魔法科高校の流転者達-夢と現を見定める破壊神-   作:黒乃 柳

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おはこんばんちわ!前話の後書きにも書きましたが今回は龍道寺 炎こと炎のエピソードです、基本的にタグにある作品はブラフではありませんが投稿スピードが追いつかない(苦笑)


贖罪と愛情-そして変わり行く日常-

[ヂィ…]

 

[…ふむ、我ながら不思議に思う…明らかにおかしいだろう]

 

こいしの助力を得て妖夢を降した親友を想い人の元へ向かわせた俺、龍道寺 炎は目の前で俺の分迄酒を呑む厳つい顔をしたピンク色の丸っこい聖霊(ナマモノ)の頭を指先で小突く

 

[ヂヂッ!]

 

小突かれた精霊は前のめりになり食って掛かる様に奇声を上げるが気を取り直したのか再度酒を飲み交わす、装飾品や髪の有無等で見分けは付くが十二体とも同じ厳つい顔なので見ていてシュールだ…というか此の身体の何処に大量の酒が消えていくのか作成者である俺ですら解らん。

 

[…楽しそうね…炎?]

 

幻想郷の宴会の席で一人だけ浮いた衣類を着ている俺の元に俺達流転者達を幻想郷に溶け込ませてくれた大恩人であり俺の大切な女性(ひと)でもある古明地さとりが何時の間にか側に居た…考え事に没頭する癖は直すべきだろうか?

 

[私は大丈夫…けれどあまり感心はしないわね]

 

第三の眼を通して会話…と云う依りも念話に近い会話を成立させる、彼女とは初めて出逢った頃からこういう関係が成立しているし俺や輝、今現在遅れた罰として宴会の食卓に並ぶ料理を作り続けている勇気は外の世界は兎も角、此方で隠すべき本音というものは無い為さとり達覚妖怪とは例外と云って良い程友好的な関係を築けている。

 

其れがさとりにも新鮮なのかあまりコミュニケーションを測ろうとしない彼女も積極的に関わってきてくれる、…俺は前世での幼少期から千年に渡る記憶を振り返り姉である眠り姫の天と今現在嗜める様に此方を睨むさとりとを重ねて見乍口元を緩める。

 

[嗚呼…済まないな、だが不思議だろう?]

 

さとりとの談笑中にどつき漫才を始めたりギリギリ女性として認識出来る二体が語り合う様子を指差す、その指にじゃれついてくる他の十一体と比べ特徴が無い聖霊を再び指先で小突く様に苦笑するも小さく頷くさとり。…矢張り普通に考えておかしいよな、まァ…それぞれが規模や微細な能力の差はあれど十二体とも爆発を引き起こし自らはけろりとしているのだから今更不思議もくそったれも無いのだが。

 

[でも…その子達は炎が作ったのでしょう?…前世では悲しい事も楽しい事もあった様だけど此の子達の望みは純粋よ…炎や輝、勇気と同じ位に]

 

[…そうか…、付き合わせてしまったのだな…済まない…]

 

さとりの能力により聖霊達が転生した理由を知る身としては邪険には出来無い…寧ろ俺は彼等に感謝せねば為らないだろう、——彼等の願いは贖罪を願った俺を支える事…転生して尚彼等を縛り付けてしまった事に罪悪感を感じ詫びる俺に対し十二体全員が親指を立てる。

 

[…炎…過去は変えられないし変えてはいけない、でも…償おうとして前世も今も活動している貴方は本当の意味で痛みを知っている…私はそんな貴方だから惹かれたし貴方の願いを応援するから…]

 

聖霊達の言葉を代弁するさとりが俺の手に掌を添え寄り添う…俺は本当に良い繋がりに恵まれたと感謝せねば為らないだろう、きっかけを作ってくれた彼の破壊神にも…千年間利用して尚…自分達の意思で力に為ろうとしてくれる聖霊達にも、何より…俺が心を開ける唯一の愛おしい存在にも。

 

俺は人目を気にせずそっとさとりの頬に掌を添え口付けを交わす、舌を差し込みねっとりと舌を絡み付かせる口付けの味は檸檬の味では無く仄かに苺の甘酸っぱさが咥内を拡がった。

 

———

 

[…やれやれ…すッかり遅れてしまッたな]

 

人前で口付けは為るべきでは無かったな…と呟き乍独り博麗神社の鳥居を潜り外の世界に着替えを取りに行こうと為ている。勇気はとある事情で月に向かい輝はこいしといちゃついている…俺はじゃんけんに負けたので着替えを取りに戻る事を強いられていた。

 

古人の言葉を借りるが太陽が其の眩い迄の光で照らす昼は人が住まう刻、夜は妖や神が息衝く時間と称したが其れは強ち間違いでは無いと思う…特に今日の宴会前の彼れは其れを今更乍俺や輝、勇気の三人に再認識させるトラブルであった。

 

まさか妖怪と云えど肉体を持つ者の魂を全く別の物質に再構築する技術が実際に起動するとは思わなかった、良くて核ミサイルを打ち込まれても干渉出来無い結界を張る程度だろうと思っていたから。…其れにしても4月だと云うのに寒いな。

 

[…面倒だ、空間を跳躍するか…時間も無いしな…]

 

本来は龍道寺家が私有地である地下入洞に人為的に開いた"門"を通り帰る処なのだが一番手っ取り早い方法を選びCADを使わずテレポートをしようとした矢先急激に下がる気温に紛れ此方に向ける敵意の無い殺意を感じ跳躍する、——次の瞬間、轟音と共に草木を捻じ斬る風が頬を撫でた。

 

[…除けたか…我の言葉を忠実に護っている様だな]

 

闇夜の中から月明かりに照らされ現れたのは両目を閉じ額に開いた第三の眼で世界の全てを見通すかの様な男…首には蛇を巻き付け腕は四本あり三又戟と弓、太鼓を持った修行僧を想起させ漆黒の髪を背中迄伸ばし全身に寒気すら覚えさせる神氣を纏った彼の破壊神であった。

 

[御前は…ッ!]

 

二本の剣を瞬時に引き抜き頭にぶら下げた鎖を繋げ臨戦態勢を取る、一瞬でも気を抜けば俺や輝でさえ瞬きをする暇も与えずくびり殺す事が出来る実力を持った神と対峙するには手持ちのCADでは役不足と知り乍。

 

[…急くな…今日は伝えるべき事を伝えに来ただけの事…今直ぐ墓石に名を刻みたいのであれば知り合いの弟子が神事を行っている妖怪寺にでも其の骸を送り付けてやるがな…]

 

唯無表情に…人は疎か妖怪も神すらも…何ら感慨も、躊躇いすら無く殺すであろう破壊神は翳した手を下げ淡々と語る。

 

何方にせよ此の場では戦闘の意思は無い様だ、梟が飛び立とうとした侭静止した世界に長く居たくは無いので俺も剣を収め話を促す。

 

[…御前達が云う外の世界、彼方で異変が起ころうとしている…中には御前達と同じ転生者達も関わっていよう…此れに伴い幻想郷での活動を一部禁じる…御前達にとっては不利な状況だからな、見定める身としてはある程度力関係が拮抗していなければ真の意味で見定められぬ故]

 

破壊神が云うには幻想郷では幻想郷の民を人質に取る様な行為に至った場合即刻魂を無に還すと云う制約を転生者全員に設ける様だ、此方としては有難い話では有るが…。

 

云うべき事は伝えたとばかりに闇へと戻ろうとする破壊神を呼び止める、聞きたい事は幾つもあった…が、一番に聞きたい事を尋ねる事にした。

 

[何故…御前は俺達を転生させた?!世界を見定める為だけなのか!?]

 

[…我の呼び声に応えたのが貴様等だっただけの事…、——だが…強いて云うならば御前達の生き様は…美しかッたからだ…全を救う為に一を犠牲にしようとした者、貴様のように弱さを憎み宇宙(そら)を統べんとシ乍も人としての矜恃は捨てきれなかった者…苦行の中に立たされた者程真の意味で其の美しい迄の魂の輝きを放つ…。]

 

俺の問いに対し無表情の中に何処と無く優しげな声色で語る破壊神、彼の声色から何故か幼馴染である一人の男が頭を過るがそんな馬鹿な話は無いと首を振る。

 

[…精々、学生生活と今迄の日常を愉しむのだな…我は何時でも御前達を見ている…然らばだ]

 

[ッ…待て、まだ聞きたい事が…!]

 

更に問い掛けを続けようとする俺を遮るように突風に吹かれた夜桜の花弁が視界を遮り吹き止んだと思えば奴の姿は無かった…。

 

俺は何とも云えぬ悶々とした気持ちを胸に溜め込んだ侭外の世界へとテレポートで向かうのであった。




ジバクくんは当時○学生だった私が見ても面白い作品でしたがヒロインを担当していた方、何時の間にか御亡くなりに為られていたのですね…心からの御冥福を御祈り致します。
さて、少し湿っぽい話を振りましたが基本的に原作寄りの炎が好きなので書かせて頂きました。誰だって不当に自分や周りを踏み躙られたら怒りますよね…でも、其処で人に優しく出来るか如何かで其の人の根底が解ると思うのです、炎は当時の私にそういう哲学的な考えを抱かせるきっかけを与えてくれた伽羅でした。


次話は黒乃家の分家、黒瀬家の娘、黒瀬明美ちゃんとオリキャラが少し出て来ます…多分ラブコメ路線かと(笑)

では、また御逢い出来る日を。
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