魔法科高校の流転者達-夢と現を見定める破壊神- 作:黒乃 柳
本来なら投稿スピードを上げ作者の他作品と絡めていくつもりでしたがリアルでのイベントの多さ等に感けていたら…(苦笑)
今回は黒乃家について少し掘り下げております。
高校生活二日目にして幼馴染と中学時代の知り合い以外とは接点も無い為昼食も自然と代わり映えしないメンバーで取る勇気、同じA組同士親睦を深めようと交流を図る者も居るには居たが
[悪いね、先約が居るンだ…また誘ってくれたら嬉しいな?]
と、明らかに手作りであろう重箱を片手に微笑を浮かべ乍社交辞令を述べる仕草はとても裏社会に君臨する家の次期当主とは思えぬ物腰の柔らかさで殆どのクラスメイトの警戒心すら解いてしまう…そう、同じく裏社会に通じる"四葉"の名を持つ司波深雪や一部の人間は除き。
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[…彼が黒乃勇気さん…ですか]
友人らしき方々と席を立ち食堂へと向かうクラスメイトを遠巻きに視線を送り乍ぽつりと呟く、昨日の一件は人伝に聞いてはいるが見た限り素行には問題が無さそうに感じる…先生の件が無ければ。
私は今朝方先生とお兄様の遣り取りを思い出し乍昼食を取るべく食堂へと脚を運ぶ、他のA組の方々と談笑しつつ…だが
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[いたた…ッ、あ、深雪ちゃんもう少し右…いやぁ…僕も歳かね…]
朝焼けが照らす九重寺、此の寺の住職である九重八雲は昨日勇気と手合わせをした疲労と身体の一部に今尚走る鈍い痛みからか珍しく布団に横に成っていた、毎朝武術の稽古を行う司波達也や司波深雪にとって背後に忍び寄られる事が無いと云うのは稀有な出来事では有るが達也は九重八雲の右腕から肩に掛けてと足首を覆うエイドスが"一度は黒く塗り潰され掛けたが何故か今は自然治癒の段階に至っている"という不可思議な現象に驚愕を隠せないでいた。
兄の異変を敏感に感じ取った深雪も師である八雲の肩を摩り乍此の対人戦のエキスパートである師に何があったのかと思案している
[師匠、一体何があったのですか?]
先に切り出したのは達也の方であった、此の世の全てには個別情報体(エイドス)が存在している、自分達現代の魔法使い…魔法師はサイオンを以って一時的に事象を改変させ魔法を発動させるが達也の分解魔法の様に似ている様で異質な現象に情動の起伏が乏しい達也も興味がある様だ
[いやァ…実は昨日の夕方頃に珍しいお客が来てね、…三ヶ月前に横浜ベイヒルズを占拠した集団を一人で壊滅させた子…何れだけ危険なのか気配を消して観察していた僕に最初から気付いていたよ、あの子…同年代の子に比べて恐ろしく鍛えられていたね]
…驚いた、格闘術だけなら師にも劣らぬ自信はあったが駆け引きを含めたら一度も勝てた試しの無い達也も、そンな達也と師を毎朝見ている深雪も同年代に其の様な実力者が居る事にも、恐らくその人物の仕業であろう此の現象にも…二重の意味で驚愕を隠せない二人に対し九重八雲は、
[まァ…なンとなく原因は解るけどね、現代の使い手で他人の氣を自分の氣で呑み込む気功拳なンて中々出来無い芸当なのだけど…流石は黒騎士、黒乃裕司さんの子息だよ…]
黒乃、という姓に合点がいったとばかりに達也は顔を上げる
[黒乃…彼の黒乃家ですか?古式魔法と現代魔法の融合、果ては歴代の当主は時と空間を制御する魔法を扱うという…]
黒騎士の名は四葉は疎か十師族にも知れ渡っている、第三次世界大戦の半ばたった一人で敵艦に囚われた捕虜を救出•艦内の乗組員全員を重火器を使わず惨殺し更には甲板から戦略級魔法を以って周囲一帯の艦隊の包囲網を瓦解させるといった神懸ッた戦績を打ち立てた近代史にも乗る著名人だ。
達也や深雪の驚愕と共に口をついた科白に対しくすりと口元を緩める八雲、達也の言葉自体に間違いは無いが全てが正しいかと言われれば違う。…が、こう云った事は第三者が口を挟む事でも無い
[そうだね、他には数代前の御当主がカラリパヤットを印度で収めた様で其処から他の武術を吸収し直して独自の武術に昇華させている…アジア武術の源流を昇華させるなんて並大抵の努力では無し得なかっただろう…世界でも指折りの武術の家系でもある訳さ——さて、そろそろ稽古を始めようか?今日は門下生全員とね…]
[…解りました]
師匠の看病を深雪に任せ達也は言われた通りに稽古を始める、昨日の立会いを見ていた門下生達は何時にも増して気合いが入っており思いの外時間が掛かった
ホームルームに間に合ったのは僥倖と言えよう…達也は未だ見知らぬ黒乃勇気に対し幾つかの恨み言と共に僅かな興味を抱くのであった。
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(……無意識か意図的にかは解らないが強者との戦いを求めている様だ…と、先生はあの後仰っていましたが…あの笑顔の裏で何を考え何を感じているのでしょうね…)
私はまだ二日目だが基本的に微笑みしか浮かべていない同級生に興味を抱いている、兄以上の格闘技術に名家でありながら四葉や他の十師家を凌駕している得体の知れない闇…何より…彼には何処か兄に似た何かを感じてならない
或いは…先生は彼と拳を交わすコトで彼の人と成りを感じ取ろうとしたのだろう、残念ながら読心術は心得ていないが
そんな事を考えている内に食堂に到着した、視線の先にはお兄様と共に食事をしている女生徒2名と男子生徒1名…おそらくクラスメイトなのだろう、栗色の髪をした女生徒と大柄な男子生徒が軽い口論を始めたが対して気に為る必要性を感じず私はお兄様に声を掛ける
[お兄様、私も今から昼食なのですがご一緒しても構いませんか?]
私の発言が癪に触ったのか数人の生徒は[二科生と相席なんて…][一科生と二科生のケジメを…]等と宣う
……此の方達はお兄様の真価を知らないとはいえ失礼極まり無いとは思わないのだろうか、抗議でもしてやろうかとした矢先お兄様が立ち上がれと為るのを視界の隅に納める…が、
[ふーん、一科生と二科生…現段階で実力的に違いがあるとはせンせには思えないにゃぁ、あ、其処のちみ、お座りプリーズ☆♪——寧ろ必死に区別して自分を保とうとしてるよーに見えるにゃん☆♪]
場の空気をぶち壊す気の抜けた語尾、立ち上がろうとしたお兄様の肩に手を置き座る様に促す猫耳カチューシャを付けた白衣姿の男性のあまりにも理解不能な出で立ちに…私は余りの不可解さに一瞬だが思考を手放すのであった
前回の話に比べたら豆程度の文量ですが他作品との兼ね合いで敢えて短いです、御容赦願えれば幸いかとm(_ _)m