バカとテストと召喚獣 solitary breakers   作:KA2

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第八話「俺と翔子と温泉旅行4」

風呂と食事を終え、僕たちは一つの部屋で作戦会議をしていた。

 

「それじゃあ明日の役割分担を決めるよ。秀吉は今日と同じくガイド役だとして、他のみんなは何がやりたい?」

 

「私は、如月山の麓にある料理店の店員役がやりたいです」

 

「いや、姫路さんにはもっと重要な役割があると思うんだ!」

 

そんな役をやらせたら、間違いなく登山者が山に登らずして病院に運ばれることになるだろう。

 

「そもそも、明日はどんな作戦で行くつもりなの?」

 

美波が僕に尋ねてくる。まあ、まだ完全に決まったわけではないけど、大筋で考えていることを話しておくか。

 

「明日はまず、二人を危機に陥れるんだ。前にもやったけど、共に危機を乗り越えた男女は仲が深まるって言うからね」

 

「前にやったときはその危機を霧島自身にしてしまったからのう。今度はちゃんとうまくできるのじゃな?」

 

「今度こそやってみせるよ。そのために、美波に是非ともやってもらいたい役があるんだけど」

 

「ウチに?」

 

「うん、美波には二人を襲う山姥役になって━━」

 

「アンタを包丁で刺し殺すわ」

 

「じょ、冗談だよ! やっぱ美波に似合うのはぬりかべ役━━」

 

「明久! 島田が包丁を取りに行ったぞ! 早く逃げるのじゃ!」

 

秀吉がそう警告してくる。でもいくら美波でも、僕を本気で殺そうなんてするわけないよね。

 

「ムッツリーニは何かやりたい役はある(ドス!!) ってうわぁああ!! 危なかったぁ!」

 

頬を掠って飛んでいく包丁に、僕は美波の殺意を認めずにはいられなかった。

 

「…………カメラマン」

 

「やっぱりムッツシーニはそれだよね。せっかく山に登っても、景色より女の人ばかり撮ってそうだけど」

 

「…………(ブンブン)!!」

 

「否定しなくても、みんなもうわかってるよ。それで、誰か他に希望はある?」

 

「……私は雄二の妻役がいい」

 

「うん、霧島さんはもちろんその役に決まってるよ」

 

「じゃあ俺は明久を処刑する役がいいな」

 

「うん……? ちょっと待った! なんで雄二がここに居るのさ!」

 

「なんで翔子の時はスルーしたのに、俺には気づくんだよ!?」

 

危うく雄二たちに明日の計画を知られるところだった。

作戦会議は、二人が寝てからのほうがいいな。

 

でもまだ寝るには早い時間だし、どうしようかと考えていると

 

「そういえばここの旅館って、卓球台があったわよね? せっかくだからみんなでやらない?」

 

美波がそんなことを提案してくる。

 

「いいですね、食後の運動には最適です」

 

「そうじゃな、やはり温泉とくれば卓球じゃろう」

 

「…………(コクリ)」

 

どうやらみんな賛成しているみたいだ。そういうわけで僕らは、卓球台を借りることにした。

 

 

「じゃあまずはペアを決めようか」

 

借りられた卓球台は一台。

だからシングルスでやるよりも、ダブルスでやるほうが効率的だ。

 

「……私は雄二と組む」

 

「お、俺もそれで構わない」

 

アイアンクローを決められそうな体勢で雄二が承諾する。

 

「じゃあ僕は秀吉あたりと……」

 

「明久君! 私と組みましょう!」

 

「ううん、アキはウチと組むのよね?」

 

ええ!? 二人共どうして僕と?

僕の運動神経を見込んでだろうか。

確かに雄二を除けば、僕の実力はムッツリーニにも引けを取らないと思うけど。

 

「そ、それじゃあ……先に誘ってくれた姫路さんと組むよ」

 

「ありがとうございます! 頑張りましょうね、明久君!」

 

「そう、ならウチは木下と組むわ」

 

組む相手を決めると、姫路さんはぱっと目を輝かせ、反対に美波は不服そうに秀吉と組むことに決めた。

本当のところ、姫路さんを選んだのは、きっと今の薄着姿の姫路さんが動き回る姿……特に胸が揺れ動くのを真正面から見たら、卓球どころじゃなくなりそうだからだ。

 

「あ、でもこれじゃあムッツリーニが一人になっちゃうね」

 

「…………今はそれどころじゃない」

 

ムッツリーニはものすごい速さでカメラを手入れしている。

この様子だと、参加せずに写真を撮るつもりだろう。

 

「じゃあまずは、ウチらとアキたちが勝負しましょう」

 

「はい、負けませんよ!」

 

二人とも、随分気合が入ってるなあ。

姫路さんも意外と負けず嫌いなのかもしれない。

 

卓球台の前に立つ僕ら四人。

 

僕の対角線上にいるのが美波で、姫路さんの対角が秀吉だ。

 

「サーブはウチから行くわよ」

 

球を片手に美波はそう告げて、サーブを放ってくる。

 

 

僕の顔面に向かって。

 

 

「いてっ! 危ないじゃないか美波。卓球の球だから、あたってもたいしたことないけど……」

 

「そうね、これじゃあKO勝ちはできそうもないわね」

 

おかしい。僕の知る卓球のルールに、KO勝ちなんてものは存在しない。

 

「今度は僕のサーブだね」

 

球をうまくバウンドさせて、相手のほうへ送る。

それをレシーブした美波は、またも僕の顔面に球を飛ばしてきた。

 

「わざとやってるよね……? とりあえず、次は秀吉だね」

 

「うむ、それじゃあ……」

 

「木下、目よ! アキの目を狙いなさい!」

 

「待つんだ美波! いくら卓球の球でも、目に当たったら結構なダメージだよ!」

 

結局秀吉は、普通にサーブを打ち込んでくる。

姫路さんがそれを返し損ねた。

 

「すみません! 明久君」

 

「ドンマイ姫路さん! サーブ頑張って!」

 

次に姫路さんが若干浮きがちなサーブを放ってしまう。

美波がすかさず、スマッシュを放ってきたのでなんとかそれも受け止めるが、前よりも甘い球が行ってしまった。

秀吉が素早いスマッシュを放ち、それはバウンドして僕の方へ飛んできた。

 

次のレシーブは姫路さんだから僕は避けないといけないけど、秀吉の反応が早くて後退しきれない。

 

「わ、わわ……!」

 

姫路さんがレシーブしようとして僕の方へ突っ込んでくるが、避けきれていない僕と縺れて倒れ込んでしまう。

 

全身に柔らかな感触が伝わってくる。

 

「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか!」

 

立ち上がりながら誤ってくる姫路さん。

 

「僕は大丈夫だけど、姫路さんは?」

 

「私は大丈夫です。それより、よく見てなくて本当にごめんなさい……」

 

「ううん、むしろお礼を言いたいぐらいだよ」

 

「……?」

 

「次はウチのサーブよね? じゃあ遠慮なく行くわ」

 

「待った! よく見たら美波の持ってる球がゴルフボールに変わってる気がするんだ!」

 

 

美波たちとの対戦を終えて、今度は雄二たちが二人と対戦している。

 

「まだ一試合しかしてないのに、結構疲れちゃいました」

 

「僕は平気だけど、姫路さんは次の試合まで休んだほうがいいね」

 

「はい、そうします。それと、今日は少し時間があったので━━」

 

「「「!?」」」

 

 

僕の脳内に響く虫の知らせ。同じく雄二、ムッツリーニ、秀吉も感じたらしく、各々の行為を一瞬停止する。

 

「━━温泉卵を作っちゃいました」

 

あちゃー、作っちゃったかー。もうこうなったら……

 

「第一回! 男子シングルス温泉卓球大会!」

 

「「イエー!!」」

 

雄二が号令して秀吉とムッツリーニが合いの手を入れる。

 

その間に僕は姫路さんの温泉卵を受け取った。

 

「説明を頼むぞ、明久!」

 

「了解! ルールは簡単、こんな風に雄二の口に温泉卵を打ち込むだけさ!」

そう言って手に持っていた温泉卵を、雄二の口へサーブする。

 

「ゴパ!? そんなルールのわけ……なんで秀吉とムッツリーニも従って……!?」

 

次々に雄二の口に打ち込まれる温泉卵。

 

「皆さん、食べ物で遊んじゃいけませんよ!?」

 

姫路さん、これは遊びじゃない……。

命を懸けた戦いなんだ。

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