ペルソナxPERSONA~Minds that Cross Time~   作:比例文

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タナトスの塔おわり。きりが良いからと区切った結果、前編とだいぶボリューム差が出来てしまいました。
戦闘の頻度が多いので重要な戦闘以外はあっさり目にしてるんですが、戦闘描写なども一つ一つしっかり盛り込んだ方が良いんでしょうか?


タナトスの塔②闇に焦がれた者の末路

幾月率いる聖槍騎士たちとペルソナ使いたちの激戦はまだ続いていた。

 

「アオーン!」

【アギダイン】! 

「真田、俺とコロに合わせろォい! <モト>!」

【マグダイン】! 

「よし、<カエサル>!」

【アギダイン】→【マグダイン】→【ジオダイン】

「レッツゴゥエビバディ!」

【サンダークラッシュ】!! 

 

『本当の罪人は誰か、気付いているだろう……』

『生贄がなぜお前なのか……』

 

「まだ立ってんのかよ、しぶてえな……!」

 乱戦の中、ペルソナ使いたちは消耗しながらも合体魔法でロンギヌス二体を撃破したが、幾月はまだ立っていた。しかし、もはや戦う力は残っていないようで、体はボロボロだった。

「ま、まだだ、まだ死ねん……私は闇の王子……!」

「闇の王子、闇の王子……もう聞き飽きたよ。いい年した大人が、妄想もたいがいにしな!」

「黙れ黙れ黙れェ! ガキどもが私に生意気な口をきくなァ!」

「そうやってカンシャク起こして喚く方がよっぽど子供じゃない……」

 一喝するゆきのに対して頭を振りながら喚く幾月を、ゆかりが呆れた視線で見つめる。南条は嘆息しながら、美鶴へと視線を向けた。

「桐条、この男はどうするつもりだ? 俺個人としては、後顧の憂いは絶っておきたいところだが」

「……ああ。哀れではあるが、もとより死人だったもの。地獄に送り返すべきだろうな」

「私は、私はここで死ぬような人間ではない! 闇の王はいつも私を救ってくださるのだ! アイギス、お前たちも闇の王の恩寵を受けておきながらそれを忘れるなどォ!」

 アイギスを指さし狂乱する幾月に対し、アイギスは首をかしげる。

「何のことでしょうか?」

「どうせ妄想でしょ。こんな奴の言うこと聞く必要ないよ」

「お願いします! 闇の王よ、私に力を! この愚か者どもを誅する力を下されェ!」

「完全におかしくなってんな……ここにはもうお前の味方なんて――」

『この上、更なる力を求めるか?』

 順平の言葉を遮って、何者かの声が響く。ペルソナ使いたちは周囲を見渡すが声の主と思しき者はどこにもいなかった。

「奴らに勝つため、闇の王子となるためならばどのような犠牲も生贄も厭いませぬ! ですから、私に力を!」

『クック……迷妄と逃避の果て、最後まで幻想に縋り付く哀れな男よ……良かろう、その献身と妄信に相応しい力を与えてやる』

「おお、やはり闇の王は私に応えてくださ……が……ぐ……!?」

「な、なんだ?」

 幾月が苦しみはじめると同時に、勝手に出現した幾月のペルソナがその体に流れ込んでその姿を変容させていく。かろうじて人型と呼べる黒い胴体に禍々しく光る赤い一つ目と三対の翼、そして触手を備えた異形の姿は、この場に達哉らが居れば『忌まわしき狩人』と形容しただろう。

『Hyahahahaha!』

「ば、バケモンになっちまった!」

「ペルソナの暴走……いや、それともまた違う!」

『わtaシが、YaミのオuJiiiII='$%$_;::!!!』

「堕ちるところまで堕ちたということか……」

「こんな奴のために、色んな人が犠牲になったなんて……!」

「憐れだな、幾月……貴様は我々が責任を持って処刑する!」

『SHAGYAAAAA!』

 火炎を吐き、触手を蠢かせながら俊敏な動きで縦横無尽に暴れる幾月だったもの。理性も失ったのか、動きも標的にも規則性は一切ない。戦いの連続で疲弊し消耗していたペルソナ使いたちの反応も遅れてしまう。

「くそ、こいつメチャクチャな動きしやがる!」

「岳羽! 回復は――」

「SPがもう少なくて……!」

「ゆかりさん、危ない!」

 素早い動きでゆかりに幾月だったものが迫り触手を振り上げる。ゆかりが目を閉じた、その瞬間。

『GYAAAAA!!』

 部屋の奥の扉が開いて、勢いよく飛び込んできた湊が幾月だったものを蹴り飛ばした。

「ごめん、待たせた!」

「湊!」

「この怪物は一体……」

「それは幾月……いや、幾月だった何かだ。もはやシャドウや悪魔と変わらない」

 美鶴の言葉を受けて状況を察した湊が頷き、倒れたままじたばたと体を動かす幾月だったものを見据える。

『我は汝』

「汝は我」

 ペルソナの青い光を放ちながら、ゆっくりと幾月だったものに向かって歩み寄る湊。

『我は、汝の心の海よりいでし者――あなたと私は二人で一つ。あなたの旅路に一緒に連れて行って、湊!』

「ペルソナ……<カナデ>!」

【マハコウガオン】!

 天使の翼を生やした奏が放つ強烈な神聖の光が、幾月だったものを飲み込んだ。

 

 ● ● ●

 

「すっげえ、一撃で倒した……」

「……」

「み、湊!?」

 湊の体が力を失い、倒れそうになるのを周囲の仲間たちが慌てて支えた。

「気合入れてSP全部使っちゃって……動けない……」

「俺が担いで行こう」

 湊の言葉に一同が呆れたり心配したりと思い思いの反応を見せる中、明彦が湊に肩を貸した。

「ありがとうございます、先輩」

「礼を言うのはこっちだ。助かった」

「有里奏との決着はついたようだな」

「うん。詳しいことは戻りながら話すよ」

 南条の問いに、湊は懐の鏡の破片を見せながら答えた。

 

 来た道を引き返す道すがら、湊は奏との間にあったことをすべて話した。

「湊のお姉さんの姿をした、湊のシャドウ……しかも、それがペルソナになったなんて」

「それだけ、彼女が有里にとって大きな存在だったということだ。驚くようなことでもない」

「でもよ、実際の人間がペルソナになるってあり得るのかよ?」

「思いの強さがペルソナをペルソナたらしめる。そこに神も悪魔も人間も関係ない。それに、他に例がないわけでもない。鳴上が好んで降魔しているヨシツネもそうだろう」

「言われてみりゃ、確かに……?」

 南条の解説を受けて、今一つ理解しているのかわからない顔で順平が頭をかきながらも頷く。

「アイギス、さっきから難しい顔してるけど何か悩み事?」

 顎に手を当て考える素振りをしているアイギスに、ゆかりが声をかける。

「いえ……私も闇の王の恩寵を受けた、という言葉がどうしても気になってしまって」

「まだ気にしてんの? あんなの、幾月の妄想だってば」

「しかし、何か引っかかると言いますか……」

「……」

「なんだ、桐条も悩み事かい? 何かあれば聞くよ」

 アイギスの言葉を聞いてわずかに顔を伏せた美鶴に何かを感じたのか、ゆきのが優しく問いかけた。

「大丈夫だ。問題はない」

「わかった。……あんたたちの事情には詳しくないけどさ、あんまり気負いすぎないようにしなよ」

「……ああ」

 どうやら自分が立ち入れるようなことではないと気付いたのか、それだけ言ってゆきのは美鶴との話を打ち切る。その様子を、南条が眉根を寄せて見つめていた。

 

 

番外:『南条圭の疑問』

 

「(なぜ、桐条なのだろうか)」

 タナトスの塔を下りながら、南条は自問する。この三つの塔に関する事柄だけでも、未解決の謎はまだ残っている。美鶴のシャドウがなぜJOKERの予言の生贄として用意されたのかもその一つであるし、幾月がアイギスにかけた言葉や、ロンギヌスたちの発言も気にかかる。美鶴が選ばれたのは偶然なのか、それとも何かの意図があってのものなのか。

「(藤堂たちが居ないのが悔やまれるな……)」

 疑問は疑問を呼び、思考は堂々巡りに陥る。客観的な意見が欲しかったが、ここでブレーン役として期待できそうな美鶴はどこか上の空で、湊は精神力を使い果たした反動で消耗していて満足な議論ができるような状態ではなかった。そう考えていると、目の前に光が差し込んできた。出口だ。

「おい、出口が見えたぜ!」

「やっと出られる……」

「みんなはもう戻ってるのかな?」

 喜ぶ一同を見て、南条は息をつく。

「今は考えても仕方ない、か……」

 尚也であればそんな風に言っただろうか、などと思いながら。南条もまた出口に向け歩き出した。




別に見なくても良い敵&ペルソナステータス

幾月だったもの(背中に幾月の顔が張り付いた忌まわしき狩人)
呪殺無効、氷結・神聖弱点
ファイアブレス 串刺し
石化にらみ 吸血
黒の洗礼 大暴れ

カナデ(オリジナルペルソナ)
アルカナ:JUDGEMENT(審判・大天使)
湊専用ペルソナ(要封神具「奏の薙刀」)
物理耐性、精神・呪殺・神聖無効
メシアライザー ヒートライザ
コウガオン メギドラオン
マハコウガオン マハンマオン


ゲーム的にはカナデを召喚した状態で幾月だったもの戦に入ると作中通りのイベントが起きてボス戦を回避できるかわりにタナトスの塔の帰り道で湊が戦闘に参加できなくなり、召喚していない場合は幾月だったものと戦う代わりに帰り道で湊が戦えるようになる、的なギミック。
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