バカとテストと召喚獣 solitary breakers   作:KA2

6 / 13
第六話「俺と翔子と温泉旅行2」

「…………タピオカはいかが?」

 

ムッツリーニがいつの間にか帰ってきて、飲み物を勧めてくる。

心なしか残念そうな顔をしながら。

 

「しかし、ムッツリーニがこんな役に回されるとはな」

 

「…………俺はムッツリーニという奴じゃない」

 

「いや、もうバレバレだからな……?」

 

とりあえず喉も乾いたし、買ってみるか。

タピオカと言っても、結構種類があるみたいだ。

 

「……どれがオススメ?」

 

「…………カップル用カフェラテ、坂本雄二の写真(際どさMAX)付き」

 

「お前もう最初から正体隠す気無いだろう!? つーかなんで俺の写真なんて持ってやがるんだ!」

 

「……もらう」

 

「…………まいど。ちなみに+50円のトッピングで媚薬か睡眠薬を付けられる」

 

「……どっちにしようか迷う」

 

「迷うな! そもそもそんなトッピングを用意するんじゃねえ!」

 

それでも翔子が、カップル用とやらを買うと言って聞かないので、薬を絶対入れないと約束させてそれを買った。

 

「…………おまち」

 

「……なんだ……これは」

 

出てきたのは大きめのカップ、それに先端が尖っているストローを突き刺すタイプだ。

そしてそのストローは片側が二つに分かれている。

 

「…………カップル用ストロー」

 

「このストロー、飲むほうじゃなくて突き刺すほうが二つに分かれているんだが!?」

 

「……きっと素直になれないカップルのための配慮」

 

「そうだとしても、突き刺す方を二つにする意味はあるのか……?」

 

こうなったら無理やり、二人で飲むためのストローとして使うしかない。

尖ってない方の先端を、なんとかしてカップのなかにねじ込む。

 

「……雄二は恥ずかしがり屋」

 

「そ、そんなんじゃねえよ。俺は衛生面を考慮しただけだ!」

 

「……大丈夫、歯はちゃんと磨いてるし、雄二の歯も磨いてあげてる」

 

「磨いてもらってないからな!?」

 

「……とにかく心配は要らない」

 

そう言うと翔子は、二つに分かれた両方に口をつけて飲み始めた。

 

「……雄二にも」

 

「お、俺は別に……」

 

「……飲まないとこのストローを目に突き刺す」

 

「ありがたく頂戴させていただきます」

 

流石に目の方が大事だと思った俺は、一気にそのタピオカを飲み干した。

 

「それでは本当に時間なので、バスに向かいましょう」

 

ガイドに促されて、俺たちはまた例のシャトルバスへ戻る。

今の寄り道も計画のうちだろうが、今度は何を仕掛けてくるんだろうか。

 

俺と翔子が乗るバスに、ガイドも同乗しようとするが、着ぐるみのせいでドアでつかえてなかなか入れずにいる。

 

特に頭の部分が大きく、それを外せばなんとか通れそうではあった。

 

「その頭のが邪魔なんだろ? 一旦外せばいいんじゃないか?」

 

「い、いえ、大丈夫です。入れます」

 

やはり頑なに外そうとしない。顔を見せたくないのだろうか。

そうなるとコイツは━━━

 

「手伝ってやるよ」

 

「あ……どうも」

 

「よっと」

 

「あ!」

 

つっかえている頭を引き抜いてやると、予想通りその下にはクラスメイトであり、演劇部のホ-プである木下秀吉の姿があった。

 

「声色が変わってて気づかなかったが、秀吉だったか」

 

「秀吉? 私はツアーガイドの森上秀子です」

 

どうやら完全に演劇モードに入っているようだ。

こうなるとコイツも役を貫き通すつもりだろう。

 

「そんな役をやってると、余計明久達から同性として認識されなくなるぞ」

 

「も、問題ありません。私は女ですから」

 

今の秀吉の発言を携帯に録音する。

これを明久たちに聞かせたら、面白いことになりそうだ。

 

「とにかく、そろそろ次の目的地に着きますよ」

 

秀吉がそう言って少しすると、また駐車場にバスが停車した。

まず、秀吉が降りて着ぐるみの頭をかぶり直し、俺と翔子はそれについて行く。

 

ここは商店街らしく、古風な商店がいくつも建ち並んでいた。

 

その中に一つに秀吉が俺たちを引き連れていくと、そこにも見知った姿を見つける。

 

「いらっしゃませ! 旅のお土産に、ストラップなんかどうですか?」

 

そう声をかけてきた店員は、どう見ても成績優秀なクラスメイトだった。

 

「行くぞ、翔子」

 

「ま、待ってください! このストラップは持ってるだけで色んな効果があるんですよ! 例えば……恋愛に関する効果とか!」

 

「……全部もらう」

 

「待て翔子! 流石に全部はないだろう!?」

 

翔子が食いついてしまった。

仕方ない、少し見てくか。

 

「……これはどんな効果?」

 

「これはですね……持ってるだけで恋人が従順になるストラップです」

 

「なんでそんな恐ろしいストラップがあるんだよ!」

 

「……これは?」

 

「これは輪っかの部分で、恋人の腕を拘束するためのストラップです」

 

「それどう見ても手錠なんだが!? 恋のストラップとか、そんなロマンチックなものには全然見えないからな!?」

 

「それとこれは……お料理が上手になるストラップです!」

 

「……!!」

 

それを聞いた瞬間、俺の本能が自身に告げていた。

これ以上ここに留まるのは命に関わると。

 

「ちなみにこちらにあるのが、そのストラップの効果で作った……って、あれ?」

 

姫路の言葉を最後まで聞かないうちに、俺は翔子の手を取って走り出す。

秀吉も危機を感じ取っていたのか、俺たちのあとを着ぐるみで必死に追いかけてきていた。

 

するとまた、俺たちの視界に見知った人間が入る。

先ほどもいたムッツリーニと、島田と、そして━━━

 

「やあやあお二人さん、人力車体験をしていきませんか!」

 

ようやく現れやがったか……。

 

「よお明久、まさかこんなところまで出向いてくるとはな」

 

「人違いです」

 

相変わらず否定するが、それなら俺にも考えがある。

 

「乗せてもらうことにしようか、いいよな翔子」

 

「……うん」

 

「分かりました、どこまで行きますか?」

 

「そうだな……取り敢えず北海道まで頼む」

 

「んな!? 僕らを凍死させるつもり!?」

 

「たどり着くつもりなのか!?」

 

「いくらなんでもそれは無理ね……」

 

「…………もうちょっと短くして欲しい」

 

さてと、冗談はともかく、せっかく乗せてくれるというのだから乗ってみるか。

と、そう思ったが、よく見ると座席は狭く、一人で座るのが精一杯のように思えた。

 

「これじゃ二人で乗るのは無理だな」

 

「……大丈夫、私は雄二の上に座るから」

 

「俺の膝の上に座るのか? ……まあ仕方ないか」

 

「……ちょっと大変だろうけど頑張って」

 

「おい待て翔子、なんでさっきのストラップ型手錠で俺の手足を拘束する。そもそもなんで持ってるんだ」

 

「……実は買ってた。これで雄二にイスになってもらう」

 

そう言うと翔子は俺に座席部分で肘と膝を付けさせて、その上に座った。

 

「それじゃあ出発します! 如月の美しい景色をお楽しみください」

 

「楽しめるか!! この体制じゃなんにも見えねえよ!」

 

くそ、明久め。これ以上好きにはさせねえぞ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。