ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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またごろごろ視点が入れ替わる回になるのでよろしくです!



その筋の者(スジモン)永遠の檻に囚われし者と晩酌をする

 

 

ミアレに来てから早2週間以上が経過した。

最初は時差ボケや食べ物やら生活習慣やらの違いで霹靂としていたが住めば都とはよく言ったもので、結構慣れてきた。

 

たまに故郷の味が恋しくなり、AZにゃんからキッチン借りて肉じゃがや炒飯などを作って食べていたがいつしかそれが周りにバレてしまい、今やホテルZの面々に振る舞ったりしている。

コックタチバナです。死んだんじゃないの〜

 

いやーしかしホテルZの皆とはかなり仲良くなったぜ

特にデウロちゃんね

ただここ最近デウロちゃんの距離感が近すぎて心配になるのが気がかりかなー

 

 

個性つよつよのタウニーちゃんやピュール君との間で苦労する事もあったり年頃の少女らしく悩みも多いそうで私がひたすら聞きに徹して、肯定と褒め言葉と労いの言葉をかけまくった

 

あとは彼女を励まし続けたりわかるってばよムーブしたり君の笑顔は私にとっての太陽だみたいな事言ったら元気づいてくれたのか距離感が近くなり、やたらボディタッチをして来るようになったっす

まるで妹を持った様だぜ!

 

デウロちゃんそれ同年代の子にやったら絶対勘違いされるから距離感は考えた方がいい。

 

私が一人夜風に当たりしみじみと考え込むと、横の扉が開かれ大柄な人影と小さな影が姿を現した。

 

 

「おや?タチバナか 一人とはまた珍しいな」

「キュルルー♪」

 

「どうも、AZさんフラエッテ良い夜ですね。」

 

 

扉を開けて入ってきたのはAZにゃんとフラエッテ姐さん。

今私はホテルZの屋上でプリズムタワーを見ながら一人で晩酌しているのだ。

 

最近は一人で夜風に当たりながら酒を飲むのにどハマりしている。カッコつける練習だぜ!

 

私を見る気配を扉付近から感じるが、敵意が無いから見て見ぬフリをしています。おそらく野生のスジモンかゲンガーだろ!

 

 

「ふむ、タワーは大丈夫そうか‥」

「キュルルー」

 

 

AZにゃんとフラエッテは何やらタワーを見てぶつぶつと呟いている様だが何かあるのだろうか?

私は思わずAZにゃんにその事を聞いてみた。

 

 

「タワーが気になるのですか?」

 

「ん?‥ああ、ここから見る景色はやはり良いものだと思っていたのだ。」

 

「キュルルル」

 

 

 

何やら答える時に言いづらそうな哀愁漂う感じがして見てるこっちも気まずくなる。

フラエッテ姐さんも言いづらそうにしているが‥

 

この人もこの人で色々と背負うものがあったんだろうね。3000年も生きてりゃあアンニュイになる日もあるだろう。私はそんな姿を見たAZにゃんについ声をかけた。

 

 

「よければ一献どうです?AZさん」

 

 

私はテーブルの上に置かれてるお酒を持ち上げてAZにゃんに飲もうぜ発言をするとAZにゃんはポカンとするとそのまま下を向いてしまう。

 

やべえ!下戸だったか?じゃあキャラメルチョコホイップフラペチーノとかワビ組特製マカロンとかの方が良かったか?くそ!失敗したぜ!

 

 

「‥そうだなご同伴に預かろうか。」

 

「キュルル」

 

 

下を向いたAZにゃんだったが私の方を見て優しい笑みを浮かべると私の正面の椅子に座る。

反応からして下戸では無いようでよかったぜ

てかプレッシャー半端ないすわ強面すぎるってこの人

 

フラエッテも気を利かせて出て行ってくれたし、男同士で楽しくやれよという事か

なんと言う姉さん女房!さすがっす!

 

私はお猪口をもう一つ取り出すとそこに酒を注ぎ、AZにゃんに渡す。AZにゃんは物珍しそうにお猪口を見た後に私のお猪口と乾杯をかわして酒を口に運んだ

 

 

「これはジョウト酒だな?なるほど口当たりが良く飲みやすい‥老体にこの味は染み渡るな」

 

 

今飲んでいるお酒はジョウト酒と呼ばれるお酒で前世で言う日本酒に近い。水や米から作る伝統的な酒で今や海外地方にも愛好家は多い。

 

このジョウト酒はワビ組の力で手に入れた最高級のお酒の一つだ。だから悪酔いはしにくいだろう。

あのクソデカアンティーク調のトランクには色々と詰め込んできたからな!持ってきて正解だったぜ!

 

 

「ええ、酒はジョウト酒が一番美味い。肌にしみた水から作ったものを超える酒を私は知りませんので

かつて育った地での酒だからでしょうかね‥」

 

 

前世でも酒は嗜んでいたが、私は日本酒が一番好きだった。ジョウト酒は日本酒ととても造りが似ていて懐かしく感じたのだ。

かつて育った地こと前世の記憶はもうかなり薄れていたがこの味は忘れない。私は遠くを見る様に情景に浸っていた。

 

 

「‥‥ジョウトは良い所だな。君はカントーから来たのだろう?ミアレはどうだ?気候も文化もかなり違うが慣れたかな?」

 

 

私の事を案じる様に口を開いたAZにゃんの優しさはまさに孫を心配するおじいちゃんそのもの。

フラエッテを探す事に囚われた男の目つきでは無く、純粋に人を思いやるAZにゃんに目頭が熱くなりそうだった。

 

 

 

「ええ、おかげ様で慣れましたよ。住めば都とはよく言った物です。ホテルZの皆のお陰でもありますよ」

 

「そうか、MZ団の子たちと仲良くやっている様で安心したぞ」

 

「MZ団‥?」

 

 

私は思わず聞き返した。そう言えばヌーヴォカフェに行った時にマスカットの野郎が言っていたが、やはり何かの組織なのだろう。団と付くと悪の組織を連想するが嫌な組織でない事を願いたいね。

 

 

「ん?聞いてないのか?ミアレを守る事を名目に活動している者たちでな、メンバーは君も知っているホテルZの3人の住人、リーダーはタウニーだ」

 

 

へえー自警団的な奴ってことか?

それに3人‥ピュール君も入れたホテルZの面々か!そう言えばデウロちゃんとピュール君の服の刺繍にMZの刺繍があったがそう言う事ね!

 

普段はホテルZの従業員として勤め、有事があった際はミアレを守るMZ団として活動すると‥

 

つまりミアレ華撃団‥ってこと!?かっけええ!

じゃあ変身とかするんか?男のロマンじゃん!

AZさんが実は総司令官的な?

 

 

‥っていや、それはいけないのでは?カタギの子供にやらせる事じゃなくね?

そう言うのはワビ組みたいなスジモンの仕事で、子供がやるには荷が重いってばよ

 

‥と言いたいが私よそモンだし、これはカントーの価値観でミアレの価値観とは違うかもだしなぁ‥

価値観の押し付けは良くないと思うがそれだけミアレがイカれてるって事か!(極論)

 

 

「なるほど、MZ団か‥ですがあの子達に任せるのは荷が重いのでは?」

 

「‥そうかもしれん。だがわたしも歳でな。若者に任せるしかないのだ。わたしが蒔いた種に巻き込んでしまう形になるが‥」

 

 

AZにゃんが申し訳なさそうに話してくるが、AZにゃんが蒔いた種だと?

それって最終兵器の奴と関係ある感じなんすかね?私はAZにゃんにそれっぽく聞いてみた。

 

 

「それは3000年生きていたという事に関わりが?」

 

「‥知っていたか。わたしは3000年前に大きな過ちを犯した。そしてそれは正に禍根を残したと言えるものなのだ‥」

 

 

結構驚いた顔をしているが、まあそうよね。3000年生きてるって普通じゃ信じませんよね。前世の知識無いと誰も信じないと思う。

てか3000年ってやっぱ途方もないっすわ。

 

 

「‥3000年か‥途方も無い年月だ。私には想像がつきませんよ」

 

「‥‥」

 

 

私は思わず口に出してしまった。AZにゃんも押し黙る感じになるが、3000年か‥

超極論だけど前世で言えば粘土板作っていた時代からスマホが普及するまで生きていたって事でしょ?

 

改めて途方も無い話っすわ‥私だったら発狂するね。それだけフラエッテ姐さんを求めていたという事か

愛が成せる技と言えるのかな‥飲まなきゃやってられんわな。酒!飲まずにはいられないッ!

 

‥ん?てか、そろそろお猪口の中の酒が無くなりそうだな。

酒を注ぎたいが暗くて見ずらいな‥仕方ない。

ちょっと胸元を探って‥あったあった!懐中電灯代わりのレシラムの羽根!

 

お守り以外にも夜中トイレ行く時大事な必需品だぜ!(超雑な使い方)

しかし、電気使わずとも明るいとかこの羽根凄すぎんだろ!

私は羽を懐から取り出すと眩い光に目の前が包まれるうおまぶし!

 

 

 

「その光り輝く白い羽根‥イッシュ地方の神話に登場する白き真実(レシラム)の羽根か?」

 

 

私が取り出した羽根を見て驚愕しながらも口を開いたAZにゃん。やっぱ3000年も生きていれば知ってるよね。

私はAZにゃんに羽根を渡すとその光を懐かしい物を見るような目で観察する。

 

 

「ええ、私の同志にしてその友の相棒でした。彼とはバトルしましたが強敵でしたよ。全く歯が立ちませんでした」

 

「なんと‥レシラムと激闘を繰り広げたというのか‥!つまり君はレシラムに認められたと‥」

 

 

いえ違います。ボロ負けですよ。

伝説に勝てる訳ねえだろうがぁあ!あれはNから餞別として頂いた物なので敢闘賞的な奴ですはい。

 

 

「もしやタワーを鎮める英雄とはこの者なのか‥?」

 

 

眩しさにやられたのか目元を手で覆い尽くしたAZにゃんが小声で呟く事に申し訳なさを感じた私はレシラムの羽根を受け取り懐にしまう。すんませんでした。

 

なんかタワーがどうとか言っている様に聞こえたが、眩しさのあまりタワーが見れない事についてのぼやきなのだろう。本当にすまんな

 

しかしタワーか‥

あのタワーを見てずっと思っていた事があるんだよね私はじっとタワーを見つめながら一口酒を飲む。

 

 

「タワー‥か、あの地に眠るのは負の象徴と言えるのか‥」

 

 

タワーと聞いて私は一人零すように呟く。

プリズムタワーって何かに似ているなって思っていたらあれですよ

呪われし爆破の象徴‥つまりはミレニアムなタワー!

 

この世界線のゲームだとおそらくあれがラストダンジョンになるっしょ?

タワーの頂上に黒幕がいてヤクザ脱ぎしてイクゾーキリュー!

するに違いない。

 

おそらくあの塔はかつてミアレバブルで犠牲になった一人の男の墓標でもある。そして私の名はタチバナ‥

なんてこった!私が死ぬことが確定してるじゃないか

これは負の象徴ですね‥間違いない。

 

 

「!知っているのかタチバナよ‥」

 

 

AZにゃんが顔色を変えて口を開く事からやはりあのタワーはただのタワーじゃなかったんだ!

私は饒舌に語りながらAZにゃんを見る。

 

 

「ええ、私には分かります。あの地に眠る長きに渡る因縁が‥それは正に呪いと言うべきものか」

 

 

ああ、わかるってばよ。

ミレニアムなる忌まわしきプリズムタワー‥それはある男の墓標であり、いつも爆破されたり、最終決戦の地になる因縁を引き寄せる呪物に近いものだ。

つまりそれは呪いと言える。

 

 

「‥そうだ。あの地に眠る願いという思いは長い時を経て今や呪いになっていると見ていいのかもしれぬ」

 

 

AZにゃんも肯定している事から、やはりあそこは呪われた地なんだ!シズマレ‥シズマレ‥!

 

 

「タワーの暴走を止める者‥いわば己の身を投じる英雄の伝説を継ぐものか‥」

 

 

AZにゃんがちらっとこちらを見ているが‥

今何つった?暴走!?あのタワー自体に呪いがあると言うのか‥?さすがはミレニアムだぜ‥!

カイリューが如くのタチバナはカラの一坪で眠る事になるが、同名の私がそんな目にあってたまるかぁ!!

 

私はAZにゃんの眼を見ると真剣な表情で訴えた。

 

 

「それは私ではありませんよ(タワーの犠牲になるのは)この先必ず現れるでしょうね(身代わり候補)」

 

 

あのタワーの犠牲になるのはゴメンだぜ!

いくらAZにゃんでも言っていい事と悪い事があるぜ縁起でもない。そう言うのは別の人柱を用意しようぜ!ピッピにんぎょうを埴輪(はにわ)代わりにな!

 

 

「タチバナ‥それでは一体誰が‥?」

 

 

それはまだ語るべきでは無い。と適当にいなして話を逸らそう。そんな事は後!今は酒を飲んで忘れましょうや!

 

 

「少なくともここで悩んでも何もなりません。それは後の人が知るべき事だと思います。今はそうとしか言いようがないもので‥」

 

「‥そうか、それもそうだな。わたしは焦り過ぎたのかもしれないな」

 

 

私がそう口にすると落ち着きを取り戻したのか再びお猪口に口をつけるAZにゃん。

そうだよ。今は酒を飲もうぜ!もっと楽しい話が聞きたいんですよこっちは!

私はAZにゃんに話を振り楽しい時間にしようとした

 

 

「話は変わりますが‥さっきの口ぶりからしてAZさんは世界を回ったのでしょう?どこを回ったんです?」

 

 

「‥うむ、各地を回ったものだ。カントー、ジョウト、アローラ、ヒスイ‥いや今はシンオウか、ホウエン、パルデア、オーレ、フィオレ、アルミア、オブリビア、イッシュにガラル‥特にガラルに行った時は驚いたものだ。空を黒く覆い尽くしたあの出来事は特にな」

 

 

まじで!?知らん地方もあるが、ほぼ全て行った感じかー!さすがは3000歳だぜ!

てかガラルのそれって剣盾のあれじゃない?私はついAZにゃんにその事を聞き返した。

 

 

「!それってまさかブラックナイト‥!?AZさんは見ていたのですか?」

 

 

「ああ、後の世ではそう呼ばれるものだな。あの時はわたしも危機を感じたものだ。‥特に━━」

 

 

まじかよ!!すげえー!

もっと聞かせてちょうだいよ!あなたの思い出話をヨォ!

 

とまあこんな感じでAZにゃんと晩酌しながら最高の夜を共にしたぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

side タウニー&デウロ

 

 

 

「なんだか楽しそうに話してるねぇAZさん」

 

 

ホテルZの屋上に二人の男が酒を酌み交わしている。

夜風に当たる二人を淡い月光が照らし出し、照らされた二人の姿は小さな星として輝いている様に見える。

 

そんな二人を屋上出入り扉の隙間から見守るように覗き込む3つの小さき影。

一つ目の影の主のデウロは微笑みながら呟いた。

 

 

「うん。タチバナさんもあんなに楽しそうに話してて大人の会話って言うのかな?お酒を酌み交わして落ち着く姿は理想の人たちって感じだし!」

「キュルル♪」

 

 

デウロの言葉に反応する様に言葉を紡ぐのはタウニーとAZが愛するポケモンフラエッテだ。

タウニーが腕を組み、和かな笑顔を浮かべるとその横でくるりと回転して肯定の意志を示すフラエッテ。この場にいる三者の影は確かにあの二人を捉えていた。

 

 

「邪魔しちゃ悪いよね。男の人同士積もる話とかあるだろうし」

 

 

タウニーが零す様に呟いたその言葉に頷くデウロとフラエッテ。三者は屋上にて酒を酌み交わす二人の男の姿を眼に捉えてその動きを見ていたのだ。

 

一人はホテルZのオーナーAZ。

そしてもう一人は観光でミアレを訪れた宿泊客のタチバナだ。

 

テーブルに置かれたジョウト酒をお猪口に入れて互いに酒を酌み交わしながら会話に花を咲かせていた二人の姿はまるで往年の友との再会を喜び、昔を懐かしむ様な美しき光景である。

 

月光に照らされる二人の姿は普段目にする事の無い大人としての影の一面。

隠れた秘密を知った一人の少女はその姿に見惚れていた。

 

 

「かっこいいな‥わたしもあんな大人になりたいのかも‥」

 

 

かき消されるようなその思いを吐き出すように呟くデウロの眼はタチバナを確かに捉え頬が朱色に紅潮していく。

 

デウロはタチバナに強く惹かれていた。

大人として余裕ある態度を崩さず年頃の悩みを彼は優しく包み込んでくれた事に加えて、子供やポケモンにも優しく接するその姿に気が付けば彼を目で追ってしまう程に魅了されていた。

 

デウロが一心に見つめるその姿を見たタウニーは口角を上げて彼女を揺さぶる一言を発した。

 

 

「デウロはタチバナさんの事が大好きなんだね」

 

「え!?あ‥そ、その‥なんて言うか‥」

 

 

タウニーが放ったその一言を耳にしたデウロは彼女に振り向くと薄く染まった朱色の頬の熱が増していく様な錯覚を覚える。

 

今彼に抱いているこの強き想いを彼女に知られずに、どう説明するべきかと口籠るデウロの気持ちを更に強く揺さぶる様にタウニーも言葉を紡いだ。

 

 

「あたしも好きだし!」

 

 

「‥!」

 

 

満面の笑みから放たれるその一言はデウロの心を大きく掻き乱した。彼に想いを寄せていたのはデウロだけではなかったのだ。

その事実にデウロの頬の熱は急激に冷やされ、胸の高まりは別の緊張へと移り変わった。

 

 

「!う、うそ‥!そんな‥」

 

 

デウロがタウニーに抱く思いは感謝と親愛。

ホテルZを紹介し、住む場所を提供してくれた事や夢を否定せずに応援してくれた彼女に抱いたその感情がもしかしたらここで崩れ去るのかもしれない。

 

デウロはその事を覚悟して彼女の眼を捉えるが、タウニーはそれに気付かず、尚も笑みを浮かべて言葉を紡ぎ続ける。

 

 

「ピュールもフラエッテもAZさんも皆タチバナさんが大好きだし!ミアレの事を好きになってくれて嬉しいし!」

「キュルー♪」

 

 

しかし彼女の発する言葉から感じ取れるのは純粋な敬意の表れと人としてタチバナを好意的に見ているが故の発言であったのだ。

現にピュールやAZの名を出す辺り、異性としての好意では無いと判断したデウロは息を撫で下ろすと喜びの声を上げるタウニーとフラエッテを静かに見つめた

 

 

「‥あ、そっちか‥よかった

 

 

デウロが安心した様に息を吐き、胸の前に両手をおく仕草を見たタウニーは先程から突然口篭ったり、急に落ち着いたりするデウロの様子に首を傾げるも気のせいかと気持ちを入れ替えて彼女に言葉を紡いだ。

 

 

「?変なデウロ。でもあの人は一体何者なんだろうね?探し人の事とかもマチエールさんに話していないみたいだし、ZAロワイヤルの願いについても自分勝手な思いだみたいな事を言ってたけど、そんなの気にする事ないのにね」

 

 

タウニーの純粋な疑問は未だ謎のままだ。ヌーヴォカフェでの一件以来彼についての謎は深まるばかり

 

探し人を求めてミアレを訪れたのにマチエールにその件を依頼しない事やミアレの街やマチエールを見て懐かしむ様子からしてマチエールの知り合いとも取れたが、当のマチエールは彼の事を知りもしなかったのだ

 

そして極め付けは彼の願いにして本気で叶えたい思いを抱いているにも関わらずZAロワイヤルに不参加を表明したことである。

 

つまり彼の夢や願いの規模はクエーサー社でも叶えられない程の壮大なものではないのかと思う程に

 

デウロとタウニーはしばらく無言になり考え込むが、二人が一番気になるのは彼の探し人についてだ。デウロが唸る様に考え込んでいる中不意に言葉を洩らす。

 

 

「そういえば初めて会った時零してたよね。女性がどうとか‥もしかして‥恋人‥!?」

 

 

デウロは自身が口にしたその言葉が脳内に響くと肩を落とす様にその気持ちが嫌な方向へと転舵して行くのを感じた。

 

タチバナはデウロ以外にも女性と話す事が多く、ポケモンセンターのジョーイさんやカフェの女性店員と手慣れた様子で会話している為、女性の扱いが上手である。その事から彼に恋人がいない訳がない

 

実はミアレシティに恋人がおり、その恋人が探し人なのでは無いかとデウロは思っていたがタウニーは冷静にその仮説に突っ込んでいく。

 

 

「いやそれならマチエールさんに依頼するだろうし、違うと思うな。恋人がいるなら隠さなくて良いはず‥それならどんな事情なのかな‥?」

 

 

「そうだよね!うんタウニーもそう思うよねぇ‥!」

 

 

タウニーが冷静に確信づいた推察をタウニーに話すと表情を明るくするデウロ。

思慕の念を抱く彼に恋人がいないと知った事に喜びの思いを吐露するがタウニーはデウロの様子がおかしい事を本気で気にかけているのか、彼女の肩に手を置き諭す様に声をかけた。

 

 

「?デウロ風邪でもひいた?頬がちょっと赤いよ‥?夜風に当たりすぎるのは良くないしもう休んだら?明日もレッスンなんでしょ?」

「キュルール」

 

 

タウニーが見当違いな気遣いを見せるが、彼女の事を本気で心配している目つきから下手に否定をするとかえって彼女を心配させるだろう。そう判断したデウロは柔らかな笑みを浮かべタウニーに向き合い言葉を発した。

 

 

「‥‥そうだね。レッスンもあるしあたしは先に休もうかな。おやすみタウニー、フラエッテ」

 

「うんおやすみ!」

「キュルルー!」

 

 

デウロがエレベーターに乗り下に降りるまで手を振って見送るタウニー。

タウニーとフラエッテは再び扉の先を覗き込むとまだまだ会話に花を咲かせるAZとタチバナの姿があった

 

 

「あたし達も戻ろっか?フラエッテ!」

「キュルルー!」

 

 

フラエッテが満面の笑みを浮かべてタウニーに返事をすると彼女の肩に乗り、エレベーターでそのまま下の階へと降りていった。

 

AZがあそこまで笑みを浮かべていた事にフラエッテは内心嬉しく思っていた。二人の年齢は違うが志を共にした魂の盟友とも呼ぶべき関係を持てるのは最大の喜びであると。

 

ホテルZの一人の宿泊客は皆にとって大事な隣人になっていたのだ。

 

 

 

後にホテルZを訪れる一人の若き観光客がミアレを灯す英雄となるがその人物との邂逅も近づきつつある。

 

 

 

 

 

‥‥‥

‥‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

side AZ

 

 

 

 

(英雄の伝説を継ぐもの‥か わたしの目から見て最も英雄の器に近いのはタチバナだと思っていたが、違った様だ)

 

 

ホテルZの屋上にてタチバナと晩酌を終えたAZは一人自室にて思考に耽る。

それは晩酌相手となったタチバナについて。

 

AZは彼をプリズムタワーから溢れ出るメガエネルギーを抑え込む英雄の伝説を継ぐものとして評価していたが彼がそれを強く否定したのだ。

 

 

白き真実(レシラム)に認められた存在であるならば英雄として間違い無い。そしてタワー‥アンジュの事も見抜くあの慧眼‥やはりただ者では無い)

 

 

白き真実のレシラム。イッシュ地方に伝わる神話のポケモンにして伝説のポケモンだ。そのポケモンに認められる事は即ち英雄を意味する。

 

そしてAZがカロスを守る為にタワーに組み込んだアンジュの力を見抜くあの慧眼は正に英雄として高い実力を示していたのだ。

 

だが彼はその様な実力を持っているにも関わらず、英雄である事を望まなかった。まるで他にも相応しい英雄がこの街を訪れる事を予期するかの様に

 

 

(まさか君は‥英雄の導き手となり、新たな伝説を継ぐものに意志を託そうと言うのか?だから及び腰とも言える発言を‥)

 

 

彼は次代の英雄にその意志を託そうとしている。

ミアレに訪れたのはその意志を持つ者が現れる事を知っているかの様な発言であった。

AZは再び彼の発言やその眼を思い返すと一つの結論に行きつこうとしていた。

 

 

(もはやあれは慧眼では無い‥どこか遠くを見つめるあの眼‥まさか未来を知っているとでも言うのか?

わたしの3000年の話を初見で当然の如く受け止める者などいない。だがそれを最初から知っている者ならば‥!)

 

 

それは彼が未来視の持ち主である事だ。先を見据えた発言から彼は未来が視えているのだろう。

だからこそ彼はAZの事を見抜いたのだ。

 

AZが3000年生きていた事を初見で信じる者はおらずMZ団のメンバーも冗談として捉えている。

しかし彼はAZの3000年の歩みを冗談として受け取らず、彼の贖罪による苦しみや痛みをわかり合おうとしていたのだ。それこそが未来視たる彼の能力。

 

だがそれだけでは説明が付かない。AZは更に思考を深めて彼の正体に近づこうとする。

 

 

(しかしあの眼‥まるでこの世の者では無いかのような目に見えたが‥まさか世界の観測者‥所謂太古の調停者か?)

 

 

いくら未来視が強いとは言え、AZの過去の苦悩を知るのは未来視とは別の能力である。

そこでAZが導き出した答えは世界を危機から救う観測者が彼の正体なのではないかという事だ。

 

世界には秩序を保つポケモンが幾多か存在する。

天空の調停者レックウザ

秩序を司る評定者ジガルデが代表的と言えるだろう。

世界の危機に瀕した時に現れる守護者達

 

それよりも遥か古の有史から存在する太古の調停者が彼なのではないかとする説だ

 

あの目つきはこの世界を見る眼では無かった。どこか遠くの世界を見ているかの様な不思議な眼。

3000年生きたAZも初めて目にする独特のあの目線は確かに常人ではない。AZの理解を超えた存在であるのならばそれも納得できるものであった。

 

だがそれでも違和感は大いに残る。

太古の調停者であるならばホテルZに深入りする必要がない。中立というべき存在がここまで肩入れするのは不自然この上ないからだ。

 

つまりこの説は正解とは言えない部分がある。

考えに行き詰まるAZだが呼吸を整えて気持ちを整理する。このまま結論を早める事に意味が無いと考えたからだ。

 

 

(いや、それを考えるのは後にするべきだな‥

MZ団のみんなと仲良くしてくれた事といい、わたしを気遣ってくれたあの優しさこそ彼の強さでもあるのかもな‥わたしはそんな君を友と思いたい)

 

 

もし彼が英雄でなくても、太古の調停者で無くてもこの気持ちに変わりは無い。

彼のありのままとしての優しさがAZの気持ちを動かしたのもまた事実である。

 

AZは久しく楽しいひと時を過ごせた事に歓喜の感情を抱いていた。

 

 

 

 

 

また友として残り少ない命を共に過ごせるこの時間と彼に最大限の感謝を込めて新しく今日を生きるのだ。

 

 

 

 

 

 

 





主人公(タチバナ)‥タワーの犠牲になると勘違いした人。酒はそこそこ強い方だが飲みの強制はしないのでAZが下戸だったらお菓子会になった。
成人した大人のお姉さんや年上が大好きなので10代は眼中に無しだがその年下から結構モテる。
本人はカタギと付き合う気はないし、好みでは無いので全員お断りし多くの少女を泣かせたすけこまし野郎



AZ‥久しく楽しい話ができてご満悦。タチバナをジガルデやレックウザの祖的な存在であると言うガチヤバ説を提唱したが、なんかそれだと違和感ありまくりだしなぁと審議中。もしかして考え過ぎか?と今は頭を冷やし撤回も考えているとか。さすが3000歳


フラエッテ‥愛する旦那が久しぶりに笑顔を浮かべてて微笑ましく思った。友になってくれたタチバナには感謝しかない。

デウロ‥大人の余裕がある。聞き上手、話が合う。さりげない気配りと心配りがある。女心に理解がある。ミステリアスさがある。料理上手、強面なのに子供やポケモンに優しいギャップ、困ったら助けてくれるが評価ポイント。
タチバナ本人は年下の女性に下心が無いのもポイントが高い。果たしてこの想いは届くのか?
ちなみに過去一早くタチバナに好意を抱いた。つまりちょろインです。


タウニー‥デウロの恋心に気づかない純真悪く言えば鈍感クソボケやらかしリーダー。
一応街で人助けをしている関係で人気があり、男女問わず好意を抱かれるが気づかない程のクソボケ。
まあそれどころじゃないって言うのもあるけどね。タチバナは好きだが恋愛的な好きでは無く尊敬的な意味での方が大きい。


レシラムの羽根について詳しく知りたい方はその筋の者(スジモン)と白き真実と仮初の英雄をご一読ください。読むのが面倒な方は後書きをご覧になればわかるかと!
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総合評価:12468/評価:8.65/連載:19話/更新日時:2026年03月02日(月) 12:05 小説情報

ミステリアスな糸目キャラに憧れたら如何にも怪しすぎる不審者になった(作者:あーあ=あ)(原作:ポケットモンスター)

糸目キャラになった転生者がミステリアス系キャラを目指したらあからさまにラスボス張りそうな怪し過ぎるキャラに…▼モチベがないので更新不定期です


総合評価:5746/評価:8.19/短編:10話/更新日時:2026年06月18日(木) 04:13 小説情報

ポケモントレーナーの日常?(作者:ポケモン全般(今はas)やってる人)(原作:ポケットモンスター)

ポケモンの世界に生まれた転生者が旅に出る話▼(世界線がゲームかアニポケかも分からないしエンジョイクソボケなので何をやらかすか分からない)▼アニポケ時空になりました。▼タグは随時追加予定です。▼アンケを投げています。▼基本最速10票を採用していますが見逃しなどあり複数が10票越えしていた場合は1番多い票数の案を採用する予定です。よろしければ適当でもええのでポチ…


総合評価:4766/評価:8.57/連載:12話/更新日時:2026年06月25日(木) 04:20 小説情報

サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!!(作者:DestinyImpulse)(原作:ポケットモンスター)

▼ 転生したのはオリ主でもモブでもなく紛れもなく主人公。▼ 定期的に世界を救わなくてはならない大役を背負いながらも、ポケモンとの出会いと冒険に胸を躍らせる。▼ ▼「通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ!ピカチュウ、君に決めた!!」▼「ピカチュウ!!」▼ コレはアニポケ主人公のサトシに転生した少年が、時にポケモンと絆を深め、時に女の子とのフラグを作り、…


総合評価:7732/評価:8.62/連載:60話/更新日時:2026年07月03日(金) 19:35 小説情報

幼馴染にフラれたので旅に出ることにした(作者:イグアナ)(原作:ポケットモンスター)

ポケモンバトルが強い人が好きという幼馴染(オリキャラ)に振り向いてもらうために何年も死ぬほど特訓したけど、その幼馴染が強すぎてポケモンバトルに一度も勝てずに振られてしまったので、すっぱりと諦めた後に旅に出ることにしたお話。▼なお振り向いてもらうために特訓しすぎてとんでもなく強くなっているが、本人にその自覚はない模様。▼※追記1▼何故かこの作品の三次創作を書い…


総合評価:45014/評価:8.83/連載:119話/更新日時:2026年07月08日(水) 00:17 小説情報


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