ブルアカクラフト   作:蒼/ao

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21話:クリエイト社

 巨大な門の前に立つ。

 その向こうには、駅から見えていた工場がさらに広がっていた。

 

「すごい大きいですね....トリニティの校舎より広いと思います」

 ヒフミが見上げながらそう言った。

 

 鉄骨で組まれた建物。

 空へ伸びる煙突。

 建物と建物を繋ぐ高架。

 その上を走る貨物車から、鉄の音が響いている。

 

「....本当に、会社なの?」

 思わず口から出た。

 会社というより、一つの街に見える。

「そうだ」

 トルクはそう答えると、門の前に立っていた警備員に何かを告げた。

 

「社長、お帰りなさい」

「ああ。彼らを研究棟まで案内する」

「分かりました」

 門がゆっくりと開いていく。

 ギギギ....と、巨大な鉄の音が響いた。

 

 その向こうへ、トルクさんが歩き出す。

 自分たちも、その後を追った。

 

 ——クリエイト社。

 最初にいたあの街より、ずっと大きい。

 けれど今は、ここが自分たちの帰る場所を探すための場所になるかもしれない。

 

「スティーブ?」

 返事がない。

 振り返ると、スティーブは門の横にある巨大な歯車を見ていた。

 

「....また?」

 列車の中からずっと機械を見ている。

 でも、今回は少し違った。

 スティーブは歯車の前まで歩いていくと、じっとその動きを観察している。

 

「そんなに気になるんだ」

 スティーブは頷いた。

「あれだけ色々知っていそうなのに、機械は知らないんだね」

 するとトルクさんが、少しだけ笑った。

「知らないものがあるというのは、悪いことではない」

「どういうこと?」

「知ればいい。それだけの話だ」

 

 正門を抜けた瞬間、空気が変わった。

 

 金属を打ち付ける音。

 蒸気を吐き出す音。

 歯車が噛み合う音。

 

 工場の中には、絶え間なく機械の音が響いている。

 

「すごいですね....」

 アヤネが、そう溢した。

 自分も思わず足を止める。

 

 天井近くまで伸びた鉄骨。

 その間を走るクレーン。

 床には巨大な歯車や鉄材が並び、奥では何本もの生産ラインが動いている。

 

 けれど、歩いていくうちに少しずつ違和感が見えてきた。

 動いていない機械がある。

 その隣にも。

 さらにその奥にも。

 

「....あれ?」

 ベルトコンベアが止まっている。

 作業員の姿も、動いている場所と比べて明らかに少ない。

 

「止まってる機械、なんか多くない?」

 セリカがそう言った。

 トルクは足を止めなかった。

 

「ああ」

 それだけだった。

 

「壊れてるの?」

 シロコが聞いた。

「そういうものもある。だが、大半は違う」

「じゃあ、なんで?」

 今度はセリカが尋ねる。

「動かす必要がないからだ」

「....どういうこと?」

 シロコが重ねて聞いた。

 

「近年は、電気を使った機械が急速に普及している」

「電気....」

「メカニズム社が、その分野で大きく伸びている」

 トルク視線が、動いていないレーンの方へ向く。

「クリエイト社は蒸気機関を中心に発展してきた。だが、時代が変われば求められる機械も変わる」

 トルクは、止まったレーンを見つめた。

「我々も対応しようとしている。だが、すぐに追いつけるものでもない」

 そのまま歩き続ける。

 

「....なんだか、もったいないですね」

 ノノミがぽつりと呟いた。

「そうだな」

 トルクは淡々と答えた。

 やがて、機関車を組み立てている区画へ入った。

 

 そこには巨大な車体が並んでいる。

 その下では、作業員が火花を散らして機体を作っていた。

 

 ....けれど。

 いくつも並んだ生産ラインのうち、動いているのは二本だけだった。

 残りは作業員もおらず、途中まで組み上げられた部品だけが置かれている。

 

「こっちは?」

「材料不足だ」

「材料が?」

「ああ。鉄も、石炭も、必要なものが以前ほど簡単には入ってこなくなった」

 トルクは組み立て途中の機関車を見上げた。

 

「以前なら、もっと多くの車両を同時に作っていた」

「....今は違うんだ」

「時代が変わった」

 短い言葉だった。

「....まだ、レードロードからの修理依頼が詰まっていると言うのにな」

 独り言のような呟きだった。

 いつも淡々としているトルクさんが、初めて漏らした本音のように聞こえた。

 なんて返せばいいのか分からず、ただ黙って隣を歩いた。

 

 その横を通り過ぎると、錆びの浮いた鉄骨が目に入ってくる。

 塗装が剥がれ、赤茶色になった部分が広がっていた。

 

「これも....直さないの?」

「優先順位が低い」

「....」

 巨大な工場なのに、どこか古びている。

 動いている機械の音が大きいからこそ、その隙間にある静けさが余計に目立っていた。

 

「クリエイト社って、もっと景気がいい会社だと思ってた」

 シロコがそう口にすると、トルクは少しだけ笑った。

「そう見えるか?」

「こんなに大きい工場があるし」

「....昔は、もっとそうだった」

 その言葉だけが、妙に重かった。

 

 やがて、工場のさらに奥にある建物へ案内された。

 研究棟。

 扉を開けた瞬間、紙の匂いがした。

「....うわ」

 机の上には書類が積み上がっている。

 棚にも、床にも。

 壁にはいくつもの書類が画鋲で留められていた。

 その中でも、ひときわ目立つものがあった。

 

『ワールドディフェンダー 発注書』

 戦車の種類、数量、納期。

 いくつもの項目がびっしりと書かれている。

「これ、全部戦車?」

「ああ」

 トルクは短く答えた。

 

「今のクリエイト社を支えている、大きな柱の一つだ」

 そのすぐ下に、一枚の紙が落ちていた。

 拾おうとしたわけではない。

 ただ、目に入った。

『改善要求書』

 その文字を見た瞬間、トルクの視線がこちらへ向いた。

 

「....それは気にしなくていい」

 そう言って、トルクは紙を拾い上げる。

 そして、机の上へ戻した。

「会社には会社の事情がある」

 その言い方は、妙に静かだった。

 

「....ここだ」

 トルクが立ち止まった。

 研究室の奥。

 さらに分厚い扉が目の前を通せんぼしている。

 トルクが鍵を開けて、扉が開く。

 けど、その瞬間に紙の匂いでない空気が流れ出てきた。

 

「なによ....これ」

 部屋の壁は黒く煤けていた。

 天井の一部は大きく崩れ、外から差し込む光が床を照らしている。

 壁には亀裂が走り、床には焼け焦げた跡が残っていた。

 修理された感じは、ほとんどない。

 

 そして、部屋の中心に布で被された意味深な物。

 部屋の惨状に反して、それだけが妙に浮いていた。

 

「スティーブ君。君が知っているエンドポータルであればいいのだが....」

 トルクが、布の端に手をかけた。

 埃が舞い、灰色の光の中でゆっくりと渦を巻く。

 一息に、布が引き剥がされた。

 

 緑がかった石の台座が、四角く円を描くように組まれている。継ぎ目には砂に近い色の装飾が走り、傷一つ、汚れ一つ見当たらない。

 焼け焦げた床、崩れた天井、煤けた壁——そのどれとも、時間の流れを共有していないみたいだった。

 

 中心は、黒く沈んでいる。

 覗き込んでも、底がどこにあるのか分からない。光を吸い込んでいるような、そんな黒さだった。

 

「これが....」

 トルクが静かに口を開く。

「エンドポータルと言われている物だ」

 

 微かに、ゴムが焼けたような匂いが鼻をかすめる。

 この部屋で何かが爆発した——それだけは、匂いが教えてくれた。

 

 だとしたら、これが爆心地のはずだ。

 なのに、傷一つない。

 まるで、周りの破壊などまるで無かったかのように。

 それだけが、新品みたいに佇んでいた。

 

「....アンペアは知っているの?」

 思わず尋ねた。

 トルクは、エンドポータルから目を離さなかった。

 

「....ああ」

「これが何なのかも?」

「もちろんだ」

 少しの沈黙。

 トルクは、黒く沈んだ中心を見つめながら口を開いた。

 

「これは、私が長年研究してきたものだ」

「長年....?」

「この世界には、ネザーのように別の場所へ繋がるゲートが存在する」

 トルクの指が、台座の縁をなぞる。

 

「....薄々思っているだろうが、この会社の経営はあまりよろしくない」

「メカニズム社に電力関係で抜かれている以上、これ以上の遅れは会社の存続に関わる事態だった」

「それで....このゲートを?」

「ああ」

 トルクは小さく頷いた。

 

「もし、言い伝えによるゲート間の移動ができれば、大いに短縮することが出来る」

 トルクの声に、わずかだけれど熱のようなものが混ざった気がした。

「それで、私は社運をかけて臨んでいたんだ」

 その言葉を口にした瞬間、トルクの視線がふっと下がる。

「だが、実験に失敗した」

 部屋を見回す。

 

 黒く煤けた壁。

 崩れ落ちた天井。

 焼け焦げた床。

「....これが、その結果だ」

 トルクの声は、驚くほど静かだった。

 

「正確には、起動実験の途中で制御を失った。何が起きたのか、今でも完全には分かっていない」

 淡々とした口調だった。

 けれど、その目は少しだけ伏せられていた。

 

「幸い、死者は出なかった。だが....設備の大半を失った」

「じゃあ、この部屋はその時から?」

「ああ。最低限の補修だけをして、そのままだ」

 もう一度部屋を見回した。

 こんな場所で、実験をして....。

 しかも、会社の未来を賭けて。

 

「....アンペアも、この実験に関わってたの?」

 その名前を出した瞬間、トルクの表情がほんのわずかに曇った。

 

「....いや」

「一緒に研究してたの?」

「そういう時期もあった」

 答えは短かった。

「アンペアは、機械の扱いに関しては昔から優秀だった。だが、ポータルに関してはあまり関心がなくてな」

「じゃあ、どうして....」

 

 昨日のアンペアの顔が浮かぶ。

『ウチの親じゃない!』

 あんなに怒っていた理由が、まだ分からない。

 

「....何があったの?」

 トルクはすぐには答えなかった。

 ただ、エンドポータルを見つめている。

 

「それは....」

 長い沈黙。

「後で話そう」

「今は駄目なの?」

 シロコが首をかしげて聞いた。

「....君たちには、まず知っておいてほしいことがある」

 トルクはそう言って、部屋の奥へ視線を向けた。

 

 そこには、もう一つ。

 大きな布を被せられた何かがあった。

「あれも、エンドゲートに関わる物ですか?」

 アヤネが尋ねた。

「いや」

 トルクは首を横に振った。

 

「これは、ゲートとは関係ない」

 そう言いながら、布の前まで歩いていく。

 そして、ほんの少しだけ布に手をかけた。

 

「....それは、アンペアが作りたがっていたものだ」

「え?」

 布が、わずかにめくれる。

 そこから見えたのは、巨大な鉄の車体だった。

 

 低く構えた車体。

 厚い装甲。

 大きな履帯。

 

 まだ完成していない。

 それでも、それが何を目的とした機械なのかは、なんとなく分かった。

 

「....戦車?」

 トルクは答えなかった。

 ただ、そっと布を元に戻した。

 

「これについても、後で話そう」

 その声には、先ほどまでとは違う重さがあった。

 

 トルクは、目の前の台座へ視線を戻した。

「この枠の中に何かを入れる必要があることまでは分かっている。だが、それが何なのかが分からなかった」

「何でもいいわけじゃないの?」

「ああ。これまでにいくつもの物を試した」

 トルクは台座の縁に手を置く。

 

「その中で、唯一はっきりとした反応を示したものがある」

「何?」

「メカニズム社が扱っている、ネザーの植物だ」

「植物?」

「ああ。歪んだ森....。そう呼ばれている場所に生えている草やキノコ。それらから採取した胞子や素材を入れた時だけ、この装置は明確に反応した」

 

「じゃあ、それを使えば——」

「開かない」

 期待を遮るように、トルクは静かに答える。

 自分の中で膨らみかけていたものが、すっと萎むのが分かった。

 

「反応はする。だが、それだけだ」

「....」

「何度試しても、ゲートが開通することはなかった」

 トルクは、黒い中心を見つめた。

 

「それでも、以前の私は諦めなかった」

 その声には、どこか自嘲するような響きがあった。

 

「このゲートさえ開けば、輸送も、研究も、何もかも変えられると思っていた」

 そこで、トルクの言葉が止まる。

 

「....だから、他のことが見えなくなっていた」

 トルクは、しばらくエンドポータルを見つめていた。

 その横顔を見ながら、自分はただ黙って次の言葉を待つしかなかった。

 

「事故が起きた後....いや、アンペアが家を出て行った後、私はこの研究を止めようとした」

「え?」

「もう十分だった」

 初めて、トルクがエンドポータルから目を逸らした。

 

「会社のためだと思って続けてきた研究が、あの子を傷つけた」

 その言い方が、あまりにも自分を責めているように聞こえた。

 こんな風に話すトルクさんを、自分は初めて見た気がする。

 

「それなら、どうしてまだここにあるの?」

 セリカが聞く。

「....分からない」

 トルクは苦笑した。

 

「何度も片付けようとした。研究資料も捨てようとした。この装置も封印しようとした」

 それでも、と続ける。

 

「気づけば、またここへ来ていた」

 黒い中心を見つめる。

「ゲートが、ほんの一瞬だけでも反応するたびに、"もし開けることができれば"と思ってしまう」

 その言葉は、研究者の執念というより、もっと疲れたものだった。

 

「もし開通させることができれば、この忌々しい悩みを抱え込まずに済む」

「悩み....ですか?」

 ヒフミがそう聞いた。

「ああ」

 トルクは、静かに息を吐いた。

 

「この研究を続ける理由も、止める理由も、もう分からなくなってしまった」

 そして、ほんの少しだけ視線を落とす。

 

「ただ....今は、この研究を成功させたいわけではないのかもしれない」

「....?」

「これを終わらせてから、あの子に会いたい」

 その言葉だけは、今までで一番小さかった。

 誰よりも淡々としていたはずの人が、今はどこにでもいる一人の父親みたいに見えた。

「そして....一度、ちゃんと謝りたい」

 その言葉に、迷いはなかった。

 ただ、今まで見てきたどのトルクさんよりも、小さく見えた。

 

 会社を背負う社長でも、研究に人生を懸けた技術者でもない。

 今目の前にいるのは、ただ娘に会いたいだけの、一人の父親だった。

 

 その姿を見ていたら、自然と思った。

 このゲートを開けることは、もう自分たちが帰るだけの目的じゃないって。

 

「だから、スティーブ君。このゲートを、完成させて欲しい」

 スティーブはそれを聞いて、強く頷いた。

 そして、ポケットから緑色の球体のエンダーアイを取り出す。

 

「それを、どうするの?」

 スティーブは答えない。

 ただ、エンドポータルの周囲に組まれた台座へ近づいていく。

 

 一つ目。

 ポン。

 台座の一つに、緑色の眼球のようなものがはめ込まれた。

 

 二つ目。

 ポン。

 

 三つ目。

 ポン。

 スティーブは、まるで何度もやったことがあるかのように、迷うことなくエンダーアイをはめていく。

 そのたびに、台座の奥で小さな音が響いた。

 

「....ねえ」

 セリカが、不安そうに口を開いた。

 

「これで、キヴォトスに帰れるのよね?」

 スティーブの手が止まった。

 ゆっくりと振り返る。

 そして、首を横に振った。

 

「....え?」

 セリカの顔から、わずかに期待が消える。

 その声が、ほんの少しだけ震えた。

 

「....帰れるんじゃないの?」

 スティーブは、エンドポータルを指差した。

 それから、遠くを指すように手を動かす。

 

「....エンド?」

 スティーブが頷いた。

 

「エンドっていう場所に行けるだけ....?」

 もう一度、頷く。

「....そうなんだ」

 

 セリカが小さく呟いた。

 誰も何も言わなかった。

 その沈黙が、妙に重かった。

 

「............」

 胸の奥が、すっと冷えていく。

 帰れると思っていた。

 

 もしかしたら、この世界から出られるかもしれない。

 そう思ったから、みんなに伝えた。

『元の世界に帰れるかもしれない』

 そう言った時、みんなの顔が明るくなったのを覚えている。

 

 セリカも。

 ノノミも。

 ヒフミも。

 アヤネも。

 シロコだって。

 なのに——。

 

 自分でも分かっていた。

 自分が悪いわけじゃない。

 それでも、みんなの顔を見ていられなかった。

 

「みんな、帰れると思ったよね....」

「....」

「変に、期待させちゃった」

 誰も答えない。

 

 その沈黙が、余計に苦しかった。

 自分が伝えたのは、確かな答えじゃなかった。

 ただの可能性に過ぎなかったのに。

 

「....ごめん」

 もう一度、呟いた。

 

「アレックス」

 シロコの声がした。

 顔を上げた。

 

「まだ、分からない」

「....え?」

 シロコは、エンドポータルを見ていた。

 

「帰れるかどうかは、まだ分からない」

 その言葉に、みんなも静かに頷いた。

「そうですよ」

 ノノミが微笑む。

「少なくとも、まだ行ったことのない場所が一つ増えただけです」

「....そうね」

 セリカもエンドポータルを見る。

 

「帰れないって決まったわけじゃないんだから」

「....」

 胸の奥に残っていた冷たさが、ほんの少しだけ和らいだ。

 それでも。

 自分の中にあった期待は、確かに消えていた。

 

 ——帰れるかもしれない。

 

 その言葉だけを信じて、ここまで来た。

 その答えは、まだ分からない。

 

 スティーブは再び台座へ向き直った。

 そして、最後の一つを手に取る。

 

 そして——。

 カチッ。

 ........。

 

「....どうしたの?」

 はまらなかった。

 スティーブが少し力を込める。

 それでも、エンダーアイは台座の奥へ入っていかない。

 

「壊れてるの?」

 スティーブは首を横に振った。

 もう一度、角度を変えて差し込む。

 それでも、なぜか入らない様子だった。

 

「どうしたんでしょうか....?」

 スティーブはしばらく台座を見つめていた。

 そして、ふと身を屈める。

 

「....?」

 何かを確認するように、台座の内側を覗き込んだ。

 

「中になにかあるの?」

 セリカも気になったのか、隣から覗き込む。

 

「........え?」

 その声に、みんなの視線が集まった。

 

「どうしたの?」

 シロコがそう聞いた。

「ちょっと待って....」

 セリカが手を伸ばす。

 台座の奥へ腕を差し込み、何かを掴んだ。

 

「これ」

 引っ張り出したものを見て、セリカの目が丸くなる。

 全体的なピンク色の中。ショットガンみたいな感じで、横に赤色の弾が何個もはめ込まれている。

 

「これ、ホシノ先輩の銃じゃない!?」

「え?」

 シロコたちが駆け寄って行く。

 

「なんでこんなところに....」

 セリカは慌てて銃を抱え直した。

 

 誰も答えられなかった。

 ただ一人、スティーブだけが、空いた台座を静かに見つめていた。

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