ペルソナxPERSONA~Minds that Cross Time~   作:比例文

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初めまして、比例文と申します。これが初投稿となります。

あらすじにもある通り、ペルソナ1~5のクロスオーバー作品となります。

登場キャラは主に異聞録、2罪罰(PS)、P3P、4(無印)、5(無印)
どの作品も最後にプレイしたのはかなり昔のため、口調や呼び方等に間違いなどありましたら
ご指摘いただけると幸いです。アドバイスもぜひお願いいたします。



序章

 普遍的無意識の世界で、フィレモンとニャルラトホテプが対話していた。

『どう思うかな、フィレモン』

『何をだ?』

『近年のペルソナ使いの弱体化について、だよ。周防達哉に並ぶ超人、未だ現れず。ペルソナ使いそのものも弱体の一途を辿っている』

『私はただ与え、見守るだけだ』

『ふん……お前がそのスタンスを崩さんから、私が動かねばならんと言うのにな?』

 ニャルラトホテプが指を鳴らすと、床からフィレモンの従者イゴールに瓜二つの男が現れた。

 名はヤルダバオト。かつて二人の少年にペルソナを与え、神を騙った偽神である。

 

『イゴールの姿を取らせる必要はあったのか』

『あの図体で入ってこられても困るだろう?』

 フィレモンの問いにニャルラトホテプが返す。この空間は彼らの領域。大きさも姿もどうとでもなるが、単純にニャルラトホテプの趣味だろう。

「こ、ここはどこだ……私は……」

『ようこそ、デク人形』

『ここは意識と無意識の狭間にある場所』

「で、デク人形だと……貴様ら、誰に向かってものを……」

 困惑しながらも二人の答えを聞いたヤルダバオトは憤りながら立ち上がる。

『自らの存在理由どころか創造主すら忘れたか。哀れなものだ』

 強気な態度に反して、足元がおぼつかない様子のヤルダバオトをニャルラトホテプが嘲笑う。相変わらずの自身の半身を横目で見ながら、フィレモンが口を開いた。

『事実だ。君は人類への新たな試練として、我々が互いの力を折半して作り上げた存在だ』

『ベルベットルームの占拠も、フィレモンが手を貸してやっていただけに過ぎん』

「馬鹿な! 我は神だぞ! 創造主など……」

 逆上する様を見て、愉悦そのものの表情でニャルラトホテプが指を鳴らす。その瞬間、ヤルダバオトの下半身が爆ぜた。激痛に悲鳴を上げのたうち回る“神”に、影が呆れたように声をかける。

『矛盾だな。神と嘯くなら、なぜそのような醜態をさらしているのだ?私はただ、指を鳴らしてやっただけだぞ』

「お、ォォォ……!」

『我々は、わざと君を不完全に作り上げた。ペルソナを与えられる機会を限定し

 以降のペルソナ付与・抹消・合体の力も与えなかった』

『だからこそ、お前はイゴールの従者を分割してまで自分の手元に残していたわけだ。自分の力を自由に扱えない矛盾にも気付かんとは、間の抜けた神も居たものだな』

「馬鹿な……馬鹿な……」

 茫然自失となっている“偽神”に構いもせず、ニャルラトホテプは続ける。

『そして、ここからが本題だ。我らとて、このようなことを言うために貴様を普遍的無意識の海から引き揚げたわけではない』

『新たな試練に、君の存在が必要なのだ』

『もう一度、願いの受け皿に戻るがいい。愚かな偽神よ』

 黒い影が、かつて神を騙った存在を飲み込んだ。

 

 ● ● ●

 

 とあるSNSにて、このような会話が行われていた。

 

『またメジエドが悪さしたんだって?』

『今度は某社のサーバーを落としたらしいよ』

『友達があそこで働いてんだけどさ、これじゃ仕事にならないって頭抱えてたよ』

『いいじゃん、仕事サボれたんだしw』

『w』

『いやいや。当事者からしたら迷惑この上ないよ』

『メジエドって誰が作ったんだろう?』

『どうせ陰湿で性格悪い奴だよ』

『性格悪いって、具体的には?』

『知るかよw』

『カルト宗教と繋がってるとか?』

『どんな奴だろう』

『やっぱり悪のカリスマ的な、大物感溢れるオッサンとか』

『パソコン使いこなすんだし、若い奴じゃないか』

『実は天才美少女と見た』

『夢見すぎ。女だとしてもオバサンだろ』

『どうせ夢見るならロボットとかAIとかどうかな!?』

『何がだよw』

『日本人じゃないんじゃない? 外人とか』

『実は警官だったりして』

『迂闊なことを言うなよ。怒って戻ってくるかもしれないぞ』

『次の標的は俺たちかも』

 

【メジエドの創始者はとんでもない悪人らしい】

【今まで誰にも尻尾を掴ませなかった、世界屈指のハッカーらしい】

【カルト宗教ともつながりがあるらしい】

【今は沈黙しているが、俺たちの行動もどこかから監視しているかもしれない】

 

 ところ変わって、秀尽学園。生徒たちが話をしている。

「そういえば最近、例の転校生見かけないよね」

「知らないの? なんか再犯して少年院入ったって噂だよ」

「えー、うそぉ! 何やったの?」

「さぁ……わかんない。でも少年院行きってよっぽどだよね」

「やっぱり喧嘩とか……」

「喧嘩で少年院とかありえんの?」

「……じゃあ、殺人?」

「…………まっさかぁ」

「そんなことよりさ、最近話題になってる宗教……えっと、願いを叶えてくれるんだっけ?」

「ああ、運命の教団だっけ? 教祖に頼むと悪い運命を良い運命に変えてくれるとか何とか」

「俺は願いを叶えてくれるって聞いたな。友達はそれで野球部のエースになったって言ってた」

「マジで?」

 

【前科者の転校生が殺人を犯して少年院に入ったらしい】

【運命の教団の教祖に願えば、望みを叶えてくれるらしい】

 

 

 ──"向こう側"の珠閒瑠市。

 街一つを残し世界が破滅した後の街には、イデアリアンで溢れていた。一切の悩みも苦しみもないと言うと聞こえは良いが、実態は悩み苦しむほどの理性や思考能力を失った名状しがたい外見の怪物である。達哉がイデアリアンにならなかった数少ない人々と共に生き延びることができているのは"こちら側"の南条たちがあらかじめ流してくれていた噂のおかげというから、皮肉なものだ。

 

達哉が戦い抜いて疲れ切った体を壁に預け目を閉じると、いつの間にか鳥籠を思わせる建造物の真ん中に立っていた。柱の隙間から見える外には宇宙を思わせる空間が広がっており、周囲に漂う悍ましい気配には覚えがあった。

「…………何の用だ」

 虚空を睨み、"この部屋の主"に話しかける。

『そう怖い顔をするな』

 そう言って現れたのは、達哉の親友の父そっくりの姿をとった普遍的無意識の影、ニャルラトホテプ。

『冷たいな。お前をここまで成長させたのは私だというのに』

「勝手に言っていろ」

『この程度では揺らぎもしないか』

 男は愉快そうに笑う。"向こう側"で達哉と大人たちに倒され、普遍的無意識の底に沈んだはずだったが、そんな事はまるで無かったかのよう。とはいえ元より超常的な存在。何があろうと今更驚くことはない。

「随分と早い復活だな」

『クック……いかに不滅の存在でも、一度敗北した者がそう簡単に復活することはできんよ。私はお前の言う【ヤツ】とはまた別の化身。本体を気取った愚かな影は、まだ普遍的無意識の海の底に眠っている』

「何をしにきた」

『"向こう側"で大きな催しを行うことになったのでな。ぜひ、お前にも来てもらいたいのだよ』

 また、ろくでもないことを考えている。そもそも、こいつの考えることに良いことなど何一つとしてないのだが。しかし、達哉に受けて立つ以外の選択肢はない。もう二度と背中を見せないと決めたのだから。

「……連れていけ」

『いい返事だ。それでは今再び、ご入場願おう。今回はその身体ごと、な』

 その声と共に、少年は光に包まれた。

 

 そして、現世ではないどこかで。

 

 ──生に意味などないと知るがいい! 

「(……そうだろうか)」

 ──答えなど、どこにもないと泣くがいい! 

「(俺は答えを導いたはずだ)」

『本当か?』

 希釈された意識の中に、昏い何かが波紋のように広がり伝わる。

『己が命の価値を理解しない者が、命の答えを導く……矛盾しているではないか』

「(矛盾……?)」

『君に再び、機会を与えよう』

 今度は違う声。そんなのいらない、どうでもいい。思いつつも心がわずかに揺れる。

『どうやら、君の心はそう思っていないようだ』

『フィレモンに感謝するのだな。私が人間に機会を与えることはそうそう無いぞ?』

「(フィレ……なに?)」

 光と闇の奔流が、意識を押し流す。押し流された"彼"の意識は絡み合い収束し、その場から消えた。

『代わりの人柱が必要だな』

『ククク……案ずるな、すでに見繕ってある』

"光"の呟きに、くつくつと笑いながら"影"が答えた。




最後までお読みいただきありがとうございます。いきなり場面移動が多くて申し訳ない…
ここからぼちぼち投稿してまいりますので、なにとぞお付き合いをいただければ幸いです
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