Fate Constantia   作:ミルトントン

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幕間(前)

これは、昔日の闘争である。

これは、運命の錯綜である。

これは、poetica annotatione〈架空の注釈〉である。

 

ブリテン王朝20年西暦489年

 

ログレス国キャメロット城、その王室にてウーサー王は唯一無二の忠臣ルシウスに要請を下す。

 

「アルビオンの撃退だと?討伐ではなくか?」

 

ウーサー王は重く頷き「ああ、その認識で問題無い。何か問題でもあったか?」と聞き返すようにルシウスへと問う。

 

「いや、寧ろ安心したまでだ、あれの殺害は不可能だからな。」

 

「なら、準備が出来次第すぐに向かってくれ、対象は現在辺境の村畑を荒らしているそうだ。あれは未だ都市にまで到達していない、が、それも瞬きの間だ。…お前と共に出れない事が歯痒いな。」

 

ウーサーはその拳をはち切れそうな程に強く握りしめる。

そんな彼の姿に忠臣として畑違いな悩みを抱く彼に呆れそうになるがそれでもそんな人らしい様子に微笑を溢す。

 

「ブリテンという生命体は貴方を脳髄とし俺という武器を担いで戦場を駆ける。そもそもが違うのだから気に病む必要はない。」

 

彼の忠臣は「王なら堂々としていろ。」と言い残して退室する。

ウーサー王はそんな彼の姿を見送り、側にあった胃腸薬を数粒飲み込む。

その粒は朝より1粒少なかった。

 

 

ルシウスは王城にある魔術工房へ立ち寄る。

コンコン、数回のノックの後、ドアを開ける。

 

「失礼する、モルガン嬢、例の武器は完成しただろうか?」

 

しかし返事は返ってこず、姿さえ見えない状況に万が一を想定した彼は足早に奥へと歩みを進めた。

 

寝ていた。彼女は机に突っ伏し泥のように眠っていたのである。ルシウスは彼女の姿を視認できた事で不安も取れ、慣れた手つきで閉じられていたカーテンを開く。

急な日光に意識が浮上したのか、小さなうめき声をあげる。

 

「起きろモルガン嬢、夜眠れなくなるぞ。」

 

ルシウスは軽くモルガン嬢をゆするが、彼女は軽く位置を調整した後、再び眠りについてしまう。

そんな彼女の姿に彼は軽いため息を吐き、別室に置いてあった毛布を彼女に掛け、設置されている台所にて軽い軽食を作り始めた。

 

 

(良い匂いがします。)

 

くぅぅ〜

 

(おなかが空きましたね。)

 

もぞもぞ

 

(これは、毛布?……誰か来たのでしょうか。)

 

めがね、めがね、めがね…ブッピガン!!!

 

(彼に報告しないと、それに最後の点検もしなくては………けれど、こうも陽当たりがいいと、つい眠気が…………む?陽当たり?)

 

違和感を感じ取った彼女は記憶を辿るも、その一才に身に覚えがなく、ふとちらりと良い匂いがした方向に視線を向ける。

 

「気持ちの良い朝だな、眠り姫。」

 

そこには人がいた。

そこには男がいた。

そこには………………………ルシウスがいた。

 

彼女の脳から足のつま先に至るまで膨大な熱量を宿した羞恥が亜音速で駆け巡る。

 

「……………………せ…ん」

 

「せ?」

 

「責任!!取って!!ください!!」

 

頬を熟れた果実が如く赤らめながら彼女は鼓膜を震わすほどの怒声をぶつける。

 

「責任?」

 

「ええ!!責任ですよ!!せ・き・に・ん!!乙女を辱めた責任をとりなさい!!」

 

ルシウスは彼女の小動物じみた訴えに対し無意識に頬を緩めながら立ち上がり、厨房へと向かう。

 

「最近の乙女とやらは、愛らしい口元をしているのだな。」

 

去り際に自身の口元を軽く叩いていった彼の愉しそうな顔に彼女の内に燃えていた羞恥がさらに延焼する。

 

「ルシウスの変態!!!」

 

「はははははははははは!」

 

稀代の天才魔術師モルガン、幾度目かの敗北である。

 

 

もっきゅ、もっきゅ、もっきゅ、もっきゅ………ごくん。

 

 

「今回は手料理に免じて許しましょう。」

 

「では機嫌も回復したことだ、本題にはいるとしよう。

例の依頼していた武器は完成しただろうか?」

 

「………ええ、問題無く。

後は試運転からの軽い調整ぐらいですね。」

 

彼女は情緒を感じられない彼の話題の振り方に非難の視線を彼に向けるも、効果が感じられないと覚り、手元にあったティーカップを一思いに飲み干した。

 

「先程、ウーサー王から俺へ要請が来た。

要請内容は冠位竜種にして白亜の調停者、アルビオンの撃退だ。

試運転には最適な相手だろう。」

 

モルガンはその要請内容に目を見開くも、直様その要請を受けた者が誰だったかを思い出し、立ち上がり掛けた腰を再び下ろす。

 

「出発は?」

 

「一刻後だ。」

 

彼女は深く瞼を閉じる。

彼を案じる事が杞憂である事を理解していながらも、どうしても不安というものは際限なく溢れてきて仕方がない。

 

「両の手を出してください。」

 

ルシウスはただそっと両の手を差し出した。

彼女は彼の掌を己の掌で包み込むようにそっと握りしめる。

そうして自身の額に当て、ただ祈るように瞳を閉じる。

 

「生きて帰ってきてください。」

 

彼女はか細い声で縋るように彼は祝詞を授ける。

名残惜しそうに彼の手を離す彼女へ返礼するように彼は己の手の甲へ軽い口付けを落とす。

 

「生憎とここで死ぬ気は更々ない。依頼の件、感謝する。」

 

彼はカップに残った紅茶を飲み干し立ち上がる。

 

「武器!」

 

彼女は声を張り上げる。

 

彼は振り返る。

 

「名前!!まだ言っていなかったです!!」

 

彼女は呼吸を整え、身を焦がす情動を静め、意を決して口を開く。

 

「【モリ・カランティア】。意味は〈海の献身〉です。

此度は後衛として貴方を支援します、貴方はただ死なない事だけを考えてください。」

 

「……ふっ、良き名だな。支援、頼りにしている。」

 

そう言い残し彼は去っていった。

 

「…壊したら承知しませんからね。」

 

彼女の独り言は誰にも届かずに、ただ空気と共に溶けていった。

 

 

 

ルシウスはその足でマーリンの元へ向かう。

便宜上、ルシウスとマーリンは何かと二人組にされる事が多く、戦争、討伐、撃退、護衛…多種多様な事柄において彼等二人組は他の追随を許さぬ程に迅速に発見、対処、処理を冊なく熟す。だが、これはあくまで便宜上であり、個人としての要請がする事もまた、しばしばあるのである。

 

「協力は必要かい?」

 

「不要だ、此度は逆に邪魔になる。」

 

「ははっ、勇ましいね。ならそんな勇壮な君に私からちょっとした餞別をば。」

 

マーリンは己の掌からポンっとブレスレットを呼び出す。

それは紺色と灰色と肌色によって織りなされ、派手な装飾もなく、不快に思わせる光沢も無い、まさに芸術の域にまで達した美しい逸品だった。

 

「これには様々な加護を載せていてね。少しでも君を支援したいという私なりの真心といつやつさ。ほら、右手を出しなさい。」

 

ルシウスは自然と右手をマーリンへ差し出す。

 

「よし、寸法もピッタリだ。」

 

マーリンのブレスレットは驚く程に彼の手首に違和感を感じさせない程に収まりが良かったのである。何度か腕を振ろうとそれは一切不快感を与えず、寧ろ己の手首に適応していく程である。

 

「感謝するマーリン。」

 

「ふふっ、気に入ってもらえた様でなによりだよ。

……これは、君にとっては杞憂になるだろう。

それでも言わせて欲しい……死んではいけないよ、ルシウス。」

 

「…それが、杞憂な事なぞお前がよく知っているだろう。

だが…」

 

ルシウスは己の手首を占める、信頼の証に軽い口付けを落とす。

 

「戻ったら、久しぶりに食事に行くぞ。」

 

そう言い残し、ルシウスは颯爽と退室する。

残された、マーリンはただただ茫然とする事しかできなかった。

 

 

刻は進む。

 

ルシウスは自室にて行なっていた瞑想を止める。

 

(アルビオン…冠位を携えた竜種にして、白亜の調停者。

その力は天災と呼べる程の脅威を内包している。

だが、奴の最も面倒な点、それは内包する因果律の数、質、重さ、そのどれもが異質な事だ。

死……それは可能だろう、俺自身で無理だろうと俺にある神性を行使すればあれの討伐自体は相打ちに持っている。

だが、奴を殺せば最後、この時代は【特異点】、いや最悪【剪定事象】になる。

…はたはた厄介事だ。)

 

「だが、個人的に奴の力には興味もある。」

 

(結局は死なない程度に死ぬ気で挑む他ないわけだ。)

 

そう思考に耽っていようと刻は無情に積み重ねていく。

そうして、遂に刻は至る。

 

ルシウスは窓を開け、そこから身を乗り出す。

 

「では、御対面と行こうじゃないか。」

 

外枠を蹴り上げ、彼は宙を殴る様に駆ける。

 

 

「半刻か。随分と辺境を漁るのだな。」

 

無事村の入り口へと辿り着いたルシウスは中へと足を進める。

 

(建物自体に損傷は無い。

住民も既に避難しているようだ。

……まさか、本当に畑だけを漁りに来たのか?

……冠位竜種が聞いて泣けるな、実際は鼠と変わらんとは。

さて、この道の奥に件の畑があるそうだが………はっ?)

 

それは、大きく、厚く、壮麗な、まさしく美しさの極致とも言える白銀の竜だった。

だが、例えそれ程の格式高い竜種であろうと彼の眼前にて腹を出して熟睡していればその箔すらも剥がれ落ちるものである。

 

(………これが、調停者の姿か?)

 

ルシウスの胸中を満たすは失望と…警戒だった。

 

(……或いは、罠か。

仮にも冠位、初手を外せば戦闘は避けられん。)

 

だが、ここで彼は柄にも無く、普段慎重な彼ではする筈のない慢心をしてしまう。

 

(……そも、何故俺は戦闘回避を前提に思考していた?)

 

ルシウスは思考してしまう。あれと相対して再び脳内にて仮想アルビオンとの闘争の末に、自身が無傷で生き残れる可能性が何割あるのかを。

 

(7割程度か。)

 

ありとあらゆる可能性を内包したアルビオンを相手に彼が生き残れる可能性ば3:7であった。3割で彼は生き残り、7割で彼は死ぬ。

 

(だが奴を見てから、己の臓腑が苛烈に疼く。

己は特別、戦闘が好きでは無く、だが嫌いという程でも無かった筈だ……ならば何故、なぜ、ナゼ、コウモ……)

 

「オマエヲコロシタクナルノダロウカ。」

 

至高の美に泥を掛けるように。

気高き乙女を辱めるように。

絶佳の儚さを鮮血にて過去にするように。

 

彼の悍ましい殺意に、満たされていた竜はその瞼を開く。

其はこちらに目線を向けた後、恐ろしい声量で咆哮する。

それは身の丈を越えた不敬なる者へ激昂するように、三対六翼の羽を広げこちらへ殺意を返すようにこちらを見つめる。

 

強烈な威嚇に彼は理性を呼び戻す。

 

(………この様な状況になろうとも、臓腑は未だ滾り続けるとはな。

今一度俺という存在を客観視しないといけない様だ。

だが、今は……)

 

「己の尻拭いをするとしよう。」

 

こうして彼らの闘争は火蓋を切られたのであった。

 

 

先手を取ったはルシウスの一言だった。

 

「モルガン、水鏡、地点k 」

 

 

王都キャメロット

 

「………結局、戦闘は避けられないのですね。

座標固定、重力制御完了、範囲計測、対象者補足、水鏡起動。」

 

 

地点k

 

突然の空間移動にアルビオンは一瞬困惑するも、直様自身の外敵がいた場所へ視線を向けるも、それは何処にもいなかった。

 

「堕ちろ」

 

気付けば自身は背に迸る強烈な痛みと共に、地に押し付けられていた。

 

 

「さて、どうでる?」

 

ルシウスは反射的に跳び降りる。

するとアルビオンは己の翼から無数の莫大な熱量を持った熱線を雨の様に降らす。

 

(当たれば即死だな。)

 

ルシウスは自身の中で順位を一位に変動させる。

 

(唯一はあれの速度自体はそこまでな所、だが最悪はあれに再装填時間の有無だ。なら)

 

「当たらなければ問題は無い。」

 

アルビオンへと駆け出すと同時に彼女が鍛造した至極の巨大メイス〈モリ・カランティア〉を矢の様に投げ飛ばす。

 

アルビオンは光線が如きメイスの一撃を受け止めるも、その持ち手に巻き付いた鉄色の尾節に目線を向けたその一瞬、掌に鋭い痛みが走る。

そこには、先程殺意をぶつけてきた外敵がいた。

 

 

(手応えが薄いな。

皮膚の厚さが違うだけじゃない、あの皮膚、衝撃への極度の耐性があるな。

衝撃の殆どが死んでいる。

……だが、奴の反応、あれはなんだ?

不可解だが警戒するに越した事はないだろう。)

 

そうして、ルシウスは一度距離を取りながら、相手の出方を窺う。

 

 

アルビオンは未知の感覚に襲われていた。

 

(痛い、痛い、痛い、痛い。)

 

皮膚に損傷は無く、翼に穴も無く、掌を焼く鉄も無く。

しかし、それの精神にはこれまで経験した事もない想像を絶する程の針のような熱が、全身を駆け巡っていた。

 

(知らない!、知らない!、知らない!、知らない!)

 

アルビオンは痛みを知らない。

それにとって外敵の攻撃なんぞそよ風に過ぎないのだから。

 

アルビオンは他者を知らない。

それに自我の発育は無く、発生と同時に自我は顕現していたのだから。

 

アルビオンは闘争を知らない。

それに戦いは無く、生命維持の為にただ生きるのだから。

 

アルビオンは無垢だ。

それは白色無地のカルトンであり、未だ朝を知らない稚児なのだから。

 

 

 

ルシウスは蹲ったまま静止したアルビオンに警戒を続けるが、それは一向に動く兆しを見せなかった。

 

そんな姿に訝しむルシウス、すると、自身の眼前に彼女の水鏡が顕現する。

水鏡には慌てて繋げたのか、汗が数滴垂れている彼女が写っていた。

 

「状況が変わりました。簡潔に言いますよ、その村は脱税を繰り返す所か、神への贄と称し村人や旅人を見境なく殺しては食していたそうです。

そこでウーサー王はその村を抹消するとの事です。

故に貴方の要請は白紙に戻りました。」

 

彼女は必要事項だけ語り水鏡を消す。

ルシウスは急な情報量に一時茫然としてしまうが、自身の行いを否が応でも振り返ってしまい、重く、厚いため息を吐き出してしまう。

 

(………やはり、調停者は調停者だったか。

畑から攻めたのもある種の兵糧攻めという、戦術的意図によるものとは……胃が痛い。

…………謝罪をしなければ、元々は俺個人の失態なのだから……胃が軋むな。)

 

そうしてルシウスは武器をしまい、警戒として伸ばしていた尾を戻し、その足をアルビオンへと進めた。

 

 

アルビオンの足元

 

ルシウスは頭を深々と下げる。

 

「此度は私の情報不足の為に貴方を襲った事、大変申し訳ない【調停者】」

 

アルビオンは一向に反応しない。

それでもルシウスは頭を下げ続ける。

 

「高貴なる貴方へ弓を引いたこの不敬、どうか己の身一つでどうか精算していただけないだろうか。」

 

アルビオンは沈黙を保つ。

 

「……………すまない。不躾ながら失礼する。」

 

そう言って彼はアルビオンの手首に人で言う橈骨動脈に位置する部分に両の手を押し当てる。

 

(………………随分と早い……それにこれは……怯え、なのか?)

 

彼は自身の認識との齟齬に思考を巡らそうとした途端、アルビオンから眩い光が溢れる。

 

(くっ、なんだこの光は!?)

 

反射的に自身の視界を両の手で抑える。

 

光が途切れ、ようやく視界が戻ってきた彼の眼前には

………一人の高貴なる少女が居た。

 

「初めまして、それとも久しぶりと言いましょうか。」

 

ルシウスは突然出現した人物へ一瞬警戒を向けるも、先程までそこにいたアルビオンがいない事、その少女がアルビオンとあまりにも酷似した、いや同一と言って然るべき魔力を保持している事から、彼の聡明なる頭脳は否が応でも理解してしまう。

 

「まさか…」

 

「そう言えば、まだ自己紹介をしていなかったですね。

我が名は最強の調停者にして、調和の執行者。

アルビオン・アルビテルです。」

 

少女は四対六翼の灰色の羽を広げ、瀟洒に己の名を紡いだ。

ルシウスの胃はキリキリと軋み続ける。

 

 

アルビオンは暗闇にて一人蹲る。

 

自身は、空洞だ。

空洞は、虚空だ。

 

自身に、愛は無く。

愛に、他者は無く。

 

自身は、孤高だ。

孤高は、孤独だ。

 

自身に、意味は無く。

意味に、熱は無く。

 

自身は、一体、なぜ、生まれたのか。

 

生きる為に、生きる。

 

それは、生命体として、破綻している。

 

なら、自身は、とうに、壊れているのだろうか。

 

戦いに興味は無かった。

 

必要性を感じなかったから。

 

痛みを知らなかった。

 

傷をつけれるのは自分だけだから。

 

皮膚を燃やす熱が怖かった。

 

いつもは寒かったから。

 

 

知らない事を、知らなかった。

 

知る意味が無かったから。

 

 

………けれど

 

………けれど

 

………初めてだった。

 

 

重厚な視線を向けられた事も。

 

貫くような痛みも。

 

皮膚をも溶かす鉄の熱情も。

 

 

彼は恐い。

 

彼は怖い。

 

けれど、彼だけが唯一、自分と………私と対等に位置する者なのだ。

 

彼は蹲った私に謝罪の言葉を投げ続ける。

 

【調停者】

 

彼は私に対してそう呼ぶ。

 

【調停者】:調停者とは、対立する二者の間に立ち、双方の主張を調整して合意や和解へと導くことで、争いを平和的に解決させる役割を担う者のことです。

 

不可解。不可解。不可解。不可解。不可解。

 

彼はなぜ、私を調停者と呼ぶのか?

 

はたはた不可解でしょうがない。

 

 

私にその様な大義は無い。

 

私にその様な意味は無い。

 

私に清廉さは無い。

 

 

私はただ、生存のために生きているに過ぎないのだから。

 

 

………けれど。

 

………けれど。

 

………丁度良いのかも知れない。

 

 

生存のためでは無く、何か、意味を持って生きる。

 

私の生命活動は永遠に等しい。

 

ならば、少しくらい寄り道してもいいでしょう。

 

 

(私は人を、国を、世界を、未だ知らない。

けれどそれは知っていけばいい。

彼が、熱を教えてくれた様に。

…………それに、【調停者】、ですか……ふふっ、最強の竜たる我に相応しい役職ですね。)

 

さて、そうと決まれば後は行動するだけだ。

 

彼はきっと驚くでしょうね。

 

けど、貴方のせいで、私は変わってしまった。

 

その責任、取ってもらいますから。

 

〈虚空には、意思あり〉

 

そうして、私は彼と同じ体を持って彼と対面する。

 

「初めまして、それとも久しぶりと言いましょうか。」

 

彼の驚きの顔を見れて、大変満足です。

 




追記:ブリテン王朝4年→ブリテン王朝20年に変更。
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