ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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その筋の者(スジモン)と真相を探る名探偵

 

 

 

ふぁ〜今日もいい天気⭐︎こんな日はカフェに行くに限るぜ。という事で今ヌーヴォカフェに来ているよ

 

私だけで無く、目の前にはピュール君、私の横にはデウロちゃんの二人が座っている。なんかこの感じも当たり前になりつつあるが私観光客よね?

なんだかミアレの住人になった感じがする。ちなみにタウニーちゃんは人助けでいない。キョウヤ君は‥‥知らん

 

てかタウニーちゃんどんだけ人を助けるねん。正義の味方になりたがるエミヤシローか?

シローはジャスティスの会にもいるしお互い正義が好きとかとんだ共通点だぜ!

 

 

とまあそんな事は置いておいて今回はピュール君とデウロちゃんの他にもスペシャルなゲストがお越しでして、その方もといそのモンは誰かと言うと‥‥

 

 

『ロトロト!デウロ嬢にピュールの坊ちゃんじゃねえですかロト!』

 

 

私のスマホロトム(スジモン仕様)です。ピュン!と私の袖の下から飛び出したのだがちょっと黙ってくださいます?

 

なんとついに此奴の事が周りにバレてしまいました。経緯としてはこの前スマホロトムいじってる時にキョウヤ君を除くMZ団に見つかってしまったのが始まりだね

 

こいつ目立つし私の職業がスジモンである事を遠回しに言う可能性があるから知られたくなかったってのもある。こいつ口が滑りやすいからなぁ‥ここまで喋るスマホロトムも珍しいみたいだが

 

ちなみに今ピュール君とデウロちゃんは頷きながらも微笑ましいものを見る目でスマホロトムを見ている。

 

 

 

「しかしタチバナさんのスマホロトムは個性的ですよねぇ。口調といい時代劇が好きなのかな?」

 

「なるほど、サムライやニンジャと言ったジョウトニズムの影響だと‥確かに憧れますけどね」

 

 

そう、こいつ口調がチグハグなんだよ。

一人称もコロコロ変わるしキャラ設定がブレブレなのよ。スジモンになりきる前にまずスマホロトムのキャラを安定させてからにしてくださいよ。

 

二人がスマホロトムを優しい目で見る中、宙に浮かぶスマホロトムは声を荒げた。

 

 

『ロトー!?違うぜロト!クミ‥‥ダンナの様に筋を通せる様なモンになりたいからこそだぜロト!理想のボスであるダンナに!』

 

 

おいおいその言い回しまずいんじゃないの??

お前この数年何を学んで来たんじゃ‥裏社会の話をカタギにするな!‥‥いやスジモンの事は言ってないからセーフか?限りなくアウトに近い感じになるが

 

スマホロトムの話した意味深な言葉に二人は首を傾げ疑問を露わにした。

 

 

 

「筋を通す?それにボス?あの、タチバナさんって企業の社長や会長なのですか?‥前にキナガシを貸してくれた時に結構な価値だった事を覚えています。あまりの高さに驚きましたが‥」

 

「確かにあたしも驚いたよぉ‥‥でかいきんのたま150個分って‥想像つきませんよぉ‥

やっぱりお偉いさん?財閥のボスか社長?」

 

 

 

ぶぶー!残念!惜しいな。正解は組長でした!

要はスジモンです!極道度減点!!

 

実は前ピュール君に予備の着流しを貸してあげたのだがその時に一緒に鉢合わせたデウロちゃんに値段の話をしたんすよ。それを言ってるのだろうね。

 

着流しのお値段については組の若いモンから聞いた時は最初驚きすぎて胃が痛くなったがね。まあ今でも胃は痛いが。

でかいきんのたま150個分は単純計算して300万ですね。‥‥って300万!?(今更)うせやろ

 

やばいもの着てたんだなぁ‥

カントーにいた時、カレーうどんで汚しちゃってそれをクリーニング屋さんに見せたら発狂されたんだが、まさかそんな理由だったとは‥

 

私は二人に惜しいなと言わんばかりに微笑みながら言葉を紡いだ。

 

 

「会長でも社長でもないさ。組長‥‥まあ組織の長である事に変わりはないな」

 

 

「クミチョー?‥‥とにかくタチバナさんは会社組織を束ねる人間なのは納得です。

高級なキナガシを以前あっさりと貸した懐の広さは王の器にも見えてきます」

 

「うんうん、あたしも最初は何か貫禄のあるすごい人が来て驚いた事を覚えてるよぉ。カイリューが如くに出てくる様な本職さんかと」

 

 

 

ねえこれ勘付いてない?

まさかタチバナ裏社会の王説とか考えておらんよな?

カタギに私がスジモンだとバレるのはまずい!

ホテルZに迷惑がかかるからね。反社の温床として風評被害が‥‥って私以外に宿泊客いないし大丈夫か?

 

 

『さすがはダンナですぜロト!王たるダンナのカリスマは隠し切れないものですからだぜロト!』

 

 

お前は余計なことを言うんじゃねえ!身バレするでしょうが!口調のチグハグさもなんとかしろ。

それに私はバレるわけにはいかんのじゃい!ちょっと下がってろ。私はスマホロトムをスリープモードにして袖の下にぶち込んだ。

 

二人はむむむと考え混んでいる様だが、まずいな‥

勘繰られる前に話題を変えないとな‥‥せや!私は思いついた話題を口にしようと二人に目をやった。

 

 

「そういえば話は変わるがキョウヤ君の姿が見えないけど何かあったのかな?」

 

「え?キョウヤでしたら次のランクアップ戦に向けて色々と準備をしているみたいですよぉ。相手はDG4のカナリィ。Fランクだから油断大敵ですねぇ」

 

 

私の疑問に不意打ちを食らったのかデウロちゃんが?マークを浮かべながら言葉を紡ぐ。DG4のカナリィさん?あーあのギャルっ娘ちゃんね。

 

てかあの娘もやってるのZAロワイヤル?それにFランク???キョウヤ君めちゃくちゃランク上がってない??何したの?もしかして不正??

 

私が思案する中突如としてピュール君はデウロちゃんに目をやると普段とは違い声を荒げながら立ち上がった。

 

 

 

「呼び捨てはやめてください!

‥‥ええ明日のカナリィカルトクイズ王で勝ち上がった時のランクアップ戦に向けた調整をするそうです。まあボクがいるからクイズは楽勝ですからね」

 

 

 

どうした急に?まさかカナリィの厄介ファンか??

ここまで怒るとか相当だぞ。まさかピュール君にこんな一面があったとはな‥

 

それにカナリィカルト?前に変なシャツ着たDG4のデブ(悪口)ともう一人いた一桁古参の確かマネーさん?が言っていた大会の事だよね?

え?キョウヤ君それに出ないと行けない感じなのか?

 

うーんわからん。とにかく私は会話で置いてかれない為にもカナリィさんについてを聞いてみた。

 

 

「カナリィさん‥DG4のゲーム配信者の方だったな?」

 

「あれ?タチバナさんもご存知なんですねぇ?その‥カナリィについて」

 

 

まぁ会いましたし、変なあだ名で呼ばれたけど

ナンジャモといい何で配信者はクセが強いんじゃ。まあそれが配信者らしいといえるが‥

 

 

 

「呼び捨て。

なるほどカントーでも有名なんですね‥!

さすがはカナリィさんです。」

 

 

指摘する事そこかいなピュール君。小姑やぞそれ

デウロちゃんはそれを意に介さずスルーしているが、まあ仕方ない。

 

すまんなピュール君。カナリィさんにも言われたがカントーでは有名では無いのだ。私はピュール君に己の恥ずかしさを暴露するが如く言葉を放った。

 

 

「いやすまないがここに来て初めて知った。カナリィさんの事を知らなかったのは恥ずかしい限りさ。」

 

「いやいやそんな恥ずかしがることじゃないですよ!カナリィは結構マイナーだと思いますし!」

 

「だから呼び捨て!」

 

 

デウロちゃんが私をフォローする中、空気を読まずに声を荒げるピュール君。君キャラ変わってない?カナリィさんの事になるとそんな感じになるの?まあギャップがあっていいかもだが‥‥

 

 

なんか一人マウント取ろうとする人みたいで可哀想になってきたわ。デウロちゃんからも相手にされてないし、私はピュール君にカナリィさんをフォローするかの様に言葉を紡いだ。

 

 

 

「カナリィさんは確かに素晴らしいな。彼女の持つポテンシャルはすごいと思う。(ギャル属性)未来が楽しみな人ではあるかな(特に胸元)まあ、にわかな意見ではあるが‥‥」

 

「さすがです。己の立ち位置を理解しながら変な驕りもなく、カナリィさんをさん付けするその懐の広さ‥デウロさんもタチバナさんを見習ってください。」

 

 

すげぇ上から目線。これは誇っていいのか?

まるであのDG4のマネーさんと同じ空気を感じるぜ

どうしてこうもカナリィファンはめんどくさい奴しかおらんのじゃ。にわか勢おらんくなったらどうなるんやカナリィ界隈は‥‥

 

 

 

「まあタチバナさんを見習うのは当然だけどピュールはいつも通りで安心したよぉ‥‥ってまさかカナリィがタイプだったりはしないよねぇ?もしそうなら日焼けして髪を染めないと‥!」

 

 

後半は小声で喋り何を言ってるかわからんデウロちゃんだが、まさか君はカナリィさんの様になれば人気になれると思ってる? あやかりたい感じか?

それだと君の良さは伝わらんぞ。君は今の素直なままの方が魅力たっぷりだからそのままでいなさい。

 

しばらく駄弁り続けているとピュール君はスマホロトムで時間を確認するとすっと立ち上がった。

 

 

「ボクは先に戻ります。仕事がありますので‥‥それと明日に向けて色々と準備を」

 

「ああ、ピュール君。気をつけてな」

「またホテルZでね!ピュール!」

 

 

そのままゆっくりと私たちに背を向けて立ち去るピュール君。

そしてこの場には私とデウロちゃんの二人だけ。

しかしこの子とはやけに二人になる事が多いなぁ

それだけ意気投合し、趣味が合うって事だな!さすがはマブダチ!(鈍感)

 

私が考える中、隣のデウロちゃんは私へ向き直ると笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。

 

 

「タチバナさん!時間があれば少しお話ししませんか?」

 

「ああ君との時間はとても楽しいからな。そうだ、新しくできたカフェはどうだったかな?」

 

「はい!とても良かったですよ。特にあそこのマカロンが絶品で━━━」

 

 

 

 

という事でこの後めちゃくちゃお話しした。なんだかんだこの子と話す時間が一番楽しいのかもしれんね。

 

まあデウロちゃんが楽しそうで何よりだぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥

‥‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という事でキングクリムゾン!

デウロちゃんと楽しくお話ししてから大分時間が経ちました。あの後デウロちゃんはレッスンの為カフェから別れ、私は再び路地裏にいます。

 

近道しようと路地裏に入ったのはいいけどそこでまたしても暴走メガシンカに巻き込まれたんだよね。

 

スピアーさんの八面六臂の大活躍で無双しましたよ

今はボールに戻して小休止と言ったところだぁ!

 

 

 

 

「‥‥やれやれ何とかなったか」

 

 

私はつい愚痴をこぼした。これで何体目だよ。少なくても30体は相手してるぜ。三対一の状況もあるし、絶対これクエーサー社の陰謀だろ。私を陥れる為に仕組んだ卑劣な罠だ。

 

暴走メガシンカにより道と建物には傷が付いたが、やっぱりこいつら街中にいるのはまずいって!

おのれクエーサー社めぇ‥!と私が悪態を吐く中、遠くからカツコツと足音がこちらに向かってくるのが聞こえた。

 

そしてその音に目をやるとその影が近づいてくるではないか。あれは女性とその足元をひょこひょこ歩くのはポケモンか?

私が考え込む中その影は私と目が合うと拍手しながら近づいてきた。

 

 

 

「流石ですね。こうも先回りされるなんて‥本当に暴走メガシンカ達を影で抑えていたんだ‥」

「ふにゃにゃ‥‥」

 

 

「‥‥ん?マチエールか」

 

 

私はつい声を出した。だってその影マチエールだもん

美人過ぎんよー。ニャスパーはなんか酔っ払ってるのか足元がおぼつかない様子だね、大丈夫か?

 

拍手しながら現れるとかもうそれラスボスなんよ。

マチエールは拍手を終えると私に向き直り、真剣な声色で話しかけてきた。これは探偵スイッチ入ってますね

 

 

「こんにちはタチバナさん‥いいえ組長さん。

今この場にいるのはあなたお一人ですか?」

「ふんにゃ‥」

 

「‥まあそうだな」

 

 

私はマチエールの問いに答えるがなんだその質問は?

まるで私一人の方が都合が良さそうと言わんばかりじゃないか。こんな場所と雰囲気じゃなければ喜んだが

これはデートって感じじゃなさそうだな。

 

何が目的なんじゃ?私が警戒する様にマチエールを見ると彼女は私と暴走メガシンカポケモンによって荒らされた道路や建物を一瞥すると言葉を紡ぐ。

 

 

「見事なお手前です。裏社会の王というのも伊達ではない‥暴走メガシンカの相手もお手のものか‥」

 

 

改めて評価してくれるのは嬉しいのだが、まるで私を黒幕だと疑うばかりのその眼光は見てて辛い。

私は巻き込まれた哀れな被害者なんだ‥勘弁してくださいよぉ!

 

 

「さて、ここには丁度あなたとあたしの二人だけ‥色々と聞かせてもらえませんか?何故ミアレに来たのかその本当の目的を‥!」

 

「‥‥‥」

 

 

いやいや観光!あと大人のお姉さんだよ!

まさかミアレの裏社会を牛耳るとまだ思い込んでやがるのかぁ!?誰がそんな事やるか!

スジモンの相手はもう嫌なのぉ!

 

 

 

「何故あなたが暴走メガシンカポケモンを相手取っているのか‥そして組長たるあなた本人がミアレにいる事や本当の探し人の件など聞きたい事は諸々ありますが、まずは‥‥」

「ふんにゃにゃ‥‥!」

 

 

くそ!聞きたい事多すぎだろ!全部答えるのもだるい!探し人とかまだカフェのお姉さんの事探ってやがるのか!?しつこいぜ!

 

だがここで逃げると捕まる可能性大なんだよな

イクスパンションスーツで追いつかれるかもだし。

 

 

 

‥‥ってあれ?なんかもこおさん光ってないっすか?体中から光出てるしなにこれ?

 

わたしがもこおに目を向けると体の震えが大きくなる

それが気になったのかマチエールは心配する様にもこおに声をかけていた。

 

 

「もこお‥?大丈夫なの?ねえもこ━━━」

 

「ふんにゃああああ!!」

 

 

突如もこおが叫び声を上げるともこおの発光は更に強まり私とマチエールを包み込む。

 

ダメージはないが、何か頭が痛いと言うか頭の中に思念みたいな何かが入ってくる。

 

 

「なにっ‥!?」

 

「うっ‥これはタチバナさんの記憶の一部‥?」

 

 

 

 

 

 

 

 

【━━━そうだね!おじさん!】

 

 

【えへへ!ハンサムおじさんはあたしのかぞくだね!】

 

 

【マチエール、君にも本当の家族がいる筈だ。わたしも色々と手を尽くそう━━━】

 

 

 

なんだこれ!?ぐおおおお!!!

思わず頭を抱えたくなる程の超絶怒涛の思い出の嵐!

これは誰かの記憶だろうか?めちゃくちゃ高速で流れてくるので何が何だか全然わからん

 

聞き覚えのある渋い声からしてこの声はハンサムさんか?じゃあこのあどけなさが残る声はマチエール?

 

もこおは確か相手の考えてる事が能力で分かる筈‥‥つまりは能力の暴走か?これはマチエールの記憶的な奴が私の脳内に‥?

 

あーやばい。立て続けにハンサムさん関係の記憶がドバーッ!と洪水の様に押し寄せてくるぜ。

やめろ!真理の扉が開いちゃう!

 

あー頭が潰れそうだよ!!

 

私が項垂れる中マチエールは驚くような目で私を見る

 

 

 

 

「!うそ!?うそだよタチバナさんって‥!」

 

 

 

!!

うそだろ‥ まさかマチエールの記憶が私の脳内に溢れた様に私の記憶もマチエールの脳内に溢れ出たと言うのか‥

 

つまり私の前世での記憶やゲームでの思い出、そして大人のお姉さんとの熱い一夜やあんな事やNと語った性癖が露わに‥!

 

私は絶望した様な声で思わずマチエールに聞き返した

 

 

 

「まさか知ってしまったのか‥?私のことを‥!」

 

 

私がそう聞き返すとゆっくりと首を縦に振るマチエール。くそ‥まじかよ。この秘密だけは知られたくなかったなあ‥

 

私がそう思う中マチエールはゆっくりと口を動かしていく

 

 

 

「信じられないけどそうみたい‥まさかあなたは━━

「言わないでくれマチエール。君には知られたくなかったんだこれだけは‥!」

 

 

 

彼女の口が動く前に咄嗟に私の口が動いた。彼女の口からは聞きたくもなかった。特に「なにこの下心アリアリのスジモン!」という事を

 

私の胸に抱く下心とかNとの性癖トークや大人のお姉さん達との熱い思い出が知られるのは非常にまずい!R指定入るのも結構あるしこれ本当に大丈夫か?

裏社会のスジモンかと思ったらただのスケベなおっさんだったとか恥ずかしくてもう一回転生したいわ!

 

前世の事を知られるのが一番やばい筈だが何故か下心しかフォーカスできない程にテンパっております

 

私の慌て具合にさぞマチエールもドン引きしているのだろう。黙って私を見ていた。

私も何も言えず静寂が周りを支配する。やべえよ‥

 

 

「‥‥‥」

 

「すまないどんな顔をすればいいかわからない‥」

 

 

私は言い訳する様に適当に口を動かした。

だってどんな顔すればいいかわかんないの。笑えないし、泣けないし、苦しいし最悪だよ。

マジで、もこおはさぁ‥(他責)

 

 

 

 

「ちょっと待って‥!信じられないけど本当に━━」

 

 

しかしそれでも尚マチエールは私に対して弁明は無いのかと言わんばかりに追求してきやがる

私の本性がバレたというのにまだ追い討ちかけてくるのやめてもらっていいですか?

 

私は自身の思いを口にして彼女に背を向けた

 

 

「‥悪いが今は何も答えたくないんだ。失礼する」

 

 

 

泣けるぜ。

私の本性がバレてしまった。もう辛くて何を頼りにしていけばいいんだよ。最悪すぎるぜ‥

カントーに帰ろっかな‥穴があったら入りたい。

でも帰ったらスジモン業務あるし、どっちにしろ地獄とかまじやだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side マチエール

 

 

 

 

 

 

「そうか‥そうだったんだ‥」

 

 

路地裏にてミアレ一の名探偵マチエールはその驚愕の事実に力が抜けて壁にもたれかかる。

抱きかかえる彼女の相棒のもこおが普段よりも一層重く感じる程に複雑な気持ちを抱いていた。

 

今を目を瞑り寝息を立てているもこおであるが、暴走メガシンカを生み出すメガエネルギーはもこおにも影響を及ぼした。それが先ほどのサイコパワーの暴走である。

 

その暴走した力によって引き出されたのは互いの記憶である。裏社会の王たるワビ組の組長と彼女の記憶がもこおの力で共鳴し互いの脳内に共有されたのだ。

 

 

 

(ミアレの孤児としてフラダリに拾われた事、そしてあの人がサカキに拉致されロケットチルドレンに‥‥それだけじゃない‥!)

 

 

 

マチエールはこれまでの推理は間違ってなかった事を改めて実感した。組長たる彼の生まれからこれまでに至るまでの経緯に大きな狂いが無い事はさすがミアレ一の名探偵と言える。

 

彼の記憶の全てを見たわけでは無い。一部とでも言うべき断片に等しい微かな記憶だが自身の推察が間違っていない事を確信したのだ

 

彼の記憶から見るにマチエールは彼がこれまで暴走メガシンカポケモンを相手取った理由について考えを深めた。

 

 

 

(‥‥暴走メガシンカを影で抑え込んでいた本当の理由‥そしてXYZの暗号でミアレに危機が訪れていた事をあたしに伝えたのは他でもない━━

 

 

 

 

 

━━あたしを守る為だったんだ‥)

 

 

 

ワビ組の組長たるタチバナが影で暴走メガシンカを静め、マチエールに対して暗号で街の危機を伝えたのは他でもない。

 

彼女を守る為であったのだ。

 

これまで先回りして暴走メガシンカを静めたのもマチエールが相手取る事で生じる身の危険を未然に防ぐ為

 

XYZの暗号もそう言った暴走メガシンカが今後増える事で「街にはもう後がない」と伝えたのだ。情報が漏れると街の住人がパニックになる事を予期した彼なりの情報伝達であるといえる。

 

更にマチエールは思考に耽るとこれまでの彼の行動や発言などを一つ一つ整理していく。

 

 

 

(タチバナさんの探し人である女性とはあたしだった‥‥ワビサビという発言はいわばミスリード。本当の探し人をあたしでは無いと錯覚させる為か‥

まさかここまでやるなんて‥!)

 

 

 

彼の発したワビサビと言う発言はワビ組とサビ組の裏社会組織の同盟を意味するものでは無い。

マチエールの意識を彼こと『ワビ組の組長』として向けさせる為に発したミスリードだったのだ

 

回りくどいやり方とも言える様な発言にこれまでのマチエールなら納得しないだろう。

しかし彼の記憶を見たマチエールは確信に満ちた表情を浮かべ、真実に迫ろうとしていた。

 

 

(本当の探し人はワビ組とは全く関係がなかった。だってあたしが本命なんだから‥あの記憶を見てようやく納得したよ。

だから一人でミアレに来たんだね‥組長としてではなくてあなた(・・・)という一人の人間として‥!)

 

 

そしてマチエールは先程脳内に溢れたある記憶、即ち彼の記憶の中での出来事を鮮明に振り返っていた。

 

 

それは青空の下で外界に接する埠頭に佇んだ着流し衣装の上に黒の羽織を着こなす青年とそれと向き合う背広姿に身を包んだ壮年の男性。

マチエールにとってその壮年の男性は恩師であり、敬愛の象徴であり、家族に近い存在であった。

 

その壮年の男性はゆっくりと着流し衣装の青年に言葉を紡いだ。

 

 

 

 

 

 

『妹か‥家族とは切っても切れない縁だ。相棒‥いやそれ以上の存在‥だからこそ大切にすべきだな。』

 

『つまり何が言いたいのです?』

 

『‥そんな難しい事じゃないさ。遠くにいる彼女の活躍を期待して見守ってやってくれ。』

 

『まあ向こうで協力してくれた彼(・)から頼まれた手前でもあるからな。‥気にかけてほしい。全てが手遅れになってからでは遅いからな‥』

 

 

 

青年と壮年の男性はそれぞれ言葉をかわすが、その言葉一つ一つがまるである人物を心配するかの様な物言いだ。憂いを含む様でありながらも懐かしいものを見る眼で青年を見る壮年の男性

 

更に壮年の男性が青年にまるで懇願するかの様に震えた声で言葉を紡ぐと青年は優しい声色でその問いに答えた。

 

 

『ええ、そうさせて貰います。彼女は大事な存在とも言えますからね。』

 

 

 

青年が発した言葉を脳内で反復させたマチエールは目を瞑り呼吸を整える。

その言葉と壮年の男性が発した会話の中にあるのが真実であり彼の正体。

 

それと向き合う様にマチエールはゆっくりと言葉を紡いでいく。

 

 

 

 

 

 

「つまり‥タチバナさんは━━

 

 

 

 

 

 

 

あたしの実のお兄ちゃん‥生き別れた本当の家族‥」

 

 

 

これがマチエールがたどり着いた真実。

そうタチバナとマチエールは生き別れの兄妹であったのだ

 

背広姿に身を包んだ壮年の男性はハンサム。

今のマチエールを形作った存在である。そのハンサムから託される様に承諾した着流し衣装の青年タチバナは遠い目で水平線の遥か先を見つめていた。

 

その背が、まるで遠く海を超えた故郷カロスと妹に思いを馳せる悲哀の様相を醸し出していた事にマチエールは息を呑むことしかできなかった。

 

 

 

(彼(・)とはクセロシキおじさん‥つまりハンサムおじさんがクセロシキおじさんの伝言をタチバナさんに伝え依頼した。だからクセロシキおじさんの事も知っていたんだね。)

 

 

 

タチバナがクセロシキを知っていたのはおそらくハンサムから教えて貰ったのだろう。

クセロシキもマチエールに愛情を持って接し彼女の為に手持ちのポケモンも託した。まさに義理の父とも言える関係性。

 

タチバナがマチエールの兄である事をどこからか掴んだクセロシキは義理の父としての思いをハンサムを経由して頼んだのだ。ただ一人血の繋がりを持つタチバナに。

 

国際警察であり探偵として一流の腕前を持つハンサムはタチバナとマチエールが兄妹である事を直ぐに理解しクセロシキの要望を受け取った。

だからこそ妹であるマチエールを気にかける様にタチバナに頼み込んだのだ。

 

もちろん彼はそれに応えようとはしたが彼の立場がそれを許さない。だからこそ必要最低限の形で関わることを決断したのだろう。

 

 

 

(物心ついた時あたしは一人だった‥けどあの人は施設に預けられていたんだ‥恐らくあたしを探す為に孤児院を抜け出した所をロケット団に攫われたと言うのが事の真相になるのかな‥)

 

 

 

マチエールはストリートチルドレンである。その境遇は悲惨だが、彼とは違い彼女にはもこおがいた、苦難を共にする友にして兄とは別の家族がいた

 

しかし彼にはそう言った存在がいない。その類稀なる能力を認められフラダリに拾われたが、マチエールはフラダリのお眼鏡に適わなかったのだろう。優秀な彼だけが施設に預けられた。

 

それを良しとしない彼が施設を抜け出しマチエールを迎えに行こうとした矢先にロケット団に誘拐されロケットチルドレンとして望みもしない洗脳と改造を施された。これが真相なのだ。

 

そして彼以外のロケットチルドレンは記憶を消され、彼だけが一人その業を背負い続ける。

 

孤独にして誰にも理解されない兄の境遇に本来であれば自然と怒りが湧く筈である。

しかしタチバナが血の繋がった家族であるという驚愕の真実に心の理解が追いつかず、マチエールは茫然自失と言わんばかりであった。

 

 

 

(もう訳がわからないよ。ハンサムおじさんが言っていた様にあたしに本当の家族がいたなんて‥やっぱりおじさんはわかっていたんだ。)

 

 

ハンサムはマチエールの境遇を理解した。だからこそ彼女に『本当の家族』がいる事もあの時からすでに目星をつけていたのだろう。

 

マチエールは路地裏から立ち去った彼の背を頭に浮かべながら胸に抱く想いに意識を向けた。

 

 

 

(ずっとあの人は妹であるあたしを見守ってくれたんだね。それに成長を喜んでくれていた‥

タウニーが懐かしがっていたと話してくれたけどあの人はずっとあたしを覚えていた‥それなのにあたしは唯一人血の繋がる家族の事を知らずむしろ疑っていた最低だ‥‥あたしって‥!)

 

 

 

彼はずっとマチエールを見守っていたのだ。妹である彼女に害が及ばない様に。MZ団を大事にしているのもマチエールと懇意の仲であるからだ。

妹の大事な仲間も守る為に彼は目の行き届くホテルZに今も尚泊まり続けている。なんと言う器の大きな兄なのか

 

彼は兄としてマチエールの前に名乗り立つ事はなかった。何故ならば彼は裏社会の王。

マチエールとの本当の関係を知れば周りは彼女を放ってはおかない。即ちそれは彼女の自由を犯し、裏社会で生きざるを得ない状況になる事を意味するからだ。

 

それ故彼は兄と名乗りもせず遠くから見守っていたのだ。不器用な家族としての優しさがもたらす一つの強さだが彼もマチエールの兄だ。

 

兄として純粋に成長を遂げてミアレの為に働く姿に喜びを感じていた。一時も忘れずにその思いを心の中に隠していたのだ。

 

だからマチエールに会うたびに呟く様に成長を喜んでいたのである。

 

 

 

(なんであなたはそんなにも強いの?‥あたしだったら耐えられないよ。愛する家族が目の前にいるのにそれを告げずに他人を装うなんて‥!)

 

 

 

マチエールの眼から大粒の涙が流れる。

これまで彼はロケットチルドレンとして体を弄られ、寿命を減らされても尚組織の為に忠誠を尽くし、望まぬ組織の構成員として闇の仕事に従事した被害者でありながらロケット団の後始末の為にワビ組を作り上げ裏社会に秩序と平和をもたらした。

 

もう十分ではないか。

ただ妹と平穏に余生を過ごす幸せを願っても良いではないか。マチエールが同じ立場なら真っ先にそれを願う程に

 

しかし彼はそれを望まない。

彼は自身を犠牲にする事でマチエールを裏社会に巻き込まない様に動いている。直向きなまでに不器用な男なのだ。

 

マチエールはその場でへたり込む様に地に座ると涙を拭い、これからどうするか思案する。

 

 

(お兄ちゃん‥こんなあたしだけど家族と呼んでいいのかな?今更合わせる顔がないよ‥あたしは一体どうしたら‥‥)

 

 

家族として兄が妹に「与えるもの」であらんとする姿勢はまごう事なき無償の愛。

それ故にマチエールの心は大きく揺さぶられていた。

 

これまで警戒すべき存在として接していた裏社会の大物が実の兄であり、彼に対して心無い事を言った事や疑念の思いを抱いていた事に対する罪悪感とそれに対して自身を過剰に乏す自罰的な考えが渦巻き途方に暮れるしかなかった。

 

 

兄と妹 二人の進む道は闇と光

生き別れた二人の再会は心のすれ違いによりまた離れ離れになってしまった。

 

マチエールは兄であるタチバナとタチバナは妹であるマチエールとどう向き合うのか━━

 

それは二人のみぞ知る。

 

 

 

 

 





主人公(タチバナ)‥特に目的も無く観光と大人のお姉さん目当てでミアレに来たスジモン。マチエールに本心(性癖や下心)を見られたと勘違いし会うのが気まずい。前世の記憶とかを知られる方がまずい筈なんですが、このスジモンはさぁ‥

ピュール‥本人は認めないがカナ友ガチ勢。MZ団がカナリィを呼び捨てにする為、さん付けするタチバナにより一層敬意を抱いた。

デウロ‥カナリィの事を褒めるタチバナを見てギャルが癖だと思っていたが実は違って安心した。まあ本命が大人のお姉さんとは知る由もない。

マチエール‥生き別れの妹マチ村マコトではなく、ガチで赤の他人。真相(勘違い)を知ってしまいタチバナとどう接すればいいか本気で迷っている。ここからヒロインになれるか?


もこお‥メガエネルギーの影響から力が暴走してしまった。その為精度が乱れ抑えようとするもタチバナの記憶の中のハンサムを拾い上げてしまい、その記憶を引き出した事でマチエールの中のハンサムの記憶が共鳴しマチエールの脳内にもそれが伝わった。
その為タチバナの考える全てがマチエールに伝わった訳ではない。

もしタチバナの脳内にハンサムの記憶がなかったらタチバナの本心(下心とか前世の記憶とか)披露大会になったので割とやばかった。





サカキ‥(そうさ!ロケット団は悪の集団だからな!奴をロケットチルドレンとして改造したのもわたしの仕業なんだ!あの娘とあの若造を切り離したのもなあ!泣けるじゃ無いか!
なに?テンション高くないかって?‥否定したって誰も取り合わないからもう開き直ったんだよ!!どうせ何言ってもわたしのせいにされるんだからなぁ!)




より詳しく知りたい方は外伝復活の悪の花編最終話
「さらばその筋の者(スジモン)」を見て頂ければ今回の勘違いがどう違うのか比較できるかと思います。
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