ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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その筋の者(スジモン)ハンサムハウスへ行く

 

 

 

「どうぞ中にお入りください観光客さん。」

「ふんにゃ!」

 

 

「失礼します‥」

 

 

という事でマチエールに催促されてハンサムハウスにお邪魔しております。私が中に入ると目に映る光景はXYで見たハンサムハウスそのもの。

 

おお‥まさにゲームの中の探偵事務所だ。ホワイトボードに大きな地図が貼ってあったり、奥のデスクには書類が山ほど置いてあるのがまさに出来る探偵に見えてくる。

 

私が周りをキョロキョロする中、もこおはてちてちと歩くとデスク横のふかふかの椅子に飛び乗った。かわいい

もこおが椅子に乗った事を確認したマチエールはもこおに微笑み、優しい口調で話しかける。

 

 

「もこおありがとう ゆっくり休んでね。」

「ふんにゃにゃ」

 

 

マチエールの声を聞くと疲れたのか目を瞑り瞑想モードに入った。エスパータイプは疲れるのかね?

もこお超かわいいよ!撫で撫でしたいー!モフつかせてー!!

 

私の邪念を感じ取ったのかマチエールは私に向き直ると申し訳なさそうな表情で私に謝罪する。

 

 

「すみません少々散らかっているのはご容赦を。せっかくカントーからご足労頂いたのに‥」

 

 

いえいえこちらこそ

むしろいいもの見れましたよ。美女と可愛いポケモンとの触れ合い神かな?

 

‥てかあれ?私マチエールにカントーから来たって言ったっけ??

 

 

「ん?私がカントーから来た事を伝えたかな?」

 

 

私が発した疑問にふふんと得意げな顔をしたマチエールは咳払いするとゆっくりと特徴を述べて説明していく。

 

 

「その格好は確かキナガシと呼ばれるジョウト特有の衣装ですよね?しかし着こなしがまるで異なる‥

 

ジョウトでは伝統を重んずる一方カントーでは新しい

着こなしが流行りと聞いてましたし、コガネ弁と言ったジョウト言葉で無くイントネーションからしてカントーの人間‥そう推察しましたが反応を見るに当たりの様ですね」

 

 

「その通りだ。いや流石だな‥」

 

 

おお!すごい。なんと初見で言い当てるなんてなんつう推理力だ!ブラボー!そしてその服もブラボー!

 

全身タイツとか叡智の極みじゃ無いですかー!

それにさっき振り返る時に見たがケツがやばい!

なにあのおしりは!?あんな表現ポケモンで出していいやつじゃないだろ!

 

全身タイツにコートとか最早痴女でしょ?そんな格好恥ずかしくないの?(純粋な疑問)

 

 

「それにしても見事な服ですね。ジョウトの様な伝統を感じる美しさはまさに芸術といえますね。」

 

 

いやあなたのその服もですよ。(ゲス顔)

てかそのタイツ改めて思ったけどあれだよね?

エスプリの時の服装だよね?確か‥イクスパンションスーツだったかしら?

 

‥ってやべ!答えないとやな!

私は自分の着流し衣装を見つめて自慢する様に答えた

 

 

「ああ、綺麗で美しいでしょう。これぞ侘び寂び‥ミアレでもそう言った美しいもの(主に大人のお姉さん)が見れると思ってね」

 

 

あのピュール君お墨付きのむしタイプを意識した着流しだ。マチエールも見惚れるほどのデザイン流石だぜ

 

これぞ侘び寂び!‥意味全く違うと思うがつい言いたくなっちまった。ホテルZの建物全体にあの(つた)が覆ったあの感じがまさに真の侘び寂び

 

女性もそうだ。一見似合わなさそうな格好や体の特徴とかミスマッチな姿に恥ずかしがる姿も最高!

そんな大人のお姉さんの美を堪能するのも侘び寂びだ。覚えておきなさいマチエール(誤った知識)

 

 

「ワビサビ?確かジョウト特有の美学だったかな?現クノエジムリーダーがそれを大事にしているらしいですが‥」

 

 

あ、そうなの?マーシュさん辞めたんかな?誰だろ?

マーイーカ!

マチエールはへぇと驚いた表情をするもののなるほどと表情をコロコロ変えてくるのが可愛くて仕方ない。

私は嬉しくなり、マチエールの服も褒めまくった。

 

 

「それにその服もそうだ。まさに人類の叡智を結集させた作りをしていると言えるでしょうね。」

 

「‥!なるほどこの服についてそう称されるのですね。」

 

 

あ、つい変態ワード言っちまった。

ちょっと難しい顔をして私を見るが、まるで警戒している様に見える。叡智なのはダメ!処刑!!

すまんかった。許してくれい

 

私がやらかしたと思う中マチエールは真剣な表情になり、私に問いかけて来た。

 

 

「さて話を戻しましょうか。ハンサムハウス前に佇んでいたと言う事は事務所に用がある筈‥ですがその前にお名前をお伺いしても?」

 

「私はタチバナ。よろしくお願いするよ」

 

 

タチバナです。スジモンをしております。

あなたにバレるとやばいですはい。私の名を聞いたマチエールはデスクの上からファイルを取り出して、それを私に渡そうとするが依頼は無いです。

 

 

「タチバナさんですね。では当事務所への要件は何でしょうか?依頼ならば詳細を教えてください。」

 

「依頼か‥今回ここに来たのはミアレ一の名探偵が気になって一目会いたくなったというのが大きいな。」

 

「‥そうですか。名探偵とお呼び頂きありがたく思います。」

 

 

やべ益々警戒させちったぜ。なんか眉間の皺が寄ってブチギレ寸前みたいな感じになってる!?

そりゃあ、ひやかしで来たと思われたらたまったもんじゃ無いわな!すまん!

 

ここは無理になんか依頼とか頼むか‥せや!

 

 

「だが依頼はあるのは確かだ。そうだな‥ホテルZまでの道を教えて頂きたい。

懐かしいものもあるが今のミアレの街並みは慣れなくてね」

 

 

私は空っぽの脳内で何を依頼するかを練るも結局良い案が見つからず最低にも近い案を口に出した。‥ つまり道案内を口にしてしまったのだ。

 

 

XYのゲームで見た懐かしい光景もあるがそんなミアレよりも今のミアレ、特に新設されたワイルドゾーンとかもあってわかりづらい。

 

広場とかに普通にあるから迂回しないといけないし、

ってか地図に反映してくれよ!おかげで今どこにいるか迷子になるわ!全然慣れねえんだよクエーサー社!

もっと地図更新してよー!

 

てかこれ探偵に依頼する内容じゃないな‥

 

 

「なるほど、それでしたらハンサムハウスを出て3番ワイルドゾーンに沿って進み、ルージュ大通りをメディアプラザ方面に進みます。

 

その後プランタンアベニューを直進して突き当たって左のサウスサイドストリートへ行くと1番ワイルドゾーンが━━」

 

 

 

こんな無茶振りにも答えてくれてありがとうマチエール!だが言わせてくれ。なるほどわからん!

どの道がどの通りでどこに繋がっているんだ????

 

蜘蛛の巣みたいに張り巡らされたこの街でかくれんぼとかしたら絶対見つけられねえよ‥

けど教えてくれてあざます!さすがは名探偵(道案内)

 

今度ワビ組でキック力増強シューズを作って送るぜ!

‥イクスパンションスーツがあるから不要か‥

 

じゃあ!ターボエンジン付きスケボーを‥!

‥‥イクスパンションスーツがあるからいらんか

 

万能すぎやろ。叡智だし性能神だし無敵か?

 

 

「━━と言った所ですね。」

 

 

「ありがとう助かるよ。これは依頼の報酬だからとっておいて欲しい。」

 

 

話を全く聞いていなかった事もあり、罪悪感から私は懐から財布を取り出して万札2枚をマチエールに渡した。

マチエールは目を丸くすると手を振り、受け取れないと強く否定した。

 

 

「!こんなに受け取れません。これは探偵の仕事では無く人として当然の事をしたまでです。」

 

 

「いや立派な仕事だ。探偵とは人を助ける仕事と言えるのだろう?少なくとも私を助けてくれたんだからな包まずに渡す形になるがどうか受け取って欲しい。」

 

 

なんとか金を受け取る様に必死に懇願しまくる。

ひやかしではなくちゃんと依頼をしたからね。これなら嫌な目をされずにすむぜぇ‥

 

すると私の必死の懇願が叶ったのかマチエールはやれやれと言わんばかりに金を受け取る。

 

 

「‥わかりました。そこまで言うのならありがたく受け取らせて頂きますね。」

 

 

よし!流石だ。これで嫌な顔されずに済むだろう

 

‥あまり長居すると仕事の邪魔になるしマチエールに嫌な目ををされるし、正体バレるのやだから帰るね。

サラバダー!

 

 

「私はそろそろお邪魔するよ。ありがとう名探偵さん」

 

 

私はそう思いくるっと体を回転させると不意に壁にかけてある二つの額縁を目にする。こりゃあ写真か?

 

どれどれ?お!ハンサムさんだ!そして赤い格好をした不審者こと確かクセロシキだったか?こりゃあまた懐かしいじゃねえか。

そっか‥やっぱりこの二人の事大事に思っているんだなマチエールは

 

 

「‥この写真はハンサムさんと確かクセロシキか?」

 

 

無意識の間に呟く小声に後ろで何やらガタッ!とぶつかる音みたいなのが聞こえたがなんだろう?私は振り返り驚いた表情をするマチエールと目が合う。

 

 

「‥!ハンサムおじさんを知っている?‥あなたは一体何者なのかな?」

 

「それに今クセロシキ‥とも言いましたね?‥まさかあなたはフレア団関係者なの?あのフラダリとも関わりが‥?」

 

 

あ、やべ!ポカやらかした!

原作知識ですと言えるわけがない。ここはモミジさんと同じ言い分になるが答えるしかない!あわわ!

なんて言おう!?はわわ!!!

 

 

「研究所の所長代理の方にも同じ事を聞かれたな‥

確かに私は過去あの人のお世話になった(クソコラ)それは否定しない。」

 

「あの人には色々なモノを貰った‥(クソコラで)それこそ返しきれないものを‥」

 

 

頭が真っ白になり、適当こいたが私は一体何を言っているんだ!? これじゃ誤解が進むだろうが

違うんです!私の口が勝手に!

 

 

「‥‥」

 

 

何やら考え込むマチエールだがここは下手な事は言わない方がいいかもしれん。退散しまーす。

 

 

「失礼 変な事を口にした。それでは」

 

 

私は扉を開けて外に出ると適当に歩を進める。

私有無を言わさずその場を後にした私だが汗が止まらん!いやぁ疲れたぜ

 

こりゃあちょっとホテルZ帰る前にどっかで休憩するかー 折角だしどっか一望出来る所とかないかなー

 

適当に路地裏ぐるぐる。近くをキョロキョロ。

お!おとくなけいじばんじゃん!電光掲示板みたいなんだねー 進んでるなあ

 

どれどれ‥パサージュ・ド・ロンブル?すぐ目の前にあるアーケード街か

なるほどブティック店か!そこでファッションを楽しめる訳だ。さすがはおしゃれの街!

 

おしゃれもいいが今はどこか一望出来る場所に行きたいなー

 

ん?あそこにあるのはハシゴか?結構頑丈な奴だな。登ってみるか。あー結構高さあるね。

落ちたら死ぬんじゃないのーこれ?

 

力の限り登り、植木鉢を乗り越えた先に見えるのは街を見下ろせるカフェテラスであった。おーすごい!

 

 

「ん?あそこの影にベンチがあるな。」

 

 

私は思わず声を漏らしてそのベンチに近づく。

あー座っちゃよ!あー疲れたぁあ!はああたまらん!

座った瞬間にこれまでの力が抜けて疲労がどかっと私を覆い尽くした。足パンパンすわ

 

疲労を感じ取ると一気に眠気が強くなり私はウトウトしてしまう。空は夕暮れ模様であと1時間位で日は沈むだろう。

ちょっとだけ寝るか。10分、いや20分だけね!

 

置き引きとか野生ポケモンにイタズラされると怖いので私は腰につけていたモンボを取り出して相棒を繰り出した。

 

 

「スピ!」

「スピアー私は少し休むから見張ってくれないか?」

 

「スーピー!」

 

「ありがとう頼りになるな」

 

 

了解です!と言わんばかりにドリルを振って合図するスピアーは流石だぜ!さてスピアーに見張り任せて私は寝るか‥おやす‥zzz‥

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

side マチエール

 

 

 

 

 

ミアレ一の名探偵マチエール

ハンサムハウスの二代目所長としてミアレシティにおいてその名を知らぬ者はいない傑物であるが、彼女はある一つの疑念を抱いていた。

 

 

(行っちゃったか‥しかしあの意味深な発言の意図は何?タチバナさんの目的って‥)

 

 

カントーから来訪した観光客タチバナ

黒髪にジョウト地方特有の美しき刺繍の着流しの上に黒いライダージャケットを着こなす精悍な顔つきの男性だ。

 

彼が放つ意味深な発言はマチエールの胸の中を駆け巡り、彼女を思考の渦へと巻き込んでいく。

彼は何を意図して彼女の事務所を訪れたのかか分からぬままただ時間だけが過ぎていた。

 

思考に耽るマチエールは考えても埒があかないと彼から手渡された二枚の紙幣を一度デスクの上に置くが、その時紙幣の間から小さな紙が挟まっているのを目にした。

 

好奇心からか紙幣を横にずらして確認すると一枚のメモ用紙が挟まれていたのだ。

 

 

(‥?紙幣の間に何か挟まっているけどこれはメモ?かなり達筆だけど一体‥)

 

 

マチエールはそのメモ用紙を手に取って確認する。

なんの変哲もないただのメモだがメモに書かれているその一文に目を奪われた。

 

 

ミアレ XYZ

 

 

メモにはそう記されていた。彼女がその一文に目を奪われていたのは流麗な美しき文体とも言える達筆さだけのものではない。

探偵としての好奇心が彼女を動かしていたのだ。

 

 

(ミアレXYZ‥?サインに見えなくもないけど何かのパスワードを示したメモと言った所なのかな?)

 

 

メモ用紙の裏面や手触りを確認するが至って普通のメモ用紙でありメモ自体に細工が施されたものではないが、このメモに書かれている一文自体が異常であると探偵としての直感が彼女を刺激する。

 

 

(いや違う‥メモにしてはあまりに達筆すぎる。つまりこれはあたしに向けたメッセージ‥)

 

 

このメモは彼女に向けた明確なメッセージだ。

メモにしてはあまりに達筆な文字と暗号化されたその一文がますます疑念を膨らませる。

 

マチエールは顎に手を当て目を瞑りパズルを組み合わせるかの様に状況を整理して探偵としての経験を活かして推察する。

 

 

(このお金はカモフラージュか‥どこで誰がこの場を見ているかわからないと警戒しているからこんな回りくどい事を?

もしかしてこれは知られてはいけない大きな陰謀があるとか?‥わからないな‥)

 

 

道案内の依頼料金として彼女に紙幣を渡す行為そのものがフェイク。そもそも道案内の依頼料金としては破格な報酬でもあるが、彼はマチエールに報酬を渡す時にやや強引な渡し方をした。

 

つまり彼女にこのメモを渡すのが目的と言える。

伝えたい事があるのなら口頭で伝えれば良いがわざわざ紙に暗号を書き写し、初対面である彼女にそれを渡す。それが何を意味するのかは不明だがこの暗号を解いた先に真実が見えてくると言えるのだろう。

 

 

(X軸Y軸Z軸にまつわるものでないのは確実だね。

ただ横一列に並んでいる。それぞれの座標を表すのなら文字の配列や大きさを変えるはず‥

つまりそれとは関係ないと見ていいかも)

 

(じゃあXYZそれぞれの単語の頭文字を取っていて、それが何かを表しているとか?いやそれにしては候補があまりに多い‥その線は無いと踏んでいい筈。つまり‥文字そのものの法則性とか?)

 

 

これまでいくつもの難事件を解決した彼女も暗号化されたその一文の前ではなす術が無く、解き明かすのは容易ではない。

まるで攻略の糸口が見つからない彼女であったが一つの言葉が彼女の頭を巡る。

 

 

(いや難しく考え過ぎるとかえって答えを見失う。もっと単純に考えよう 古人の言い伝えにある様にね)

 

 

視点を変えれば不可能が可能になる。

ある古人の言い伝えによると見方や考え方を変える事が解決の糸口に繋がるというものだ。

 

マチエールはメモに書かれている一文を見た時に探偵としての側面を捨て、ただ純粋にその一文に対して抱いた疑問の深掘りを続けていく。

 

 

(しかし何故XYZ?Aから始まる単語や中間に位置するLやMは一切出さずに終わりの三文字だけ‥

終わりの方から書き出すことに何の意味が‥)

 

 

 

その時彼女の脳裏に電流が走る。

まさに咄嗟の閃きというべきもので、暗闇の中に一筋の光が照らされる様な微かな希望。

 

 

(‥!そうか!そうだよ!)

 

 

マチエールは目を見開きメモの一文を凝視すると、ホワイトボード脇の余白部分をボードマーカーで無心で書き込んでいく。

 

マチエールが書き終えた余白部分にはAからZまでのアルファベットが順番通りに書かれていた。彼女は最後に位置するXYZを円で囲み凝視する。

 

 

(XYZはアルファベットの最後の文字で後ろに続く文字は存在しない。そういった意味を併せ持っているんだ!)

 

(つまり‥XYZの持つ意味は━━)

 

 

 

(━━後がない。

 

これを踏まえるとミアレXYZとは‥

ミアレシティにはもう後がない。という意味になる)

 

 

再びメモに書かれている一文、ミアレXYZに視線を移すと彼女の手が小さく震えていた。

暗号化された一文を解き明かした事による達成感では無い。それはつまり大きな嵐を予感させる事が明らかになったのだ。

 

 

(まさかそれほどの未曾有の危機が訪れるというの?)

 

(あの人は一体‥?しかし何故それをあたしに知らせたんだろう?悪意の発露?いや違う。

本当に悪意があるのならこんな事あたしに伝える事はしない。つまりあの人は敵ではないというのかな?)

 

 

野生ポケモンが人の縄張りでもあるミアレシティに流入している状況と暴走メガシンカ現象が進み、街の平穏は乱れつつある。

 

まるで街の破壊と滅亡を予期するその一文に並の人間ならば何かの冗談だと笑い飛ばす者が多い筈だ。

しかし街の現状を知るマチエールは彼の放つ唯ならぬ雰囲気と合わせてこれが真実であると予感したのだ。

 

 

(初見でイクスパンションスーツを見抜く慧眼といい只者ではないよね‥冗談にしてはタチが悪すぎる。)

 

 

人類の科学の叡智を結集させて作り上げたフレア団の傑作開発装置イクスパンションスーツ。人間の持つ力を引き出す科学の力の結集はまさにそれだ。

 

彼は初見でそれを見抜く慧眼の持ち主である。だからこそマチエールは彼の残した暗号化した一文を冗談として受け取らずに真実として受け止めたのだ。

 

しかしまだまだ謎は多い。

何故彼は初見であるマチエールにこの一文を託したのか。フレア団ボスのフラダリとの関係やマチエールの恩師でもあるハンサムとクセロシキを知っていることなど挙げればきりがない。

 

情報のキャパシティが限界を迎え、彼女の脳内は今にもパンクしそうな程である。

 

 

マチエールは息を吐いて伸びをしながら呼吸を整え、考えを纏めようとしたその時、彼女のスマホロトムが着信音を鳴らして勢い良く眼前に飛び出す。

 

画面には良く知る仲であり、依頼者の一人の少女の名前が表示される。

マチエールは画面をタップしてその少女と通話を始める。

 

 

「タウニーどうしたの?人探しについてはちょっと待って貰っていいかな?もっと調べがついたらね」

 

『あ、いえその事ではなくてですね。マチエールさんにお聞きしたい事があって‥』

 

 

溌剌としながらも丁寧な口調で話している画面の向こう側の話し手の名前はタウニー

ミアレシティで行き倒れそうになった所をマチエールが救い上げホテルZのオーナーAZに紹介した人物でもある。

 

マチエールはタウニーから探し人の捜索依頼も受けており依頼人でありながらも時には協力関係を結ぶなど頼りにしている存在だ。

 

そんな彼女がマチエールに電話する事はかなり珍しくマチエールは優しい口調で語りかける。

 

 

「?どうしたの?何か困り事かな?」

 

『マチエールさんの事務所にえっと‥ふりそでの様な特有の衣装を着た男性の方が来ていませんか?』

 

「‥!それがどうしたの?」

 

 

タウニーが話した外見と先ほどまで事務所にいたタチバナの外見が見事に一致し思わず声を荒げそうになるがその声を押さえる様に優しい口調でタウニーに質問を返しタウニーはどこか彼を心配するかの様にマチエールに対して言葉を紡いでいった。

 

 

『その人とついさっきまでヌーヴォカフェで色々とお話していたんですけどマチエールさんの話をした時にとても驚かれた様子で‥その後も結構気にされていたからマチエールさんの所に来たのかなって‥』

 

 

どうやらタウニーの話した人物とタチバナは同一人物である様だ。ホテルZに戻る事を話していた手前、宿泊客であるのだろう。

 

万年人無しホテルと揶揄される貴重な客の心配をする彼女の優しさにマチエールは笑みを浮かべるも、タチバナについて警戒を高める様に鋭い声色で話す。

 

 

「確かに来たよ。今はもういないけどね。カントーから来た観光客さんで名前はタチバナさんであってる?」

 

『はい、そうです!‥じゃあ、マチエールさんに探し人の依頼をしに来てたんですよね?あたしもお手伝いできればと思って電話した次第です。』

 

 

タウニーは人助けが趣味であると公言する程にお人よしであり人を疑う事を知らない。

 

電話越しとは言え彼を心配し安堵する様な声色からしてタウニーはタチバナに相当入れ込んでいる様だ。

それ程までに彼の人間性は優れているのだろうか

 

まるで先程の意味深な発言が嘘であるかの様に訝しげな表情を浮かべるマチエール。

 

しかし、タウニーが零したある一言にマチエールは疑念の思いを募らせていく。

 

 

「‥探し人?それってどういう事?そんな話してないよ?」

 

『え?うそ。タチバナさん探し人がいるみたいな事をこの前聞いたんですが、何で頼まなかったんだろう?』

 

 

彼には探し人がいたのだ。マチエールの胸中に更なる疑問が駆け巡る。

 

何故彼はその事実を隠してマチエールに近づいたのか何故タウニーにはその事を話したのか、謎が深まる彼の正体を少しでも暴く為彼女はタウニーに問いかけた

 

 

「‥タウニー。他にも何か言っていた事はあるかな?どんな些細なものでもいいからさ」

 

『うーん‥そういえば‥』

 

『マチエールさんの話をした時にそうか‥元気でやってるのか‥って小声で呟いてましたね。まるで元気で過ごしている事を安堵というかそんな感じの雰囲気を出していました。』

 

 

タウニーの証言に基づき、マチエールはこれまでの彼の言動を思い返して一つ一つ整理をしていく。

脳内でパズルを組み立てる様に丁寧にまとめて彼の正体に近づく為に。

 

 

(何故タウニーには話せてあたしには探し人の話をしないのか‥それは探偵であるあたしにその探し人を探されては困る可能性が高い。それほどの危険人物か、はたまた別の何かか)

 

(元気でやっている‥これはあたしを案じているの?ハンサムおじさんやクセロシキおじさんを知っている事からあの人は国際警察?

いやそれなら素直に身元を明かせばいいから違う筈‥)

 

(あたしを一目みたいと言っていたが、それは探偵としての実力を測る為?

フラダリの世話になっていたという発言からあの人は元フレア団か過去に支援を受けた人間‥それなら納得がいくけど何か違う気がする。何か見落としてるものがある様な‥)

 

(分からない‥何もかも霞の様で掴みどころがないよ)

 

 

一つ一つをまとめて現状を整理するも霞を掴むが如く何もわからないままだ。

余りにも謎が多く、素性すらも掴めきれない彼に恐怖を覚えるほどに。

 

マチエールが黙り込んだ事が気になったのかタウニーは恐る恐ると言った口調でマチエールに問いかける。

 

 

『‥あの、お二人はお知り合い同士なんですか?何だかタチバナさん色々と懐かしがっていたから旧知の仲かな?とも思ったんですけど』

 

 

「いや‥初対面の筈だよ。でももしかして過去にあった事があるのかもしれない‥少なくとも旧知の仲程親しくは無いかな。」

 

 

タウニーの発言に首を傾げながら言葉を紡ぐマチエール。懐かしがっていたと言うが誰かと勘違いしているのではないのかとマチエールは考えていた。

 

彼の発言からマチエールとは初対面である事は確かだが、彼はまるでこちらを知っているかの様な発言もあるので過去にどこかで面識はあったのかもしれない。とにかく旧知の仲でない事は確実だろう。

 

タウニーはうーんと唸る様に自身の思いと疑問を呟いていた。

 

 

『そうですか‥タチバナさんも色々事情があるかもしれないし‥何でマチエールさんの所に行ったんだろ?』

 

 

タチバナの事を本気で心配するかの様な呟きに彼に疑いの目を向けるマチエールの胸にはチクリとその言葉が突き刺さる。

まるで信頼する人の気持ちを裏切る様な微細な罪悪感が彼女を刺激したのだ。

 

マチエールはその思いから身を守る為か半ば反射的にタウニーに対して言葉を打ち切る様に言葉を発した。

 

 

「それは本人にまた聞いてみるとしようか。とにかくタウニー色々とありがとうね 頼りにしているよ。

また力を借りてもいいかな?」

 

『こちらこそ!是非頼ってください。

それではまたよろしくお願いします。』

 

 

 

スマホロトムの画面をタッチして通話を終えるマチエールは息を吐いて呼吸を整え、再度彼の雰囲気を思い返す。その時彼女はふとある事に気づいた。

 

 

(タチバナさんの目‥好奇というよりも何だろう懐かしむ様な暖かい目‥まるで弟や妹を見るかの様な庇護的な目といい何を考えているのかまるで掴めない‥

 

ミアレの危機をあたしに伝える事といい目的はミアレを守る為なのかな?)

 

 

彼が映し出す眼には敵意や悪意は全く見られなかったのだ。まるで彼女を微笑ましく見守る家族の様な温かく優しい目線で意味深な発言をした人物とは思えない程の雰囲気。

 

もしかして彼女にあの一文を託したのは下手に情報を流失させてパニックになる事を恐れ、わざと暗号化したものをマチエールに託した可能性が高い。

ミアレの未来をマチエールに共有してこの街を守る事が目的なのか。

 

 

(口ぶりからしてまるで過去のミアレを知っている様だった。‥最近は都市再開発計画で街も大きく変わっちゃったから迷うのも無理はないのかも‥)

 

 

タウニーも話していたが、旧知の仲の様に懐かしがっていたのはマチエールの事ではなくおそらくミアレの街を指していたのだろう。

 

彼がフラダリの世話になったという事は少なからず、ミアレシティにいた事を示唆するもので過去の街を知っているからこそ彼は懐かしんだのだろう。

 

タウニーはマチエールとの関係に懐かしさを感じて旧知の仲だと勘違いしていたのだ。

彼がホテルZまでの道を案内して欲しかったのも以前とは変わった街に慣れていないのだろう。

 

そう見えると何やら可愛げのある人物ではないかと愛おしさを感じてしまうとマチエールは思い返していた

 

過去と現在で街並みは大きく変わるものだがそれは人も同じ、マチエールもふと過去の自分と照らし合わせる様に思いに耽る。

 

 

(あたしは元々路地裏生活をしていたけどそこをハンサムおじさんに拾われてチャンピオン‥いやもう元か‥あの人に助けてもらって思ったんだ。やっぱりミアレが好きなんだなって)

 

(ハンサムおじさんが以前話していたっけ あたしみたいな孤児にはもしかしたら血の繋がった本当の家族がいるかもしれないって‥

もこおやおじさん、みんながいるから気にした事なかったけど、ふふ‥懐かしいな)

 

 

初代ハンサムハウス所長にして国際警察ハンサムとの思い出こそ今日の名探偵マチエールを作り上げたのだ

 

ここで根を上げたら恩師であるハンサムに顔向けできなくなる。彼女は頬を軽く叩いて気持ちを入れ替えると顔を上げて決意を固めた。

 

 

 

「ミアレの平和を守る為にも更に色々と調査する必要があるかもね。少しずつでいいから調べようか。

まずはカントーやジョウトの情勢からタチバナさんについて何か分かるかもしれない。」

 

 

マチエールはデスク上のPCを起動させてキーボードを動かしカントーやジョウトにまつわるニュース記事などを確認していく。

 

 

その後、すぐに彼女がとある記事を見つけた事と彼が発したある一言を思い出した事がヒントとなりタチバナの正体に辿り着く事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

「スピ!」

 

 

 

何やらツンツンと私の袖に優しく触れる感触で意識を戻す。あれ?ここどこ?大人のお姉さんのハーレムは?‥ってそっか夢か‥目覚めてほしくなかったなーあまりにも心地良過ぎてベンチで寝ちまったのか。

 

ふわああ‥おはよう〜

うーんと伸びをして周りを見ると辺りは真っ暗だった やべ!結構寝ちまったな。

 

スピアーの見張りもあってか身につけている物や貴重品は盗まれてない!よし!

さてと今からホテルZに戻るとしてどうするか‥

タクシー使うか?ザックさん呼ぶ?

デリバリーよろしくゥ!

 

 

 

 

 

「スピ!スピー!」

 

「どうしたスピアー?」

 

 

突如スピアーがあれ見てくださいよ!と言わんばかりにドリルで場所を指すのでそこを見ると何やら赤いホロの壁が見えた。

 

へぇえーそんな色もあるのかー

 

ワイルドゾーンの亜種? 結構範囲でかいなー

あれ?ここら辺り囲ってね? 

 

嫌な予感を察知した私はベンチから抜け出して近くの植木の影に潜み周りを観察すると突如下の大通りにいたトレーナーが目と目を合わせる事もせずにポケモンで攻撃を仕掛けていくではないか

 

な、なんだこれは!? 無法地帯過ぎる!!

治安サンアンドレアス?頭キヴォトス?ロアナプラ?

終わってるだろ!スジモンの抗争か!?まじかよ‥

 

誓って殺しはやってません!!!!

 

 

しかし裏路地では無く大通りで堂々とやってるな‥

犯罪黙認都市になったのかミアレは‥

まさにゴッサムシティ‥ジョーカーやキャットウーマンが練り歩いてそうだぜ

 

‥ってん?待てよ

 

私は不意にマスカットが話していた事が頭をよぎった

 

夜に行われるバトル大会‥専用のルール‥専用のバトルゾーンに奇襲不意打ち何でもありのルール無用のバトル。

つまりここで行われているのはZAロワイヤル‥?

 

状況を観察するに私がいる場所も含めてかなりの広範囲が赤いホロで囲われている。ってことはだ

 

‥おいおいうせやろ?つまり私は今バトルゾーン内に取り残された感じか????

 

 

 

ふざけんじゃねえ!

ゾーン形成前にせめて1時間前とかに告知したりとかスタッフが現地にいる人の誘導とかしとけよ!

私以外で取り残された人はいないだろうな!?

 

不備しかねえよ!

まさかクエーサー社に嵌められたのか‥!

 

ふざけるな!ふざけるなぁああ!!馬鹿野郎!!

ハァ‥ハァ‥!なんなのこの街ィ!(三回目)

 

 

 

 

「‥この街色々と終わってない?なにこれ!?」

 

 

 

私はつい怒りと呆れと驚きと恐れが入り乱れる感情ごちゃ混ぜセット発言をする

 

もう終わりだよこの街

 

 





主人公(タチバナ)‥シティハンターみたいな暗号を残した人。マスカットやマチエールの件でストレスが溜まり疲労困憊の為ベンチで昼寝して起きたらバトルゾーンの中に取り残されてしまった。

マチエール‥XYZを誤解読した。ZA終盤を見ればあながち間違いでは無い。ハンサム、クセロシキの事を知っているタチバナを味方とみていいのかどうか審議中。

もこお‥マチエールの相棒であり家族。相手の思っている事やイメージしている事を読む事が出来るが、近頃仕事の疲れやメガエネルギーの影響やらでコントロール出来ない事が多発。今回も探偵の仕事で力を多用し過ぎた為事務所に戻るなりすぐ休んだ。

あの人‥XYの主人公でカロスリーグ元チャンピオンだった人。マチエールからしてみれば頼れる存在であったそうだが、旅に出ているそうで今はカロスにいないんだとか。

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