ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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暑さにやられておりました‥
遅くなり申し訳ないです。



その筋の者(スジモン)と力こそジャスティスの少女

 

 

 

突然だがミアレで1番のカフェはどこか?

これは答えに迷う問題だ

明確な答えは人それぞれである為私の主観になるのだが、それに必要な条件は主に3つ。

 

・お手頃価格

・優しい店員さん

・大人のお姉さん(一番重要)

 

これらが当て嵌まるものこそ1番のカフェと言える。

そして今その第一候補と呼ぶべき所に来ている。

めちゃくちゃ迷いに迷ったが、ここが今の所ベスト!

という事で正解は〜??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、タチバナのダンナじゃねえか 今日も観光巡りかい?」

 

「ええ、色々とカフェ巡りをね」

 

 

ジャーン!ヌーヴォカフェですね

お手頃価格!店員さんが優しい!(個性的)

美しい大人のお姉さん!(スジモン口調)が揃った素晴らしいお店だ。拍手ー!

 

どう見てもヤカラにしか見えない口調だがこう見えてもヌーヴォカフェ1号店の看板娘さん。

 

見た目はガチ美人で、他にあるヌーヴォカフェ2号店や3号店よりもここが美味いしこの娘が私的に1番の美女であるので遠くてもここに来る事が多いっす。

他にも巡ってない所があれば行きたいわね

 

 

「そうか!楽しんでくれてあたし達も嬉しいよ。それじゃあ注文はいつものでいいね?」

 

 

めっちゃいい笑顔で歓迎してくれて嬉しい。

接客は素晴らしい!口調がアレなのは人を選ぶと思うが‥

 

とまあ、なんだかんだ行きつけのお店なので常連になり何故かダンナ呼びになった。色々と話していたら仲良くなったがその呼び方は慣れないっすね‥

 

 

 

「ええ、いつものだいもんじローストとクロワッサンを一つお願いしたい」

 

「あいよ!先に席で待ってな」

 

 

今日も繁盛している様で何よりですわー!

私は会計を済ませて席を探すと奥にある席に腰掛けた

 

ここのコーヒーとクロワッサンマジ上手い。紹介してくれたデウロちゃんには感謝や。ヒンナヒンナ

お礼に今度高級カフェ奢るか

私が誘うとめちゃくちゃ喜んでくれるが、私に付き合わせるのも悪い気がするのよね。こんなスジモンに優しくしてくれてまじ感謝や。

 

そして私はマスターに軽く会釈すると手を振って挨拶してくれた、優しいね。

 

この前スピアーとクロワッサン食べてたら、隣にいたリザードンの顔が青ざめると言う珍事にも遭遇した為、この店でスピアーを出すのを控えている。

虫アレルギーかな?相性有利なのに虫がダメなのか‥(困惑)

 

まあ、店を出禁にされないだけありがたいね

 

ちなみにカイロスと何軒か他のカフェ巡ってたら出禁食らいました(5件)1週間分のクロワッサンやらミアレガレットを食い尽くす光景はまさにアクジキング

 

オヤブン顔負けの個体だからか妙に恐れられる‥仕方ないね カタギの皆さんすみません。その分金は多めに払ったからいつか出禁解除して欲しいっすね

組の金だから私には痛手なし。

 

浪費しまくれば組の経済が傾きワビ組も潰れて私カタギに復帰できるのでは?

‥いや恨み買って私が殺されるな。やっぱりスジモンからは逃れられない運命にあるのか‥(諦め)

 

 

 

「あいよ!オーダーの品だよダンナ。

おかわりはあるからいくらでも注文してくれよな!」

 

「ありがとう。美味しく頂くよ」

 

 

席で寛ぎプリズムタワーに目をやっていた時に看板娘さんがオーダーした品を私の前に置いて笑顔を浮かべた助かる

 

さぁてとコーヒータイムと行こうじゃねえか

ここのだいもんじローストは正に苦味の極みと言うべき極上の美味さでクセになる。正にカフェイン中毒、合法ドラッグですなぁー 

 

早速キメるとするか‥私は一度顔を上げたが、目の前の席に座る一人の少女を目にするとピタッと動きを止めた。それを見た看板娘さんは疑問符を浮かべながら私に話しかける。

 

 

「ん?ダンナどうしたんだ?」

 

 

「いえ、あの子‥」

 

 

私は少し離れた席に座った少女を指差した。

黒いワンピースの上に白い羽織っぽいものを着た頭にシャンデラっぽい帽子を被った黒髪ボブカットな儚げな感じの美少女で将来が楽しみの子である。

 

 

 

「ん?ああ常連さんの一人だな、いつもはもう一人のお友達と来る事が多いが今日はいないな、こりゃあまた珍しい」

 

 

解説感謝の極み。

実は私もこの子を知っているんですよ。

ヌーヴォカフェに来るとフード被ったチャラいファッションの女の子と楽しく話してるのを目にするが何度か、かなりいぃ‥♡見たいな事を呟いて目をハートにしていたのでその子にゾッコンなのは間違いない

 

しかし今日は一人‥しかも普段と違い目が死んでいるのだ。まるでこの世の全てに絶望したかの様なあの表情は失恋‥?いや違う、あの目の死にぷっりは社畜の目だ

おそらく仕事のストレスが思いの外ヤバいのだろう。

可哀想に‥社会の辛さを知ったか

 

この子が辛い目にあった事を知ったらお友達の女の子‥いや想い人の子も悲しむに違いない。

何かこの子の助けになる事はできないのか‥

 

私は少し考え込むと看板娘さんに話しかけると看板娘さんはこっちに振り向き耳を傾けた。

 

 

「実はお願いしたい事があるんだかいいかな?‥実は‥━━」

 

 

 

 

 

小声で看板娘さんに事情やらを伝えて用意して欲しい物を伝えた私は看板娘さんの手にコインを握らせた。

 

私のアイデアを聞いた看板娘さんは笑顔を浮かべると私の肩に手を置き任せな!と言った感じで力強くサムズアップした。頼りになるぜ!

 

 

「お、いいなそれ!よくドラマとかで見るやつだな?面白そうだし協力してやるよ。ダンナも物好きだな!」

 

「ありがとう。お願いするよ」

 

「ああ!ダンナの心遣い彼女に伝わる様にするぜ」

 

 

そう言って看板娘さんはキッチンカーまで戻ってマスターにある物を用意させるとそれを一人席に座るシャンデラ帽子少女まで持っていく。

 

とまあ、私が看板娘さんに依頼したのはちょっとしたドリンクの提供だ。代金は私持ち。

こう言うストレスがやばい時は糖分を摂るに限る。

 

本当は私が相談に乗ってあげてもいいのだがこんなスジモンがいきなり話しかけてきたら怖がるし嫌だろ!

だからせめて何か飲み物的な奴を送って労いたいという完全な私のお節介の押し売りである。

 

少しでも彼女の元気が出るような飲み物を送りたかったので看板娘さんに相談してオーダーを任せたんですね

 

看板娘さんは私が頼むメニューも覚えている為、常連少女の好みも把握している筈‥それ故彼女にお願いしたのだ。

 

ドラマでよく見る奴って言うのはおそらく「隣のお客様からです」とBARでグラスをシャーッ!ってカウンターを滑らせるアレを連想したのだろう。

 

私が言った事はそんな高尚なものではない押し付けなのでね、迷惑がられるかも知らないが女の子の悲しい顔を見たくないの。

 

 

「‥‥」

 

 

 

少女は看板娘さんからドリンクを受け取ると目をキョトンとしているが無理もない。こんなスジモン野郎から受け取ったドリンクを警戒しているのだろう。

 

 

 

看板娘さんがシャンデラ帽子少女と話している間に私は退席した。スジーモンワゴンはクールに去るぜ

 

少女になんだあのスジモン‥と悪態吐かれる前に帰るわ。少女とはいえ女性に言われるのは傷つくのでね

サラダバー!

 

 

 

 

 

そしてある程度ヌーヴォカフェから離れた私はそこで立ち止まりボールを取り出した。

折角だし相棒のスピアーと共に街中を散歩するか

 

適当に近くの公園とかで今日はゆっくりして‥大人のお姉さんとお話ししよっと!

 

るんるんと歩を進めるが‥やっぱりまだ見られてる気がするなぁ‥

まだストーキングしている凶暴メガシンカポケモン達がいるのか‥勘弁してほしい

 

お礼参りとかスジモン思考しかおらんのか‥(絶望)

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥

‥‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥とまあストーカーから逃げつつ、スピアーと楽しく遊んでいたのだが今あるポケモン達に絡まれている。ちなみにそのストーカー野郎共ではない。誰かと言うと‥

 

 

 

 

 

 

 

「ゲンゲラゲー」

「ゲンゲラ」

 

「スピー!」

 

 

 

二体のゲンガーさんですね。

私とスピアーの前に現れたのだがこいつらは見覚えがあるな‥

確か何日か前に私がミアレ美術館に行く時に乗ったタクシーにイタズラを仕掛けたゲンガー達だよね?

 

ダンデさんの迷子スキルが発動したかと思ったら実はあの大騒動を引き起こした犯人がこやつらなんですよ

 

 

「この前は世話になったな?(皮肉)あれからどうだ?(悪さ)」

「スピ!」

 

「ゲン!」

「ゲンガ!」

 

 

 

反応からしてやっぱりあの時のゲンガーであった。

本当にカタギに迷惑かけてねえのかよ!この野郎!

 

ゲンガー達は、んな事してねえっすよ!勘弁してくださいよ!見たいなノリで否定しやがる。

おいおい本当か?ゴーストタイプみてえなイタズラ好きは嘘ついてる可能性が高いのよね。人狼苦手な私にそんな事見抜く力はないが

私は許そう‥だがこいつ(スピアー)が許すかな!?

 

どうします?スピアーの旦那ァ!

 

 

「スピッー!」

 

「ゲンゲーラ‥!」

「ゲンゲー」

 

 

 

 

判決ドリルライナー貫通の刑に処す。

スピアーがテメェら嘘ついてんじゃねえのかこの野郎!と言わんばかりに一喝するがそれ聞いて狼狽えるゲンガー達は見てて同情したくなるぜ

 

 

「ゲンゲ!」

「ゲンガー!」

 

 

ゲンガー達はスピアーに向かってめっちゃ謝っているが側から見たら私がゲンガーに土下座させている様に見える。

ご機嫌やさかい ドリルライナー二発で許したるわ

 

ここまで反省するのなら許してもええんちゃうかな?

だがなぁー カタギに迷惑かけてないといいけど

私はドスを効かせるように低い声でカッコつけてゲンガーに声をかけた。

 

 

 

「カタギに手を出してないのならいいさ、だがこっちの世界の流儀を忘れるなよ」

 

 

ここは人の世界だからね。

君たちが元いた野生のポケモン世界ではどうかわからないけど街にいる以上は人の生き方に順応して欲しいつまり人間だろうとポケモンだろうとカタギ泣かせちゃあかんのよ

わかったか!スジモン野郎!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲン!」

「ゲラゲラーゲンゲ!」

 

「スピー!」

 

 

 

「‥‥‥」

 

 

圧倒的無視 そんな事に何も言えずにいる私

‥これ絶対話聞いてないよね

 

返事はしているがスピアーの顔色を伺っている様だ。

目線が私じゃなくてスピアーの方にいってるからね

つまりこいつらの中では私ではなくスピアーが格上という事になるのか‥泣けるぜ

 

スピアーのスジモン振りには私も舌を巻くが私がこれ以上言っても意味ないかもしれん。辛いぜ

 

 

「ゲンゲン!」

「ゲンー!」

 

 

土下座しながら透過して地面に潜り込んでいくが、これは何?透け土下座?二体ともマジで青ざめた顔して潜っていくが‥あれ?気配が消えた。帰ったのか?

 

結構スピアーがドス効かせてたみたいだし、もうやらんだろう。

 

私はスピアーを労ってボールに戻しその場を去ろうとしたが背後から足音が聞こえて声をかけられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って」

 

 

「ん?君は‥?」

 

 

話しかけてきたのはさっきヌーヴォカフェにいたシャンデラ帽子少女。

結構カフェから離れたのだがここまで追ってくるとはやるじゃないか‥

 

私が驚く中シャンデラ帽子少女はゆっくりと口を動かす

 

 

「先ほどはホットミルクを提供してくれて感謝する

おかげで気持ちも落ち着いた。」

 

「何やら困った様子だったからね‥色々と溜め込んでいるのだろうかと思ったんだ」

 

 

あの焦燥というか死んだ顔‥まさに仕事を溜め込んだブラック企業戦士の顔つきだったからね。

あんな幼い顔して実は暗い過去を持っているという可能性がある。

 

私が彼女を労う様に声をかけると口をあんぐりと開けて驚きの表情を浮かべる。あらかわいい

君そんな顔できるんだ?

 

だが私の見透かした様な発言が彼女の警戒心を高めたのは確かな様で険しい表情を浮かべて私に質問した。

 

 

「‥!何故あたしの事情を知っている‥?」

 

 

「事情は知らない。だが醸し出すオーラ‥いや雰囲気からしてそう思っただけさ」

 

「‥‥」

 

 

少女は俯き考え込むと更に警戒を高めた。やべ

私また何か言っちゃいました?そう言いたくなるが、少女からすると見ず知らずのスジモン野郎にここまで言われたら怖がると思うんすよ。社畜である事を知られたくないだろうしね

 

 

「‥どうしてそこまでする?何が狙い?」

 

「私もあの店の常連でね。同じ常連だから困ったらお互い様という奴だ。余計な事をしたのなら謝るが‥それに‥」

 

「それに?」

 

「シャンデラ好きに悪い人はいない」

 

 

そうだシャンデラ好きに悪い奴はいない。

この子はおそらくかなりのシャンデラオタクや。こう言っておけば間違い無いだろう。

私の発言に目を開いて好奇の目を浮かべる少女は何か可愛がりたくなる程面白いね。

 

 

 

「!シャンデラ好き‥ あなたも?」

 

「ああ、かなり昔‥失礼、ちょっと前に世話になってね(バトルサブウェイ)色々と助けて貰ったんだ。それがきっかけかな」

 

 

「‥理解した。シャンデラ好き‥言わばゴーストタイプに理解があるのならば助けるのは道義である」

 

 

おっとついつい結構昔の記憶こと前世トークが出そうになるがすんでの所で言い直せてよかったぜ!危ない危ない‥

 

なるほど、この子はゴーストタイプ使いか。ここまで物分かりが良いのならさっきのゲンガー共とも仲良くやれるのでは?

私がそう思う中シャンデラ帽子少女は首を傾げながら私に質問してきた

 

 

 

「‥けどあたしが溜め込んでいる事を見抜く事の説明がまだ。初対面で見抜けるその観察力‥何者?」

 

 

「ただの経験談さ、裏の側にいるとそう言った者達を相手取るからな」

 

 

そうだ、スジモン世界だとストレス溜まったカタギを相手に商売する事がまあまああるのよね。ワビ組の場合はそんなカタギを死ぬまで使い倒すとかはせんよ

 

配信者やアイドル事業と言った芸能事業も展開しているのだが結果としてそんな方々の精神衛生を回復させる事にも繋がっているので、ある意味ストレス溜まったカタギも商売相手と言える。

だからそんな人たちにも楽しんでもらえる様な工夫も凝らす必要があるし、見抜く力が無いといけない。

だから死んだ目をした人はすぐ分かるぜ!

 

つまり、そう言った人たちがお金を落としてくれるのである意味相手取ると言ったほうがいいのだろう。

 

カタギは泣かせませんって

嬉し涙とかなら幾らでも流させてやるよオラァ!

泣き叫べ!(歓喜の歓声)

 

私が発言した意味を考えこむのか少女は髪を弄りながら黙り込んでしまった。

 

あ、やべ、やらかしたか?

 

 

「‥‥」

 

 

「‥いや忘れてくれ。今はただの観光客さ、そんな大層な者ではない‥それではな」

 

 

 

よし帰る、そしてこれ以上はやめよう。

下手な事は言わない方がいいからね

私がスジモンだってバレちゃう可能性が高まるのはマズイ!

 

ま、まあ‥マチエールじゃないからそんな直ぐには結びつかないだろ!多分厨二とかで拡大解釈している可能性もあると信じたい。

 

さぁてと行くとするか。言い訳する前に帰るのだ

 

 

 

 

 

 

 

‥まだ後ろからストーカーの気配がするね‥

いつになったら解放してくれるん???

もおお勘弁してよぉ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

side ムク

 

 

 

黒のワンピースの上に白い羽織を着こなす少女ムクは自身と似た服装をした着流し衣装の男性が立ち去る姿をただ見つめていた。

 

少女の眼に宿るのは驚きと好奇心。

ムクは先ほどの出来事を振り返る様に髪の毛を弄りながら思考に耽る。

 

 

(あの雰囲気只者ではない。静謐でありながらも強い意志‥あたしがさっきまで抱いていた強いストレスとは正反対の優しい意志)

 

 

 

彼女は強いストレスを抱えていた。

ムクが属するジャスティスの会はワイルドゾーン撤廃を謳い人間の強さを限界まで高める事を掲げた組織である。

その組織の代表にして彼女の兄シローは度々問題行動を引き起こしていた。

 

 

 

 

 

曰く

入門を嫌がる人間を無理やり勧誘したこと━

曰く

野生ポケモンの捕獲を試みるもそのボールが外れて建造物を損壊したことなど

 

あげればキリがないが、迷惑行為への苦情は後をたたずマネージャーでもある彼女がその処理を請け負っていたのだ。

 

 

(シローめ‥クレーム対応するあたしの身にもなれ。今回は骨が折れた いや、骨どころか魂も折れそうになった)

 

 

 

しかし今回の苦情はそれを上回る量であった。

市役所にまで呼び出され、反省文や対策書類の提出を指示され彼女のストレスは高まりつつあったのだ。

 

ヌーヴォカフェに来たのはそのストレス発散も兼ねての気分転換というものが大きい。

 

友人にして愛しの存在でもあるネットアイドルのカナリィと懇意にする場でもあったのだが、今回はカナリィの諸事情によりムクは一人でカフェの時間を過ごさなくてはならなくなった。

 

カナリィとの交流が心の癒しである彼女にとって絶望に等しいひと時であったその時彼女の元に届けられたのが特性ホットミルクであった。

 

ヌーヴォカフェの看板娘の女性から受け取ったホットミルクは彼女好みの優しい味付け。自身の好みを知る看板娘の優しさに溜め込んだストレスも溶けていく事を自覚したムクであったが、看板娘である彼女が発したのは驚きの言葉であった。

 

 

 

『あそこにいるタチバナのダンナに言われて用意しただけさ。かなり気にかけていたぜ?溜め込んだものをそのままにするのはよくないってな』

 

 

優しく諭す様な言葉であったが、タチバナという顔も知らないそれこそ見ず知らずの人間がこちらの事情を察してくれた事は嬉しく思うが同時に警戒心を抱いたムクは顔を俯かせる。

 

 

(あたしの溜め込んだストレス‥つまりは負の感情を初見で感じ取ったか。上手く隠していたつもりだけど‥不覚)

 

 

彼女は負の感情を表に出さない事に長けている。感情のままに動く兄とは違い、普段から感情を強く表には出さずどちらかと言えば口数も少ない彼女の心理をあの男は理解していた。これは彼が只者ではない何よりの証拠と言える。

 

 

(初見で全てを見抜くとは‥タチバナさんと言っていたが、あの慧眼‥一体?)

 

 

タチバナと呼ばれた着流しの男性の慧眼は底知れぬ何かを見つめている様だ。理解が及ばず、狙いもわからない。

ムクは髪を更に弄りながら彼が立ち去った先を見つめていたがそこに二つの影がゆっくりと姿を現した。

 

 

 

 

 

「あれはゲンガーとヤミラミ‥?さっき見たゲンガー達とは別種の様だけど何故あの人を‥?」

 

 

立ち去った彼を見守る様に影から追跡する一つの影ことゲンガー、いや一つだけではない。もう一つ小さな影であるヤミラミもゲンガーと同じ様に彼を追いかけていた。まるで彼を慕い影から護衛する臣下の如き働きである

 

 

(そう言えばあの人を追いかけた時、二体のゲンガーと話していた。遠くて背中越しだったからわからなかったが『こっちの世界での流儀を忘れるなよ』と言っていた。‥どんな意味?)

 

 

 

ムクはタチバナの真意を図る事と感謝の念を伝える為彼を追いかけていたのだが、そこで見たのは二体のゲンガー達が彼に対して頭を垂れて礼を尽くしていた姿であった。

 

手持ちのスピアーも彼を守るように前に出ていた事から、ゲンガーの不手際を諌めていたのだろう。

背中越しで表情を伺い知る事は出来なかったがあのゲンガー達は彼に仕えていると見て良い。

 

そのゲンガー達といい彼がこれ程までにゴーストタイプに好かれるのには理由がある。ムクは現状と彼の発言を整理して彼の正体を推察していく。

 

 

(疑問。まるで影からの守護者‥何故あそこまで?‥さっきシャンデラにも世話になっていたと言うけれど理解不能。言い方からして大昔の事を話し出しそうな口ぶりと雰囲気‥)

 

 

彼がシャンデラの世話になったという発言が気になったのか咄嗟にムクはシャンデラを繰り出し、状況を説明した。シャンデラから見て彼はどう見えるのか、ゴーストタイプとして彼はどう映っているのかを知る為に。

 

 

 

 

 

「シャンデラ、何かわかった?」

「シャン」

 

 

シャンデラは食い入る様に遠くを見つめていた先は彼が立ち去った遥か先の彼方。

シャンデラの視線を見つめるムクは囁く様にシャンデラに問う。

 

 

「あの人の体に惹かれる?いや、中身に何かあると?」

「シャーン」

 

肯定とも取れる様に静かに揺れるシャンデラ。

まるで誘蛾灯に惹かれる虫ポケモンの様に生まれついた強い本能と言うべきものがシャンデラを惹きつけているのだろうか。

ムクはシャンデラに感謝の念を伝えてボールに戻すと導かれる様にゆっくりと歩き出し思考を深める。

 

 

(あの人はシャンデラ好き‥と言っていたがあれはシャンデラというよりもゴーストタイプに好感を抱いている感じ‥これに間違いはない。)

 

 

ゴーストタイプが彼に惹かれる様に彼もゴーストタイプを好いている。シャンデラに昔世話になったという彼の発言から間違いはない。それこそが彼の正体につながるのだ。

 

 

 

(ゴーストタイプは怨みつらみや人の呪いと言った負の側面をエネルギーに変換しているが、あの人の体からはそれが感じ取れない。それが意味する事は‥

普通の人間でない事は確実。シャンデラがあの人の中身から感じたのは呪いではなく強き魂の根源)

 

 

ゴーストタイプは人の負の感情に反応を示す事が多く、その感情をエネルギー源にしている個体も多く存在する。しかし彼の魂の波動はそれとは正反対の強き魂の波動。それは生きとしいける者が持つ命の輝き

並の人間を凌駕する強き魂の根源の彼の正体にムクは辿り着こうとしていた。

 

 

 

(魂が並の人間の比ではないのか‥それならあの人を好むのも頷ける。この世の存在を超越した者つまりは裏世界とも呼べる深淵の住人‥あの人はこの世界とは違う世界‥冥界の王であるのか。だから裏の側からそう言った者達を見ていると‥)

 

 

冥界の王━━それこそが彼の正体。

人やポケモンの肉体が朽ちた時、魂が行き着く場所と呼ばれる裏世界にして影の国の主こそが彼である。

 

彼の言う裏の側から見ていたというのはそう言う事だ

王であるのならば彼の強き魂の波動も納得出来る。

王として誰よりも強く気高くなければならないのだからそれが故にゴーストタイプを惹きつけるのだろう

 

 

(恐らく冥界は時間の流れが今世とは違うのか?

シャンデラに昔世話になったと話していたことから、時間感覚が違う‥だから大昔の事を話すような口ぶりであったのか‥

王たるあの人があたしを気に掛けたのは負の感情の強さを懸念してのこと)

 

 

そして彼は王として彼女を気遣った。

冥界と違った今世において彼女の放つ負の感情を強く感じ取り彼女を案じたのだろう。今を生きる人間が放つ強すぎる負の因子を取り払おうとした。要は彼なりの善意なのだ。負の感情に包まれる事はゴーストタイプ使いの宿命とも言える。

 

それに彼女はシャンデラを相棒とするトレーナー、別種とは言えシャンデラの世話になった借りを返すという意味もあるのだ。

 

そして彼が冥界の王であるならば先ほど発言した言葉の真意も判明する。

 

 

(『こっちの世界の流儀を忘れるな』あの人が言っていた事は冥界のルールとあたし達がいるこの世界のルールは異なる。それを履き違えるなと説いていたのか)

 

 

おそらくあの二体のゲンガーは今世と裏世界のルールを履き違えてしまい、今世を生きる住人に迷惑をかけた。彼はその事を叱っていたのだ。

彼が口にした『カタギに迷惑をかけるな』とはこの事なのだろう。

裏世界と今世のバランスを保つ為に彼はゲンガー達を叱っていたのだ。

 

 

 

(‥納得。あたしが来た時、ゲンガー達が恐れをなして頭を垂れたのも王たる威厳に恐れをなしたから。

 

更には影に隠れていた別個体のゲンガーとヤミラミは影の護衛で冥界の王に危害を加える者を排除する為。

少なくてもあたしが見逃されているのは危害を加える存在では無いと思われていると見ていい)

 

 

 

そして影で彼を見ていた別種のゲンガーとヤミラミは彼の護衛だ。

王たる彼に危害を加える者に制裁を加える影の護衛を任務としているのか。

ムクを裁かないのは彼女は今世を生きる人間であり、王たる彼に危害を加える存在では無いと判断されたと言えるのだ。

 

 

 

(あたしが求める『ここではないどこか』についてあの人なら何か知っているのかも知れない

今度会ったら聞く。冥界の王であるならば或いは‥)

 

 

ムクが強く興味を示す世界について彼は何かを知っているのかもしれない。そう思うと俄然と彼に興味が湧いてきた。冥界の王でもあるなら尚更だ。

 

まさに運命の出会いとでも言うのだろうか

彼女は優しい笑みを浮かべ、決意を新たにした。

 

 

(‥それを聞くのはまた今度。‥でもまた会える気がしてならない ‥冥界の王よ、それまでしばしの別れまた会おう)

 

 

 

ムクは彼が立ち去った先の道に背を向けて、白羽織をはためかせるとその場をゆっくりと立ち去る。

 

冥界の王たる彼が望むものは一体何なのか

 

 

その後時間を経たずして少女と冥界の王は再会を果たす事になるが、それがどの様な影響を与えるのか

 

答えはすぐ近くにあると言える。

 

 

 

 





主人公(タチバナ)‥冥界の王ハデス‥ではなくただのスジモン。何度もカナリィと店に来ているムクを見かけていた為気づけた。初見だったらムクの変化に気づかなかった可能性が高い
転生により魂強度が高く、ムクのシャンデラは魂強度には気付いたが転生については勿論気付いてない。

ムク‥カナリィに夢中なので他の常連客など知る由も無いのでタチバナの事など当然知らなかった。
冥界の王たるタチバナに興味を抱き、また会えたら色々と話してみたいと思っている。

カナリィ‥ピュールが信奉するゲーム配信者。ゲーム本編でピュールがネットアイドルと言っていたが、アイドルとは思えない程に口調は悪い。
ヌーヴォカフェでムクとイチャイチャする事が多いが身バレ防止の為フードで顔を隠している。カナリィカルトクイズの問題を考える為、今回泣く泣くムクとは離れる事に。不正はダメだからねしょうがないね。未登場だがいずれスジモンとは邂逅するだろう。


野生のゲンガー達‥タチバナがミアレ美術館に行く時にイタズラをしたがスピアーにボコられ、心を入れ替えた野生ポケモン。
街を散策していた時に偶々タチバナとスピアーを見つけてしまいブルっている所を散歩中のスピアーに見つかり詰められた。

ちなみにタチバナを影で見ていたゲンガーとヤミラミはタチバナによって助けられた暴走メガシンカ個体であり彼に恩返しすべく後をつけていた。二体とも性格ひかえめだからか表だっての恩返しは恥ずかしいらしく恩を返す事が出来ずにヤキモキしているとか



グリーズ‥タチバナについてはホテルZの関係者ではあるが観光客なので警戒はしていない。むしろミアレの良さを知ろうとしてくれたり、店員である彼女を自然と気遣う心配りからそれなりに話す中に
試しにダンナ呼びしたら思いの外しっくり来た様でこの呼び方が定着したとか。ちなみにZA本編よりもわりかし笑顔を浮かべる事が多い。やるなスジモン

グリ‥ZAロワイヤルでリザードンをボコした謎の人物がタチバナであるのか色々と詮索中。グリーズを不安がらせない為かこの事は話していない。
あの夜とは違い普段は柔らかい雰囲気である為、益々不気味に感じているとか。リザードンはあの夜の出来事がフラッシュバックして未だにスピアーを怖がっている。






ミアレの有名人にインタビュー!
Qタチバナさんについて何か知っていますか?


マチエール‥「MZ団の皆と仲良くやっている様だけどまだ安心はできないかな。あの人には多くの謎があるけどそれも裏社会最強組織の一つワビ組の組長だからと言えるかもね。同情心はあるけど警戒するに越した事はないかな‥‥でもなんだろう。何か微笑ましいものを見る様な目であたしを見るのは‥」


モミジ‥「只者じゃないと思ったけど、名探偵さんから聞いた通りまさか本当にワビ組の組長さんだったとはね‥元フレア団の人間も何人かワビ組に所属しているみたいだから私もそっちに行こうかな?‥冗談よ
監視を逃れるつもりはないわ。‥けどフラダリ様の世話になったとか、過去のミアレを知っている事についてはわからないわね。名探偵さんは元ミアレの住人なのかと推察していた様だけど‥本当にそれだけなのかしら?」




ありがとうございました!
次回のインタビューは未定ですがお楽しみに!
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