ペルソナxPERSONA~Minds that Cross Time~   作:比例文

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①~⑤まではペルソナ使いたちが合流する前の時間軸です。⑥は……


影の小話(一部台本形式)

 ①『運命の教団にて』

 

 ネオ・デヴァシステム起動からしばらく経って、運命の教団本部の幹部用エリアにて。

「やあ、鷹取。お疲れ様」

 偽暁が、セベクに『貸し出されていた』男に挨拶する。“運命の教団”技術顧問、鷹取神久──神取鷹久と、眼帯をつけた彼のボディガード、明智吾郎だ。

「ここに筆頭幹部がお目見えとは珍しいな」

「教主様に連絡と調整をね。宣伝部長はどうしたの?」

「総理の相手だよ。変人には変人を、だ」

「クッ……彼女の力は運命を、未来を操るもの。20年も前の託宣とやらの成就ができるわけがないのにな」

 嘲笑う偽暁を見て、神取は自嘲気味に笑みを浮かべる。

「やはり、その顔をしている方が"らしい"な。そもそもあの教師の中身を<向こう側>にすげ変えたのはお前だろう?」

「それをやったのは俺じゃない。長い付き合いなんだから、見分けくらいつけて欲しいな」

「無茶を言う。いい加減、私も休みたいのだが……有給休暇でもいただけないものかな」

 軽口を叩く神取を初めて見たらしく、明智が驚く。

「その方が無茶だ。あんなものを作って名を売った以上、しばらく休暇はないよ」

「因果は巡る、か。……さて」

 一通り世間話を終えて、神取は明智とともに外へ歩みを向ける。

「どこに行くんだ?」

「ひと仕事終わったんだ。サラリーマンらしく後輩と食事に行くのさ」

 明智がつい吹き出すのを見て、神取もくすりと笑った。

「……ま、いいさ。親睦を深めるに越したことはない」

「ついでに忠告しよう。女遊びもいいが、本命は一人に絞っておけ。殺されても知らんぞ」

 明智が今度こそ笑う。偽暁も苦笑した。

「せいぜい気をつけるよ」

 

 ②『ランチタイム』

 

 ──東京、ピースダイナー

 神取「こういった昼食もたまには良いものだろう、明智くん?」

 明智「悪くないですね。鷹取……いえ、神取さんもよく来るんですか?」

 神取「いいや。あまりこういうところには縁が無かった。そういう意味では、少し楽しいな」

 明智「前から思っていたんですが……世紀の大悪党だと思ってたのに、意外と気さくな方なんですね」

 神取「現世の余計なしがらみが消えたからかな。あと、奴との付き合いにも慣れてきた」

 明智「奴は、今度は教祖に何をさせてるんです?」

 神取「『メー』の取材を受けるという話だな」

 明智「オカルト雑誌じゃないですか。なんでそんなもの……」

 神取「それが意外とバカにならないようでね」

 明智「それで、本題は何です?」

 神取「君のスタンスが知りたくてね。私はもはや影の傀儡だが、君は光がまだ少しだけ残っている」

 明智「僕は僕ですよ、神取さん。強いて言えば……今度こそ、トリックスターになりたい。……でも、なんで僕には光が残っているんでしょうね」

 神取「ヤルダバオトは、奴と奴の半身が力を折半して作った舞台装置だそうだ。そのせいだろうな。……それにしてもトリックスターか、道は険しいぞ?」

 明智「承知の上ですよ」

 

 

 ③『転校生からメジエドへ』

 

『教団の転校生より創始者メジエドへ。邪魔者の足止めを求む』

『そーいうカタい文章はやめようぜえ、"教団のジョーカー"。教団の支持者は使えねーの?』

『今のままでは使い物にならない。しかし、せっかく分断したのに簡単に合流されては困る』

『仕方ないなぁ。了解』

 

 偽の暁からメッセージを受け取った人物は、5台の大型コンピュータに接続された多数のモニターを前にほくそ笑む。

「ま、すでに世論はもう私の手のひらの上。人形には踊ってもらわなきゃなぁ……!」

 自衛隊のデータベースに侵入して情報を抜き、それをかねてから抱き込んでいた記者に情報をリーク。

 適当な都心の巨大モニタをハッキングし、派手にメジエドの犯行を披露する。

「ちょっと火をくべてやるだけで勝手に大火事になってくれるんだから、SNSってのは便利だねえ」

 

『我らはメジエド。腐敗した社会に反逆する者。自衛隊から奪った機体はすでに同志へと引き渡した』

 

 翌日の新聞やテレビでは、このようなニュースが報道された。

『速報! 陸上自衛隊の機密情報が流出! ハッカー集団メジエドが犯行声明!』

『自衛隊、過去に非道な人体実験!?』

『当時の責任者、菅原元陸将は現在消息不明!』

 

 そして、程なくして噂は爆発的に広がる。

『自衛隊が過去に研究していた秘密兵器が奪われたらしい』

『当時の日本の技術の最先端技術で作られていて、現在も問題なく稼働するらしい』

 

 邪悪な笑みを浮かべ、"彼女"は呟いた

「念願の不老不死と引き換えの取り引きなのだから、安いものだろう? 菅原元陸将……ククク……」

 

 ④『集結の前、不在の番人の正体』 

 

 幾月「貴様! 七姉妹学園での番人の任務を放棄して戻ってくるとはどういうつもりだ!」

 奏「うるさいなぁ。私は私の好きに動く。あいつのパシリが命令しないで」

 幾月「キィィィ! 暗黒の王の使者よ、彼女をいかに罰すれば……!」

 偽暁「別に良いだろ。彼女はタイミングってやつを知ってるんだ。そろそろ出かけるんだろ?」

 奏「もちろん。今こそバッチリなタイミングってやつだよ。役者も揃ってる。本当はあの子の居場所がわかればよかったんだけどね」

 偽暁「あの二人は独自に動いてるからね……でも、こっちの準備も終わった。さあ、SHOWTIMEといこう!」

 

 

 ⑤『黒い神父』

 

 ──渋谷駅前

 

『──よって、この世界は間違っているのです! この世界を捨て、我らと共にミフネによって新たな世界へ!』

『さあ皆さま、闇の王、そして彼の寵愛を受けし教祖JOKER様を讃えましょう!』

 

「……なにアレ」

「見ちゃダメ。頭おかしい奴だよ」

「最近有名だぜ。服も肌も全部真っ黒だし、言ってる意味もわかんねーし……」

 

【最近、真っ黒な礼服を着た頭のおかしい神父が布教をして回っているらしい】

 

『くとぅるふ・ふたぐん にゃるらとてっぷ・つがー しゃめっしゅ しゃめっしゅ にゃるらとてっぷ・つがー くとぅるふ・ふたぐん!』

 

 

 ⑥『ある男の独白』

 

 私は、ある一介の研究者だった。だが、十年前のあの事故で私は闇の王を見た。その後、桐条の悪魔どもに一方的に糾弾される中でも王は私に優しかったのだ。

『桐条鴻悦亡き今、お前こそが闇の王子となる存在だ』

『お前を受け入れぬ偽りの世界に滅びをもたらし、新世界の王になるのだ』

 バッシングの嵐に気が狂いそうになり絶望する私の真の望みを王は読み当て、英知を授けてくださった。

「今度こそ……今度こそ、私は闇の王子になるのだ……!」

 死の神の名を冠する塔の中で、私は自らを奮い立たせた。おそらく、憎き奴らもここに来る。復讐の時は今だ。

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