魔法科高校の流転者達-夢と現を見定める破壊神- 作:黒乃 柳
前回の後書きで東方キャラ二名をギャグキャラとして扱うと宣言した通りの内容でありますので悪しからずm(_ _)m
一時は雲行きが怪しかったが入学式は何とか何事も無く終わり三人は其々ちょっとした用事が出来宴会迄の間別行動を取る事になる。
炎は一足先に宴会場である博麗神社へ片付けの手伝いに、輝は姉の鈴音に付き添われ校内の案内を。
そして珍しく一人になった勇気は此れから如何時間を潰すか考え乍校内を出て空に浮かぶ雲の如く気の向くまま脚を動かしていた、基本的に自由を好む勇気は偶に一人になるとこうして散策を好む傾向がある。
[其れにしても…]
小高い丘を歩き乍ふと新入生総代を務めた少女、司波深雪の事を思い出す、内面的なものは推し量れないが炎、輝と共に抱いた外見的な印象は何処となく彼等の知人を想起させる美しさと気品を兼ね備えていたから。
[…あれで引き籠りの気があったら本当に似てるよね]
ぽつりと呟き乍苦笑する、其の頃永遠亭では…。
[へっくち!]
[あら…風邪ですか姫様?]
[いや…何だか噂されてる様な気が…]
件の知人、蓬莱山輝夜がくしゃみをしていた…実に感の良い姫君(ひっきー)である。
————
暫くすると小高い丘に拓かれた寺で裂帛の気合と共に僅かに肉と肉、骨と骨がぶつかり合う武術稽古の音が聞こえてくる。
何時もの此の時間は武術や魔法の訓練、更に趣味の範囲を逸脱しつつある特化型CADの開発を炎と共にし彼が何らかの事情で遊べぬ時は気息…プラーナとも呼ばれる生体エネルギーの扱いに長け更に剣術や其の他武器の扱いにも精通している輝と彼の家の私有地である道場で切磋琢磨している為一人で過ごす時間というのは稀である。勇気は一人で居る手持ち無沙汰を紛らわす様にふらふら…と寺の敷地内に足を踏み入れ…途端、目前を矢の如く過ぎらんとした串を人差し指と中指を以って挟んで止める。
[御見事、其の足運びと云い気配を完全に殺した上で接近した至近距離からの投郷にも関わらず難無く串を止める動体視力と云い…並の手練れでは無いね?]
何時の間にか寺の奥から姿を現した法衣姿の男性へと視線を向ける、飄々とした出で立ち、第一印象は胡散臭い坊さん…と云った処だろうか。にこにこと笑い乍此方を値踏みする様に見詰める男に対し警戒する処か逆ににっこりと微笑を携え相対する勇気、次の瞬間…——両者の右腕同士はガッ!と激しい音と共に交差する。
[初めまして、散歩をしていたら愉しそうな音が聞こえてきたのでつい脚を踏み入れてしまいました…御邪魔でしたか?]
交差する腕越しに笑みを浮かべた侭問う勇気に対し跳躍した後身体全体を鞭の如くしならせ回転を加え左脚で頭部を狙う蹴りを繰り出す男。
[いやいや、うちは来る者は極力拒まないよ?寧ろ今日は門下生が少ない方でね…退屈を紛らわす為に一つ手合わせでもどうだい?少なくとも退屈はさせないよ]
飛び蹴りを見計らい左手で受け止めると同時に裾を掴み乍間髪入れず踵返しを繰り出す勇気に親しげに問い乍掴まれた脚を其の侭に反対側の片足と掴まれた侭の脚を以って首を挟み蟹鋏の要領で技を仕掛ける…此れに対しすかさず身を屈めつつ着地のタイミングを狙い撃つ様にしゃがんだ体制から左脚を軸に高速回転し連続回し蹴りを繰り出す、両者共に技の応酬が激しく鍛錬をしていた門下生達の間には驚愕の表情と感嘆の溜息が漏れる。其れも其の筈、対人戦では知る人ぞ知る現代の忍び九重八雲(ここのえやくも)と互角…下手をしたら上回る程の体捌きと駆け引きを以って尚雑談を続けられる学生が居る等夢にも思わなかったのだから。
[全く…どうだい?じゃないですよ、もうしてるじゃないですか]
超低空からの回し蹴りを跳躍して逆に飛び膝蹴りを浴びせんとする八雲の動きに瞬時に対応し世間一般でカポエラの代名詞とも思われている逆立ちからの回し蹴りを以って迎撃する、其の様はまるで様々な国の舞を一緒くたにして舞う様な華麗さと力強さを周囲に見せ付ける。
———
思いの外長引いた手合わせも齢50を超える九重に分が悪いのか…はたまた純粋に勇気の筋力が彼を上回っていたのか息を切らしつつある八雲と未だ余裕の表情を見せる、優劣が見え始めた矢先勇気は両手を挙げ[…降参します、ぶっちゃけ疲れました]と僅かに滲んだ汗を拭う素振りを見せ肩を竦める。
[…ふむ、君が疲れたのなら仕方が無いね…実際僕も疲れたし此処は痛み分けにしよう、さっきの逆立ちからの回し蹴り…あれには意表を突かれたよ]
少年から元々薄い毒気が完全に失せ戦う意思が無い事を悟り漸く構えを解き乍僅かに腫れ上がった足首を引き摺り苦笑する九重八雲氏に同じく苦笑で返す勇気、出会い頭こそ乱暴ではあったが拳と拳、駆け引きと駆け引きを応酬し合った彼等の間には年齢を超えた友情にも似た親近感が芽生えたのである。
明朗快活に笑う九重和尚と黒乃勇気の見事な迄の演武に周りに控えた門下生達も拍手で迎える。此処で互いに名を知らぬ事に気付いた九重和尚から名を名乗る事になる、次いで勇気自身も名を名乗る…其れはつまり黒乃の名を明かす事にもなる訳だが。
[あァ…君が黒乃家の次期当主の黒乃勇気君か、なら納得かな、——御父さんの件は残念だったね…]
と、流石は忍び…情報収集は御手の物らしく名を名乗っただけで彼が黒乃家の跡目である事に考えが至り彼の父、現黒乃家当主が余命幾許も無い事すら認識している旨の発言をする。
此れに対し特に警戒する事は無く唯苦笑いを浮かべ小さく頷く、黒乃家現当主の黒乃 裕司(くろの ゆうじ)が不治の病を患っているのは同じく政治の裏側で力を持つ十師家及び百家の当主は知っているのだ…其れ故に此処ぞとばかりに優れた家名と血筋に名を連ねんと次期当主である勇気に縁談の話が舞い込むが彼自身はハイエナじみた浅ましい考えに嫌気が差している為歯牙にも掛けない。
因みに炎の家である龍道寺家と輝の家の御剣家は代々黒乃の家に仕える家筋である為幼少期から黒乃勇気と云う人柄を熟知している。其れ故に時に暴走しがちな勇気に対する気苦労は絶えないが炎、輝を含め両家の宗家•分家問わず家族同様に大切に想ってくれる次期当主に心からの忠義と親愛を抱いている…仮に勇気の身に何かあれば家筋等関係無しに真っ先に軍隊規模の戦力を持つ両家が報復に来るであろう…が、今は未だ関係の無い話である。
———
寺の縁側でお茶と羊羹を頂き乍取り留めのない話で宴会開始時刻迄時間を潰す。人生の先輩としての九重八雲との雑談は中々有意義な時間で有ったし九重氏も歳の離れた友人として何か有意義な情報が入れば教える事で勇気の力に成る事を約束し別れる。
其れにしても…と小さく呟き乍立ち上がる九重氏は先程の大立ち回りを繰り広げた庭へと視線を向け
[…僕も術は使わなかったけど…彼の体術は恐らく魔法と併用して初めて真価を発揮する代物だね、達也君と同い年で彼以上の体術…一体何を如何したらあれ程の技能があの歳で身に付くのやら…]
憐れみにも似た呟きと共に初撃でひびが入った右腕と膝の疼きを感じ和室の奥へと向かうのであった。
うん、段々と文字数は増えてきたかな…?でも未だ未だ読んでくれている方に満足して頂けているかは正直不安であります…目指せ脱初心者(苦笑)
次回はosana三人衆こと御劔 輝君の能力と幻想郷での宴会等を執筆途中です、また読んで頂いた方で何かアドバイスが御座いましたらコメントを頂ければ幸いです!
では、また御目見得出来る日を