バカとテストと召喚獣 solitary breakers 作:KA2
第十一話「爆撃と避難と召喚獣操作訓練」
雄二が学校に復帰してから少しして、霧島さんも学園生活に復帰したらしい。
大事に至らなくて本当に良かった。
あの後、僕らは鉄人に何千枚もの反省文を書かされて僕はそれに加えていつも以上に召喚獣で雑用をさせられたけど、あの事態を招いた原因は僕らにあるのだから仕方がないだろう。
「そうだ明久。ここ最近、お前の召喚獣に異変はないか?」
ふと雄二が尋ねてくる。
例のハッキングの犯人がまた僕の召喚獣に何かしていないかと思っているのだろう。
「ううん。特に何も起きてないよ」
「そうか。まあ犯人は捕まえらんねえが、平和なのが一番だしな」
「そうだね。このまま何もないといいけど」
「だが、あるって考えて備えておかないとな。そう考えて学園長も今日の訓練を計画したんだろうし」
今日の訓練。それは今日から明日にかけて行われる、二学年全員が文月学園に寝泊りする訓練だ。
表向きは災害時に備えての訓練ということだけど、現在の状態を考えると試験召喚システムのハッキングで学校から出られなくなるような事態も想定しているんだろう。
雄二と話していると、鉄人がHRを行うために入ってくる。
「それじゃあ今日の流れを説明するぞ。まずは避難訓練でクラスごとに体育館へ移動、点呼を取る。次に召喚獣の操作訓練、その後は16時まで自習、後は20時までは自由時間、20時からは夕飯を作り、23時には消灯だ。いいな?」
授業がないとは言え自習はやらなくちゃいけないし、結構大変な日程だなぁ。
そんなことを考えていると、緊急事態を知らせる警報が鳴った。
『避難訓練です』
やはりこれは避難訓練のために流れた警報のようだ。
『2-F組から火が出ました』
僕らはもう手遅れらしい。
「そういうことだ。お前ら、Fクラスの近くは通るんじゃないぞ」
「通るもなにも、今ここが出火した場所じゃないの!?」
平然とセオリー通りの忠告を言ってのける鉄人。
あれか? 僕らなら火事ぐらいじゃ死なないと思ってるのか?
「明久、いつまで教室にいるんだ。焼け死にたいのか?」
気づいたら雄二が教室の外から僕を呼んでいた。
どうやら他のみんなは既に廊下に出ていたらしい。
「遅れたら代表である俺の責任なんだ。とっとと来い」
そう言われて廊下に出て、雄二に引き連れられて体育館へ向かう。
途中、どんどん人数が減っていくような気がしたけど……
体育館に着くと、雄二が鉄人のそばで点呼を取り始める。
「木下」
「うむ」
「島田」
「いるわ」
「姫路」
「はい」
「Fクラス総勢4名確認した」
「よし、全員揃ったな」
「ちょっと待ったぁ! なんで他のみんなはいないのさ! あと、僕はいるのに名前呼ばれなかったんだけど!?」
「ああ、明久は真っ先に死ぬだろうから数に入れなくていいと思ってな」
いつかコイツを燃やしてやろうか。
「それじゃあ、召喚獣の操作訓練を受けてもらう。まずは一人ずつ召喚獣を呼び出せ。その召喚獣を操作し、襲い来る危機からどれだけ長く耐えられるかを試す。なお、今回の訓練において召喚獣の得点は100に固定とする」
どれだけ長く生き残れるかを計るのか、観察処分者の僕はダメージのフィードバックがあるからかなり辛い戦いになりそうだ。
いっそのこと、早めに戦死しようかなあ。
などと考えていると、鉄人がとんでもないことを付け加えた。
「もう一つ、ノルマは一分生き残ることだ。それまでは何度でも挑戦してもらう」
く……! 少なくとも一分は生き残らないと僕はずっとフィードバックを受けながら戦わないといけないのか。
「ちなみに最後までクリア出来なかった者は、自習時間を補習に変えてやろう」
しかもクリアできなければ鬼の補習……。
これは命懸けで挑戦する必要がありそうだ。
「ではまず木下、召喚獣を呼べ!」
「承知した。試験召喚!」
鉄人の召喚フィールドに召喚される秀吉の召喚獣。
その周りに複数体の召喚獣が現れる。
そしてそれらが一斉に秀吉の召喚獣に襲いかかった。
慌てて避ける秀吉だが、全て避けきれず若干点数が削られる。
しかしその間に逆に敵にも一太刀を浴びせると、一撃で敵の召喚獣は消え去った。
「なるほど、一体ごとの強さはそうでもないようじゃの」
「確かにこの自立思考型の召喚獣は一体ごとは弱い。だが、これだけの数がいたらどうだろうな?」
「な……っ!」
秀吉の召喚獣の周囲を突如、数十体の召喚獣が取り囲む。
「さ、さばききれぬ!」
その猛攻に押されて秀吉の点数は一気に0になってしまった。
「ふむ、まだ30秒というところか。まだまだ甘いな」
なんて厳しい訓練なのだろうか。
「次は全員一度に召喚しろ。順番にやっていては時間が掛かりすぎるだろうしな」
そう言われて、先ほどやられた秀吉も含めた僕ら5人は召喚獣を呼び出した。
「では、始め!」
一斉に攻撃を受けるみんなの召喚獣。
僕の召喚獣は……
ビィィィ! (僕の召喚獣がビームで焼き払われる音)
熱い! 全身が焼けるように熱い!
「一分間生き残れたやつは無しか。それじゃあ次行くぞ」
また召喚獣が現れて、攻撃を加えられる。
「む、難しいです……」
「避けきれないわね……」
「流石に数が多すぎるぞ……!」
「ねえ、僕を襲ってる召喚獣だけアサルトライフルを持ってるんだけど……」
「またやられてしまったわい」
「まだまだ、次!」
また次が始まる。
「やっぱり数が多いですね」
「一気に切り伏せてやるわ!」
「数が多けりゃいいってわけじゃねえ! やってやるぜ!」
「ねえ、僕の召喚獣だけ戦闘機の絨毯爆撃を受けてるんだけど!?」
「今度は今までのようにはいかんぞい!」
「吉井以外は少しづつ記録が伸びているようだな。しかし、吉井。観察処分者のお前がそれでは情けないだろう」
「周囲を爆破されてどうやって生き延びろと!?」
むしろフィードバックで死なないのが不思議なくらいだ。
「だがこのままでは何れ限界も来るだろう。そこで、次からはペアを組んで召喚獣の共闘を許可しよう」
共闘か、それなら一分はいけそうだ。
「それじゃあアキ、うちと一緒に戦いましょう」
「あっ! ずるいです美波ちゃん! 明久君、その次は私とお願いします!」
「うん、いいよ。まずは美波とだね」
二人共僕の召喚獣の腕を見込んで共闘を申し込んできたようだ。
この二人と組んでいれば流石に理不尽な攻撃はされないとおもうけど……
「開始だ!」
周囲に大量の召喚獣が現れて僕と美波の召喚獣に攻撃を仕掛けてくる。
でも普通の召喚獣なら僕の相手じゃない。
慣れた操作で襲い来る召喚獣を切り伏せていく。
「すごいわアキ! これなら一分までいけそうね」
「うん、これでクリア━━(バン!)あ、頭がぁぁぁ!」
僕の召喚獣が脳天を打ち抜かれている。
よく見ると遠くにスナイパーライフルを構えた召喚獣。
おのれ……! 僕だけをピンポイントで狙ってきたか……!
「吉井のタイム、56秒。島田、1分5秒。よって島田はクリアだ」
鉄人め、どうしても僕に補習を受けさせたいらしいな。
「なら次は俺と━━」
「……私が組む」
霧島さんがいつのまにか雄二の召喚獣の隣に自分の召喚獣を呼び出していた。
「まあいいだろ、頼むぞ翔子」
「……うん」
「では、始め!」
二人の召喚獣に多数の敵が襲いかかる。
だが、雄二も霧島さんも器用にそれらを捌いていく。
これならクリアは容易いだろう。
そうして残り十秒ぐらいというところで
「……えい」
「しょ、翔子!? なんで俺の召喚獣を攻撃しやがる!」
霧島さんが雄二の召喚獣を戦死させていた。
「……こうすればずっと雄二と一緒に戦える」
そう言って自分の召喚獣の喉元に刀を突き刺す。
これで二人共クリアできなかったことになる。
「じょ、冗談じゃねえ! これじゃあ、いつまでたってもクリアできないだろうが!」
可哀想に、雄二は補習を受けることになりそうだ。
「明久君! 私たちも頑張りましょう! ……私も翔子ちゃんを見習わないと」
なんかものすごく嫌な予感がするけど、次は姫路さんとだ。
今度こそクリアしてみせる!