ブルアカクラフト   作:蒼/ao

4 / 14
Vol.1:壊れた街と歯車たち
はじめに


 やぁ、これを読んでいるってことは、たぶん君もこの世界に迷い込んじゃったんだね。

 でも、安心してほしい。私も最初はそうだったから。

 ....そんなの安心できるかって?

 うん、ごもっとも。

 木も、草も、人も、全部ブロックでできてる不思議な世界。

 しかも、そこに私と同じ感じで落ちてきたのは銃を持った女子高生たち....って、訳がわからないよね。

 

 だからこそ、この日記を残しておいたんだ。君が道に迷ったり、これからどうすればいいか分からなくなった時のためにね。

 もし、この言葉の意味がさっぱり分からないなら、今すぐページを閉じて、チェストにでも戻してほしい。この世界に元から住んでいる人にとっては、ありきたりで退屈なことしか書いていないから。

 

 私のことはアレックスと呼んでほしい。

 本当は違う名前なんだけど、元の世界での本当の名前はどうしても思い出せない。元々はこんなカックカクの世界じゃなくて、もっとなめらかな世界にいたんだけど、気がついたらこんな世界に来ていた。

 もう、びっくりだよ。これを読んでいる君も、きっと同じ気持ちじゃないかな?

 頭を強くぶつけた拍子に飛んじゃう、記憶喪失ってやつなんだと思う。だけど、なぜか"アレックス"って言う名前と、"誰かを導かなきゃいけない"っていう奇妙な責任感だけは、頭に残っていたんだ。友達の名前なのか、親の名前なのか、それとも....。まぁ、都合がいいから今は自分のことをアレックスって名乗っている。

 

 なんでそんな責任感だけが残っていたのか、今でも分からない。あの子たちがどうしてこの世界に来たのかも、答えはまだ出ていないし。

 それでも、立ち止まっている暇はなかった。

 

 この日記には、私が見てきたことが書いてある。

 ただ——ほとんどが、キヴォトスという世界から迷い込んできた、ヘイローを持った子たちの話になっちゃっているけど....。

 見た目は私より年下で、同じように右も左も分からない場所に迷い込んだはずなのに、なんであんなに頼もしいんだろうって何度思ったか分からない。気づいたら毎回、私の方が助けられていた。

 

 もう、毎日がとんでもない大騒ぎだった。

 食べ物がなくて困ったり、夜になればモンスターが押し寄せてきたり、この世界の組織同士の争いに巻き込まれたり....。正直、いままで食べたパンの枚数くらい死んだかと思った。

 それでも——なんだかんだで楽しかったと思う。今だから言えるけど。

 

 この先に書いてあるのは、私と、この世界に迷い込んだ少女たちの記録。

 失敗も、泣いたことも、笑ったことも、全部書いてある。

 

 だから――もし少しでも興味があるなら、次のページをめくってほしい。

 たぶん君も、この四角い世界の迷子の一人になる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。