ナニモンなんじゃ? スジモンじゃあ!!   作:年中裸足の人

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感想、評価ありがとうございます!
今話も長くなりましたがよろしくお願いします!



その筋の者(スジモン)引退を考える

 

 

 

 

『組長がカントーを離れてもう二ヶ月か‥あっという間ですね。』

 

「まあそうなるな」

 

 

モシモシ?ドーモ=クミチョーデス

 

今何をしているのかと言うとワビ組のスジモンとお話中です。通話相手は若頭補佐、端的に言うとNo.3つまりMr.3だガネ。

 

タウニーちゃんの借金も返済し、キョウヤ君がカラスバをランクアップ戦で倒した事を祝ってローリングドリーマーで豪遊してMZ団に寿司と女性の生足の美学を語ったがこのスジモンから電話がめっちゃ来るのでビクビクしながら折り返して今に至る。

 

てっきり組の金で豪遊したから組長としてケジメをつけろと言われるもんかと‥

だが実際はミアレでの報告やらカントーの現状やらの説明で済んでホッとしております。

 

まあミアレでの出来事を適当に誤魔化し誤魔化し報告していたのだが話が逸れるわ、勝手に勘違いしやがるわでどうすればいいのかわからずにいるのもあって会話の内容が変わりまくってやばい。さっさと本題に移ろうぜ

 

 

『まさか話に聞くサビ組とやらと接触する為にミアレに足を運ぶとは‥‥なるほどそこを足がかりに今度はカロスの裏社会も飲み込むんですね!』

 

「そんな事はない。何を思い違いしている。」

 

 

私はつい否定する。思い違いも甚だしい。

ミアレはあくまで観光なんよ。大人のお姉さんことミアレジェンヌと遊ぶためになぁ!

私が否定しても尚Mr.3は冷静に状況を整理していった。人の話は最後まで聞こうぜ?

 

 

『組長自らミアレに乗り込んだとなればサビ組も相手せざるを得ないですし、直々に来る事で誠意を感じさせる。危険ですが上手い手だ‥‥さすがとしか言いようがありません!』

 

「‥‥‥」

 

 

もう何も言えんわ。どんな思い違いやねん。

イブキさんも同じこと言ってたし同類?まさかね?

 

それにサビ君とは偶然なんですって。なんかあいつら私に気を遣ってくるんだけどそれがめちゃくちゃ怖いのよ。会う度にスジモンウェーブ(列をなして私が前を通ると連鎖してお辞儀する奴)してくるし

 

カラスバとか丁寧過ぎてチャイブ以上に気を遣ってくるんだが‥‥裏社会の流儀とか知らんがな。

 

 

『しかし話を聞く限りミアレも大変のようですね‥

暴走メガシンカポケモン達にワイルドゾーンか‥』

 

「ああ、あれを一人で相手取るのは大変だな。」

 

『え‥お一人で相手されてたんですか?』

 

 

そうだよ。一人で相手取ってたんだよ毎回なぁ!

私に恨みでもあるのか毎回路地裏とか一人でいる時に遭遇する事が多くてなぁ‥もう見飽きたんだよね。

ちょっと代わってくれる??

 

ちなみに新たに出現したワイルドゾーンも縄張りにしましたよ。

今15番ワイルドゾーンまで私のポケモンのシマになった。多過ぎない?これひょっとして20まである感じ?まさかね?

 

 

『慰安旅行と銘打って裏社会のみならず表社会の秩序を守る為に奔走するとは‥さすがは俺たちの王‥!』

 

「‥御託はいい。それよりも話を戻せ(半ギレ)」

 

 

私は冷たく言葉を吐き捨てた。親戚のおばちゃんみてえにコロコロと話題変わりやがって‥

何を言うとるんじゃ此奴は?裏社会の王とか知らんわ!こんなクソ玉座くれてやるよぉ!座るんならカビゴンの腹の上に座りたいなぁ

 

あと大人のお姉さんに甘やかされてえええ!

今すぐルザミーネさんに甘やかされたいですぅ

あの人私に対してどちゃクソ優しいから鉄仮面外して抱きつきたいなぁ!おんぎゃあ!(クソデカデスボベイビー)

 

 

『し、失礼しました!今度ジョウトとアローラに組の理念を交えたリモート会議をやる予定ですが資料についてを添付する予定でして━━』

 

 

そのまま色々と話し続けるスジモンだがまた例のアレかよー。めんどくさいんだよなぁー

リモートで理念という名の任侠道発信チャンネルを定期的にやっているがまじあれ退屈ぅ〜

 

私は勝手にニンダイと呼んでいるが眠くなってしゃーない。ちなみにニンキョードーダイレクトを略してニンダイね。以前にも話した気がするがまあいい。

 

でも理念は大事だしね。退屈だが必要な事である事に変わりはない。

 

 

「リモートか(・・・・・)‥任侠道は大事にすべきものだ(・・・・・・・・・)。‥本命はそれだからな(・・・・・・・・・)。理念が組織を形作る‥‥よく覚えておけ」

 

『ええ、勿論です。若いモンはアプリツールで連絡している様ですが情報漏洩もあるので旧式のメールかFAXでの対応をさせています。他には?』

 

 

今スマホで何でも出来るから若いヤツらはそれを活用してるみたいね。

情報漏洩怖いわー。旧式のメールやらFAXとか言う古の遺物を使う事で何とかハッキングを逃れているがいつまで持つのやら‥

 

私も情報漏洩を気にして予備のスマホを何台か持ってるぜ。一台では容量足らんので現在5台持ちっす。ちなみにその内4台が大人のお姉さん関係です。あと1台はスジモン業務用ね。

 

大人のお姉さん関係の情報はめちゃくちゃ重要だからストレージが食われてしゃーない。シュウゾウかパルキアにお願いして空間を広げたい位だぜ。頼める?

 

 

「それでいい、後進める事は‥」

 

 

私は考えながらテーブルに置いたコーヒーに口を付けるが‥いやあっつ!?やばいコーヒー溢す!

 

 

「あち(・・)っ‥メール(・・・)は暗号化を更に強めた方がいい。

大事なリモート(・・・・・・・)会議だからな。情報は守る必要がある(・・・・・・・)。」

 

 

あちち!油断したぜ‥唇腫れてない?大丈夫?

スジモン相手だからなるべく感情を抑え、バレないように早口で話したがどうやらバレてない様で安心したぜ。後でグソクムシャに冷やして貰うかね‥

あー辛いぜ。

私の意見にツッコむ様子すら見せずにMr.3は肯定しつつ言葉を紡いだ。

 

 

『はい。FAXも同様に暗号化していますが、送るのに時間がかかるのが難点でもあるんですよね‥』

 

「新たに開発したハッキング対策用のシークレットチャットの実用化も視野に入れろ。暗号をより複雑にして自動消去の時間も更に早めた奴をな。それまではFAXとメールで代用するんだ。」

 

 

 

シークレットチャットとは匿名性が高く全てが暗号化されたメッセージアプリの事でメッセージを送信しても直ぐに削除され痕跡が残らない裏社会のL◯NEみたいな奴です。前世で言うテ◯グラムだね。

 

この世界ではまだなかったのでワビ組が独占的に開発しているが、これを利権にして他の裏社会組織に売り付けまーす。

 

ちなみにワビ組は暗号化されたメッセージを解読し、削除されたメッセージを復元出来るアプリも作っているので、他の裏社会組織の動向も把握できますよ。

いや、怖すぎぃ!

 

 

『かしこまりました。ワビ組も大所帯、何よりも情報漏洩には気をつけないといけませんよね。』

 

「そうだな、そこだけは常に気をつけろ。後はお前達に任せる。」

 

 

その通りだ。特に大人のお姉さん情報ね。

あれ無くなったら生きていける気がせんよ。なんたって10年分の思い出が刻まれているからね。

 

ハッキングも怖いが何より怖いのはウイルスよ。

ウイルスとかで内側から壊されるとマジで修復出来んのじゃ。つまり人間と同じように防疫が大事だね。

ポケルスなら大歓迎なのだがまあいい。

 

とにかくウイルスはこわい。

さっきも言ったが私が持ってる大人のお姉さんのお宝情報が詰まったスマホにウイルスが入られるのは非常にまずい、絶対に防ぎたい。どうするべきか、そもそも根本を変える事が大事かもしれんな。

 

根本というとやはりやるしかないのか‥!

 

 

「‥いよいよ辞める時が来たか(大人のお姉さん遊び)」

 

 

私はつい呟く。これまで数多くの大人のお姉さんと遊び回ってきたがそろそろ年貢の納め時か?

根本の解決というと大人のお姉さん断ちをするしかないのかもしれん。

 

けどなぁーこれだけは絶対に出来ない自信がある。

何故なら体は大人のお姉さんを求めているからだ。

まさに抗い様の無い本能そのもの。これを押さえつけることなどできぬぅ!

 

話がかなり飛躍したがなんで私はそんな事を考えついたんだっけ?(鳥頭)

私が考える中、何やらはぁ?と驚くとMr.3はそのまま叫ぶ様に言葉を紡いでいく。

 

 

『ええ!?まさか組長‥引退を考えているんですか?

そんな事したらワビ組が混乱しますって!』

 

 

はあ?何血迷った事言ってやがる。引退だと?勘違いにも程があんだろ。このクソバカスジモンがよぉ‥そんな事私がする訳‥‥ん?いや待てよ‥これ使えるのでは?

 

引退を理由に私がワビ組の組長を降りれば‥カタギに戻れる可能性がある。それはつまり‥スジモン卒業!そうか!その手があったじゃないか!!

 

なんて盲点!これを理由に組長の座を後進に譲れば、私は合法的に組を抜けれるぜ!さいっこーー!

もうゴール(引退)しちゃってもいいよね?

 

しかしなんと言い訳をすればいいのか‥‥

私は適当にそれらしい事を言おうと口を動かした。

 

 

「ああ私一人で切り盛りするだけではダメだからな。

ボス一強の組織は遠からず崩壊する。つまり組織とは皆で支えて作り上げるものだ。

チャイブも組長業務が板についてきた。私の出る幕はもう無い。組長の座を譲る時がきたのかもしれんな。」

 

 

私は感慨深そうに言葉を発し続ける。声色で察してもらう為になぁ!

実際私いなくても組回ってるのよね。ミアレに行っても特に問題ないし私要らなくね?早く自由になりたいのよ。

 

 

『そこまで考えていたんですか組長?いやそれよりも引退を考えつくって事はまさか体が限界を‥?』

 

 

何やら心配そうな声色で聞いて来やがるがこれはチャンスだ!相手の同情に乗っかる感じで訴えてやる。

 

 

「‥‥ああ、俺も色々と堪えてな。(スジモン業務が)

(我慢の)限界が近いし、丁度いい機会だ。」

 

 

私は吐き捨てる様に呟いた。

感情的になったらだめだ。ここは同情される為にどこか冷たい感じで話す事で事の重大さを知らしめてやる

 

私はこんなに頑張ってるのにお前らなんやねん?と遠回しに言ったが効いたか?(煽り)

 

 

『‥どうしてそんなに他人事なんですか‥!組長の体は大変なんでしょう!?暴走メガシンカを一人で相手取る事といい、無頓着過ぎますよ!‥どうしてそこまで‥』

 

 

あ、やべ。あまりにも冷淡な声すぎたか!?あまりにも冷たくて他人事みたいな感じになっちまった??

だから暴走メガシンカは偶然なんだってばよ。

あーここは下手に言い訳をすると揚げ足を取られる可能性大ですね‥

墓穴を掘ってしまうとは‥!何たる不覚!(ガバ)

 

ここは相手の意見を肯定しつつ自分の意見をそれと無く言わねばな!

 

 

「暴走メガシンカ‥確かに一人で相手取るのは中々に骨だが慣れたものだ。数十体も相手していればな。

それに‥‥」

 

『それに?なんです‥?』

 

「まあ仕方なかったという奴だ。俺はそもそもこんな組織を作る気はなかった。やらなくてはならなかったんだ‥!(スジモン共が怖いから)」

 

 

 

私がスジモンとしての今があるのはそれもこれも全部お前達のせいだ!(ブチギレ)特にチャイブ!てめえのせいだよ!!私はこんな事しとうはなかった!!

カタギとして就活していただけなのにどうしてこうなったんや‥‥あーやめてえ‥

 

最早愚痴っぽくなってしまったが、その愚痴を聞いて流石に引いたのか震え声が通話先から聞こえてきた。

 

 

『組長‥‥ロケットチルドレンとして責任を最後まで果たそうというのですね‥』

 

「その話はやめろ。そんな事聞きたくない。」

 

『し、失礼しました!』

 

 

思わず私はツッコんだ。まだその話広がってんのかよ‥私の冷たい声色にもちょっとビビっているのか謝り倒すMr.3には申し訳なさを感じるが、責任とか何言ってんだか。サカキの野郎(呼び捨て)の事は思い出したくないんだよ!あのけつあな確定マンはな!

 

まあいいや、めんどいしこの話はもうおわり!

 

 

「兎に角この話はまた落ち着いた時にする。お前達は引き続きカントーとジョウトの動向を把握しろ。いいな?」

 

『はい!かしこまりました。タワーもきな臭くなっているみたいなのでどうかお気をつけて!』プツン!

 

 

ん?おい、今不穏な事言わんかった??

ミアレがやばい事は話したが、タワーそんなやばい感じなの?察しちゃった感じ???

ちょっと詳しく教えてほしいなー!意味深なこと言ってないでさー!くそ!折り返して話を聞くべきか‥

 

思ったより長電話だったし、色々激務がたかってお疲れだったのかスマホロトムは通話が終わると勢いよく袖の下に入り込んでいた。

無理させるのあかんし、予備のスマホで掛け直すとするか。

 

私は部屋の片隅に置いたクソデカアンティーク調のトランクケースの中を漁って予備のスマホを探す。色々入れ過ぎて探すのに手間取るな‥

ミュウツーから受け取ったゲノセクト達のモンボやら組員から色々と貰った謎アイテムやらを持ち込んだが邪魔でしゃーないわ。

 

えーっとスマホスマホ‥あったあった!んじゃあ電話折り返すか。私が予備スマホを手にして電話をかけようとしたその時、扉から大きな音が聞こえてきた。

 

コンコンコン!

 

 

ん?ノックとは珍しい。誰じゃろうか?

MZ団かAZにゃんか?皆気を遣って私の部屋に来ることはあまり無いから新鮮な感じがするぜ!

私はどうぞと適当に返事をすると扉をガチャリと開けて人影が姿を現す。

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しますわ!組長さん」

 

「ん?カラスバさん?どうしてここに?」

 

 

ってお前かよ!ミアレのスジモンじゃ無いか。

スジモンとこうも立て続けに接するとか珍しい日だぜ!てか何であんた私の部屋知っとるんか?まさか‥カチコミか!?くそぉ!油断したぜ!

 

私が内心舌打ちする中カラスバは部屋中を見渡し、中々良い部屋ですなと笑みを浮かべるとそのまま言葉を発する。

 

 

「羽休めも兼ねてホテルZで一泊する事になりましてなぁ。折角やし組長さんにもご挨拶をとお伺いしたんですわ」

 

「そうか、わざわざありがとう。日頃の疲れもあるだろうから羽を伸ばしてくれると嬉しい。」

 

 

あら?口調や声色からしてカチコミちゃうんか?

そっか、なら許す!(チョロい)

ホテルZでポケモン大会は迷惑になるからお互い静かでいるのが正解だね。カタギに迷惑かからないし。

私はカラスバを労う様に言葉を返した。

 

 

「おおきにですわ。それにしてもええホテルやなあ。こら組長さんが気にいるんもよう分かりますわ。」

 

「ああ、豪華絢爛な場所よりもこう言った隠れ家的なホテルが一番落ち着く。やはりいい街だ(皮肉)」

 

 

わかる!ここ静かでええよねー

高級ホテルもいいが私の様な庶民には無相応過ぎて緊張してしまいますわー!

ミアレの街も賑やかで野生のポケモン達もみーんな歓迎してくれるし最高だよね(皮肉)つまりクソ喰らえだこの野郎。(掌返し)

 

 

「なるほど、オレもミアレの一住人として嬉しく思いますわ。それよりも組長さんの目的は果たせそうですか?」

 

「目的だと?何の事だ‥」

 

 

皮肉を受け流すカラスバからは大人の余裕が感じ取れるぜ。だが目的ぃ??私は一瞬意味が分からずつい首を傾げたがそれを見たカラスバは突如頭を下げて謝罪した。どないしたんや本当に?

 

 

「‥‥すんまへん。組長さんの電話が扉越しに聞こえてしもたんですわ。妹の件(・・・)にその‥目的についてを耳にしましてなぁ‥」

 

 

あら、聞こえてたんか。古いホテルだから音漏れしたか?気をつけないとね‥‥ってか妹?何の事?

あんた妹属性好きなんか?うーん、いもうと‥いもーと‥‥あ、リモートの事ね、なるほど!

聞き間違えるなんて私はよっぽど脳内下心で埋め尽くされているみたいだ。すまんすまん!

 

女性の癖が潜在意識レベルで刻まれているのか‥こらあかんわ。それにさっき言ってた目的‥‥

まさか私がミアレジェンヌのお姉さん目当てに来ている事も知っているのか?さっきの電話だけで??

 

いや、それはあり得ないな。おそらくワビ組のシマ拡大を目的と思い違いしているんだろう。スジモン共の考えている事はいつも一緒だな‥(呆れ)

 

いやそれ誤解なんすよ!違いますって!

私は弁明する様にカラスバに言葉を紡ぐ。

 

 

「そうだリモートの件(・・・・・・)は間違いない。だが私はシマを広げる為にミアレに来た訳ではない。」

 

「間違いやないんやな妹(・)さんの件は‥それに前に組長の立場で来た訳やないと話されてましたがタチバナさんの目的っちゅうんはやはり‥」

 

「ああ、組長の立場は関係ない。今ここにいるのはタチバナという一人の人間だけ‥‥ミアレに来たのは目的を果たす為と言っていい。」

 

 

リモートをさん付けするなんて丁寧すぎるやろ(鈍感)

ってか漸く察してくれたか‥遅えんだよ!

 

 

「‥‥なるほど、せやったらオレらも協力しましょか?彼女が目的なら力になれる筈や」

 

 

カラスバは私に向き直るとやけに真剣な顔で言葉を返す。ふむ、という事は私がミアレジェンヌのお姉さんと遊んでいる事実は筒抜けでいいのか?恥ずいぜ‥(今更)

 

カラスバは彼女と言ったが、彼女‥‥私が今熱を入れてるミアレジェンヌのジャンヌちゃん(あだ名)の事も既に知っていると‥‥

今彼女と遊ぶ事が目的と化した事もバレているのか‥この短期間でそこまで情報を集めるとは流石はサビ組だぜ!バレたくなかったがな!くそお!

 

発言からして私の事を立ててくれているのか?‥だが答えは決まっている。私はカラスバに向かって言葉を紡ぐ。

 

 

 

「いや、申し出はありがたいが不要だ。

これだけはあなた方の世話になる訳にはいかない。(ミアレジェンヌ遊び)あの子を巻き込むのは本意ではないからな」

 

 

 

言い回しを考えながら丁重にお断りするぜ。

ここにサビ組が入ったらややこしくやるだろうが!

私は彼女と二人きりで楽しみたいのよ。そこにスジモン組織が入るのは死んでもごめんだね。

男女の仲に割って入るんじゃ無い!それにあの子が怖がるしお前らに邪魔されたくないんだよ!

 

 

「大事な存在なんか、そらそうやな‥タチバナさんにとってその存在はあまりに大きい‥」

 

「ああ大切にしたいものだ。(ミアレジェンヌを)。

これだけは守る必要がある‥!(ミアレジェンヌ文化を保護する意味で)」

 

「たった一つの守るべきものという奴やな‥」

 

 

彼女に限らずミアレジャンヌは守るべき大事な文化、つまりミアレジャンヌは無形文化資産だ(意味不明)

ミアレが誇る美の壺よ!こんなん大事にしない奴いる?いねえよな!

 

カラスバも納得したのか眼鏡をクイっと上げると静かに頷く。わかってるじゃねえか‥だったらミアレの美を現地のスジモン視点から教えてくれよ。

 

‥‥と思ったが向こうも疲れているかもしれんから、無理強いはいかんな。私は労う様に声を発した。

許せカラスバ また今度だ

 

 

「気にしないでくれ。それよりも私と話すと休む時間が無くなるからすぐに部屋で休んで欲しい」

 

「お気遣いに感謝しますわ。‥タチバナさんもお気をつけて。暴走メガシンカの相手もされとるんとお聞きしましたが‥」

 

 

ん??なんで暴走メガシンカの事を知っとるんじゃ?

まさかジェットの奴だけじゃなくカラスバァ!お前も実はそっち側だったりするんか!?

 

いや‥待てよ。もし黒幕クエーサー社側ならわざわざこんな事聞くわけない。もしかして味方‥なのか?

明らか反社のカラスバが敵かと思ったら表向きホワイトのクエーサー社が黒幕であると仕立て上げるゲームフリークの陰謀だな!間違いない(迷推理)

 

つまりカラスバは味方だ。だがどっかから情報は漏れるだろうから適当にシラを切らなきゃね。

クエーサー社が私を暗殺しようと仕向けたんだからな

 

 

「ああ、最近やたら暴走メガシンカと対峙する事が多くてな。偶然とは言え相対したからには静める他ないだろう?」

 

「偶然?ホンマですか?タチバナさんが率先して動いとるとちゃいますか?」

 

「偶然だな。私は偶々そこに居合わせただけだ。」

 

「‥そういう事にしときますわ。それから‥‥」

 

「ん?」

 

「‥いや、なんでもあらへん。部屋に行って休まへんとやな。タチバナさん今後ともよろしく頼んます。」

 

 

適当に会話を返し続けると向こうが勝手に納得し会話を切り上げやがった。

最後の方、何か話したい事があったのか言葉を詰まらせたが私に一礼すると踵を返して部屋から出て行ってしまう。何やねん、話したい事あるんやら言ってくださいよー

 

まあええわ。

私もスジモン共と話したから色々疲れたし休憩するかなー

また屋上行ってミアレジェンヌ観察しよっと!

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥

‥‥‥

 

 

 

side カラスバ

 

 

 

 

 

「あの方の目的は彼女‥妹であるマチエールさんを守ることやったか。暴走メガシンカを影で静めていたんもその為かいな。組長として動くとあらぬ関係を疑われる‥‥黒の世界に巻き込まん為に組長という立場を捨ててミアレにきたんやな‥」

 

 

ホテルZで一夜を過ごし久々に羽を伸ばしたとも言えるカラスバであったが、その胸中は穏やかでは無い。

今回ホテルZに訪れたのはキョウヤへの貸しを返す事もそうだがワビ組の組長であるタチバナに挨拶をする為だ。だがその中で驚愕の事実が判明する。

 

それは彼とミアレ一の名探偵マチエールが実の兄妹であった事、そして彼女を守る為にミアレを訪れ、影で暴走メガシンカを静めていた事だ。

 

 

「それよりも気になる事を言うてたなぁ。確か━━」

 

 

 

だがそれ以上にカラスバの脳内にある言葉が繰り返し響き渡る。タチバナと対面する前、扉越しに聞こえたある通話内容。カラスバは目を瞑りその言葉を思い出していた。

 

 

 

『いよいよ辞める時が来たか‥』

 

『‥ああ、俺も色々と堪えてな。限界が近いし、

丁度いい機会だ。』

 

 

「まさか引退を考える程に体が限界を迎えとるとは‥流石に聞けへんわこんな酷な話‥ロケットチルドレンの弊害もここまでくるか‥!」

 

 

扉越しに聞こえた通話内容はまさに衝撃の一言。

それはワビ組の組長タチバナが裏社会の王座を降りて次世代にその王座を引き渡す事だ。事実上の引退、彼は裏社会の王では無くなる日が来る。

まさに晴天の霹靂と言わんばかりの強い衝撃にカラスバはあの時言葉を失いかけたほど。

 

カラスバも部屋を去る前にその事について聞こうとしたが聞けなかった。その残酷な真実と向き合う事を躊躇したのだ。

それほどまでに彼の体は蝕まれている。ロケットチルドレンという呪われし宿命に。

 

 

「おそらく裏社会最大のニュースになるで‥

下手したら裏の世界が大きく乱れる‥時代のうねりっちゅう奴やな‥‥」

 

 

ワビ組の組長が残した影響は計り知れない。裏社会という混沌極めし世界を彼は一人で平定した。ワビ組という最強の組織を作り上げ、表と裏の世界に明確な線引きをして平和をもたらした。

 

まさに影の救世主にして真のアウトローが彼である。

その彼が引退ともなれば裏社会が大きく揺らぐ。勿論サビ組もそのうねりに巻き込まれる事は間違いない。

 

 

「組長さんの時代が終わり、新時代が始まるんか‥」

 

 

ワビ組の次世代の組長つまりは次世代の王がもたらす新たな世代、即ち新時代が始まりを告げると裏社会の在り方も大きく変わるだろう。

 

再び混乱を迎えるのか、それとも新たな秩序を形成するのか現時点では不明である。先行きの見えない未来を想像したカラスバは胃の痛みを感じるとゆっくりと立ち上がり部屋に立てかけられた時計に目を移した。

 

 

「さて、チェックアウトの時間やな。そろそろ行こか」

 

 

カラスバは服装を整えるとホテルのチェックアウト準備を済ませる。

 

エレベーターを使って一階のロビーに降りると受付に佇むAZとフラエッテに部屋の鍵を返却し、お礼を述べるとAZとフラエッテは奥の小部屋へと戻っていく

 

それを見届けたカラスバはロビーのソファでくつろぐMZ団メンバーを目にするとゆっくりと近づき言葉を発した。

 

 

「邪魔するで、それにしてもええサービスやったな。オレもペンドラーもゆっくり休めましたわ。ごくろうさん」

 

「こちらこそご利用ありがとうございました。」

 

 

 

カラスバの姿を見て目を見開いたデウロであったが、隣に座るタウニーは立ち上がってカラスバの前に来ると感謝を伝えた。

 

ピュールとその隣に佇むキョウヤはカラスバを観察していた。

まるでカラスバを警戒する様に見つめた様子だったがカラスバは全く気にせずタウニーの肩に手を置くと労う様に言葉を紡いだ。

 

 

「またな、タチバナさんにもよろしゅう頼むで?

暴走メガシンカ‥オレらも協力したる。タチバナさんに無理させへんためにもな」

 

「え?それってどう言う‥」

 

 

タウニーに背を向けて歩き出した時、彼女が漏らしたその一言にカラスバは足を止めると再び向き直った。MZ団メンバーを一瞥すると状況を説明する様に言葉を発していく。

 

 

「お前らが相手取る暴走メガシンカ‥‥タチバナさんは一人で対応しとったんや。その数およそ数十体を影で誰にも悟られんようにな。」

 

「え、うそ‥それだけの数を一人で‥!」

「どうりで最近数が少ないって思ったし。‥まさかタチバナさんが‥!」

 

「!そうだったのですね」

「なんで俺達を頼らずに一人で‥?」

 

 

 

カラスバが語るその内容にMZ団達はそれぞれ驚愕と疑問の声が上がる。

これまで数多の暴走メガシンカを人知れず静めたMZ団であったが、そんな彼ら彼女らよりも先回りしてタチバナはたった一人で静めていた。

 

カラスバですらキョウヤ達と接して初めて暴走メガシンカの事を知った。タチバナが人知れず動いていた事をMZ団が知らないのも無理はない。

 

カラスバは腕を組むと無理もないと言わんばかりに言葉を紡ぐ。

 

 

「やはり知らんかったか‥無理もないなぁ。

あの人はお前達に負担を背負わせたく無いのかもしれん。それほどまでに大事に思われとるんやなお前らは」

 

「‥‥‥」

「じゃあ、あたしがダンスのレッスンに打ち込めたり余った時間でカフェ行ってる間にもタチバナさんはたった一人で‥?」

 

「暴走メガシンカは危険だし!ミアレの為にそこまで‥‥!」

「‥タチバナさん‥」

 

 

MZ団が抱く思いは驚愕や懺悔や困惑など様々だ。

タチバナはMZ団のメンバーと交流を深めて常に寄り添い、大人として支えてきた。

 

MZ団メンバーもそれをわかっていたからこそ彼に恩返しをしたいとも考えていたのだろう。

 

しかしここに来て彼は暴走メガシンカを一人で相手取っていたのがわかった。それも誰にも言わずにただ一人で。

これまで本当の意味での平穏は彼が守っていたのだ。MZ団が相手取った暴走メガシンカよりも遥かに多くのポケモン達を相手に。

 

タウニーをはじめMZ団メンバーは皆俯いた。

彼だけが人知れず街を守るためにその身を傷付けた事、そして誰にも心配されず、誰にも労われない事の苦しみを背負わせてしまった事や自分たちはその苦しみを知らずに日々を楽しく過ごせた事に対する罪悪感で胸が締め付けられていたのだ。

 

彼は暴走メガシンカポケモンを相手取る程の実力を有しているが、一つ間違えれば死と隣り合わせである。つまりいつ彼が倒れてもおかしくはない。その事を周知するべきカラスバは言葉を紡いでいく。

 

 

「あの人が倒れるんはサビ組の本意やない。組長さんいや、タチバナさんが倒れる事はオレらにとっても大問題やからなぁ」

 

 

 

緊張感ある物言いに一同は息を呑む。

彼が倒れたらそれこそ裏社会の規律が乱れる。引退を考えている組長だがその前に彼が倒れてしまっては後戻りができない。裏社会が再び混沌に満ちた世界に逆戻りするからだ。

 

カラスバは額から滴る汗をハンカチで拭うがその姿を見て只事ではないと思ったのか、キョウヤは自身が胸に抱いている疑問を口にした。

 

 

「組長‥?やはりカラスバさんはタチバナさんの素性をご存知なんですか?」

 

「確かに‥!以前カラスバさん、誠意がどうだとか話してたし。ほんとに何者?」

 

 

キョウヤの疑問に共鳴する様に声をあげるタウニー。デウロやピュールもうんうんと首を縦に振る。そしてMZ団一同の視線はカラスバへと移った。

 

本来であればカラスバが語ることではない。だがタチバナに対するカラスバの雰囲気と態度を怪しむMZ団にもう誤魔化しは効かない。

カラスバは息を吐くと、観念したかの様に向き直り言葉を紡いでいく。

 

 

「本来ならオレが話す事ちゃうが、しゃあない話したるわ。あの方はな‥‥ワビ組の人間や」

 

 

「ワビ組‥?」

「サビ組と似た組織なのかな?」

「へ?どこかで聞いた事ある様な‥ワビ組‥ワビ組‥」

 

 

カラスバが話すワビ組という単語に聞き覚えがないのかキョウヤとタウニーは首を傾げている。

デウロは首を傾げながらもまるで聞き覚えがあるかの様にワビ組という言葉を繰り返し呟く。

 

皆が首を傾げる中、ただ一人ピュールだけが顔を上げると聞き返す様に言葉を発した。

 

 

「もしかして、あのワビ組ですか?」

「え?ピュールは知っているの?」

 

 

ピュールの言葉を耳にしたタウニーが咄嗟にピュールに聞き返す。

するとピュールは耳にした程度ですがと念を押すとそのまま言葉を紡ぐ。

 

 

「詳しくはありませんが、何でも義理と人情を重んじ一般人には決して手を出さない組織で裏の世界においては最大規模を誇るのだとか。

カントーやジョウトを根城にしていると聞いた事があります。」

 

「あ、思いだしたよぉ!確か映画カイリューが如くに出てくるトージョー会のモデルになった組織だよね?」

 

 

ピュールの説明を耳にしたデウロは両手を叩くと思い出したかの様に勢いよく口を動かした。

ピュールが話すワビ組という組織は任侠映画カイリューが如くに登場する任侠組織のモデルになる程に影響力がある組織とも言える。

 

そしてキョウヤは以前スマホロトムが話した『組長』という言葉と『ワビ組』という組織名に繋がりがある事を察したのか、その関係性からタチバナの役職を推察した。

 

 

「ワビ組‥そして組長‥まさかタチバナさんはその組織のボス‥‥?」

 

「せや、カントー、ジョウト、アローラ三地方の覇者にして裏社会最大にして最強の組織がワビ組や。規模はサビ組のおよそ200倍やな。その組織を率いるのが組長と呼ばれる大頭‥‥つまりはタチバナさんや。」

 

 

 

「に、にひゃく‥!?」

「規模が違いすぎるよぉ‥」

「タチバナさん‥そんな大物だったんだね」

「!想像以上ですね‥」

 

 

 

キョウヤの推察を肯定しながらワビ組の組織規模を説明するカラスバ。ワビ組の組織的規模に驚きを隠せずMZ団一同は驚愕の表情を浮かべていた。

 

サビ組の200倍もの兵力差や三つの地方を股にかける超巨大組織の長がタチバナなのだ。

まさに予想の遥か上を超えた超大物である。

一同が驚き言葉が失う中、カラスバは寄り添う様に淡々と言葉を発していく。

 

 

「驚くんも無理ない話や。あの人はお忍びでミアレに来たんや。正体が露見すると色々とマズイ、有名人は大変やからなぁ」

 

「それだけの組織の長ならあれだけお金があるのは納得だし。それにしてもワビ組か‥」

 

「頑なに自分の事を話さないミステリアスさからして只者じゃないなって思ったけどまさか本職さんだったんなんて‥‥」

 

「あの見事な刺繍のキナガシも言われてみればその筋の方が身に付けるに相応しい威厳もあります。それだけの組織規模であれば資金力も相応な筈‥納得しました。」

 

「じゃあカラスバさんがタチバナさんに対して丁寧なのはそれも関係あると?」

 

 

MZ団一同はそれぞれの思いを述べる。彼は裏社会の頂点に位置する男だ。王たる器が身に付ける衣服や考え方に資金力はずば抜けている。

 

キョウヤはカラスバにそれほどの力を有する男であるから逆らえないのかと直球に尋ねるとカラスバは事実である事を認め、言葉を紡ぐ。

 

 

「あの方は裏社会の王と呼ばれる程の力を有しとるんや。せやからあの方に手を出したら報復でサビ組どころかミアレが火の海になる。ワビ組の実力は天下一やから俺らはあの人に無用な手出しはできひんのや、わかったか?」

 

「ひ、火の海!?」

 

 

ワビ組とサビ組の組織力は火を見るよりも明らかだ。そんな組織と抗争にでもなればミアレは戦火に巻き込まれ街が消滅する。それほどの力の差がある。

 

暴走メガシンカよりも遥かに恐ろしい最悪の展開を想像し、皆冷や汗が止まらなかった。まさに生きた心地がしないとはこの事か。

 

そんな中、デウロはカラスバに確認をする様にカタカタと口を震わせ、まるで身に迫る恐怖を押し殺す様に言葉を紡いだ。

 

 

「‥‥ちょっと待って。じゃあ、あの借金問題って下手したらワビ組とサビ組で全面戦争になってたって事!?」

 

「可能性はあったな。今思い返しても冷や汗もんや‥ホンマにあの方が穏健な方でよかったわ」

 

 

デウロが発した驚愕の事実を肯定するカラスバ。

それこそが最悪の展開にしてミアレの終末。もしもサビ組の事務所を訪ねたタチバナと事を構えていたら、ワビ組とサビ組との間で全面戦争が勃発していたのだ

 

カラスバも思わず弱音を吐く程にあの状況はサビ組滅亡の危機でもあったのだ。

 

サビ組を束ねるカラスバですら畏怖する組長ことタチバナ。MZ団はそんな大物と今まで接していたのだ。

 

デウロとピュールは恐れ多い気持ちになり、今までの非礼を詫びるべきかとも考えていた。

しかしタウニーとキョウヤはそんな事など思ってもいないのか二人して思考に耽る。慌てる様子も無く思った疑問をまずタウニーが口にした。

 

 

 

「でも、何でそんな大物でもあるタチバナさんはミアレに来たの?観光で来たって言うのは嘘なのかな?」

 

「いや、そんな事ないさ。あの人は本当に楽しんでいる様子だったよ。ね?デウロ。」

 

「う、うん、何度かカフェ巡り行って楽しかっ‥‥

ええと楽しそうにしてたし、嘘じゃないと思うよタウニー」

 

「‥‥ワビ組の仕事も関係あるのでしょうか?」

 

 

 

タウニーとキョウヤが気にする様子も見せずただ疑問に感じた事を口にした。デウロは呆気にとられたがキョウヤの言葉に咄嗟に返事をした。

 

二人の空気感にデウロとピュールは飲まれたのか、タチバナがミアレを訪れた目的が何なのかを考察する。それを見ていたカラスバは咳払いするとゆっくりと言葉を発した。

 

 

「あの方は組長という立場を捨ててミアレに来とるんや、ある目的の為にな」

 

「目的?それが前にタチバナさんが言っていた探し人って事なのかな?」

 

「‥!タウニー、お前知っとったんか?」

 

 

タウニーが話した内容に目を見開いたカラスバはそのまま質問を質問で返した。

少なくとも探し人がいる事をMZ団は知っている様だ。タウニーはカラスバからの問いに対して、言葉を選びながらゆっくりと説明していく。

 

 

「はい、以前タチバナさんがポロッと呟いたのを聞いたんです。女性を探しているらしいけど何でマチエールさんに依頼しないか疑問に思ってて‥

それにマチエールさんの話をしたら懐かしがってたし‥まだ理由がわからないんです。」

 

 

やはり、タウニーをはじめMZ団は探し人がいる事は知っているがそれが誰なのかは知らない様子だ。

そして探し人を求める目的はおろかミアレ一の名探偵マチエールに依頼しない理由も同様に。

 

カラスバは彼が探し求めた人物こそがマチエールであり彼女を守る為にミアレに来た事を知っている。

彼が懐かしがっていたのは在りし日の幼き妹の面影をその時思い出していたのか。

だが今この場で明かす事はしない。カラスバはタウニー達を一瞥すると言葉を紡ぐ。

 

 

「‥‥あの人にも事情があるんや、それこそ人には言えん事情がな」

 

 

まるで察してくれと言わんばかりの重たい空気にMZ団は何も言えずに息を呑む。これ以上の詮索は彼が望むものではないと言わんばかりに。

 

だがタウニーは違った。

その重たい空気をものともせずに純粋な疑問をカラスバに投げかけた。

 

 

「‥じゃあカラスバさんはタチバナさんが何でマチエールさんに依頼しないのか知っているんですか?

あと探し人の事も‥」

 

「ああ、知ってるで。‥せやけどこれはあの人のプライベートいや過去を詮索する事になる。それだけは深掘りするのはあかん。人として道義に反するからな。」

 

 

ここで無神経にタチバナの事を詮索したのならカラスバはタウニーを睨みつけていたのかもしれない。

しかしタウニーはここは踏み込むべきだと判断した。彼の事を知る事で何か力になろうとする強い意志が瞳に宿り、それがカラスバの眼に映し出されたからだ。

 

彼女は嫌われ役を買ってでも前に進もうとした。

その覚悟を認めカラスバは諭す様に言葉を発したのだ

 

 

「‥‥」

 

 

彼の力になれるかもしれないとカラスバに聞いたが何も得られずタウニーは肩を落とした。

そんな姿を見て不憫に思ったのかカラスバはタウニーの側に近寄ると囁く様に口を動かした。

 

 

「気になるんはわかるで。けどな人には言えない秘密っちゅうんが必ずあるんや、勿論あの方にもな」

 

「確実に言えることはあの方はお前達MZ団を誰よりも大事に思うとることや。お前の気持ちも汲んでくれとる。あの方は決してお前達を見捨てる様なことはせえへんよ」

 

「‥‥!」

 

 

カラスバの言葉に顔をあげるタウニー。

彼は立場が変わってもMZ団の味方であるのだ。それを聞きMZ団メンバーも安堵する様に息をついた。

それを見たカラスバは人差し指で眼鏡をあげて言葉を紡ぐ。

 

 

「繰り返しになるが、あの方が倒れるんはオレもお前らも望まん筈や。オレらは身を粉にしてあの人を守る。サビ組のメンツにかけてあの方、そして妹さんでもある━━━」

 

「‥妹さん?タチバナさんの?」

 

「‥‥いや、なんでもあらへん。忘れてくれや」

 

 

カラスバが不意に漏らした妹という言葉に咄嗟に反応したキョウヤ。その事に気づくとカラスバは言葉を濁すが彼ら彼女たちは、その事を新たな謎として捉えカラスバに詰め寄ろうとする。

 

しかし詰め寄ろうとしたその時、ホテルZの玄関口が突如開き大柄のスーツ姿の男が姿を現した。

 

 

「カラスバ様、お迎えにあがりました。」

 

「ジプソ、遅かったやないか。‥‥なんや、今日はやけに気合い入っとるやんけ」

 

 

現れたのはサビ組のジプソ、カラスバの右腕だ。

普段着用しているスーツよりも上物なのか、シワや汚れが全く見られない。普段とは違う緊張漂う雰囲気にカラスバも困惑気味であった。

 

 

「あ、いえ。組長様とお会いするかと思い服装に不備が無いか念入りにチェックをしておりました。」

 

「‥ま、ええわ。それじゃあ世話になりましたなホテルZの皆さま。また今後ともよろしく頼むで?」

 

 

ジプソは気合を入れて服装と髪型を正したがその組長たるタチバナはこの場にいない。

眉を下げて残念な表情を浮かべるジプソであったが、カラスバは気にせずMZ団一同に別れを告げるとその場を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてホテルZから離れて人気の無い路地裏に入るとジプソはカラスバに対して言葉を紡いだ。

 

 

「カラスバ様、組長様に挨拶はできましたか?」

 

「せやな上々やったで、近くで接すると裏社会の王とは思えん程の温厚さやったわ。改めて思うとあの方は裏社会に向いてへんのやもなぁ」

 

 

カラスバは思い返す様に言葉を返した。

彼は情に厚く、仁義を重んずる。それ故妹たるマチエールを大事に思っている。人間としては誇れるものだが裏社会の常識とは全く異なる。

 

裏社会は食うか食われるかの世界だ。

家族であってもそれを利用して見殺しにする事も厭わない。そうでもしないとこの世界では生き残れないからだ。

しかし彼は違った。遠く離れた家族を想い、外道に落ちずに己の美学をひたすらに進み続ける。

 

まるで表の世界に生きる人間そのものだ。

カラスバは彼に挨拶をする前、壁越しに聞こえたある会話を思い返していた。

 

 

 

『まあ仕方なかったという奴だ。俺はそもそもこんな組織を作る気はなかった。やらなくてはならなかったんだ‥!』

 

 

 

タチバナはあの時、まるで悔いる様に話していた。

彼はワビ組という組織を元々作る気はなかったのだ。

 

おそらく彼は遠い異国の地に住むマチエールを思い、日々を過ごしたはずだ。ただ兄と妹、家族として生きる為にどうすべきかを考えていた。

引き離されたからこそ強まる兄妹の絆というべきか。

 

彼はミアレで生まれたがロケット団に攫われロケットチルドレンとして生きざるを得なくなった。

つまり裏の世界でしか生きられない。そんな彼が考えだしたのが裏社会の統一。

彼は自分の持つロケットチルドレンという一種の箔を使ってのし上がった。

 

凄惨たる計画の被験者でもあるのならばその力に恐れをなし、あのロケット団の関係者ならばと裏社会の支配者として受け入れられ正当性が生まれる。それを彼は利用したのだ。

 

裏社会を平定してマチエールに少しでも危険が及ばないように手を回す事がその目的。つまりワビ組はその副産物である。

 

だがそれと引き換えに彼は表立ってマチエールと会う事が叶わなくなった。裏社会の王の妹であるならばその身を狙う者がいるからだ。

 

何という純粋な動機なのだろう。

支配欲や欲望に溺れた訳ではない。そこにあるのは家族への無償の愛。それ故に彼は裏社会という混沌極まる世界に向いておらず、カタギとなってマチエールとタチバナの兄妹二人でひっそりと暮らす方が幸せなのだとカラスバは呟いた。

 

その一言を耳にしたジプソは目を見開きそのまま言葉を紡いでいく。

 

 

「え?あの組長様が?‥これはとんだご冗談を」

 

 

カラスバの言葉を緊張をほぐす為の冗談と受け取ったのか軽く流すジプソ。

カラスバは疲れていたのか眼鏡を外してハンカチで目元を拭うとジプソに向き直る。

 

 

「‥‥せやな、オレとした事が冗談が過ぎたわ。

戻るでジプソ。」

 

「はい、カラスバ様。」

 

 

カラスバとジプソはそのまま路地裏の影へと消えていく。裏社会の王たるタチバナもまた一人の人間であった。

 

 

 

引退を決意するワビ組の組長タチバナ。

 

ここから裏社会の歴史は大きく変わり、時代は次世代へと繋がっていくのだ。

 

 

 

 

 




主人公(タチバナ)‥スジモン業から引退という体で退けば、カタギになれるんじゃね?と考えたが無理だった。スジモン業から抜け出したい欲が強まりママキャラに甘えたい欲がつい爆発した。それほどまでにストレスが溜まっている。

カラスバ‥壁越しで話の内容を聞いて絶賛勘違い中。タチバナと接する事が増えて、人となりがわかってきたので以前よりか緊張は減ったが引退の件やら暴走メガシンカやらの問題を知り、更に胃痛は拡大する。

ジプソ‥超超超超憧れのワビ組の組長と会えるかも!といつもより100割り増しでスーツと髪型に気合い入れてめちゃくちゃ緊張しながらホテルZに行ったが会えなかった。無礼があってはならないと基本カラスバが対応していたので、まだ自己紹介すらしていない。

MZ団一同‥タチバナがワビ組の組長である事を知り今後どう接すればいいか悩み気まずく思っていたが、タウニーがいつも通りでいいっしょ?だってタチバナさんだし!と言った事で皆ちょっとは吹っ切れたとか。さすがリーダーだが気まずさが消えた訳ではない


ジャンヌちゃん‥タチバナが熱を入れてるミアレジェンヌの一人。本編には登場しない完全なるモブでアパレル店員さんのミアレ美女。
タチバナの着流しに興味を持ったのがきっかけで話をする様になり定期的に会う仲へと発展。
タチバナに好印象を抱いているが年下のショタ好きなのでタチバナは恋愛対象外である。
つまり脈なしですお疲れ様でした。まあそもそも彼女はカタギなのでタチバナとくっつく事は無いだろう。あくまで遊び(健全)の仲です残念。





おまけ

補足という名の蛇足?

ちなみにルザミーネは組長を愛娘の師として敬っているがロケットチルドレンの呪いで寿命を縮められても尚恨み言を言わずに裏社会の闇を一身に背負う悲しき男として見ている。当然勘違いです。
目を離すとどこかへ消え去りそうな儚さといつ倒れてもおかしく無い脆さを合わせ持つ組長はルザミーネからすると庇護対象でもある為、弱音を吐き出したりでもすればそれを受け止めて甘やかす気満々である。
さすがマザービースト。
ちなみにウツロイドの毒が残っていたらそれが暴走して組長を冷凍保存する可能性があったかもしれない。まあ、それ位やらないと組長の下心は治らないかもねしらんけど。





ゲーム本編の違い

・組長のポケモン達の活躍で各ワイルドゾーンを順番にナワバリにしていくので物語後半になるに従いゾーンのポケモンが人を襲わなくなる。終盤になるとかなり大人しくなるので終盤まで進めてから捕まえるのも手である。その為17番ワイルドゾーンのカエンジシ達の群れもスピアーが来るとビビり散らかすので着実にワイルドゾーンのシマは拡大している。

・カラスバが一泊して帰るときにタチバナの素性を明かす。この世界線のプレイヤーはここでタチバナがワビ組の組長である事を知るが、BW2から伏線事態は張られていたのでこの世界線では14年越しの伏線回収という事になる。考察勢もびっくりだね。


以下それらしきセリフ

BW2

プラズマ団(黒い方)したっばセリフ
「くそ! せんぷくさきの ジョウトで いたいめに あって やっとの おもいで かえって
きたってのに ここでも やられるのかよ!」

プラズマ団(N派)したっぱセリフ
※ジョウト進出編に出た新人若衆スジモン
「じつは おれ 3ねんまえに せけんのめが 
こわくて ジョウトに にげたんです。
でもそこで せなかを おしてくれた ひとがいた
そのかたの‥‥くみちょうの おかげで 
いまがあるんです。」


N(BW2主人公を見て)
「キミは とても いいめを しているね。
とおい あのちで みた かれを おもいだす」

「いつか モンスターボールが なくても ひとと
ポケモンが きょうぞん できる せかいを 
つくるさ あのトレーナーが ボクをかえ
おうたる かれが しめした ありのままの
うつくしい せかいを じつげん してみせる!」



SM

モブ少女
「あなたは カントーから きたんだね じゃあ 
ワビぐみって しってる? とっても こわい 
ひとたちって いうけど ほんとうなのかな?」

モブ少年
「2ねんまえ ジョウトで ワビぐみって そしきと
プラズマだんって やつらが たたかったんだって! 
シマあらそいって いってたけど しまめぐり
みたいなもの なのかな?」


USUMは平行世界の為、ワビ組は存在せず。



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