一人胃薬を求めて薬局の常連になったとさ。
主人公‥胃薬依存症になりつつある。暫く大人のお姉さんを見ても何も感じない程重症だった模様。
更には四天王に目をつけられてしまった。南無
N‥主人公をカロスの王として認識している為、ロケットチルドレンと言う言葉に聞き覚えが無く知らない。
リーリエ‥やたら過去に因縁があるキャラを引き寄せる人。ヒロイン通り越してもはやヒーローかもしれん
スイクン‥この後一旦リーリエの元から離れるが再会する気満々。水晶のネックレスにパワーを注入していた様だが‥
コスモッグ‥しばらくリーリエが保護する事になったほしぐもちゃんよりかは割と人見知り。
F‥各地に潜むジガルデコアとセルの回収の為カントーを後にした。Nが主人公の事を王と言っているがFはそれを裏社会の王と勘違いしている。
ZA外伝にも出る為、今外伝での出番はここまで。
残念ですが さようなら
ジガルデ‥リーリエの英雄素質をいち早く見抜いた秩序の犬。プリズムタワーの暴走を予期しているのか、暇があればカロスの方を見ているとか何とか。
名残惜しいですが(カントーから)さようなら
AZ‥(まあ本物の王は私なのだが‥ん?フラエッテよ何故そんなにも笑顔なのだ?すごく怖いのだが‥)
四天王の皆さん‥メンバーはカリン、キョウ、イツキイブキの四人。シバは引退した。
これまではワタルの力もありワビ組の行動にはある程度目を瞑っていたが、イブキを除いた他の四天王は今回の一件でRRR団と共謀しているのではと更に疑いを強めた。
キョウは単純に娘を取られたと思い込んでの逆恨みだが。
ロケットチルドレン被験成功事例第一号
ロケットチルドレン計画の成功者たる組長の事で、他のロケットチルドレンはロケット団によって記憶を消され、ロケットチルドレンの性能を発揮できずにいたが、組長たる彼はロケットチルドレンとして唯一完璧に近い状態で完成した被験体である。
その証拠にワビ組を束ねるカリスマ性。四天王に匹敵するバトルの腕前と戦術眼と戦略眼。カントー地方とジョウト地方を短期間で制覇する明晰な頭脳、ポケモンのワザを受けても倒れない耐久力。
四天王イブキによる上記の報告から彼をロケットチルドレン被験成功事例第一号と呼び、警戒が強まった。
‥賢明な読者の皆様方なら当然お気づきであろう。
全部勘違いと思い違いにすれ違いが見事に交差した結果である。この世界のサカキは泣いていい。
ロケットチルドレンとはなんぞやと思う方や復習したい方は設定資料をご覧ください。