ペルソナxPERSONA~Minds that Cross Time~ 作:比例文
他ナンバリングキャラとのクロスまでしばらくお待ちください…
不思議な夢
最近、悍ましい夢を見る。黒い無数の手が、自分を捕まえようと追ってくるのだ。
必死に逃げて、逃げて。やがてその先に仲間たちと光を見つけ手を伸ばすと、彼らが自分を光に引き入れてくれる。
『自らの罪を忘れたまま、まだ逃げるのか』
『罪には、罰を与えねばならん……』
この恐ろしい声を最後に、黒い手は消えて、夢から覚める。しかし、今日の夢は、その夢とは少し違っていた。──目の前に、蝶の仮面を被り白いスーツを着た男が立っていた。
『お初にお目にかかる……私はフィレモン。意識と無意識の狭間に住む者』
『君には、イゴールの主と言った方がわかりやすいかもしれないな』
「イゴールの、主……」
『先の戦いにおいてイゴールとその従者を救ってくれたこと、感謝する』
「それで、そのフィレモンが俺に何の用だ?」
『大きな悪意が、君たちを……君たちの世界を飲み込まんと暗躍している』
「大きな悪意……?」
『敵は強大だが、君たちを助ける者が必ず現れる。彼らと協力し、この世界を救うのだ……』
「敵? 助ける者? 一体どういう……」
『悪意は、もうすでに動き出している……私は僅かな手助けをすることしかできない……無力を許してほしい』
「何の話をしているんだ。もっと詳しく……」
『時間がない。すでに東京は、噂が現実となる異界と化している……』
「待て、行くな! 話を──」
『さあ、目覚めるのだ……』
その言葉を最後に、長く続いた奇妙な夢は終わりを告げ。少年とその仲間たちは夢よりもなお奇妙で悍ましい現実に直面することとなる。
奇妙な夢から目覚めた来栖暁がまず感じたのが、腹部の圧迫感だった。原因はすぐにわかった。猫が腹に乗っかってこちらを見ている。自分の相棒で、表向きには飼い猫ということになっているモルガナだった。
「アキラ、お前も見たか?」
モルガナはこちらの目覚めに気付くと、ずいと顔を寄せて聞いてきた。
「見たかって……」
「夢だよ、夢! あのお方……フィレモン様の夢だ!」
フィレモン。夢に出てきた男の名前だ。
「まさか、モナも同じ夢を見たのか?」
「ああ! ワガハイにはわかる。間違いなく本物だ。あのお方が警告するなんて絶対ヤバい……」
イゴールの上司ということは、モルガナからすれば上司の更に上にあたる存在といえる。この様子を見るに、彼にだけわかる何かがあるのだろう。
「ともかく、みんなに連絡してみよう」
モルガナが同じ夢を見たということは、同じくペルソナ使いである友人たちも同じ夢を見たかもしれない。彼らに連絡すべく、暁は枕元に置いたスマホを手に取った。
「見た見た! あたしも見た!」
その後仲間たちに連絡を入れ身支度を済ませて一階に降りた二人のもとにやってきたのは、居候先の家の娘である佐倉双葉だ。家が近いのでメッセージより直接やり取りした方が早いと思ったのだろう。
「あの夢、双葉も見たのか?」
「ああ! 白いスーツと仮面の、やたらと肩幅がでかいおっさんの夢!」
「肩幅は別に関係ないんじゃないか……?」
興奮気味に話す双葉にモルガナが小さくツッコミを入れたあと、暁に顔を向けた。
「アキラ、他のメンバーから連絡は?」
「ビンゴだ。みんな同じ夢を見たらしい」
スマホの画面を確認すると、予想通り全員同じ夢を見たというメッセージが届いていた。ルブランに集合しようと送信すると、すぐに了解の返事が届いた。