ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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一応主人公はグリーンよりも年上ですが、グリーンの敬語想像出来ないのでタメ口にしてます。

ZAにハマりまして、カラスバさん好きです。


その筋の者(スジモン)とかつて玉座に座りし者 後半

 

 

トキワの森

カントー地方西部に位置するトキワシティ。

トキワシティを少し進むとトキワの森が見えてくる。ここにはむしポケモンが多く生息しており、比較的レベルの低いポケモンが多い事から初心者トレーナーが多く立ち寄る。

 

そのトキワの森に足を踏み入れる一人の青年がいた。

青年の名はグリーン。

かつてカントーポケモンリーグでチャンピオンになった過去があり現在はトキワシティのジムリーダー。

 

トキワシティのジムリーダーは8つあるポケモンジムの中で最もレベルが高く、その腕前は他の追随を許さない正に最強とも言えるジムリーダーだ。

 

何故彼がトキワの森にいるのか。

それは一言で言えば治安維持の為だ。かつてカントー地方で暗躍したポケモンマフィア「ロケット団」ボスのサカキはトキワシティのジムリーダーでもあった。

 

強大な組織のボスがジムリーダーを隠れ蓑にしていた事は世間を大きく揺るがした。

身近な所にロケット団がいるかもしれない。

その恐怖心が人々の心を支配していた。

 

ポケモンリーグやジムリーダーにも疑いの目が向けられたが、リーグ委員会が真摯に対応した事や各ジムリーダー達も地元民と地道にコミュニケーションを取ったり、近隣地域をパトロールをしていた事もあり、徐々に信用を取り戻しつつあったのだ。

 

グリーンが行っているパトロールも治安維持の一環。

森の中にいるむしとり少年もグリーンには勝負を挑まず挨拶するだけ。グリーンは「今日も良いポケモンは見つけられたか?」と子供たちと話をしていた。

 

(‥しかし今日の森のポケモン達の様子はいつもと違うな。)

 

グリーンは普段見ているポケモン達の様子からして、何かただならぬ気配を感じていた。

 

(だが悪意ある敵が来た感じ‥ではないな‥ 何だ?‥この感じ‥?)

 

底知れぬ何かが歩み寄る気配に警戒を抱かざるを得ない。もしかして何か見落としているものでもあるというのか‥

 

(これは気になるな‥トキワの「秘密広場」に行くか)

 

トキワの秘密広場。

それは野生ポケモン達が集う隠れ家。

トキワの森の中で人の立ち入りがほとんどない場所。入り組んだ獣道。更には朽ちた倒木の空洞で出来た道を通った先にある秘密の広場は正にポケモン達の憩いの場である。

 

グリーンはいつもの様に獣道や草むらや木の間の細い道を躊躇なく進む。その足取りに迷いは無く、普段歩いている散歩道を進む様な軽快さであった。

 

そして木々を抜けた先にあるのは小さな広場。

そうトキワの秘密広場だ。

周りを木々で囲まれている半径40m程の開けた隠れ家。

 

(ここにくるのは丁度一月振りか‥ あんまり来れていないのが現状だな)

 

グリーンは普段パトロールする時トキワシティの近隣地域を中心に見回る事が多い。

トキワでは全く無いが泥棒や通り魔と言った人による被害を抑える為だった。

 

トキワの森も見回るがレベルの低いポケモンが多く、人を襲う事も滅多にない。その為軽く見回る事がほとんどだ。それも相まってトキワの森の秘密広場まで行く事はあまりない。

 

というのも時間が掛かりすぎるのが主な要因だ。ジムリーダー業務もあるのでそっちを疎かにする事もできない。完全にノータッチは良くないので今回の様な異常事態時や一月に一回は行く様にしている。

 

グリーンは早速トキワの秘密広場に足を踏み入れる。

ザッ‥と彼の足音を聞いた野生のことりポケモンのポッポはグリーンに気づくと彼の足元に近づく。

まるで彼を待っていたかの様な歓喜の表情を浮かべて、グリーンの足に頬ずりをしている。

 

「おい、待てって‥」

 

グリーンはポッポの頬ずりに足を止めざるを得なくなる。最初はあんなに警戒されたのに今ではこんなにも懐いている。変化というのはすごいものだと実感していた。

 

「まずはこれから‥ん? 来客か?」

 

つい足を止めて目の前の光景に驚愕した。

このトキワの秘密広場に一人の人間がいるのだ。

 

黒スーツに白シャツ黒ネクタイの長身の男性。

周りを野生のピカチュウやピチュー達に囲まれ、野生のポケモン達は楽しそうに笑っていた。

 

長身の男は無表情で、口を開かず黙っているばかり。

きっと困惑しているのだろう。

その男はカントー地方で勢力を伸ばしている裏の組織「ワビ組」の組長だったのだ。

 

 

 

‥‥‥‥

 

 

「へぇ‥まさかこんな所に人がいるとは思わなかったぜ。」

 

「‥‥‥」

 

「随分と懐いているな?あんたが手懐けたのか?」

 

「‥‥‥」

 

グリーンはワビ組の組長に話しかけていたが反応は乏しい。

 

(警戒されているみたいだな‥ それもそうか。何せ裏社会の人間だ。下手に弱みとか見せられないだろうからな。)

 

グリーンはワビ組の組長を見てその姿を観察する。

長身で鋭い目つきは正に強面と言える顔つきであるが顔立ちは整った青年だ。年はおそらくだが自分より3〜4つほど上だろうか。

彼から放たれる威圧感は並の人間であれば恐怖心を抱き顔を合わせるのも難しいはずだ。

 

スーツの着こなしも上品である事から只者ではない事は確かである。まさに裏社会の組織の首領として恥じない雰囲気だ。

 

グリーンは彼の事を疑いの目で見ていた。

ロケット団解散後にその縄張りを掠め取る様に勢力を拡げた組織のボスなぞ警戒するに越した事はない。

だがここで下手に喧嘩腰になると相手の尻尾を掴むのが困難になる。こっちが主導権を握りつつ、話を進めるように意識していた。

 

「自己紹介がまだだったな。俺はグリーン。トキワシティのジムリーダーだ。」

 

反応を見るに知っている。と言った雰囲気だ。

当然であろう。カントー地方でグリーンを知らない人間はいない。まずは軽くジャブを放ち様子を見る。

 

「これはご丁寧に。私の名前は━━「ワビ組。」

 

丁寧な口調で、自己紹介しようとするワビ組の組長。だがまるで自分を偽ろうとするその口調に言葉を被せた。さあどんな反応を取る。本性を見せてみろよ。と。言わんばかりにグリーンは言葉を続けた。

 

「ワビ組の組長さん。だろ?今やカントー地方で最も勢いのある組織。まさかこんな所でお会いできるとはね。」

 

身分を隠そうとしている中でこの一言は彼にとっても想定外だろう。しかも彼の会話の途中に割り込む形で話すペースを乱した。これなら多少はこちらが優位に立てるはずだ。

 

「何のことでしょう? ()はただの通りすがりです」

 

通りすがり?そんな事などある訳ない

このトキワの秘密広場に偶然来れるなら誰でも来れる。ここまでシラを切るには隠したい事があるに違いない。彼に逃げる口実をなくす為、グリーンは更に言葉を続けた。

 

「通りすがりね‥こんな所に来るとはとんだ酔狂な通りすがりだな。誤魔化そうとしても無駄だぜ。あんたの顔は割れてるんだからな。」

 

グリーンがワビ組の組長に挑発とも取れる発言をした後、それに言い返す様に組長こと彼はグリーンに返答する。

 

「さすがは元チャンピオンにしてオーキド博士のお孫さんだ。()と違ったその慧眼に狂いはないですね。」

 

グリーンは彼の発する雰囲気がガラリと変わった事を彼が放つ言葉と空気感から伝わった。静かでいて、強く激しい意志を感じる。口調そのものは丁寧だが、どこか攻撃的な雰囲気。

 

更には一人称も「私」から「俺」に変わっている。

‥この口調が本来の彼なのだろうか。

なるほど、本来の彼はここまで暴力的なのか。だからこそあの「ワビ組」の組長を張れたと理解した。

 

「‥そういう事か‥ わかったよ。それで?目的は果たせたのか?」

 

彼の目的はおおよそだが、推測できる。

ここ秘密広場を使って野生ポケモンの実験場の再開を企んでいるのだろう。

かつてロケット団のボス、サカキはトキワジムのジムリーダーだったからか、トキワの秘密広場をポケモンの実験場にしていた。

 

捕まえたポケモンに技を当てて、どれ程技が当たれば使い物にならなくなるのか、どれ程当たれば死ぬのかなど、ポケモンの肉体の限度を調べる為の実験をしていたのだ。

 

トキワの森のポケモンだとレベルが低すぎる為、他所から連れてきたポケモンで実験をしていた。当然それを見ていたトキワの森の野生ポケモンは人間に恐怖する。いつか自分達もそんな目にあうと。震えながら過ごす。その為、特にここ秘密広場に住む野生ポケモンは人前に出なくなったのだ。

 

それがワビ組の目的なんだろ。早く本性を見せろ。

グリーンは取り調べで犯人を追い詰める尋問官の様な心境で彼の言葉に耳を傾ける。

 

「目的‥」

 

だが彼の様子が思っていたのと違う。

嘘をつく時、人は何かしらの条件反射をする。例えば目が泳ぐ、もしくは逸らす。唇を噛み締める。汗が出る。手が震えるなどだ。

 

しかし、彼からはそんな行動が見えなかった。

わずかな挙動も見逃さなかったはずだ。

言われのない言葉に困惑している様な姿にも見えなくない。どういう事だ?もしかして本当に関係ないのか。

 

(チョロネコを被るにしてもこれは上手すぎる‥どういう事だ?他に目的でもあるというのか?)

 

グリーンは頭の中にある違和感を覚えながらも彼に問いただす事をやめない。

 

「とぼけるなよ。ここに来るってことはそれしかないだろ?」

 

しかし彼の態度はなおも変わらず。

もしかしてロケット団関係ではないというのか?

グリーンがそう考えていると、ある事に気づいた。

 

(そういえば俺が来た時も野生のポケモン達は組長にベッタリだったな。今も奴の周りを遊んでほしそうに囲んでいる。)

 

そう。彼の周りにピチューやコラッタと言ったここではあまり人慣れしていない野生ポケモンも彼を囲っている。

ポケモンは人の悪意に敏感だ。特に野生ポケモン。更にこの秘密広場は尚更。つまり今の彼に悪意はないという証拠だ。

 

それに極め付けは彼の服装だ。黒スーツだが、白ワイシャツに黒のネクタイ。スーツの装飾も外している。ワビ組の組長が着るにはあまりにも地味すぎる。

 

見栄を大事にするワビ組としては到底あり得ない事だ。つまり今の彼はワビ組の人間としてここに来たわけでない事を意味する。

一人称が「私」から「俺」に変わったこともそれなのかとグリーンは推理する。

 

しかし、それでは結局目的が何なのかがわからない。なおも考えるグリーンだがハッと何かに気付いたのか目を大きく開く。

 

(‥ッ!そうだ!奴が着ているのは喪服。つまり、ここに眠るポケモン達の慰霊の為に来ていたということか‥!)

 

秘密広場の地には実験で多くのポケモンが犠牲になったと言われている。地面を掘り返した時に風化した身元不明の骨が多く出た。これがこの地に犠牲者がいたという確たる証拠であり、この地で実験をしていると言う噂に信憑性を持たせたのだ。

 

つまり彼の目的はポケモン達の慰霊であるのだ。

悪意があるのならばポケモンは彼から離れていくし、ここまで懐きはしないだろう

 

グリーンも秘密広場のポケモン達と出会って半年が経ってから漸く触れ合える様になったのだ。

ここまで懐いているとなれば相当長い期間ここに来ていたに違いない。

 

(‥もしかしたら、俺は勘違いしていたのかもしれないな。視野を狭めすぎたか‥ )

 

彼に対する攻撃的な発言に少し心を痛めたグリーンは彼の話に再び意識を向けた。

 

「いや‥まだだ‥まだ」

 

しかし、先程と一転して彼の様子が変わった。

まるで目的を果たせていないと言わんばかりに。

それはワビ組の組長とは思えない様な弱さを見せているような感じがしたのだ。

 

「まだ?‥だと?それはどういう事なんだ‥?‥まさか━━」

 

━━そうか。彼は噂のロケットチルドレンであった。

ロケットチルドレン計画の犠牲者の一人が彼であったが唯一彼だけが組織から記憶の消去をされていない。

 

他のメンバーは早々に記憶を消されていたのに彼だけが唯一その負の遺産を背負い続ける。

 

彼が慰霊の為に立ち寄ったのも「ワビ組」としてではなく「ロケットチルドレン」としてロケット団の身勝手な行いで亡くなった霊を鎮めるため。

 

そして彼が果たせていない目的とは━

 

(ロケットチルドレンの風評被害を無くす事だろうな‥ 他のロケットチルドレンは記憶を消去された。風評被害を無くそうにも協力者はいないから実質1人だけでやっている‥)

 

元を辿れば、秘密広場の実験はロケット団が始めたもの。その風評被害はロケットチルドレンにも及ぶ。それも含めた汚名の返上が彼の目的なのだ。

 

「‥‥いや、そうか。‥悪いな。野暮な事聞いたな。あんたも大変だろうに」

 

グリーンはいたたまれない気持ちになった。

最初に彼に疑いの目を向けていたからこそ、その気持ちが強まったのだ。

それも相まってか、彼に強い関心を持ち始めた。

グリーンはおそるおそる彼に質問を投げかけた。

 

「‥‥聞かせてくれ。今ここには俺とあんたしかいないからな。これははっきりさせたい事だ。」

 

「あんたがあの孤児院を出て、旅を出ていたのは調べがついた。そこで旅の目的は何か教えてくれないか?あんたの口から改めて聞きたい。」

 

彼がワビ組を立ち上げる時よりも前、そこから約7年前、彼はカントーを離れて別地方を旅していた。

ホウエン地方やシンオウ地方を旅していた事が現地民の話で明らかになった。

それは勿論ただの旅ではない。と言う事は明白だ。

話しづらいセンシティブな部分に触れる事になる。

 

「‥‥」

 

彼は押し黙ってしまった。

それはそうだ。彼が旅に出ていた理由はロケットチルドレンとしての任務だからだ。

ロケット団はカントー地方のみならず、他地方への足がかりを掴もうとしていた。

カントー地方、ジョウト地方の次はホウエンか、シンオウか。いずれにせよ。ロケット団が他の地方に進出するにはその地方の調査が必要だ。

その時に任命されたのが彼と言う事になる。

 

そして、彼は沈黙を破り重く閉じた口を開いた。

 

「‥地方にいる人たちや建物とか、後は目ぼしいポケモンを見て回っていましたよ。」

 

「‥!! やはり。そうか‥」

 

やはり思った通りだ。それが口に出てしまった。

地方の人たちとは現地民の習慣や考え方。建物はアジトを構える時にどこが立地が良いのか。もしくは攻撃する時にどこを狙えば、効率的な打撃を与えられるのか。めぼしいポケモンとは文字通り、駒として戦力になるポケモンや伝説のポケモンといった事の調査であろう。

 

それをロケット団員ではなく、洗脳した子供にやらせるとはタチが悪い。

子供なら警戒心を抱かせずに行動できるし、もし警察に確保されても孤児だからそのまま見捨てればよい。

 

ロケット団の考え方に改めて反吐が出る。

グリーンは拳を握りしめて静かな怒りを発露した。

 

「お力になれたのなら何よりです。それでは」

 

そして彼はそれに対して気にするでもなく、その場を去ろうとする。己の不幸を呪わずに、自分が話した事で救われる人がいるならそれでいい。

まるで自分の事なんて価値がないかの様に。

何も言い返せないでいるグリーンに対して、彼は優しい口調で語りかけるように話しかけた。

 

「グリーンさん。レッドさんによろしく伝えておいてください。」

 

何故彼はレッドの事を知っている!?

ロケット団を解散に追いやったのは一人の少年の力であると世間は認識している。しかし、その少年の名を知る者はいない。それはロケット団の団員にもだ。

ボスのサカキや幹部であれば知っている情報であるが、彼が何故こんな事を話したのか気になったのだ。

 

「な!?‥あんたレッドの事まで! ちょっと待ってくれ!」

 

グリーンの問いかけに彼は背を向けたままピタッと止まる。何故彼がロケット団を解散に追い込んだレッドの事を知っているのか。

また、なぜ俺(グリーン)がレッドと親しい仲である事を知っているのかなどあるがそんな事はどうでも良かった。

 

「最後に一つ聞かせてくれ‥ あんたは、俺のライバルをレッドを知っているんだよな? レッドについてはどう思うんだ?」

 

純粋に気になった事を口にする。

彼はロケット団解散に追い込んだレッドについて恨みがあるのではないかと感じていた。

被害者とはいえ、彼の半生はロケット団の為に存在していた。

言うならばロケット団こそ彼のアイデンティティ。

それを潰し、自分の存在意義を奪ったレッドを恨んでいるのでは?と聞きたかった。だが彼のこれまでの壮絶な過去から直接聞くのは辛かった。目を背けたかった

 

‥だからつい遠回しに聞いてしまった。

 

「‥どうとは?」

 

遠回しではなく、直接聞け。そう言っているように聞こえた。だが声の抑揚からして怒りや憎しみで溢れている感じが全くしない。

むしろ受け止めてあげるから言って欲しいと優しさで溢れているような気がして‥

グリーンは意を決して思いを伝えた。

 

「‥その、恨んでたりとかしてないのかって事を‥」

 

これまで洗脳されていたとはいえロケット団の為に尽くしてきた人間だ。

忠実に任務を遂行し、サカキの為に尽くし、組織の為に最も貢献した人間だ。

恨んでいないはずがない。

 

レッドはライバルであり、今では親友と呼べるほどの仲だ。レッドには決してその事を言わないがそれ程グリーンに取って大きな存在なのだ。

 

だが目の前の男はそのレッドが理由で苦しんでいる筈だ。親友にぶつける恨みも俺が背負ってやる。

だから恨みを溜め込む必要はない。

悪事をしてきたとはいえ、ロケット団はあんたのアイデンティティだ、それを奪われた。

あんたもこれまで苦労してきたんだ

吐き出して楽になってくれ

グリーンはそう願っていた。

 

「何故?恨んでいませんよ。むしろあの人のお陰で世界は回っています。あの人がいたから世界は守られている。」

 

しかし出てきた回答はグリーンの思いとは全く別だったのだ。まるでそれが当たり前であるかのように。日が沈むと夜になり、夜が明けると朝になるという様な自然の摂理であるかの様に。自身にはまるで価値がないかの様に。

 

「‥‥だがそれだと、あんたが‥!」

 

―救われないじゃないか。

グリーンは強く拳を握りしめて、地面に叩きつけようとしていたが

 

「それでいいんです。‥では私はこれで」

 

声だけでわかる。

彼が優しく諭してくれたのだ。

彼はそのまま振り向かずその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥」

 

 

彼がトキワの秘密広場から姿を消してどれだけ時間が経ったのか。

彼が去ろうとした際も彼を慕っている野生ポケモン達は後ろに付いて周り、彼の別れを惜しんだ。

ピカチュウやピチューが雄叫びを上げていた事から相当別れるのが悲しかったのだろう。

 

今はグリーン一人夕焼けを背に秘密広場に佇んでいた。野生ポケモン達も気を利かせてくれたのか。

彼のそばを離れているが、木の間などの彼からは見えない位置に隠れて様子を見ていた

 

 

(しかし、なんて人だよ。あんたは‥)

 

(ロケットチルドレンとしてロケット団の為に尽くしてきた。慣れない地方まで行き調査を命じられた。しかも一人でだぞ? 俺にはレッドという競い合えるライバルがいた‥ それに姉さんやじいさんも‥ だがあの人にはいない。)

 

ライバルがいたからこそ、競い合えた。それが成長に繋がり、自分を見つめ直す事ができた。それに旅が辛くなったり、嫌な事があってもグリーンには姉と祖父がいた。家族がいたのだ。

 

だが彼にはいなかった。

たった一人で理解者もいない。誰にも甘える事を許されず、見知らぬ土地で組織の為に尽くす。

それがどれほど苦しく残酷な事か。

 

(孤独と向き合いながら、旅をして組織の為に尽くしたのに、帰ってきたら組織が潰され帰る場所も無い。更には風評被害で冷遇され、共に過ごしたロケットチルドレンの同胞達からは存在も忘れ去られ、汚名返上の為に駆け回る日々。並の人間なら潰れているよな‥しかもレッドの事を恨んでいない。どこまで無垢なんだよ‥あの人は‥!)

 

グリーンは彼にふり掛かる災いと運命に怒りを抑えきれずにいた。

まるで神が彼の事を弄び、どう転ぶのかを嘲笑うかの様に。もし神がいるのだとしたら、俺は神の座から引き摺り下ろしてやりたいという感情を覚えるほどに

 

レッドにこの事は話せない。

話すと多少なりとも罪悪感と責任感を持つからだ。

 

彼がレッドを恨まない理由は定かではないが、彼なりにロケット団は悪事をしていた事を分かっていたのだろう。洗脳されていたとしたら、ポケモンの事なんて使い捨ての道具の様に扱うものだから。

 

自身のアイデンティティたるロケット団と天秤にかけて彼はロケット団よりもポケモン達と歩む事を選んだのだろう。相当苦しんだ筈だ。

 

(‥あんたはおそらく望まないだろうが‥俺は決めたぜ‥)

 

目的の為ならば自身のアイデンティティを捨て去り、共に過ごした仲間が己の事を忘れ去っても、足を止めず。更には私欲ではなく人々やポケモン達の為に己を使う。そんな彼を見てグリーンは何も思わない訳がない。

グリーンは夕日を背に一つの思いを形作っていた。

 

(組長さん。裏であんたがポケモンを救うなら俺は表の世界で救い続ける。そして助けが必要なら俺が助けにいってやるぜ!‥例え誰を敵にしようともな!)

 

グリーンは新たな決意を胸にした。

彼の強固な意思がグリーンを動かしたのだ。

これで彼は救われるであろう。

 

何故ならばグリーンという友を得たのだから。

 





主人公‥トキワの実を求めてトキワの森の奥地を目指すが、勿論そんな場所もきのみもなく騙されただけ。反社のボスの恥。グリーンに目をつけられたと思い込み、グリーンを怖がるように。
スジモンになってからカタギ感覚が鈍り、喪服コーデになってしまった。
その後何とか脱出できたが帰りが遅くなり、組員達からは拉致されたと勘違い。密売組織や闇のブローカー組織などが潰され、ワビ組カントー統一が早まった。

グリーン‥主人公の過去のヤバさ(勘違い)を知り、彼の優しさと強さに敬意を払う様になる。彼が旅から帰ってきた時にはロケット団は消滅し、ロケットチルドレンの証拠隠滅(していないが)を終えていたと勘違いし主人公だけ見捨てられ、ロケットチルドレンの記憶を消されていないと思い込んでしまった。主人公の事を友と認めて望むなら主人公の手足になる事も辞さない現状最強の味方。なお主人公からは避けられている模様。

ピカ様‥たまたま秘密広場から出てきた時に主人公と鉢合わせるもいつも来る人間(グリーン)じゃねえ!誰だテメェ!?と喧嘩を売るが相手が話が通じないスジモンであった為、ブチギレたり、帰れ!と手を向けたり、離れろ‥と激渋ボイスで言ってもダメだった。ブチギレた反動でお腹を空かした為、差し出された怪しげなブツ(マカロン)を食べた事で、野生の誇りを捨てた。秘密広場にいる仲間にもマカロンを食べさせたかったので案内した。中毒になるほどやみつきに。
おめでとう!ピカチュウはマカチュウにしんかした!


野生のポケモン達の皆様‥半年掛けて懐いたグリーンよりも組長が用意したマカロンに釣られ、たった2時間程でグリーンを超えたなつきを見せた野生ポケモンの恥。主人公が帰るとマカロンが食えなくて発狂した。ちなみにマカロン自体は至って普通の高級マカロン。

トキワの森の秘密広場‥ロケット団の実験場。実際ここで実験をやる筈だったが良き実験場が見つかり廃棄。一度も使われる事はなかった。
なお出土した骨はトキワシティのレストランで出された残飯の骨やペットのカラカラが使っていた骨が壊れ、ここに廃棄していたから。
ここに住む野生ポケモンは骨を破棄するやべえ奴らと人間を恐れたが、ここ最近グリーンが見回りに行く為破棄する人は減ったとか。

孤児院院長‥通称一般バトルジャンキー院長。バトル狂だが公私はしっかり分ける。当初旅に出ようとしない主人公に対しても無理強いと押し付けは決してせず、興味のある話題も織り交ぜて旅の楽しさを伝えた甲斐もあり旅立つことに。ジョウトや地元カントーで黒ずくめの男(ロケット団)をよく見かけ騒動に巻き込まれない様にする為、遠くの地方を勧めた。

きのみ販売兄さん‥タマムシできのみの押し売りをするスジモン。存在しないきのみを高値で別のきのみとして売るやり方が得意。
実はカントー地方に戻ってきたばかりでワビ組の存在を知らなかった為ワビ組組長をカモにできるかと思った能天気モン。結局引っかからず断念。
その後客のポケセンのジョーイさんに押し売りする所をジュンサーさんに見つかりお縄に。

新人ジョーイさん‥きのみ販売兄さんに押し売りされそうになるが、見回りのジュンサーさんに見つかり彼はお縄に。ワビ組組長ときのみ販売兄さんが話してるのを見て組長の友達と誤解。組長について聞こうと話したのがきっかけ。最近タマムシに組長が来る度にソワソワし、化粧直しする時間が増えた。

エリカ様「新たな同志ゲットだぜ!ですわ♪」

グリーン「お前もう神降りろ。」
アルセウス「‥‥(‥だからなんで‥?。)」
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