ペルソナxPERSONA~Minds that Cross Time~   作:比例文

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まだもうちょっと続きます…もう少しお付き合いをば。


ヒュプノスの塔③最上階の激戦

 七階まで登りぬいた暁たちを待っていたのは、ボロボロになった尚也たちだった。

「尚也! いちおう無事みたいだな!」

「X-1がウジャウジャ居て……だいぶ苦戦させられたけど回復は済ませてある。ところで、佐倉が居ないみたいだけど……」

「六階でシャドウに連れ去られた。最上階……ここに居るはずだ」

「急ごう!」

 

 ● ● ●

 

「う……」

 双葉は、氷の柱に手足を縛られている状態で目を覚ました。

『もう起きたか』

『ひひひ、寝心地はどうかな?』

 シャドウ双葉、シャドウ暁、そして椅子にはサングラスをかけた中年の男──神取と、そばに控える明智の姿があった。双葉は驚いたが、まず二人のシャドウに目を向ける。

「最悪。つーか手足縛られて快眠なんてできねーっつの」

『自分ながら、ほんとナマイキ。状況わかってんの?』

「けっ。あたしがどーなろうが、お前らが暁たちに成敗されるのは変わんないからな!」

『威勢が良くて結構だ。……さて、俺もそろそろミフネの準備に行かないと』

『え、もう行っちゃうの?』

「ごめんな。今回はこれで勘弁してくれ」

 申し訳なさそうな顔をしたシャドウ暁が、残念がるシャドウ双葉にキスをする。

『……じゃ、許す』

『良い子だ』

 シャドウ暁がシャドウ双葉の頭を撫でた。満足そうに笑う二人を見て、双葉は渋面を作る。そんな双葉をニヤついた顔で見ながら、シャドウ暁は闇の中へ姿を消した。

「見せ付けやがって。リア充爆発しろ今すぐ爆発しろ」

『嫉妬かな? だよなぁ、怪盗団なくなって、愛しの暁の役に立てなくなったもんなぁ。その点、あたしはこうして役に立ってる。頭も撫でてもらえて、キスだってしてくれるんだ』

「…………ッ!」

『もっと、もっと役に立てば……それ以上のことだってしてくれるはずさ。ただの庇護対象に過ぎなくなったお前と違ってな』

「ふざけんな……暁は……そんなんじゃ」

『嘘つくなよ。お前が暁に惚れてんの、知ってんだぞ』

「違う!」

『違わない。求めて拒絶されるのが何より怖いから、求めない。気付かないふりをしてる』

 双葉の脳裏に母に拒絶された記憶が蘇るが、すでに解決したことだと頭を振る。

『お前はエサだから殺さない。だが、お前をぶっ壊しちゃいけないなんていわれてないんだぜェ?』

 シャドウ双葉の手が双葉の頭に伸ばされた瞬間。勢いよく部屋の扉が開き、暁たちがなだれ込んだ。

「双葉!」

『意外と早く来やがったな。シャドウ春の奴、使えねえ』

「ジョーカー!」

「……ようこそ、諸君」

 ようやく出番かといった顔で、椅子に腰掛けていた神取が口を開いた。

「神取……!」

「シャドウはフタバだけか。アキラのシャドウは……?」

「残念だが、彼は特別でね。先に教主とともにミフネに向かっているよ」

『お前らなんざジョーカーの手を煩わせるまでもないんだよ! 人質だって……』

「人質? どこにそんなのがいるんだ」

『なっ……ここに居るのが見えねえの……か……?』

 シャドウ双葉の言葉が小さくなる。なぜか拘束していたはずの双葉の姿が消え、暁たちのもとに向かっていた。

『いったい誰が……!?』

「ああいう手は嫌いなんだよね」

 そう口にしたのは、いつの間にか柱のそばに移動していた明智だった。

『おい明智、なに勝手に解放してんだ。そんなのジョーカーの命令になかっただろ』

「命令? 僕は命令なんか聞かないよ。特にあのジョーカーモドキの命令なんて、死んだって受ける気はないね」

『お前、裏切るつもりか!?』

「それも違う。ジョーカー……来栖暁は僕の獲物だ」

『まあいいさ、手駒はまだ居るからな……』

 好き勝手に振る舞う明智を見てシャドウ双葉は舌打ちし、重い足音と共に部屋の影に隠れていたロンギヌスが姿を現す。胸元には4と書かれていた。

『戦局より私情を優先するとはな……愚か者、ここは戦場だぞ!』

「戦場だろうが劇場だろうが、僕はやりたいようにやるんだよ」

『ロンギヌス、お前は神取に加勢しろ。明智、ジョーカーはお前がやるんだろ?』

「ああ、もちろんだとも」

 

「神取、てめぇ……一体どういうつもりだ?」

「困ったことに、これが私の宿業というものらしい。今は言わずとも、後に語るだろうさ」

「なんだと……?」

「私も与えられた仕事があるのでね……ここで朽ちてもらうぞ!」

 神取が飄々とした仕草で玲司に答えると、武器を構える。

「そうはいかない。俺たちだって、まだやりたいことがたくさんあるんだ」

「てめぇのその宿業とやら、俺たちが祓ってやるよ。だから、とっとと成仏しな……」

 神取と尚也たち、明智と暁、暁除く怪盗団とシャドウ双葉。それぞれが対峙し、混戦が始まった。

 

 双葉は真の胸の中で震えていた。次に何を言われるのか、みんなの前で何を暴かれるのか。怖くて仕方がなかった。

「双葉、大丈夫か?」

「違う……違う……あんなのあたしじゃない……ぜんぶ嘘っぱちだ……」

「フタバ、落ち着け!」

『はははは! もっと恐れろ! 否定しろ! おかげで私はもっと大きく、強くなれる! ペルソナァ! <リバース・ネクロノミコン>!』

【禁忌の降臨】

「な、なんだぁ!?」

『ペルソナチェンジ……<ニャルラトホテプ>!』

【拡散閃影殺】!

「うおおっ!?」

「嘘だろ、敵がペルソナチェンジ!?」

「シャドウが強くなりすぎているのか……? 双葉、これ以上あいつを否定するな!」

「だ、だって……!」

 

「よそ見するなよ、ジョーカー! <ヒュプノス>……いや、<ロキ>!」

 明智の呼び声に答えてヒュプノスのペルソナが出現したと思いきや、さらにその体を引き裂いてロキが現れる。その右半身は真っ黒に染まっていた。

【レーヴァテイン】! 

「がッ……!?」

「<ゴッド・神取>……」

【不滅の黒】! 

『【ガイスティブブリッツ】!』

 シャドウ双葉、明智、神取、ロンギヌスの攻撃が次々にペルソナ使い達に襲いかかった。

「くそ、多い上につええ……!」

「竜司、杏! 尚也たちの援護を頼む! 明智と双葉は俺たちがなんとかする!」

 神取とロンギヌスを相手に苦戦している尚也達を見て、暁が指示を出す。

「お、おう! 無理すんなよ!」

「明智、全部決着がついたっていうのにまだ戦うって言うのか?」

「決着なんかついていない。今度こそ余計なしがらみのない、対等の戦いだ!」

 明智が吼え、それに応じて暁もペルソナも召喚する。

 

「<キャプテン・キッド>!」

【ゴッドハンド】! 

「<ヘカーテ>!」

【アギダイン】! 

『ぬうっ!』

 不意に痛烈な打撃と激しい火炎を受けてロンギヌスが怯む。

「坂本に高巻! あっちは大丈夫なのか?」

「大丈夫!」

「うちのリーダーの戦術眼はすげえんだぜ!」

「そりゃあ頼もしいこった!」

 自信の籠った二人の言葉に、パオフゥが笑う。

 

 一方、祐介たちはシャドウ双葉と対峙していた。

「さて……お前の相手は俺たちだ」

『へ、あたしのペルソナのほうが強いって教えてやるさァ! ペルソナ<リバース・ネクロノミコン>』

【禁忌の降臨】

「モナちゃん、私に合わせて! <カーリー>!」

「お、おう! <メルクリウス>!」

【ガルダイン】→【利剣乱舞】

「合体魔法……」

【烈 風 乱 舞】! 

 合体魔法によって強力な風を纏った斬撃の雨が吹き荒れるが、シャドウ双葉も負けじとペルソナを呼び出す。

『げへっ……ペルソナチェンジ<ニャルラトホテプ>!』

【マハザンダイン】! 

「ふぎゃ!」

 強烈な衝撃波が一同を襲い、錯乱し無防備な状態にあった双葉が直撃を受けて気絶する。

「双葉!」

「大丈夫、気絶してるだけ!」

「ねえマコちゃん、気付いた?」

 今のシャドウ双葉の挙動を見た春が囁くと、真が頷く。

「技を一度使ったら元のペルソナに戻ってるわね」

「準備を挟まないとペルソナを変えられないのかも……」

『お喋りしてる場合か? 来い、<リバース・ネクロノミコン>!』

【禁忌の降臨】

「来た!」

「モナ、合わせて! <スカアハ>!」

「またワガハイか!? <メルクリウス>!」

【ガルダイン】→【ガルダイン】

【龍 飛 天 翔】! 

『いってェが……無駄だ……そいつが私に力をくれるからな!』

 激しい疾風に晒されて苦痛に呻くも、不敵な笑みを崩すことなく意識を失った双葉を指さすシャドウ双葉。

「くそ、やっぱフタバ本人の認識をどうにかしねえと……!」

「早く目を覚まして、双葉……!」

 

 

 気絶した双葉の意識は、無意識の空間に佇んでいた。

「…………」

『あの悪意の存在の言うことを鵜呑みにするのか?』

 不意に、背後から声がかかる。双葉が振り向くと、エジプト風の衣服に身を包んだ自分──以前、自分のパレスで出会ったシャドウが居た。

「お前は……」

『あれは強大な悪意が生み出した、悪意ある影……お前であるが、お前でない……』

「イミ、わかんねー……お前だって、シャドウじゃんか……」

『わたしはお前が無数にまとう仮面の中で、お前の本質に最も近い場所に在るもの。お前のうちに眠る無意識のお前のことも知っている』

「…………」

 シャドウは語り続ける。

『奴の生み出す影は一つの真実の欠片に、十の悪意を載せて嘲笑する』

『お前は言った。真実を追うと』

『あの悪性の影が語ることのみが真実か?』

『何かを忘れてはいないか?』

『お前は……ここで終わる存在か?』

 もう一人の自分に問いかけられ、傷だらけにされた双葉の心に力が湧き上がる。

「終われない……」

『お前にあるのは"導くための力"。導くだけではない。やろうと思えば、お前が前に立ち、道をかき分け照らすことだってできる』

 そう言うと、シャドウが仮面を取り出した。仮面は青白い光を放ち、双葉の手元へと運ばれる。

「そうだ……!」

『これは真実を阻む欺瞞を打ち砕く力。そして真実を追う者たちに恵みの雨を与え、道を照らす力。これは真実と力を求め怒る、汝が仮面の一つ──』

 仮面を手にすると光がさらに強くなり、双葉の視界全てを飲み込んだ。

 

 

「…………」

 あれから何分経ったのか。双葉が目を覚ますと、自分のシャドウに苦戦する仲間たちの姿が見えた

「双葉……!?」

「意識、戻ったの?」

「起きたか。……ちょうどいい、いい加減その体寄越しな! <ニャルラトホテプ>!」

【ザンダイン】! 

 青い光を帯びた双葉は無言で立ち上がり、シャドウ双葉の衝撃波を弾く。

『なに……!?』

「あの光は……!」

「覚醒の光!」

 

 ──我は汝……汝は我……我は汝の心の海より出でしもの。

 私は、綺羅星の如く輝いて

 慈雨をもたらすティシュトリヤ……

 そちの心を生贄に、雨に命を与えよう。

 

「あたしと暁たちを導くための力を貸せ、<ティシュトリヤ>!」

【アクアダイン】! 

『ギェ……!?』

 水撃がシャドウ双葉を直撃し、怯ませる。

『新しいペルソナ……しかもこっちの力も落ちてやがる……何しやがった!?』

「自分と対話してきた!」

『自分……別のお前と!?』

「おかげで二重に目が覚めた! ありがとな、私たち! 来い、<ティシュトリヤ>!」

【アクアリータイド】! 

 激しい水の奔流に打ち倒されるシャドウ双葉だが、なおも嘲笑が消えることはない。

『ひ、ひひひ……これで終わりじゃねえぞ……お前が怯えた時、私はいつだって現れるんだ!』

「ンなこと、わかってる。ありがとな、おかげで踏ん切りがついた。あたしは恐れない……拒絶されることも、真実を知ることもな!」

 双葉の宣言とともにシャドウが消え、そのペルソナも双葉の中へと吸収される。

「これがあたしの影、重たいなぁ……でも、負けないぞ」

 

 

 明智と暁の戦いも佳境に入っていた。鍛え上げたアルセーヌと、元々強力なロキの一騎打ち。互いに満身創痍の中、最後の攻撃を仕掛ける。

「「ペルソナ!」」

【レーヴァテイン】! 

【ワンショットキル】! 

 ロキの攻撃を暁は紙一重で避け、暁のアルセーヌの放った弾丸は明智の体に命中した。

「く……!」

 膝をつく明智に向け、暁は肩で息をしながら銃を向ける。

「ホールドアップだ、明智。勝負は付いた」

「ふざけるな、僕はまだ負けを認めちゃいない……!」

「それ以上やるってんならワガハイ達が加勢するぞ、アケチ」

「モナ!」

 暁の前に集まる怪盗団たちを見て、明智は忌々しげに舌打ちする。

「足止めにもならないなんて、所詮はシャドウか……」

「明智くん、私たち全員と戦う力はもう無いでしょう? そんな決着はあなたの本意でもないはず……潔く降参して」

「そうはいかないんだよ! 僕はまだ戦える!」

 ふらふらと立ち上がろうとする明智を見て、神取が口を開いた。

「明智くん。もういい、下がりたまえ」

「でも、神取さん……!」

「トリックスターを名乗るなら引き際を心得ることだ」

 神取が叱責するように言い放ち、明智は表情を曇らせる。

「ロンギヌスも落ちた。私に力を貸してくれ」

「……わかりました。短い間でしたが、お世話になりました」

 神取の言葉を受けて明智は沈痛な面持ちで頭を下げ、腕から赤黒い色の光を神取に浴びせた。

「そうだ、それでいい。……因果の鎖を断ち切ってみせろ」

「てめぇ、何しやがった!?」

「……すぐにわかるさ」

「明智!」

 鏡の破片を置いて暗い表情で逃げていく明智を暁が追おうとするが、赤黒いオーラをまとった神取に阻まれる。

「追わせんよ」

「なんだ……!?」

 神取の身体が赤い光に包まれ、変化していく。地面から現れた巨大な黄金の観音像の頭部に神取の上半身が生え、浮遊する巨大な両手が現れる。両手のひらにはそれぞれ仮面が張り付いていて、ところどころひび割れた観音像の中からは闇に浮かぶ無数の人面がのぞいていた。

『我は神取……ゴッド神取なり』

「な、なんだありゃあ!」

「観音像……!?」

『今の私は影そのものと言っていい。だから、このようなこともできる』

「まさか、アケチの力でシャドウを暴走させたのか!?」

「そこまでして、なぜ俺たちを阻むんだ? お前は……」

『今の私は影だ。ゆえに、影としての役割を全うする……それだけだ』

 その言葉に玲司と尚也、パオフゥが憐れむような表情を向けたがすぐに思い直し、武器を構える。

『行くぞ、ペルソナ使い!』

 神取は以前とは違う理性の籠った瞳で宣言すると、ペルソナ使いたちに襲い掛かった。




別に見なくても大丈夫なペルソナおよび敵ステータス

ティシュトリヤ(改)
水撃・呪怨・神聖無効
アクアダイン アシッドレイン
癒しの調べ リフレッシュリング
アルファブラスタ アクアリータイド

ロンギヌス4
物理耐性、神聖・呪殺・精神無効、氷結弱点
MG34 ガイスティブブリッツ
ロンギヌスコピー フレイダイン
マリンカリン マハラギダイン

シャドウ双葉
呪怨・神聖・精神無効、水撃弱点
ペルソナ:リバース・ネクロノミコン、ニャルラトホテプ(異聞録版)
不滅の黒、禁忌の降臨(オリジナル技。次ターンにニャルラトホテプを降魔する)
(以下ニャルラトホテプ)
ザンダイン マハザンダイン
拡散閃影殺 メギドラオン

明智
ペルソナ:ロキ・改(異聞録版ヒュプノスの体を引き裂いて現れた、右半身が黒くなったロキ)
神聖・呪殺・呪怨・精神無効
エイガオン マハエイガオン
レーヴァテイン 至高の魔弾
ランダマイザ ディアラマ

神取
ペルソナ:ゴッド神取(観音像の残骸を纏った黒い人型。P2罰と同じ)
神聖・呪殺・精神無効
ガルダイン ジオダイン
ザンダイン 刻の車輪
不滅の黒 刹那五月雨撃
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