「あーあ…こんなに暴れちゃって…まぁ、試し斬りにはなったかな?ギルガルド」
地面に倒れたメガドリュウズを仕留めたそのギルガルドはつまらなそうにトレーナーを見つめる。
そのギルガルドの見た目は通常ではなかった…鮮血の様な色の刀身と黒を多く占めた上で黄の生える体色…個体として少ない、色違いと呼ばれる個体だ。
「うんうん、キミにとってはつまらない相手だよねぇ…でも大丈夫。こんな騒動になってるんだし腕の立つトレーナーは多くいるしさ…それに」
そう言って、ボールホルダーに付いたモンスターボールをトントンと指で叩いた。
ボールはブルブルと揺れるものの、中から出て来る様子はない。
そのトレーナーの容姿はまるでユキメノコの様だった。
その髪は暗い夜でも目立つ銀色で、髪型はショートボブ。
瞳は透き通る様な青色だが、今は澱んだ様に光を映さない。
白く透き通った様な肌を白と銀を基調としたフードなしのパーカーで隠し、その下には丸まって眠るデルビルがプリントされたシャツ。
下は赤のホットパンツに白スニーカーと動き易さを重視している。
「…やっと手掛かりが見つかったんだ。…今度は逃がさない」
そんな事を呟くトレーナーの背後に、暴走メガシンカをしたクチートが襲いかかる。
「ギシャァ!!」
そのツインテールの様な頭部を振り回し、トレーナーの頭を砕かんとした一撃は
「お、お姉ちゃん!!」
横から現れたバンギラスの放ったかみなりパンチによって吹き飛ばされる事で止められる。
「も、もう!お姉ちゃんはちゃんと周り見ないとダメだよ!」
そう言ってはプンスコと怒りながら両手を上げる少女の見た目は、年相応だ。
黒髪を同じ様にショートボブにし、瞳は正反対の赤色だが、こちらは光を映している。
白と銀を基調としたフード付きのパーカーを羽織り、その下には笑顔のポチエナがプリントされたシャツ。
下は紺色の長ズボンに、黒のスニーカーだ。
「ごめんごめん、ついボーッとしちゃったよ」
そう言ってクスクスと笑う
「そ、それよりもお姉ちゃん!先輩っぽい人!居たよ!」
少女のその言葉に、光を映さなかったその青の瞳は輝きを取り戻す。
「……そうか、やっぱり…カロスに…ふふ…ふふふっ…勝手に私達と…ポケモン達を置いて行った時はこの世の終わりと思ったけれど…見つかって良かったよ」
そう言って笑うトレーナーに付き添う様に、ギルガルドは近くへと寄る
そんなギルガルドを、トレーナーは優しく撫でた
「…でも、これでやっと先輩を護れる……鍛えたんだ、もう先輩に守られるだけの存在じゃないって…証明するんだ…!」
少女のその言葉に応える様に、バンギラスは短く鳴いた。その通りだと同意する様に
「ま、彼を捕まえるのは自慢の妹に任せるよ」
そう言って、ワシャワシャと少女の頭を撫でる
「んん…分かってるけど、その間お姉ちゃんはどうするの?」
「適当に暴走メガシンカを倒してるトレーナーに勝負を挑もうかなぁって」
その言葉に、少女は諦めた様に溜息を吐いて自らの姉を見つめた。
「……またやるの?辻斬りバトル…」
「幸いにもこのミアレシティには私の大っ嫌いなタイプが集団として生息してるみたいだからね、心置きなく叩けるって訳」
「…わぁ、可哀想…」
姉のバトルスタイルと性格を知る少女は、名も知らぬ集団へ心の中で合掌した。
「じゃ、ここからは二手に別れて…落ち合う時は彼を捕まえたか危険だから離脱した時…ね?」
「はーいお姉ちゃんも一応気をつけてね?」
「分かってるさ、それじゃあ頑張りたまえ、妹よ!」
そう言い残すと、ギルガルドに飛び乗ってトレーナーはミアレシティの空へと消えて行った。
「…うん、ボクも先輩を見つけないと…バンギラス…戻って」
バンギラスをボールに戻すと、少女はメタグロスをボールから出して飛び乗る。
「行くよメタグロス…先輩を見つけて保護しないと…先輩…昔からポケモンの捕獲下手だから持ってないだろうし…」
そう言って、少女は腰に付けたボールホルダーに付いているモンスターボールを見る
「…先輩、なんで私達と一緒に自分のポケモンを置いて行っちゃったんだろう…」
少女のその言葉はミアレシティ中から聞こえる悲鳴、怒号に掻き消された。